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コラム:「円安第3波」は7月以降にずれ込みか=上野泰也氏(ロイター)
http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/682.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2014 年 5 月 13 日 22:48:48: AtMSjtXKW4rJY
 

http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0DT02D20140513
2014年 05月 13日 11:57 JST


上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 13日] - ドル円相場はこのところ方向感が出にくくなっている。日本の貿易赤字が長期化していることや、日銀の金融引き締めがまったく見えてこないことを考慮すれば、円高方向に大きく動く余地は乏しいだろう。したがって、現在は基本的には「円安第3波」のきっかけ待ちの時間帯だということになる。

振り返れば、野田佳彦首相(当時)による2012年11月14日の衆院解散表明が起爆剤になって始まった「アベノミクス」が大きなテーマとなっている今回の局面で、ドル円は「ストップ・アンド・ゴー」的な、つまり「一方向に走ってから、しばらく立ち止まる、ないしは後ずさりする」パターンの動きを繰り返してきた。

12年11月14日時点で80円前後だったドル円は、日銀による「量的・質的金融緩和」導入(13年4月4日)などを材料にしながら、円安ドル高の方向に走った。13年5月22日に103.74円をつけるところまでの動きが「円安第1波」である。

だが、翌5月23日に日本の10年物国債利回りが1%ちょうどまで急上昇したことをきっかけに、海外ファンドがそれまで積み上げてきたポジションを解消する日本株売り・円買いの動きを強めたため、6月13日に一時93.75円をつけるところまでドルは大幅に反落。その後11月中旬までの長期間、ドル円は98円を中心とするボックス圏での推移になった。

「円安第2波」が到来したのは13年11月下旬である。早ければ年明け早々にも日銀が追加緩和に動くのではないかと勝手に期待した海外投資家が、日本株買いと円売りのペアトレードを再び活発に行ったことが、おそらく主因だ。大納会にかけて日経平均株価が9営業日続伸するなど高値を模索する中、ドル円は今年1月2日の海外市場で105.45円をつけた。

しかし、ドルの上昇はそこまで。成長戦略への失望感や早期追加緩和観測の後退などから、「アベノミクス」期待が海外投資家の間で減退したためである。円売りドル買いを積極的に進める手がかりが失われる中、今度は102円台を中心とするボックス圏が形成されている。

<「円安第3波」の原動力は米金利上昇>

近年のマーケット全体の動きをグローバルに俯瞰すると、07年の米住宅バブル崩壊から欧州債務危機に至るまでの「リスクオフ」局面は12年秋までに終わり、現在は「リスクオン」局面が継続中だと判断される。「リスクオフ」局面で逃避的に買い進まれた円には、売り戻される余地がまだある。したがって、ドル円は向こう1―2年内に110円前後まで円安方向に動くだろうと、筆者は引き続き予想している。

しかし、「アベノミクス」関連の動きから円売りを一段と進める手がかりは、現在見出しにくくなっている。黒田東彦日銀総裁は「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表した後の4月30日の記者会見で、「物価安定の目標」2%の達成にあらためて自信を示した。公的年金運用における株式比率の引き上げや、法人税の実効税率引き下げは、市場が長く材料にしてきたことから、やや新味がなくなりつつある。

そうした中で考えられる1つのシナリオが、日米金利差の拡大とそれに伴うマネーの流れが原動力になった「円安第3波」の到来である。

すでに低水準にある日本の長期金利が、ここから一段と低下するとは考え難い。日本の10年物国債利回りについては、「量的・質的金融緩和」導入の前日である13年4月3日の水準(0.55%)が心理的に非常に大きな節目であり、仮にこの水準を下回るような金利低下が起こっても長続きしないだろう。

したがって、重要な着眼点となるのは、米国の長期金利が一段と上昇するかどうかである。具体的には、1月2日に一時3.05%まで上昇したものの、2%台後半のレンジにその後逆戻りしている米10年物国債が、3%台前半へと利回り水準をいつ切り上げるかだ。

