03. 2014年5月15日 18:41:14
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DV0B120140515 焦点:早期緩和後退で退く短期筋、日経平均IVの「逆転現象」が解消 2014年 05月 15日 15:15 JST [東京 15日 ロイター] - 日本株市場では残存期間の短いボラティリティが長いボラティリティを上回る「逆転現象」が解消している。強気の黒田東彦日銀総裁の発言を受けて、目先的な追加緩和はないと判断した短期マネーが引き上げたためだ。 現物市場ではカタリスト不足を背景とする手控えが続き、商いの減少が目立つ。ただ次の収益機会を得ようとする動きもあり、日本株は完全に見放されたわけではないようだ。 <黒田ライブ会見で短期マネーが撤退> 4月8日、日経平均のインプライド・ボラティリティ(IV)JNIATMIV.OSで、残存期間30日のIVが60日と90日のIVを約2カ月半ぶりに下回った。日経平均オプション市場の値から算出されるIVは、残存期間が短いほど低い数値となるのが基本的な仕組み。2013年4月4日の異次元緩和以降、残存期間の短いIVが長いIVを上回る「逆転現象」が起こっていた営業日は8割を超えていたが、ようやく解消された格好だ。 4月8日といえば、日銀金融政策決定会合後の黒田東彦総裁による記者会見で、初めて動画によるライブ放送が行われた日。これまで海外の投資家は会見内容を文字ベースでしか受け取れなかったが、ライブ放送により、黒田総裁の表情や声色、仕草などがダイレクトに伝わり、8日の会見では「思っていたよりも強気な黒田総裁の姿勢を感じ取った投資家が多かった」(外資系証券)という。 5月7日に日経平均が急落したときは30日のIVが60日や90日のIVを一時的に上回ったが、それ以外は通常のIVの期間構造を維持。14日には30日、60日、90日のIVが2013年11月以来、約6カ月ぶりにすべて20を下回った。目先的な追加緩和はないと判断した海外ヘッジファンドなどの短期資金が東京市場から引いている構図が浮かび上がる。 <カタリスト不足で薄商い> ボラティリティの低下に従い日経平均の値動きは乏しくなっている。14日には、日経平均の高安の値幅が69円78銭と、ゴールデンウィーク中だった5月2日の67円98銭に次ぐ、今年2番目の小さな値幅となった。日経平均1万4000円が「政府の防衛ライン」(準大手証券)として意識され、仕掛け売りが出にくい一方で、上値が徐々に切り下がっており、日経平均は1万4000円─1万5000円のレンジ相場に集約されている。 ボリュームの低下も顕著だ。4月に東証1部の売買代金が活況の目安とされる2兆円を上回ったのは4日のみ。4月の月間平均売買代金は1兆7710億円と、2012年12月以来1年4カ月ぶりの低水準となった。 薄商いが続く背景は「国内の材料不足」との見方がもっぱらだ。BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏は「日本株買いにつながるのは日銀による追加緩和しかないが、足元ではその期待感が後退。法人減税などを盛り込む成長戦略は長期間に渡って効果を発揮する政策であり、短期的な株買いにつなげるのは難しい」と話す。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資配分比率の変更待ちとの声も多い。 東証1部のPERは14倍台、配当利回りは1.7%と割安感はあるが、水準訂正の動きは乏しい。ほぼ出揃った国内企業の15年3月期見通しは、前期の上振れ分を考慮しても2ケタ増益を見込んでいたアナリスト予想に届かず、全体相場を押し上げるには迫力に欠ける。最高値近辺にある欧米株と比べた出遅れ感が解消されるには材料が必要だが、そのきっかけが見当たらないのが現状だ。 <7月緩和を織り込む動きも> 一方、虎視眈々と次なる日本株の収益機会を狙う投資家もいるようだ。日経平均VI先物の期間構造をみると、9月よりも7、8月のほうが値が大きい。7月には、4月に実施した消費増税の影響を示す経済指標が出揃ううえ、6月発表予定の新成長戦略との協調性などを背景に、追加緩和を実施するとみるエコノミストが多く、夏場には日本株が動意付くとの見立てだ。 ゴールドマン・サックス証券マネージング・ディレクターの宇根尚秀氏は「黒田総裁が強気な姿勢を維持しているため、足元で日本株に対するエクスポージャーを高めようとする海外ヘッジファンドは少ないが、緩和期待が完全になくなったわけではない。緩和を織り込む時期を見越して逆張り的にアップサイドのボラティリティを取る動きが出ている」と述べている。 ただ、出てきた政策が期待外れで終わってしまえば、こうした動きも一時的に終わってしまう。海外勢だけでなく、国内勢も日本株市場に回帰してもらえるような、長期的に日本の潜在成長力を高めることのできる政策が求められている。 (杉山容俊 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DV0DJ20140515 日経平均は続落、黒田発言で緩和期待が後退 2014年 05月 15日 15:44 JST [東京 15日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は続落。一時、前日比で200円を超える下げとなった。米国株安の流れを引き継ぎ、朝方に売られた後は方向感に乏しい展開。午後に行われた黒田東彦日銀総裁の講演内容を受けて、追加緩和期待がやや後退したとの見方もあった。 前日の米国株はダウ工業株30種.DJIなど主要3指数がそろって下落したほか、ドル/円が101円台後半と上値が重く、日本株を積極的に買う動きは乏しかった。