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【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)が追加の金融緩和に踏み切った。決断を迫ったのはユーロ圏を覆う低インフレ、低成長、通貨高の三重苦。滞ったマネーを動かすため、銀行に融資を促す「マイナス金利」と呼ばれる奥の手も繰り出した。だが政策効果は未知数で、欧州経済の先行きはなお晴れない。
5月の消費者物価上昇率が前年同月比で0.5%にとどまったユーロ圏。「需要不足が原因」(オーストリア中央銀行総裁のノボトニー氏)だ。
ギリシャやキプロスなど南欧諸国で賃金が下がり、モノが売れない。物価が下がり続けるデフレ状態になっており、いわば債務危機の後遺症に見舞われている。
景気後退は何とか脱したが、その後の足取りはおぼつかない。1〜3月期のユーロ圏の実質経済成長率は前期比で0.2%。フランスはゼロ成長、イタリアは水面下に沈む。ドラギECB総裁は5日の記者会見で「景気は緩やかに回復している」と語ったが「想定よりもやや弱い」と認めた。
そこに加わったのがユーロ高。原油などの輸入物価の押し下げ要因となり、通貨高と低インフレの悪循環が起きている。
ECBは債務危機が収まれば、ユーロ圏の景気は徐々に回復し、物価も上がると見ていた。それだけに2013年11月以降は利下げを見送り、通貨高を口先介入で抑え込む作戦をとってきた。だが実際には南欧を中心に景気と物価が低迷。追加緩和に追い込まれた。
11年秋の就任以来、金融緩和で一定の効果を上げてきたドラギ総裁。今回も市場の失望を招かないように、さまざまな景気刺激策を組み合わせた。ECBの発表を受け、外国為替市場ではユーロ売りが先行したが、肝心の景気刺激や銀行融資の促進にどこまでつながるかは見えない。
例えば主要国・地域の中銀で初めて導入する「マイナス金利」。ECBにお金を預けているとコスト高になるため、銀行が企業向けの融資に積極的になるとの触れ込みだが、ECBに余剰資金を預けている銀行の多くは堅実な北部欧州の金融機関や域外の外資系金融機関だ。
独コメルツ銀行シニアエコノミストのシューベルト氏は「お金が余っているからといってリスクの高い南欧向け融資が急に伸びるとは思えない」と指摘する。銀行がコストを利用者に転嫁するため、貸出金利が逆に上昇する恐れがあるとの見方もある。
ドイツ銀行調査部のシュナイダー部長は「すべての政策を足し合わせても効果は限定的」と分析。それだけに「ECBは今秋に次の一手を迫られる」と見る。市場で観測がくすぶるのは、国債を大量に買い入れる強力な量的緩和の導入だ。
5日の理事会では資産担保証券(ABS)の買い入れ準備でも合意した。ドラギ総裁は記者会見で「措置を出し尽くしたわけではない」と述べ、一段の追加緩和にも含みを持たせた。ただ日銀などのような大規模な国債買い入れを巡っては賛否が分かれる。
金融緩和は南欧経済を支える一方、景気が好調なドイツで不動産バブルが生じるリスクをもたらしかねない。しかもユーロ圏は18カ国の寄り合い所帯。「どの国の国債をどれだけ買えばいいのか決められない」(ユーロ圏の中銀首脳)との声も漏れてくる。
http://www.nikkei.com/markets/features/12.aspx?g=DGXNASDC0500N_05062014EA2000
- 欧州債利回り、軒並み低下 マイナス金利で「資金流入」 企業向け融資、需要弱く あっしら 2014/6/10 03:15:36
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