<米金利上昇シナリオを阻む「障害物」>

ところが、この米長期金利の一段の上昇というシナリオには、「障害物」がいくつかある。ウクライナ情勢に代表される地政学リスクなどもあるが、筆者の見るところ、特に重要なのは、1)利上げをけっして急ごうとしないイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の政策運営姿勢と、2)その基盤を形成している米国の物価状況の落ち着きである。

4月29―30日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、4度目の量的緩和(QE)縮小を決定するとともに、3月のFOMCで質的な内容に書き換えられた「フォワードガイダンス」(超低金利政策の「時間軸」)を維持した。その内容のうち最も重要な部分は、「特にインフレ率の見通しが2%というFOMCの長期目標を下回り続け、長期的なインフレ期待が十分抑制された状態にとどまる場合において、資産買い入れプログラム終了後もかなりの期間(for a considerable time)、現在のフェデラルファンド(FF)レートの誘導レンジを維持することが適切になる可能性が高い」という箇所である。

リスク管理の発想からすれば、利上げ開始が早すぎて景気が腰折れして失敗する(「量的緩和第4弾=QE4」に追い込まれる)よりも、利上げ開始が遅すぎて失敗する(インフレ率が加速して2%の目標値を超えるか、何らかのバブルが発生する)ことの方が、FRBとしては「後始末」を行いやすい。これが、イエレンFRB議長をはじめとするFOMC内の主流派が内心おそらく考えていることだろう。利上げ路線への転換とその継続は、イエレン議長にとって失敗が許されない「大仕事」であり、拙速な動きは事実上タブーである。

米国の利上げ開始は最速のケースでも15年末だろうという予想を、筆者は維持している。16年にずれ込む可能性も少なからずあるだろう。金融政策変更が実体経済に及ぼす影響を見極めるために必要とされるラグ(時間差)を考えた場合、資産買い入れが14年の年末近くに終了した後、利上げまで少なくとも1年程度のインターバルを置くことは自然である。

そこで大きなカギを握るのが、米国の物価動向だ。上記の「フォワードガイダンス」などを用いながら、FRBが利上げの開始を後ずれさせ、そして追加利上げのペースを遅らせる前提条件は、インフレ状況の低位安定である。これまでのところ、米国のインフレ率が加速する兆しはうかがわれない。

米国の3月のコア個人消費支出(PCE)デフレーターは前年同月比プラス1.2%で、3月の消費者物価指数(CPI)コアは同プラス1.7%。いずれもインフレ目標である2%を下回っている。サービスの価格動向に大きく影響する賃金関連の動向を見ると、1―3月期の雇用コスト指数は前年同期比プラス1.8%、4月の雇用統計で時間当たり賃金は前年同月比プラス1.9%、1―3月期の労働生産性速報値で単位当たり労働コストは前年同期比プラス0.9%である。

このように考えると、ドル円相場のボックス圏推移は、どうやらまだしばらく続きそうだ。米長期金利の一段の上昇と「円安第3波」の到来は、米国の景気・物価指標がもう少し強い動きを示し始めるまで、おそらく7月以降にずれ込むのではないか。

*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。


 

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コメント
 
01. 2014年5月13日 22:54:24 : jXbiWWJBCA
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2014/05/13.html
2014年05月13日
第109回 コナンドラム?!米国低金利の背景に中国の存在 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

SellinMayの警戒が相場のエネルギーを奪ってしまっているのでしょうか?ドル/円相場は、このところはずっと100〜103円台でのレンジで安定、すっかり膠着してしまっています。為替の変動要因は多岐に渡りますが、今、為替市場関係者の間では「上がらない米国長期金利」と「中国の外貨準備による影響」が話題となっています。何故、量的緩和縮小に踏み切り、次なる焦点が利上げ時期へとシフトしている米国の金利が低く抑えられてしまっているのか?この裏に膨大な中国の外貨準備が影響しているという指摘が出てきています。