市場では「米金利の低下に伴うドル安/円高への警戒感がくすぶり、強気になりづらい」(国内証券)との声が出ている。日経平均は一時215円安から下げ渋ったものの、25日移動平均線(1万4316円70銭=15日)が上値のめどとして意識された。 黒田総裁は午後、米コロンビア大のビジネススクールが都内で開催したイベントで講演し、異次元緩和が所期の効果を発揮し、物価は2015年度にも目標の2%に達し、その後も日本経済の供給力を需要が上回ることで物価は強含んで推移するとの見通しを示した。強気な見方を踏襲したことで「追加緩和に対する期待感がやや後退した」(いちよしアセットマネジメント執行役員運用部長の秋野充成氏)との見方があった。 一方、寄り前に発表された2014年1─3月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算でプラス5.9%となり、ロイターがまとめた民間調査機関の事前予測を上回った。外為市場では瞬間的にやや円安に振れたが、その後すぐに元の水準に戻し、株式市場での反応は鈍かった。 個別銘柄では、ソニー(6758.T)が大幅安。同社は14日、2015年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)が500億円の赤字になると発表。前年同期は1284億円の赤字で、2年連続の最終損失となることが市場で嫌気された。 半面、1株1875円で経営陣による公開買い付け(MBO)を発表したローランド(7944.T)や、自社株買いを発表したローランドDG(6789.T)が大幅高。アルバック(6728.T)は14年6月期連結利益予想の上方修正を手掛かりに続伸した。 東証1部騰落数は、値上がり585銘柄に対し、値下がりが1102銘柄、変わらずが119銘柄だった。 日経平均.N225 終値 14298.21 -107.55 寄り付き 14280.51 安値/高値 14190.27─14306.36 TOPIX.TOPX 終値 1178.29 -4.86 寄り付き 1173.19 安値/高値 1164.86─1178.55 東証出来高(万株) 204265 東証売買代金(億円) 18169.68 (杉山容俊)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DV0AH20140515 焦点:ドル/円取引に「嵐の前の静けさ」、ボラティリティが過去最低 2014年 05月 15日 15:11 JST [東京 14日 ロイター] - ドル/円のボラティリティが過去最低を更新した。市場では「円安バブル崩壊の不気味な兆候」と警戒する見方がある一方で、投機筋を中心にリスクオンを仕掛ける「免罪符」として、もう一段の円安シナリオを描く向きもある。どちらの読みに軍配が上がるのか。レンジ相場が長期化するなか、「嵐の前の静けさ」として注目が集まっている。
<低ボラは円高の序章> 1カ月物のドル/円ボラティリティ(予想変動率)JPY1MO=ICAPは9日、2007年6月初旬の5.8%を下回って5.6%(ミッド・プライス)まで低下し、過去最低水準を更新した。現在も6%程度と依然、過去最低水準に留まっている。 通常、低いボラティリティは、市場参加者が平穏な状況の継続を予想していることを示す。しかし今、市場ではボラ上昇に対する警戒感がにわかに広がっている。「過去最低のボラが未来永劫に続くはずはなく、かならず反転上昇する」(金融機関)との見方からだ。 実際、07年6月にドル/円ボラティリティが急低下した直後、ドル/円は下落トレンドに入り、その後の2カ月間で10%、9カ月間で20%下落した。 ボラティリティは原資産価格(例えばドル/円)の変動率を予測したもので、その低下がドル/円取引の将来の方向性を示すわけでは必ずしもない。ただ、近年のドル/円相場では、ボラティリティが高まると予想される際には、円高方向へのリスク認識が強まるという傾向がでていた。 国内のある大手機関投資家は「ボラティリティが極端に低くなっているのは、流動性相場が行きつくところまで行った証拠だ」と指摘。昨年1年間に約23%上昇したドル/円相場の反落リスクを警戒する。 <過剰なリスクテークにも> 反対に、市場には、低ボラティリティがリスクオン相場に動くための「免罪符」になるとの見方もある。市場関係者によれば「ボラの低下で、もう一度リスクオンの潮流が到来することを期待し、外資系証券の一角では、エマージング市場を買い推奨している」という。 実際、ドル/円相場のボラティリティの低下と同時に、リスク資産市場が活況となっている。米国株式市場は連日最高値を更新し、ジャンク債利回りは大幅に低下。欧州では周縁国の国債が買い進まれ、スペイン、アイルランド、イタリアの国債利回りは過去最低水準に迫っている。 著名投資家のジム・ロジャーズ氏は12日、ロイターとのインタビューで、米国債に対するジャンク債のスプレッドは縮小しており、他の種類の債券に比べて空売り対象として魅力的だとし、ジャンク債バブルの崩壊リスクを示唆した。 米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁も先月16日、FRBの超緩和的な金融政策を背景に投資家が過剰にリスクを取っている可能性を指摘、ジャンク債市場で投機的な動きが高まる可能性を懸念しているとした。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのジャンク債指数でみると、ジャンク債と米国債との利回りスプレッドは年初の298ベーシスポイント(bp)から200bp前後へと劇的に縮小している。 <超金融緩和がリスク感覚を麻痺> 世界的にリスク資産の上昇が持続する中、為替市場では、ボラ上昇が円高と結びつくという過去の事例にこだわらない見方も出てきた。今回は「円売り局面の再始動でボラが上がる可能性もある」(国内証券)のだという。 しかし、バウポスト・グループの創業者兼社長、セス・クラマン氏は、「表面的には全てがのどかに見えても、現実には、バーナンキ前FRB議長、イエレン議長、ドラギECB総裁のフリーマネー政策が人工的に作り上げた平穏によって、われわれの感覚は麻痺し、迫りくるトラブルに鈍感になっている」と警告する。 シカゴ・オプション取引所がS&P500指数のオプション価格の情報を用いて算出するVIX(別名:恐怖指数).VIXは、12日に11.88まで低下し、4カ月ぶり安値をつけた。11%台のVIXはパリバショックの4カ月前の2007年4月にも観察されている。VIXは米国のみならず、グローバルな投資家のリスク回避姿勢を示す。 クラマン氏は「市場の弱気派が1987年以降で最も少ないのは不気味な兆候だ」と述べ、弱気派の著しい減少は、市場心理が反転する最も信頼できる指標だとした。 過剰なリスクオンの後には、急激な相場調整が待ち受けているのは歴史が示している。 東海東京証券のチーフエコノミスト、斎藤満氏は「現行水準のボラティリティは、超金融緩和相場に慣れきった投資家が、リスクに無頓着、無防備になっていることを表す」と指摘。 米国が量的緩和の縮小(テーパリング)に着手し、物価上昇を確信する日銀もいずれテーパリングを考えなければならない環境にあって、「2大大国が異常な金融緩和の修正に動けば、金融緩和が染みついた低ボラティリティもおのずと修正されるだろう」と予想している。 (森佳子 編集:伊賀大記)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N5LNC16TTDS901.html 日銀総裁:追加緩和手段「たくさんある」−日本経済の供給力低下 (1) 5月15日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は15日午後、都内で講演後の質疑応答で、追加緩和について「手段はたくさんある」と語った。講演では、すう勢的な人口減少と高齢化などにより、「日本経済の供給力の伸びは低下してきた」と述べた上で、「成長力の問題を広く議論し、解決を模索していくべきだ」との考えを示した。 黒田総裁は「仮に、われわれの見通し通りに2%物価目標が達成されなければ、2年を念頭に置いて2%の物価目標を達成するために、金融政策の調整を行う」と述べた。さらに、「追加緩和を行う選択肢はあまりないのではないかという人もいるが、私はそうは思わない。必要であれば、2%の物価目標を達成するための方法、手段、選択肢はたくさんある」と強調した。 講演では「労働需給の引き締まりなど経済のスラックが縮小している状況を考えると、日本経済が中長期的に成長するためには供給力を強化することが重要だということも、はっきりとしてきた」と指摘。 国内経済について、「この1年ほどの間に、大規模な金融緩和、財政支出、民間活動の活性化によって需要が高まると、水面下に隠れていた供給力の問題が姿を現した」と述べた。 潜在成長率は低下 日本銀行の早川英男前理事(富士通総研エグゼクティブ・フェロー)は2日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、既に完全雇用であり、人手不足による賃金上昇が今後起きて、物価は来年度の終わりごろには2%には近づいてくると予想。「物価だけに限って言えば、日銀の勝ちだ」と述べた。同時に、日銀は潜在成長率の低下という不都合な真実から目を背けていると語った。 黒田総裁は「すう勢的な人口減少と高齢化のもとで、近い将来、労働供給がさまざまな形で問題になり得ることは疑いがない」と指摘。「私は、供給力の問題が表面化した今が、日本経済が抱える中長期的な課題を解決していく好機だと思う」と語った。 早川氏は「もはやデフレではなくなったが、消費増税による駆け込み需要はあっても、消費がどんどん出てくるわけではない。普通に計算すれば実質金利は大幅なマイナスだが、にもかかわらず設備投資が力強く出てくる様子もない。従来は一番効くと思われていた円安ですら、大した効果はなかった」と指摘。その上で「デフレを脱却しても結局、日本経済は強くならないということであり、問題なのはむしろ、潜在成長率が0%近傍とさらに弱くなっていることだ」と述べた。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net淡路毅, 山中英典 更新日時: 2014/05/15 14:47 JST
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304408504579561861210923766?tesla=y 白川前日銀総裁、金融政策による景気刺激の限界を指摘 By JACOB M. SCHLESINGER AND FELICIA SCHWARTZ 2014 年 5 月 15 日 10:15 JST 更新 日銀の白川前総裁 Agence France-Presse/Getty Images 日本銀行の白川方明前総裁は、後任の黒田東彦現総裁が景気回復をあまり進展できない可能性を示唆した。現在の日銀政策委員会がデフレ対策に集中しすぎ、その奥にある構造的な問題に対処していないとの印象もほのめかした。
