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規制委、「活断層」に揺れる
有識者会合の判定、一転「参考」扱いに 原発審査、批判にも配慮
原子力規制委員会が全国6原子力施設内で進めてきた断層調査の有識者会合の位置づけが揺らいでいる。「活断層がある」とクロ判定になれば原発が廃炉に追い込まれかねないと注目されたが、安全審査を進めるうえでの「参考」扱いへと事実上の格下げになった。背景に何があったのか。
曖昧表現に終始
「2つの見解に分かれた」。昨年12月22日、東北電力東通原発(青森県)に関する有識者会合評価書案に報道陣は首をかしげた。敷地内に活断層がある疑いを指摘しつつ、曖昧な表現に終始していたからだ。
原発の断層問題は東日本大震災後に注目を集めるようになった。原子炉の真下などに活断層があれば大事故が発生する可能性がある。再調査の結果、各地の原発で活断層を見逃していた疑いが浮上。関係4学会から推薦を受けた16人の学者で構成する有識者会合が規制委発足直後の2012年秋に立ち上がった。
有識者会合の評価書案は白黒をはっきりと明記するのが通例だった。調査を主導した委員長代理(当時)の島崎邦彦氏のもと、出席者全員の意見が一致するまで議論する原則だったからだ。
たとえば13年5月に最初の評価がまとまった日本原子力発電の敦賀原発(福井県)では、2号機直下の小断層を「耐震設計上考慮する活断層である」と断定した。同年11月に示された関西電力の大飯原発(同)の評価書案では「将来活動する可能性のある断層等には該当しない」としている。なぜ、ここにきて急に書きぶりが変わったのか。
伏線は、昨年12月3日に開かれた規制委の定例会合だ。資料では断層調査の今後の運営方針を「評価が分かれる部分があればその旨を明記し」、「可能な限り早期に評価を取りまとめていく」とした。全員一致で断定的な判断を下すこれまでの枠組みからの転換だ。
従来は有識者会合の評価がそのまま規制委の見解になると受け止められてきた。田中俊一委員長も敦賀2号機の調査が始まった直後の12年12月、有識者会合の議論を受けて「今のままでは安全審査はとてもできない」と発言していた。
新方針では会合の評価について「重要な知見の一つとして参考にする」としつつ、再稼働に向けた安全審査申請があれば「有識者会合による評価にかかわらず、規制委が審査を行った上で許認可の可否を決定する必要がある」とされた。有識者会合が活断層と判定しても、審査ではその結論が覆る可能性が出てくる。
電力会社が反発
路線変更の背景にあるのは電力会社の反発だ。敦賀2号機はこのままでは廃炉が避けられず、法廷闘争に発展しかねない。「法的権限のない外部有識者の評価をそのまま行政判断とするのは無理だ」と規制委事務局の原子力規制庁幹部は言う。
有識者会合は規制委の発足直後、明確なルールもないなか手探りで始まった。だが13年7月に原発の新規制基準が施行され法律に基づく安全審査が始まると、規制委審査でも活断層問題を調べるため、有識者会合の位置づけが微妙になった。
「(審査できないという発言は)ちょっと言いすぎた」。田中委員長の発言も次第にトーンダウンしていく。昨年9月には活断層に厳しい姿勢を貫いた島崎氏が退任。参加者の専門分野が偏っているといった批判も上がるようになっていた。
もっとも、今回の方針変更により、敦賀2号機などの再稼働の道筋が見えてくるかといえば、話はそう単純でもない。
環境や人の健康に取り返しのつかない悪影響を与える可能性がある場合は、科学的な因果関係が十分証明されていなくても予防措置を取ることを延期してはならない――。こうした考えは「予防原則」と呼ばれ、世界の安全規制の潮流だ。水俣病などの公害で対応が遅れて被害の拡大を招いた反省を踏まえたものだ。
明らかなクロでなくても「グレー」とされれば再稼働は難しい。疑念を完全にぬぐい去るのも至難の業で、活断層問題を抱える原発は苦難の道のりが今後も続きそうだ。
(本田幸久)
[日経新聞1月29日朝刊P.2]
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