「コナンドラム(謎)」という言葉をご存知でしょうか。2000年代半ば、FRBによる相次ぐ利上げにも関わらず米長期金利が上昇しなかったことを当時のFRBグリーンスパン議長が評した言葉です。このところ発表される米国の経済指標は軒並み改善を示しており、米国の景気回復期待は高まっています。また、リーマンショック以降、米国は金利をゼロにした上、量的緩和政策をとってきましたが、今年そのドルのバラマキ政策とも揶揄された量的緩和政策も縮小に踏み切りました。市場に放出されるドルの量が今後少なくなっていくことや、景気回復期待が高まれば「金利」は上昇します。お金は金利の高いほうへとシフトする側面がありますので、今年2014年は「ドル高」になるという予想が大勢でした。ところが、ドルは今年に入って高くなるどころか安くなっています。ドル/円相場も1月2日の105.40円台が最も高くじりじりと円高方向、ユーロ/ドル相場も先週5月8日のECB理事会でドラギ総裁が、6月の理事会で緩和策に踏み切る可能性を強く示唆したために、足元では大きくユーロ下落となりましたが、ECB要人がこうしたユーロ高牽制発言を繰り返さなくてはならないほど、ユーロが強含む展開が続いていました。これは、米国長期金利が一向に上がらず落ち着いているためとも考えられます。

何故、米国金利は低下したままなのでしょうか?

FRBイエレン議長がとても慎重で「低金利政策は長期に継続する」スタンスを明確にしているため金利が上がらないのだ、とか、ウクライナ情勢の緊迫で安全な資産である米国債に逃げているなどの解説が見られる他、積み立て不足を埋めさせることを意図した新規則を受け、年金基金が米長期国債の購入を3倍に増やす可能性があるため、年金基金が米国長期債を購入しているせいだとの指摘も。

そして、もっともインパクトが大きいのが中国の外貨準備による米国債の購入の可能性です。中国人民銀行は4月15日、「3月末の中国の外貨準備備高は3兆9500億ドルに達し、2013年末より1300億ドル増えた」と発表しました。2013年末の時点でも中国の外貨準備高は2012年末より5097億ドル増の3兆8200億ドルに達しましたが、年間の増加幅は史上最高を記録しています。そう、ここで思い返されるのが、中国による人民元売りドル買い介入です。2月、中国人民銀行は大規模な人民元売り・米ドル買いを実施しました。中国の景気減速が懸念されていますが、この介入には輸出企業への配慮とともに、元高を見込んだ投機資金の流入によるバブルをけん制する狙いがあるとみられます。バブル抑制のための、いえ、バブル崩壊につながらないための元安誘導ということですが、この介入によって中国人民銀行の外貨準備におけるドル資産が膨れ上がったものと考えられます。

そして、増加した1300億ドルものドルを、米国債やユーロ、円に換えるオペレーションを行っている、というのがこのところの為替関係者の専らの噂なのです。介入によってドルを買う行為自体はドル高要因ですが、その後、外貨準備におけるドルの割合が増加してしまったために、中国がポートフォリオのリバランスを行い、ドルをユーロに換えたり、円に換えたりしているため、ユーロ高や円高を招いている可能性が濃厚だというのです。そして、それは米国債投資にも・・・。これは米国債金利の低下を招きますから、日米金利差縮小圧力となり、ドル/円相場は一層上がりにくくなってしまっているということですね。

この指摘が事実だとして、中国がそのオペレーションを宣言して行うことはありません。いつ、どのような形で、どのくらいの規模のユーロ買い、円買い、米国債買いを行っているかは正確には把握できないのですが、これが現在の「コナンドラム(謎)」の正体であるという指摘には一理あると受け止めています。為替相場は各国の金融政策の違いによるパワーバランスが長期的視点では大きな材料であることもの真理なのですが、そう簡単に動くものではないのが相場の面白いところでもあり難しいところ。今後のポイントはこうした中国のオペレーションがいつまで続くのか、為替操作国として各国から非難されることはないのかといった部分ですが、米国サイドとしても金利が低く抑えられているうちは株価も安泰であるため、それ程困ったことではないのかもしれません。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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@hirokoFR

前の記事:第64回 中国の赤ちゃんに適した粉ミルクの開発【北京駐在員事務所から】 −2014年05月07日


田嶋智太郎の外国為替攻略法
2014年05月07日
今、まさにドル/円は瀬戸際の状態にある!?