白川前総裁は13日、米ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスで講義し、「日本経済の主な問題はデフレではなく、人口動態だ」と述べた。急速な高齢化で労働力人口が縮小し、経済活動を妨げているとの発言だ。 さらに「問題は経済成長を回復する上で金融政策が効果的かどうかだ」と問いかけ、自らの考えとしては効果が「かなり限られている」との見方を示した。白川前総裁が黒田総裁に地位を譲ったのは1年ほど前。2012年末に新内閣を発足させた安倍晋三首相は白川前総裁について、長期にわたるデフレと低成長を解決する取り組みが慎重すぎると評していた。 ダートマス大学の学生を前にした約1時間の講義中、白川前総裁は安倍首相や黒田総裁の名前を一切出さなかった。白川前総裁はこれまで周囲に、現在の政策への意見は公にしないつもりだと話してきた。 だが前総裁は、日本の「失われた20年」に日銀が経済の悪循環を断つ行動を起こさなかったという国内外からの批判について、公の場での議論を再開する用意があることを明確にした。今回の発言は、白川前総裁が表舞台から去った後、ほとんどされることがなくなった議論をぶり返す内容だ。その一方、政治的な駆け引きに触れる場面では、日銀総裁時代より率直で、個人的な話し方だった。 白川前総裁は穏やかな口調ながら、日本のデフレは批判されるほど有害ではなく、日銀にデフレを解消する力はないと主張した。 関連記事 当面の金融政策運営は現状維持=日銀決定会合 日銀総裁「現時点では追加緩和考えず」―インフレ目標達成に自信 【オピニオン】どっこい、アベノミクスは生きている 黒田総裁は、デフレが過度に慎重な心理を生み出し、経済から活気を奪ったとみている。だが白川前総裁は「とても穏やかなデフレ」だととらえ、低い失業率の維持に役立ったとの見方だ。物価の下落は、企業が従業員の削減ではなく賃下げに動いた「社会契約」の結果だとし、「デフレは極めて低い失業率の裏返しだ」と語った。 成長の鈍化は労働力人口の縮小や労働生産性の低さにも起因すると指摘。「そのため労働力を増やす方法と労働生産性を高める方法が問題になる」と続け、「インフレ率の上昇に成功したとしても、基本的な展望は全く変わらない」とした。 白川前総裁は、安倍首相を筆頭とする日銀批判に加わった財界人の中にも、陰では支持してくれた人がいたことにも言及した。 「驚くべきことに、数々の最高経営責任者(CEO)が私的に話す内容は、公の発言とかなり違う」と語った。「大規模な」金融緩和を求めると公言した企業幹部らが「私的には『いや、高水準の流動性には飽き飽きしている。投資に足かせをはめているのは資金ではない』と話す」という。 講義後は記者を相手にした質疑応答を断ったものの、聴衆からは質問を受け付けた。学生の1人は、入れ替わりの激しい日本の政治から受けた影響を尋ねた。 白川前総裁は自らの任期中に「首相が6人、財務相が10人」に上ったと回答。「G7(主要7カ国)やG20に行くたびに新しい財務相を皆に紹介しなければならなかった。かなり惨めだ」と続けた。 そこから話題は、白川前総裁の任期終盤に日銀と政治家が激しく対立し、日銀の独立性が深刻に脅かされたときの経験に移った。 白川前総裁は「金融政策以外の政策に関して中央銀行の総裁が発言すべきかに関して、私の考えは変わった」と前置きし、「最初の数年間は金融政策以外の経済政策について話したくなかった」と明かした。 だが「政治の不安定」が原因で、政治家が日本経済に必要な行動を起こさず、日銀を非難しているだけだと感じたという。「根本的な問題についてもっと話さなければ、と義務感を持つようになった」結果、「金融政策から注意をそらした」としてマスコミや政治家からひどくたたかれたと振り返った。 [訂正]第4段落の「白川前首相」を「白川前総裁」に訂正します。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DU07F20140515 コラム:ユーロ圏の日本化が招く欧米貿易摩擦=唐鎌大輔氏 2014年 05月 15日 13:23 JST 唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト [東京 15日] - ユーロの「円」化や欧州中央銀行(ECB)の「日銀」化といったユーロ圏の日本化リスクに留意すべきと、筆者は2012年後半から繰り返し指摘してきた。実際、ECBがサプライズ利下げに踏み切った昨年11月以降、そのような議論をよく耳にするようになった。 もちろん、ユーロ圏が日本型の長期停滞を経験するというのは、まだリスクシナリオの一つであり、確度が高いものではない。だが、デフレの恐ろしさはそれが実現した場合の粘着性の強さであり、「今大丈夫だから、今後も大丈夫」というロジックは楽観的過ぎる。 すでに欧州委員会の調査などにおいては、ギリシャのみならず、イタリアやスペインといった大国でもインフレ期待がマイナスに沈んでおり、「インフレ期待はアンカー(固定)されている」というECBの主張も色あせつつある。 筆者は、ユーロ圏が今後、日本化傾向を強めていく一環として、その先には欧米貿易摩擦が待ち構えている可能性があると考えている。そして、貿易摩擦に起因する外交上の対立や通貨高の加速もあり得よう。 実際、13年10月に公表された米国の為替政策報告書では重要所見の部分において、中国、韓国、日本といった馴染みの国よりもドイツに対する記述が先頭に配置され、本論でも相応の紙幅が割かれたことが話題になった。 長文になるので注目部分だけ紹介すれば、「ドイツの内需の伸び悩みと輸出依存が(ユーロ圏経済の)リバランスを妨げ、その結果、ユーロ圏と世界経済にデフレバイアスが生じている」といった趣旨の記述が見られた。ちなみに、この報告書公表から約2週間後に欧州委員会はドイツの経常黒字に対して調査を実施する方針を発表しており、身内からも指差されるような動きが見られている。 