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【 福島第一原発の事故収束・廃炉作業を描いた漫画、現場の真の姿とは… 】
http://kobajun.chips.jp/?p=18520
2014年6月4日 星の金貨プロジェクト
世界で最も危険な産業事故の収束作業現場、その作業員たちの日常の真の姿が描かれる
現場にいる作業員は普通の人間、しかし一方で報酬の搾取が存在することも事実…
事故収束・廃炉作業を成り立たせることがますます難しくなっている現状への懸念
ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン 5月22日
実際に事故収束・廃炉作業に従事した竜田和夫氏は、メディアが決して見ることのできない福島第一原発の現実を、この漫画を通して伝えられればと考えています。
過去3年に渡り福島第一原子力発電所で働いた何千もの他の多くの男性同様、立田一人(たつたかずと)氏を動かしたものは使命感でした。
「私は東日本大震災の発生当時、ずっと職を探していて、自分が災害地で何かできることがあるかどうか、正直なところわかりませんでした。」
立田氏がこう語りました。
現場で作業を請け負う無数の下請け会社の作業員として福島第一原発の現場に入った竜田氏は約6カ月に渡り作業を行いましたが、被ばく線量の合計が法律で制限されている20ミリシーベルト近い値となり、現場を去りました。
この間、おそらくは世界で最も危険な産業事故の収束作業現場における作業員たちの日常の真の姿について、竜田氏は消すことのできない感慨を持って現場を去ることになりました。
今その彼は『いちえふ(1F)』という新しい漫画作品の中にあり、その出版は現在稼働停止している日本国内の原子炉の将来のあり方について、議論の材料を提供することになりました。
▽ 内部関係者の証言としての『いちえふ』
この福島第一原発の作業員日誌としての性格を持漫画は、これまで福島第一原発の情報については日本政府と東京電力が公表してきたすべてがつまびらかにされていない情報と、報道内容によっては多くが推測の域を出ていないメディア報道の、その隙間を埋めるべきものとしての評価を得て、福島第一原発についての真実の情報を探し求めている人々の支持を集めています。
かつて一緒に作業をした登場人物たちについて、あえて大まかな描写を行う一方、竜田氏自身は判断を読者に任せることはありません。
福島第一原発の近くの市町村にある作業員用の宿泊施設を朝早く出発する際の描写や、彼らが毎日脱ぎ着しなければならない複雑な構造を持った放射線防護服に関する詳細な描写もあります。
きびきびした対話の中では、実際に現場で働いた人間だけが知っている言い回しや、作業の際の手順などが多数取り上げられています。
作業員たちは後退の時間が来ると、互いに『無事でいろよ』という意味の言葉をかけ合います。
この漫画の短いタイトル『いちえふ』は、現場関係者と地元住民だけが使う、一般には知られていない福島第一原発の呼び名です。
竜田氏は危険な作業に従事しているという意識は無かったと語りました。
そして防護服と防護マスクを着用したまま過ごす時間は厳しいものでしたが、やめようとは思わなかったと当時を振り返りました。
ただいちばん辛かったのは、防護服を着用している間はトイレに行けなかったことだと語りました。
竜田氏は作業中はスケッチはもちろん、ノートをとることも許されませんでしたが、福島第一原発を訪れたことがある人であれば、竜田氏が苦心して再現した作業現場から捨てられてしまった周辺の市町村の描写の正確性を
検証することが出来るはずです。
「私はそれ以前に漫画家として若干の仕事をした経験を持っていました。しかし、私はマンガを書くつもりで福島第一原発の現場に入った訳ではありませんでした。」
今年49歳の竜田氏は東京郊外のスタジオで、ガーディアンの取材に対しこう答えました。
2012年に福島第一原発の現場を去ってすぐに、竜田氏は漫画を描くことを思いつきました。
彼は第一部の絵と文章を書き上げると、その原稿を持って各出版社にあたってみましたが、興味を持ってくれる編集者にはなかなか出会うことが出来ませんでした。
そして講談社に接するにおよび、やっと関心を持ってくれる編集者と出会うことが出来たのです。
昨年秋から『いちえふ』の連載を始めた週刊漫画雑誌『モーニング』の編集者、篠原健一郎氏は次のように語りました。
「私たちは『いちえふ』が非常に独創的な作品であるということがすぐにわかりました。」
「それは私たちの予想を超え、明らかに普段はマンガを読まない人々の興味・関心までも、ひきつけたのです。」