ゴールデンウィーク(GW)明けの本日(7日)、日経平均株価は前営業日終値比で大幅安の水準からスタートし、執筆時点には14200円を下回る水準まで下押しています。前回(4月30日)更新分で述べたとおり、年初からの弱気トレンドはなおも継続している模様であり、注目の75日移動平均線(75日線)と200日移動平均線(200日線)との値幅はあと数十円というところまで縮まってきました。

75日線が200日線を下抜けるデッド・クロスが示現すると、その後の下げ足は一段と加速する可能性があり、当面の日経平均株価は4月11日につけた安値=13885円を意識した展開になる可能性が高いものと見られます。日経平均株価が再び14000円を割り込むとなれば、やはりドル/円にも相当の下押し圧力がかかることとなるでしょう。いや、むしろGW中にドル/円の下押し圧力が強まったことにより、結果的に足下で日経平均株価が大幅安になっていると言うべきなのかもしれません。

周知の通り、先週2日に発表された4月の米雇用統計における非農業部門雇用者数(NFP)の伸びは予想を大きく上回りました。この結果を受け、直後のドル/円は一時103円台を回復する動きとなりましたが、ほどなく急落に転じて結局は「往って来い」の展開。同日のドル/円の日足ロウソクは長めの上ヒゲを伸ばす格好となり、チャートフェイス的にも弱気ムードが拡がりやすい状況となりました。そして、何よりNFPの伸びが相当に大きかったのにも拘らず、後に米長期金利が大きく低下し、ドルが強く売り込まれたことへの失望が大きく、今後もしばらくは尾を引くものと思われます。

下の図でも確認できるように、週明け5日、6日のドル/円は一段と下値を切り下げる格好となり、昨日(6日)は一時的にも101.50円を割り込む水準まで下押しました。この日の安値水準は、以前から本欄でも指摘しているように、2月初旬から形成されている緩やかな上昇チャネルのレンジ下限水準にあたります。言い換えれば、重要な節目水準まで下押したからこそ、そこで一旦は下げ止まったとも言えるでしょう。思えば、4月4日に3月の米雇用統計が発表された後もドル/円は急落し、4月11日にレンジ下限付近で下げ止まって一旦は反発しました。ただ、その後の戻りは一目均衡表(日足)の基準線が位置する水準あたりまでに留まる弱々しいものとなりました。

20140507_tajima_graph.jpg

今、まさにドル/円は前述のレンジ下限を下抜けるかどうかの瀬戸際にあります。もはや3カ月余りという長い期間に渡ってレンジ内の動きを続けてきたわけですから、そろそろ下放れる展開となってもおかしくはありません。ここで仮に、2月初旬から形成してきた上昇チャネルのレンジ下限を明確に下抜けるとすれば、そのインパクトはそれなりに大きいと言え、その後のドル/円の下げは加速しやすくなる可能性があります。

当座の下値メドは、3月に幾度か下値を試した101.20円あたりと見られますが、同水準を下抜ければ2月4日安値=100.75円まで目線は下がることとなるでしょう。さらに、少し長い目で見れば一旦は100円を下回る可能性もあるものと筆者は考えており、上図中では紫線で示したようなN字型の波動を描くことになるのではないかと見ています。これはあくまで一つのシナリオですが、常に幾つかのシナリオを描くことはとても重要です。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役

前の記事:なおも日経平均株価の弱気トレンドは継続!? −2014年04月30日


02. 2014年5月14日 12:58:34 : nJF6kGWndY
結構長い膠着状態だな

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DU04Y20140514
ドル102円前半、上値トライの気運は出ず
2014年 05月 14日 12:20 JST
[東京 14日 ロイター] - 正午のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の102円前半。株価がさえない値動きとなるなか、上値トライの機運は盛り上がらなかった。ただ、101円台では買い需要が強いとされ、ドルの下値は支えられた。

ドル/円は、この日も102円前半でこう着気味となった。

日経平均.N225は前日比でわずかに安い1万4300円台で午前の取引を終えた。

市場では、101円台ではドル買い意欲が強いとされる一方で、102円半ばから後半にかけては、「実需や投機の売りが覆いかぶさっている」(外銀)とされ、目下、この壁を突破する材料が見当たらないという。