また、今年2月にシドニーで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明は、かつての緊縮路線から成長路線へのシフトを明確に示すもので、より具体的には「G20において財政状態に余裕があり、内需不足と思しき国については積極的な財政出動をすべし」との意図が読み取れた。 主要国においてドイツが財政均衡を実現している稀有な国であることを踏まえ、「シドニーG20は実質的なドイツ包囲網だった」と評価する声は多い。他でもないドイツ高官から不満が相次いだのは、その裏に見え隠れする自国への外需依存批判(イコール内需拡大要請)を暗に感じ取ったからだろう。 こうした、いわゆる諸外国からの外需依存批判は、かつて米国との貿易摩擦に苦しんでいた頃の日本を思い起こさせるものがある。 <米国の本音はユーロ圏全体への批判> ドイツに対する外需依存批判は、実はユーロ圏全体の問題でもある。実際、米国は批判の矛先を次第にユーロ圏全体へと向け始めているように見える。 今年4月に公表された米為替政策報告書は、内需縮小を背景に経常黒字が国内総生産(GDP)対比で7%を優に上回っていることなどから、引き続き強い調子でドイツを批判した。05―06年に米国の経常赤字が世界の経常収支不均衡を拡大させていると批判されていた頃でも、その赤字額はGDP対比で6%弱だったことを思えば、7%を超えるドイツの経常黒字を看過できないと米国側が考えているとしても不思議ではない。ちなみに、ドイツの経常黒字は14年4月公表の国際通貨基金(IMF)世界経済見通しによれば、14年/15年に関し、GDP対比で7.3%/7.1%となる見通しだ。 しかし、4月の同報告書には「主に内需縮小を背景として、周縁国における巨大な経常赤字が縮小し続けるか、もしくは、いくつかのケースでは黒字転化することでユーロ圏全体の黒字も拡大している」として、ユーロ圏全体をも牽制するかのような記述も加えられた。これは昨年10月からの変化である。 IMFによれば、14年/15年のGDP対比の経常黒字見通しは中国の2.2%/2.4%に対し、ユーロ圏は2.9%/3.1%であり、13年以降はユーロ圏の方が大きくなる。こうした状況認識に基づけば、米国にとって「ドイツの黒字問題」が「ユーロ圏の黒字問題」へと変容し始めているとしても不思議ではない。 ユーロ圏の貿易収支を国別に見ると良く分かるが、ユーロ圏全体の貿易黒字が増えて、最終的に経常黒字が膨らんでいる背景には、南欧を中心とするPIIGS5カ国(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)などが輸入減少を介して着々と赤字を縮小させるか、または黒字に転化していることが効いている。もちろん、ドイツは巨額の黒字を維持しているのだが、水準としては概ね横ばいのイメージにとどまっている。 要するに、12年以降、ユーロ圏の貿易黒字拡大ひいては経常黒字拡大の主犯となってきたのはドイツというよりも、むしろPIIGSという考え方もできる。米国がドイツを名指しで非難するのはドイツがユーロ圏の象徴的な存在だからであり、本音ではユーロ圏全体の経常黒字こそ快く思っていないと考えた方が実態に近いように感じられる。 <メルケル独首相は批判を一蹴> 今のところ、自国の経常黒字に向けられた厳しい目線に対してメルケル独首相は強気だ。海外報道によれば、昨年11月には「ドイツの競争力を人為的に低下させることは誰にもできないし、させない」とまで発言。ドイツが世界の経常収支不均衡を拡大させているという問題意識は持ち合わせていないように見受けられる。 しかし、この問題に関し、ドイツ(ひいてはユーロ圏)と米国の対立は強まりやすい状況が続くのではないかと筆者は考えている。 周知の通り、3月以降、ECB高官は相次いでユーロ高を牽制するかのような発言を連発している。4月にはあれほど忌み嫌っていた量的緩和の可能性にも言及し、5月には遂に6月会合での緩和宣言を行っている(ECBの本音はどうあれ、少なくとも多くの市場参加者はそう受け取っている)。恐らく、今後のECBは経常黒字やディスインフレといった構造的な理由から生じるユーロ高を断続的な金融緩和で潰すことに終始すると思われる。だが、そうして通貨高に抗い続ける限り、経常黒字縮小という調整は一向に進まないはずで、需給面でのユーロ高圧力はなかなか解消しないことになる。 また、米国からすれば、巨大な経常黒字を抱えながら、金融緩和により通貨安を志向していくような政策運営を見過ごすつもりはないだろう。ドイツそしてユーロ圏が現状の政策スタンスを継続する以上、欧米貿易摩擦は重要なトピックに成り得る。 こうした現状に対して、ドイツそしてユーロ圏が取り得る政策としては、1)ドイツが財政出動により自国の内需を拡大する、2)ドイツの財政移転によりドイツ以外の加盟国が財政出動を行い域内需要を拡大する、という2つの選択肢が考えられる。だが、今のところ、どちらも実現可能性が高いとは言えない。 ブンデスバンク(独連銀)が住宅バブルの兆候を指摘するような状況下、一番目の選択肢はやはり難しいと思われる。また、二番目の選択肢のハードルが高いことについては多くの説明を要しないだろう(たとえばユーロ圏共同債に係る議論などはこれに相当する)。 <ドイツにとっては永遠の割安通貨> つまるところ、物価下落や貸し出し鈍化そして通貨高など、いろいろな日本化現象の中でも、この経常黒字の蓄積という点に関しては、ユーロ圏は日本以上に深刻なのではないだろうか。 本来、巨大な経常黒字を抱えた国の通貨は上昇し、それにより輸出競争力が劣化するので黒字が自動的に縮小することが期待される。だが、ドイツとそれ以外の加盟国の地力に大きな格差がある以上、ドイツの地力に見合った水準までユーロが強くなる筋合いはない。 