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【吉田調書抄録(3)】津波襲来、全電源喪失「はっきり言って、まいった」「絶望していた」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140820/dst14082011240016-n1.htm
2014.8.20 11:24 産経新聞
東京電力福島第1原発事故で、所長として現場の指揮を執った吉田昌郎氏の聞き取り調査をまとめた「吉田調書」。3回目は、原発に津波が襲来した時の吉田氏の証言をまとめた。
〈東日本大震災が発生した平成23年3月11日、運転中の1〜3号機が緊急停止した。地震の約50分後、約15メートルの津波が襲い、全交流電源喪失状態に陥った〉
吉田氏「これははっきり言って、まいってしまっていたんですね。もう大変なことになったと」
−−大変さの程度だが、具体的にどういうことをされたのか
吉田氏「具体的な運転操作は、運転員の方がプロだから任せているんです。箸の上げ下ろしでこうやれ、ああやれということではない。対外的な連絡だとか、状況把握をするということがメーンだったと思います。地震があってみんな気持ちがこうなっている(動揺している)んで、落ち着いてやれとそれは言いました。余震があるかもしれないから、その注意はちゃんとしておけと」
−−非常用電源が使えないことで、次にどういう対応を取ろうと考えたのか
吉田氏「絶望していました。全部の炉心冷却が止まって、バッテリーが止まった後、どうやって冷却するのかというのは自分で考えても、これというのがないんですね」
■みんな愕然という感じ
−−緊急対策本部の雰囲気はどうだったか
吉田氏「どちらかというと、みんな愕然(がくぜん)という感じで声が上がらないんですね。少なくとも技術屋の中では、大変なことになったという共通認識があったと思います」
〈地震で外部電源は断たれたものの、原発の設備や機器に重要な損傷はあったのか、事故後大きな争点となった〉
−−津波が来るまでの50分間にどれだけ分かったのか知りたい
吉田氏「スクラム(原発の自動停止)した後、いろんなパラメーター(数値)がとりあえず異常ないかと。各中央制御室に確認しています」
−−例えば、配管から水漏れが生じているとか、何か白煙が上がっているとか、平時と異なる事象がプラント内で生じているという情報は津波の前の段階であったのか
吉田氏「基本的にはなかった。水漏れとか機器の損傷とか、私は全く聞いておりません」
−−地震後津波までに、人の生命、身体の安否の確認は
吉田氏「グループ異常なしとか、全員いましたとかいう報告が随時上がってきています。プラント(原発)を運転している人たちは逃げられないから、各中央制御室で人員を把握して報告するというのが次々と入ってきました」
−−主要な機器を扱っている人は逃げてはいけないのか
吉田氏「運転員は基本的には中央制御室から離れてはいけない。建物が壊れてもというのは極端な話なんですけれども、基本的には」
■非常用電源が動き安心
−−運転している原子炉について、冷温停止に向けて危機感はあったか
吉田氏「すごく強く持っていました。非常用電源が動いたので、ほっとしたんですね。こんな大津波が来るとは思っていないんですけれども、当然地震によって津波が来る可能性はある。海水系ポンプが引き波で使えなくなるのが怖いんですけれども、とりあえずプラントは一定の安全は保たれているという安心感はあったんですが」
−−津波が来るということに対して、かなり時間的に切迫していると思うが、何か対策として講じたことは
吉田氏「津波の対応というのは結局、事前に手が打てるかというと、この時間で手を打てるものが全くない。津波が来ることを想定して、これから操作をしないといけないぞということだけです」
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