市場からは「マイナス圏の株式市場に、ユーロ/円の下落が重なり、ドル円は102.20円台からなかなか上値へとトライするムードが感じられない」との指摘が出ていた。

ユーロ/円は前日、140.95円から一時140円ちょうどまで下落。この日も140円ばさみで上値が重い展開となった。

ドル/円の今後の行方について、FXプライム取締役の上田真理人氏は、ユーロが本格的に弱くなるのか否か、および米国の長期金利の動向がカギを握るとの見方を示した。

前者について、上田氏は、「ECBの量的緩和はあり得ないため、ユーロが大きく売られることはない」とし、後者については、米GDPに占めるシェアが大きい個人消費の動向がどうなるかによるが、現時点では不透明とした。

前日発表された4月の米小売売上高は前月比0.1%増と市場予想の0.4%増を下回る小幅な伸びにとどまり、第2・四半期のGDPが拡大するとの期待に冷や水を浴びせる結果となった。

<ユーロ>

ユーロは午前の取引で、1.3698―1.3709ドルと極めて狭いレンジ内の値動きとなった。

前日は、ドイツの景気期待指数(ZEW)が市場予想を下回ったことや、ドイツ連銀が欧州中央銀行(ECB)による追加緩和を支持すると報じられたことから、ユーロが高値1.3771ドル付近から、1.3689ドル付近まで下落した。

ECBの追加緩和観測をめぐっては、関係筋がロイターに対し、独連銀は必要であればECBの政策行動を後押しする用意があると明らかにした。

ユーロ圏の債券市場では、低格付け国債利回りが総じて低下し、スペイン、アイルランド、イタリアの国債利回りが過去最低水準に迫った。

         ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

 正午現在   102.18/20  1.3710/14  140.10/14  

 午前9時現在 102.23/25  1.3706/10  140.13/17

 NY午後5時 102.25/27  1.3702/04  140.10/14

(森佳子)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DU02L20140514
コラム:円安トレンド継続へ、「気迷い相場」の深層分析=田中泰輔氏
2014年 05月 14日 12:13 JST
田中泰輔 ドイツ証券 チーフ為替ストラテジスト

[東京 14日] - 米国経済が堅調である限り、ドル円が上昇基調にあるとの基本観を変えるつもりはない。

円相場のカタリスト(触媒=相場に弾みをつける要因)は何かと、毎日毎日質問される。外国人は、黒田日銀の追加金融緩和、公的年金の国内株式・海外証券への資金配分増、アベノミクスの成長戦略・法人税減税・環太平洋連携協定(TPP)、消費税、貿易赤字などなど、日本側の要因に専ら関心を寄せる。

円相場のことだから日本側の要因を聞いてくるのはもっともに思えよう。しかし、ここ数年、ドル円相場の指針として最も有効性が高かったのは、雇用をはじめとする米経済指標だった。

日本側で想定される政治・政策イベントや経済データがどんな結果であれ、米国経済が芳しくなければ、ドル高・円安にはならない。米景気指標が不振でドル安・円高気味の時、日本政府や日銀が政策を発動しても、円高・日本株安をもたらす米国側からの逆風を跳ね返すことは難しい。

むしろ、アベノミクスも異次元緩和も、円高・株安が続いていると、もはや効かないと失望されかねない。つまり、円安と株高というレンズを通した安倍政権と黒田日銀への信認を損ねるのも高めてくれるのも米景気次第と言える。

<円安派が食った肩透かし>

その米景気は自律回復軌道に乗り、基調的には3%強の成長を持続すると見られている。しかし、今年1―3月は長く広範囲にわたって寒波に襲われ、国内総生産(GDP)成長率が前期比年率でわずか0.1%に抑え込まれた。2014年は、昨年末からの安倍相場のロケットスタート第二弾が続くと意気込んでいた円安派には、突然の肩透かしだった。

その後も寒波の影響が長引き、彼らは気勢をなかなか上げられずにいた。もっとも、寒波という一時要因で米景気の自律回復が腰折れするはずはない。春になって暖気が入れば、円安派は熱気を取り戻り、ドル円は昨年末に付けた高値の105円台を更新すると期待した。