ギリシャやスペインやドイツを含めてユーロなのであり、その意味でユーロは「ドイツ以外のファンダメンタルズ」がどうしても反映されてしまう運命にある。これではドイツの輸出は容易に減速しない(おまけに少しユーロが高くなればECBが押し下げを図るような現状を見るにつけ、なおのことその思いは強まる)。 要するに、ドイツの目から見ればユーロは「永遠の割安通貨」であり続ける可能性が高い。それは輸出大国であるドイツに常に追い風が吹き続けている状態であり、コンスタントに経常黒字を積み上げ続けることが可能になる。 こうした状況に加えて、今後ユーロ圏の日本化が進み、ドイツ国内の物価がディスインフレ傾向を強めるようなことになれば、もう手がつけられない。対外価値である為替レートが割安であるうえに、対内価値である物価まで割安になれば、ドイツ輸出企業のコスト環境は文字通り最強になってしまう。ドイツの経常黒字はさらに膨れ上がることになろう。 当然、そうした経常黒字蓄積は相応のユーロ上昇圧力を招くはずなので、ドイツ以外の国々にとっては迷惑千万な事態(通貨高の慢性化)に陥る可能性が高い。それは域内経済全体として見ればデフレ懸念が強まる一因である。 このような共通通貨特有の事情を勘案すると、経常黒字蓄積に起因する諸外国との貿易摩擦や通貨高そしてそれに伴うディスインフレ圧力増大という現象は、ひょっとしたら日本が経験したものよりも根が深いものになっていくかもしれない。 <結局はユーロ高が貿易収支の調整経路か> 少なくとも日本は巨大な経常黒字を稼ぎつつも、それによって幾度も痛烈な円高を体験し、輸出競争力の劣化を余儀なくされてきた。その経験の中で、日本の輸出企業は海外生産体制を整えるなどして、産業全体で円高対応を進める努力を続けてきた。皮肉にも、それが12年末以降の円安をもってしても輸出が増えない一因と言われていることは周知の通りである。 11年以降、日本の貿易赤字傾向は年々強まっており、もはや需給は「放っておけば円安」の状況が固まりつつある。黒田日銀による量的・質的金融緩和が背中を押した面はもちろん無視できないが、円安反転自体は12年春頃から始まっており、これはその1年前から生じている需給面の変化が相応に効いたためだと筆者は考えている。 要するに、長い目で見れば、日本では「貿易黒字による通貨高で貿易赤字になり、結果的に通貨安になる」という調整メカニズムが作用してきたと考えられる。だが、上述したように、ドイツの輸出を減速させるのに十分な通貨高が起きないのだとすると、これと同じメカニズムがユーロ圏で見られるのかは定かではない(貿易黒字が通貨高を招く段階で止まってしまうかもしれない)。 貿易収支の調整経路は「数量」か「価格」のどちらかしかない。輸出入制限など「数量」面での調整が期待できないことを前提にすれば、結局「価格」面での調整が進むしかない。貿易収支における「価格」面の調整とは、為替レートでの調整であり、より具体的には黒字国通貨(ユーロ)の上昇ないし赤字国通貨(ドル)の下落である。事実、90年代前半に起きた超円高は日米貿易(特に自動車)摩擦がこじれる中で、日本の貿易黒字が「価格」面から調整を迫られたとの見方もある。 そうした円の歴史的経緯を踏まえると、今後のユーロ相場を見るうえでは、過剰な黒字ゆえの熾烈な対米貿易摩擦や、それを調整するために発生する黒字国通貨の上昇という日本からすれば昔懐かしいテーマが重要になってくる可能性がある。ユーロ圏の「日本」化、ユーロの「円」化の一環として、欧米貿易摩擦の激化という展開にも注目していきたい。 *唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。2012年J-money第22回東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では1位、13年は2位。 http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304408504579563353631784902?tesla=y 米消費者物価、FRBの抑止力にはならない見通し By SPENCER JAKAB 2014 年 5 月 15 日 14:02 JST 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長と賭けをしたいなら、損失を覚悟をした方がいいかもしれない。 さらに言えば、イエレン議長とチキンを食べる場合も安く済みそうにはない。鶏肉価格は4月に前年同月比で5.8%上昇した。事実、米労働省が14日発表した4月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比2.1%上昇と、2012年3月以降で最大の上げ幅を記録した。 しかし、PPIが2カ月連続で予想以上の伸びとなったにもかかわらず、債券市場の反応は見たところ直感に反している。14日の米国債市場では、指標銘柄の10年債利回りが2.5%台と、FRBが債券買い入れ措置の縮小開始を決定した昨年12月以降で最低となった。 インフレの加速は債券の実質利回り低下につながるが、市場の動きはこれにそぐわないばかりか、有力エコノミストが年初にまとめた予想にも反している。多くのエコノミストは当時、10年債利回りは14年末時点で現在より1%上昇していると予想した。 PPIの予想を上回る伸びが、何らかの形で15日発表の消費者物価指数(CPI)に影響しているとすれば、債券投資家は持ち高を減らしたくなるかもしれない。イエレン議長は、健全な経済の兆候として若干のインフレ加速を歓迎する方針だと述べたが、債券投資家はすでにこの事実を材料視していないように思われる。 ウォ...
