http://www.asyura2.com/14/asia16/msg/363.html
Tweet |
サムスン視界不良
(上) 王者苦悩「ライバルは半額」
スマホに新興勢力、中国では首位から転落 7〜9月営業益6割減
韓国サムスン電子の業績悪化がとまらない。7日発表した2014年7〜9月期の連結営業利益速報値は4.1兆ウォン(約4100億円)で、前年同期比で6割減った。利益の大半を稼いできたスマートフォン(スマホ)事業の変調が大きい。サムスンにいま、何が起きているのか。
「今年は圧倒的にマイクロマックスだね」。インド最大商都ムンバイにある20平方メートルほどの携帯端末販売店の共同店主、ファラーズ・ウプレタワラ氏は話す。マイクロマックスはインドのスマホメーカーだ。最近は1日40台程度の販売台数の6割が同社の機種だという。昨年はサムスン製が6割を占めたが、今は2割強まで落ち込んだ。
サムスンの代表機種「ギャラクシー グランド2」の店頭価格は約1万7千ルピー(約3万円)。マイクロマックスの対抗機種「キャンバス エランザ2」の価格は半額程度だ。マイクロマックスはサービス拠点の少なさが弱みだったが、昨年来、大幅に増やし躍進した。ムンバイ在住の20歳代の女性は「マイクロマックスなど現地勢の製品は安いし、画面や構造が簡素で使いやすい」と話す。
一年で様変わり
「小米(シャオミ)、小米、小米! 小米あるよ」。北京市有数のIT製品市場「百脳匯」。スマートフォン売り場を歩くと販売担当者が大きな声で薦めてきた。
かつて「三星(サムスン)の最新機種あります」がうたい文句だったが、この一年で様変わりだ。「悩んでいるなら小米だよ。この性能で三星の半額だ」。担当者は小米の「小米4」とサムスン「ギャラクシーS5」を並べてささやいた。サムスンは販促品としてワイヤレス高性能スピーカーをつけるなどして対抗するが、伸びていない。
サムスンはスマホ出荷台数シェアで世界首位。だが、新興国を中心にシェア低下が顕著だ。米調査会社IDCによると、4〜6月期の世界シェアは25.2%。前年同期比では7.1ポイントの低下だがインドでは同13.3ポイント、中国は同8.4ポイントそれぞれ低下した。インドでは首位を守ったが、中国は首位から3位に転落。レノボ・グループと小米がそれぞれ1位、2位に浮上した。
世界中で攻める側だったサムスンが、お膝元の韓国市場で挑戦を受ける。9月末、中国・華為技術(ファーウェイ)が参入したのだ。携帯端末販売店の店員は「中国製に悪いイメージを持つ顧客もいるが、最近は安くて性能がいいので受け入れられるのでは」と話す。
いつか見た光景
サムスンは米アップルと世界のスマホ市場を二分し、莫大な利益を享受してきた。市場を創出できるのはヒト・モノ・カネがそろった大企業に限られる。だが市場が育ち部品などのサプライチェーン(供給網)が整えば参入障壁が一気に低くなるのがデジタル時代。部品を調達して組み立てるだけで製品がつくれるため、世界各地で新興メーカーが勃興する。
これはいつか見た光景だ。アナログ技術が詰まったブラウン管からデジタル技術の液晶テレビに移行すると新興勢力が台頭し、テレビはもうからない商品となった。スマホも「早くも成熟期を迎えている」との見方が多い。サムスンのスマホ事業の不振は一時的ではなく、構造的な問題だ。
大幅減益とはいえ、7〜9月期に4000億円を超える利益を稼ぎ、売上高営業利益率も8.7%と、なお高水準にある。中核事業の一つである半導体事業は好調で、6日には1兆6千億円を投じて新工場を作る計画を発表するなど、投資余力も大きい。経営危機に直面した一部の日本の電機メーカーに比べると、経営基盤は盤石といえる。
問題はこの先だ。「いまやサムスンは世界の上にそびえたっています」。李健熙(イ・ゴンヒ)会長は心筋梗塞で倒れる前の昨年6月、社員に送った訓示で「永遠の超一流企業」を目指そうと呼びかけた。
創業者である父・李秉普iイ・ビョンチョル)氏の死去で経営を引き継いで四半世紀。業績好調でも危機を訴え続けた李会長にしては珍しい自画自賛だった。それからわずか1年余り。サムスンはいま、大きな岐路にさしかかっている。
ソウル=小倉健太郎、北京=阿部哲也、ムンバイ=堀田隆文
[日経新聞10月8日朝刊P.9]
-------------------------------------------------------------------------------------------
(下) 「スマホの次」模索続く 手本なき事業創出 難題
韓国・仁川空港近くにある工業団地で、ひときわ目立つ巨大工場の建設が進む。サムスン電子グループのバイオ医薬品製造受託会社、サムスンバイオロジクスが2016年の本格稼働をめざす第2工場だ。「完成するとバイオ医薬品の生産能力は世界3位になる」。同社の関係者は胸を張る。
サムスンバイオは11年、製薬開発支援の米クインタイルズ・トランスナショナルと合弁で設立した。バイオ医薬品は高い治療効果があり副作用も少ないとされ市場拡大が期待される。サムスンバイオは生産能力3万リットルの第1工場を13年に稼働させたばかりだが、同15万リットルある第2工場の稼働で、生産能力は一気に6倍に増える。総投資額は約1000億円に上る。
バイオ医薬品の量産は半導体と共通点がある。規模と高度な工程管理技術が競争力を左右する。巨額投資に耐える体力も不可欠だ。顧客や販路は異なるが、果敢な投資で半導体メモリー世界首位に上り詰めたビジネスモデルとの親和性は高い。
「成長分野とはいえ、日本企業ならこんな投資は決断できないだろう」。日系の金融機関関係者はサムスンの決断に舌を巻く。スイスのロシュなどと医薬品の製造受託契約を結んで生産ノウハウの提供を受け第1工場で試験生産が始まった。
スマートフォン(スマホ)の成長がいつまでも続かないことはサムスンも織り込み済みだ。李健熙(イ・ゴンヒ)会長は10年に「10年以内にサムスンを代表する製品は大部分がなくなる」と指摘し、重点投資する新事業5分野を選定した。バイオ医薬品はその一つだ。
ただ、最も順調とされるこの事業でさえ「収益が出るのは16年以降」(サムスンバイオ)だ。
残る4分野は自動車用電池、発光ダイオード(LED)、医療機器、太陽電池だが、成果が上がっているとは言い難い。太陽電池は中国勢の量産で市況が悪化し、一般的な結晶型タイプの生産を打ち切った。自動車用電池はライバルのLG化学に先行を許しているのが現状だ。
サムスンの13年の連結売上高は228兆ウォン(約23兆円)。スマホが急成長したこの3年で5割近く増えた。売上高に占めるスマホ部門の割合は約6割。部材を供給する半導体、ディスプレー部門も含めればスマホ依存度はもっと高い。スマホ失速を補い、巨大組織を維持できるだけの経営の屋台骨探しは至難の業だ。
「創造経営」。06年、李会長が掲げたスローガンだ。エレクトロニクス産業で世界の頂点が見えたサムスンに、かつての日本企業のような「お手本」はもうない。社員にイノベーター(革新者)であれと大号令をかけた。生みの苦しみが「先頭走者」になったサムスンに重くのしかかる。
(ソウル=小倉健太郎)
[日経新聞10月9日朝刊P.9]
- 中国スマホ韓国に挑む あっしら 2014/10/13 01:02:56
(0)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。