しかし、円安派は少々長く待たされ過ぎたのかもしれない。寒波で冷え過ぎた心身をウォームアップできないまま、寒波後の米指標の反発場面を迎えている。注目度が最も高かった5月2日の米雇用統計(4月分)も十分強い結果を示した。非農業雇用は前月比28.8万人増となり、3月分も2月分も20万人以上に上方改定された。

この数字を得て、ドル円は一瞬103円台へ上昇した。しかし、すぐ息切れしたように102円付近へ反落した。利食いのロング売り逃げが勝ったようだ。円ベア派の大勢がドル円ロングを保持する根気を失ったかに見えた。

<5月相場が不調で気迷い相場に>

5月は、寒波後の米指標の反発を受け、ドル円の上昇にどう弾みがつくか、重要な局面であると注目してきた。逆に言えば、ここで新高値を試す動意が出なければ、向こう数カ月のドル円の上昇テンポについて再評価が必要になる。

実際、米雇用統計という今月最初にして最大の踏み切り板で、ドル円はジャンプできなかった。米雇用統計がカタリストとしての効力を失うと、ドル円相場は、再上昇への具体的なきっかけ要因をしばらくは見出しにくいだろう。市場は、ドル円の上値より、下値に神経質な「気迷い相場」がいくらか長引くかもしれない。

ドル円は、今も200日移動平均に沿った長期上昇トレンド上にいる一方、72日線の中期トレンドには方向感がなくなっている。今回この膠着を上抜け損なったことで、長期上昇トレンドと、テクニカルな短期反落リスクを両にらみすべき状況が数週間続きうる地合いになった。

テクニカルとはいえ円高・株安が数カ月続けば、安倍政権の6月の成長戦略や法人税減税の決定、その後の日銀の追加緩和など、日本の政策自体が「失望的」とレッテルを貼られかねない。それがリスクオン機運の回復を損ない、円安・株高軌道への回帰を遅らせる恐れもある。

<ドル110円越えシナリオを堅持>

米雇用統計という明快な円安カタリストは、その効力を弱めている。従来、米連邦準備理事会(FRB)は失業率を量的緩和(QE)の先行きを決める最重要指標と公言していたため、市場の注目度も際立って高かった。しかし、米失業率は順調に低下し、QE解除は順調に進められ、FRBも雇用統計以外の様々な指標を総合評価していくと方針を変更した。

米雇用統計の相場カタリストとしてのインパクトが、5月発表分でいきなりほとんど消えたことはサプライズだったが、認識を転換する良いきっかけとなった。どうやら米雇用統計ほど象徴的で解りやすい単一の相場指針を向こうしばらく見出せそうもない。

では、何を注目していくべきか。第一に、雇用統計を含む広範な米指標の改善動向が基本にあることは変わらない。しかし、見るべき数字が増えると、焦点が絞りにくい。そこで第二に、これら堅調指標が米QE解除の早期化見通しを醸成し、米金利をどう押し上げていくか、これが指標の評価を集約した指針となろう。

金利上昇の初期局面では、2年物金利より、5―10年物の方がドル円相場と密接に相関しやすいだろう。米金利上昇は、新興国や株式などリスク市場のストレスを高める場面もあろうが、基調的には米景気の堅調を背景にドル円の上昇を伴うと判断される。

ただし、米指標個々の相場インパクトは小さく、米金利はすぐには目立って上昇しない可能性がある。米国の強い指標と金利上昇がドル円を、新値を狙えるほどしっかりサポートするまでには数カ月を要するかもしれない。その間、日本の年金基金や生命保険などの機関投資家、輸入企業による地道な押し目買いがどうドル円を支えるかが第三の注目点である。テクニカルな反落リスクが現実のものとなれば、夏場に至るまで円安派の熱気を無用に長く奪いかねない。

幸い、米景気回復というファンダメンタルズはドル円の上昇基調を支援し続けている。今年後半から来年にかけてドル円が110円を越えて上伸していくとの見通しを、筆者は維持している。

*田中泰輔氏は、ドイツ証券のグローバルマクロリサーチオフィサーでチーフ為替ストラテジスト。日本長期信用銀行、クレディ・スイス、野村証券などを経て、2011年11月より現職。
 


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