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40683
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] ECBは今こそ大型バズーカ砲を使え 慢心する市場、緊縮財政が終われば危機が再来する恐れ 2014年05月15日(Thu) Financial Times (2014年5月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 欧州中銀、債務危機国の国債買い入れへ 1〜3年債を無制限に 危機の真っ只中で、ユーロ圏を窮地から救ったマリオ・ドラギECB総裁〔AFPBB News〕 欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は先週、6月に金融緩和が実施されるという明確なメッセージを発した。金融緩和は歓迎だ。緩和策はまた、あまりにもタイミングが遅すぎ、十中八九は不十分だろう。 ドラギ総裁は2012年7月に「ECBはその責任の範囲内で、ユーロを守るために必要なことを何でもする用意がある。それは必ず十分なものになる」と公言し、ユーロ圏を窮地から救った。 総裁はいま再び、過剰生産能力をなくし、インフレ率を2%に引き上げるために、必要なことは何でもすると約束する必要がある。そうしなければ、危機がまた戻ってくるかもしれない。 筆者はECBの「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」プログラムがうまくいくかどうか疑わしいと思っていた。ところが結局、流通市場で国債を購入するという中央銀行の条件付の約束はパニックを食い止めるのに極めて効果的だったため、1度も実行されずに済んだ。 加えて脆弱な国々が緊縮財政と改革にコミットしたことで、ソブリン債務市場の障害が取り除かれた。自己満足した政策立案者と投資家は、危機が終わったと思っている。 市場と経済指標の好転は歓迎すべきだが・・・ 1つの兆候が、10年物国債の利回り低下だ。5月8日時点で、アイルランド国債の利回りは2.7%、スペイン国債は2.9%、イタリア国債は3.0%、ポルトガル国債は3.5%だった。ギリシャ国債でさえ、利回りはたった6.2%だった。これらの国は皆、昨年、経常収支が黒字だった。1つには、内需が激減したためであり、もう1つには、競争力が向上したためだ。 これらの国はもう、資本の純流入を必要としていない。これが市場の信頼の回復と相まって、一部のユーロ圏諸国の中央銀行が圏内の他国に多大な債務を背負い込むことになった資金調達の不均衡を反転させている。 経済協力開発機構(OECD)の新しい「経済見通し(エコノミックアウトルック)」は、2014年の経済成長率がアイルランドで1.9%、ポルトガルで1.1%、スペインで1.0%、イタリアで0.5%になると予想している。これは歓迎すべき好転だ。 だが、各国経済は昨年末時点で、危機以前よりも6〜9%規模が小さかった。失業率は極めて高く、スペインでは特に高い。ギリシャはそれ以上にひどい状態だ。さらに、やはりエコノミックアウトルックが示しているように、信用市場はまだ回復していない。 そして何より、OECDによれば、2015年までにスペインの公的債務残高は国内総生産(GDP)比109%になり、アイルランドのそれは133%、ポルトガルは141%、イタリアは147%、ギリシャは189%になるという。 たとえ国債利回りが低水準にとどまり、各国がプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)を永久に均衡させたとしても、ただ公的債務比率の安定を維持するために、名目GDPは年間3%近く(ギリシャの場合はそれよりはるかに大きく)成長しなければならない。 新しい財政協定で義務付けられているように公的債務比率を引き下げたいのであれば、財政を引き締めるか、成長率を高めるか、あるいはその両方を実行しなければならない。 名目GDPの伸びは、実質成長率とインフレ率に左右される。だが、インフレ率の上昇は公的債務の負担を軽減するものの、脆弱な国々は、相対的に高い生産性の伸びか相対的に低いインフレ率のどちらかを通じて中核国に対する競争力を高める必要もある。 3月の消費者物価のコア指数の上昇率(前年比)は、ギリシャ、ポルトガル、スペインでマイナスとなり、アイルランドは0.6%、イタリアは0.9%だった。ところが、ユーロ圏全体のコアインフレはたった0.7%で、ドイツのそれは0.9%だった。これでは調整は難しい。 緊縮財政が永遠に続くことに賭ける市場 脆弱な国々でゼロインフレが続くと仮定しよう。