『いちえふ』の初版は4月末に単行本として刊行されましたが、たちまちに150,000部を売り上げ、比較的無名の漫画家の作品としては異例の反響の大きさを記録しました。
講談社は今後、英語、フランス語とドイツ語版の発行を検討しています。
しかし福島第一原発の下請け企業が暴力団などの犯罪組織と密接な関わりを持ち、作業員がろくな訓練も受けず、そして充分な装備も与えられず、危険な現場に送り込まれているという現実をこの作品によって確認しようとして読者は、失望させられることになりました。
「グループとしても個人としても、私は現場にいた作業員全員が礼儀正しい人々であると認識しています。」
竜田氏がこう語りました。
「私の作品には、現場の作業員たちがスポットライトの当たらない場所で、与えられた仕事を最善を尽くしてやり遂げようとしている姿を伝えたい、それ以上の深いメッセージはありません。政治家や専門家たちは、いつもテレビなどの陽の当たる場所で福島について議論する機会を与えられています。しかし現場の労働者にはそうした機会は与えられません。私は漫画を通して現場の労働者の声を伝えたかったのです。」
東京電力は年に何度もジャーナリストなどを招いて福島第一原発の現場を視察させ、事故収束・廃炉作業の進行状況についてその都度説明を行っています。しかし3,000人の現場作業員の実態については、未だに多くの事が隠されたままです。
「メディアが伝えた情報によって作られた一般の人々の認識と、福島第一原発の実態との間にはギャップがあります。」
竜田氏はこう語ります。
彼は二度と福島第一原発の現場に戻れなくなってしまう事態を避けるため、本名と素顔を隠しています。
そして何より現場の労働者との絆を大切にしたいと考えています。
「一般の人々はメディアが詳しく報じた問題については、たくさんの情報を持っています。汚染水問題や核燃料アセンブリの取り出し作業などの問題について。でも私が人々に伝えたいのは、メディアが決して伝えることのない事柄なのです。」
竜田氏はすべてを記憶に頼りながら、消耗しきった作業員たちが食べたり、休んたりしている場所、たくさんのトラック、バス、車両が作業員や各種装備を運び込んだりしている場所、そして未だに増え続ける汚染水を収納するためのタンクを製造している現場へのバーチャル・ツアーへと読者を導いていきます。
彼はしかし、福島第一原発の労働者たちが搾取を受けているということについては、事実ある事をほのめかしました。
竜田氏は福島第一原発の現場作業員として求人に応じた際、募集要項には1日あたり20,000円以上とありましたが、半年間働いて実際に受け取った金額はその半分をも下回っていました。
彼はまた、熟練した作業員が被ばく放射線量の限界に達してしまい、次々と福島第一原発を去っている現在、事故収束・廃炉作業を成り立たせることがますます難しくなっている現状について懸念を深めています。
かつて福島第一原発の作業現場での体験をメディアに語った少数の作業員と同様竜田氏もそこで過ごした時間を、過酷な労働体験、だからこそ培われた作業員同士の連帯感とがない混ざったものとして思い出します。
「福島第一原発で働いている作業員は、一部のメディアによってゆがんだ形で伝えられており、不当な扱いを受けていると思っています。」
竜田氏がこう語りました。
「福島第一原発の作業員は粗野で無教養な人間であるように描かれていますが、東京都内で見かける建設現場で働いている人たちと、何ら変わるところは無いのです。」
http://www.theguardian.com/world/2014/may/22/manga-fukishima-cleanup-becomes-hit-japan
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この稿の翻訳中、ちょうどNHKの『クローズアップ現代』で、福島第一原発の事故を取り上げた漫画の特集をしていました。
番組の制作意図はつかみかねるというのが見終えての感想でしたが、コメンテーターとて出演した漫画家が
「放射線の健康被害については、専門家の議論に任せておけば良い」
という発言をしていたのが気になりました。
フェアウィンズのアーニー・ガンダーセン氏を始め、世界中のメディアが福島第一原発の事故発生以来、原子力発電が抱える深刻な課題として挙げていたのが『市民の無関心』、そして『権力にすり寄る専門家の心無い行動』であったからです。
なぜ健康被害を受けた市民本人が発信をしてはいけないのか?
『風評被害』という言葉も含め、そこにガリレオ・ガリレイを宗教裁判にかけたのと同じ意図を感じます。
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