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電機メーカー大手8社の決算を読む──回復基調も、サムスンとは圧倒的な差
http://gqjapan.jp/more/business/20140530/electronics8-01
GQ JAPAN 5月31日(土)0時4分配信
日本の電機メーカー大手8社の2013年度決算が出そろった。各社が回復基調を見せる中、世界を見れば、韓国サムスン電子には圧倒的な差をつけられている。
文: 大河原克行
電機大手8社の2013年度(2013年4月〜2014年3月)の連結業績が出そろった。
8社合計の連結売上高は前年比9.5%増の46兆4093億円、営業利益は42.9%増の1兆7472億円、当期純利益は前年の9784億円の赤字から、5550億円の黒字に転換した。
売上高は、NECを除く7社が増収。ソニー、東芝、三菱電機、シャープが前年比2桁増となった。前年割れとなったNECも、「会社計画は過達。継続事業ベースでの売上高では、約6%の増収になった」と説明する。
■ソニーが売り上げでパナを抜き2位に
大手電機メーカー8社の売上高推移(2014年度は見通し、公開資料をもとにGQ JAPAN編集部が作成)
電機8社の売り上げ順位に変動があったのも、今回の決算の特徴だ。これまで3位だったソニーが、わずか307億円ではあるが、パナソニックを抜いて2位に浮上した。売り上げランキングに変動があったのは、2010年度に三菱電機が6位のNECを抜いてから3年ぶり。NECは、2013年度も8位のシャープに1160億円の差にまで肉薄されている。さらに、2014年度の売上高見通しは両社ともに3兆円だ。前年比増を目指すシャープと、前年割れの計画であるNECとの勢いの差が、2014年度の業績にどう表れるかが注目される。
各社の2014年度業績見通しの売上高を合計すると、46兆6300億円。前年比微増という見通しだ。日立製作所とNECの2社が減収を計画しているほか、最も高い成長率を見込む三菱電機でも前年比3.1%増。各社とも慎重な見方を示している。
「日本経済は、雇用環境の改善や設備投資の回復などにより緩やかに成長している。米国も雇用や所得改善を背景に景気回復が継続するが、欧州では財政や雇用問題の長期化により、南ヨーロッパを中心に景気低迷が長期化。中国の経済成長の鈍化とロシア情勢の不透明感もある」(日立)という声のほか、「2014年度は、消費増税前の駆け込み需要の反動で国内家電は減販。国内住宅着工件数のマイナス影響が見込まれる」(パナソニック)という懸念もある。
2013年度の営業利益の8社合計は、前年度の1兆2227億円から42.9%増加し、1兆7472億円となった。前年度はシャープだけが営業赤字となっていたが、2013年度は同社も黒字転換。8社全社が黒字を計上した。
大手電機メーカー8社の営業利益推移(2014年度は見通し、公開資料をもとにGQ JAPAN編集部が作成)
だが、ソニーが前年比88.3%減と大幅な減益。NECも7.4%減となった。
ソニーは米国会計基準にしていることもあり、前年度はニューヨークにある米本社ビルの売却益655億円、ソニーシティの売却益423億円といった資産売却益や、子会社エムスリーの株式一部売却に伴う影響で1222億円が営業利益に計上されていたが、今年度はそれが大幅に減少した。さらに、「VAIO」ブランドで著名なPC事業売却などの構造改革費用として917億円を計上したことなどが影響している。
■2014年度の減益見通しはシャープだけ
2014年度の営業利益見通しは8社合計で、1兆9950億円。前年比14.2%増で、引き続き2桁増の成長が見込まれており、筋肉質な体質が定着してきたことを示している。
その中で、減益の見通しを示した唯一のメーカーがシャープだ。「円安や新興国通貨安などの外部環境を織り込み、営業利益は中期経営計画の見通しから100億円減額する」という。ASEANでの白物家電事業の拡大や、液晶事業で中国スマートフォンメーカーへの販売を加速するシャープは、為替前提条件の見直しに着手。それが、減益見通しにつながっている。
最終損益については、8社合計の2013年度実績が5550億円。前年の9784億円の赤字から黒字転換した。前年度はパナソニックの7542億円の赤字、シャープの5453億円の赤字という巨額赤字が影響したが、2013年度はパナソニックが1204億円の黒字、シャープも115億円の黒字へと転換。V字回復を果たした格好だ。しかし、ソニーが415億円の黒字から1283億円の赤字へと転落。8社のなかで唯一赤字となった。
2014年度は8社合計で8050億円の最終黒字。前年比45%増と大幅な増益を見込む。「構造改革をやりきる」と宣言するソニーが500億円の赤字を見込む以外は、すべてが最終黒字を計上。東芝、富士通、シャープが、前年比2.5倍前後の成長を見込んでいる。
大手電機メーカー8社の当期純利益(損益)推移(2014年度は見通し、公開資料をもとにGQ JAPAN編集部が作成)
■順調に回復している国内電機メーカー
こうしてみると、日本の大手電機の業績は着実に回復基調に転じており、これまでの構造改革の効果が明らかに出ているといえよう。
各社が合理的で無駄のない財務体質=筋肉質への転換を志向するとともに、円安が業績に対してプラスに働く企業が多かったこと、さらに、消費増税前の駆け込み需要が国内での業績向上に影響したという点も見逃せない。
しかし、相変わらず、韓国サムスン電子との差は明白だ。
サムスンの2013年の売上高は228兆6926億ウォン、日本円で約22兆8000億円だ。これは日本の大手電機メーカー8社合計の約半分を占める数字でもある。そして営業利益は36兆7850億ウォン、約3兆7000億円で、8社合計の3倍の規模にも達する。
電機各社が経営体質を評価する指標のひとつとして掲げている営業利益率についても、サムスンは16%台という高い水準を維持している。直近ではスマートフォン事業の頭打ちや液晶ディスプレイ事業低迷の影響などもあり、2013年第4四半期(2013年10〜12月)、2014年第1四半期(2014年1〜3月)と、2四半期連続で営業利益が前年同期比減益となったが、それでも利益率の高さは変わらない。
日本の大手電機メーカー8社合計の営業利益率は、2013年度実績で3.8%止まり。最も営業利益率が高い三菱電機でも5.8%となっている。2014年度の8社の見通しでは、営業利益率は4.3%。日立製作所と三菱電機が6%台の営業利益率を目指すことになるが、それでもサムスン電子との差は大きい。
BtoBへのシフトや高付加価値製品への注力、本社機構のスリム化や海外事業体制の軽量化など、日本の電機各社は収益性の高い事業と、収益確保のための体質強化に取り組んでいるが、やはりその道筋はまだ緒についたばかりだといった方がいいかもしれない。
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