そうすると、これらの国はプライマリーバランスで黒字を出さない限り、公的債務比率を安定させるためには経済が実質ベースで3%成長する必要がある。OECDによれば、今年、ギリシャは構造的プライマリーバランスがGDP比7.5%の黒字、イタリアは4.7%の黒字、ポルトガルは3.5%の黒字になる見込みだ。 市場はこのような緊縮財政が永遠に続くと見ている。もしも――容易に想像できるように――緊縮が続かなければ、危機がすぐに戻ってくる可能性がある。 IMF、ハンガリーへの金融支援策を発表 計2兆5000億円 ドイツ・フランクフルトの欧州中央銀行(ECB)本部〔AFPBB News〕 ECBはどうやって助けになれるだろうか? 昨年末時点で、ユーロ圏の実質GDPは2008年第1四半期より3%小さかった。これは過剰生産能力の証拠だ。 さらに、広義のマネーサプライの指標である「M3」が2008年9月から2014年3月にかけて合計で7%しか増加しない一方、名目GDPは2008年第1四半期から2013年第4四半期にかけて、たった4%しか伸びなかった。 驚くべきことに、中央銀行のバランスシートは今、縮小している。ECBは明らかに職務を全うしていない。より拡張的な金融政策は、GDPを急激に増加させ、インフレ率をゆっくりと押し上げるはずだ。 さて、今度はコアインフレが2%で、ユーロ圏経済が循環的にもっと強かったと仮定しよう。この状況は、脆弱な国の国債利回りを同じだけ上昇させないかもしれない。というのは、各国が成長によって難局から脱する力に対する信頼度が高まるからだ。 さらに、拡張的な政策がもたらすインフレ率の上昇は、過剰生産能力が集中している周縁国よりも、中核国の方が大きいはずだ。これは競争力の調整も加速させることになる。 ECBが、単独ではユーロ圏の問題を解決できないと主張することは正しい。だが、潜在力に沿った需要の伸びを生み出すために、今よりはるかに多くの対策を講じるべきだ。相対的に弱い国々で信用市場を強化する手助けもできるはずだ。要するに、ECBは再び、OMTで示したような想像力を発揮する必要があるのだ。 ECBが講じるべき措置 マイナス金利への移行は解決策の1つだろう。担保付の民間資産と政府債務を購入することでECBのバランスシートを拡大させる資産購入プログラムも解決策の1つになる。そうすれば、ユーロ圏のしつこい信用市場の細分化を和らげることもできるだろう。 さらに、当初はECBのバックストップ(安全装置)を備えた証券化資産の市場創設は、危機から逃れる手段の一部でなければならない。銀行が果たす役割は大きすぎる。ECBの資産査定(AQR)で銀行の自己資本に大きな不足が見つかるようなことがあれば、ユーロ圏には穴を埋める計画が必要になる。 これらすべてが確かな効力をもって実行されれば、ユーロ圏はよろめくのをやめ、走る力を取り戻せるかもしれない。 端的に言えば、信頼感の回復は励みになるし、成長の復活は歓迎すべきである。だが、前者はあまりに脆く、後者はあまりに弱々しい。ユーロ圏の当局――そして何より、ユーロ圏で唯一の効果的な役者であるECB――は、もっと多くのことができるし、しなければならない。 大惨事の回避は、まだ保証されていない。いずれにせよ、それはひどく不十分なゴールだ。目標は健全な回復を確保することでなければならない。インフレ目標を達成し、信用市場を強化することがECBの仕事だ。ECBは必要なことを何でもしなければならない。これまでのところ、まだ十分やっていない。 By Martin Wolf
1-3月期GDP、独仏で明暗分かれる 2014 年 5 月 15 日 18:04 JST ユーロ圏の中核を成すドイツとフランスの1-3月期国内総生産(GDP)速報値が15日発表され、ドイツが大幅に増加する一方でフランスはゼロ成長と、明暗が分かれた。
ドイツ連邦統計局が発表した1-3月期GDPは前期比0.8%増と、2013年10-12月期の2倍の伸びを記録。また11年1-3月期以来の大幅増となった。 成長をけん引したのは内需で、特に個人消費、政府支出が堅調だった。一方、試算によると輸出が減少する一方で輸入が回復し、貿易全体としてはGDPを下押しする要因になった。 一方、フランスでは消費者の節約、企業投資の減少が明らかになり、ユーロ圏の景気回復が脆弱(ぜいじゃく)な状態が続く可能性が示唆された。 フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した1-3月期GDPは前期比横ばい。ウォール・ストリート・ジャーナルのエコノミスト調査では、0.1%増加が予想されていた。13年10-12月期のGDPは同0.2%増加した。 ...
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