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(回答先: エジプト:死者について、直ちに公正な調査を アムネスティ・インターナショナル 投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 7 月 09 日 22:21:40)
(コメント欄の03から抜粋)
【田岡俊次】
〔オバマ大統領の微妙な言い回し〕
クーデターの発生直後、オバマ大統領は「ムルシ大統領を退陣させ、憲法を停止したエジプト軍の決定を深く懸念する」との声明を発表し、ムルシ氏や支持者を不法に拘束せず、民主的な選挙で選ばれた政府に早急に権限を移行すること、平和的な集会や自由で公正な裁判の権利を保障することをエジプト軍に求めた。
その一方で「クーデター」の単語を避け、選挙で選ばれたムルシ大統領側に政権を「戻せ」とは言わず、政権の「移行」を語っているところがミソだ。クーデターであることを認めればエジプト、特にその軍に対する援助は米国内法上停止せざるを得ず、きわめて親米的なエジプト軍は部品が来ないとほぼ行動不能となる。また、もしムルシ大統領やその出身母体のイスラム同胞団が政権を奪回すれば、軍人の多くが反乱罪で処刑されかねず、米国は30年余育ててきたペット、エジプト軍を失うことになりかねないためだ。
〔難しい対応迫られる米国〕
米国はイラクから2011年12月に完全撤退し、アフガニスタンの治安任務も6月18日に地元に委ねてやっと足が抜ける目途が立ち、「財政再建、輸出倍増」の目標に向かおうとしていた。その矢先、エジプトでクーデターが起きたことは迷惑の極みだろう。親米軍事政権、あるいは軍のダミー政権、を支援して長期化しそうな混乱に巻き込まれては大変。だが折角30年以上育成したエジプト軍を見捨て、混迷の果てに比較的穏健だったイスラム同胞団以上にイスラエルに強硬な政府がエジプトに生まれるのも困る。軍のダミーでなく、イスラム同胞団と和解できるような政権の誕生を米国が期待するのは、その利害からして当然だろう。
(抜粋おわり)
前段の、エジプト軍を失いたくないので、クーデターと言い切れない苦しい事情はその通りだろう。
もっとも注力したいのは、後段の「エジプトでクーデターが起きたことは迷惑の極み」とするところだ。この「迷惑の極み」が、評価のわかれるところかもしれない。筆者は、こういう見方に賛成である。迷惑がっているが本心は嬉しいんだや、いや裏で積極的に軍を動かしてきたんだ、などの見方もあるだろう。
田岡論文は、言い換えれば米国は、今回のクーデターに積極的には関与してこなかったということである(おそらく消極的にも)。年間13億ドルぐらいのはした金でエジプト軍を自在に操られるほどエジプト軍はヤワであろうか。
今回は、利害を同じくする軍部と旧体制勢力との合作だろう。米国には事後承認してもらえるというしたたかな読みもあった(ヤワでない理由の一部)。
そもそも一国を完全支配し、傀儡を置き属国化するには、地上戦に打って出て全土を制圧しなければならない。卑近な例でイラクは理想通りにいっているのであろうか。マリク政権から2〜3代も経れば、反米に転じる可能性の方が高い。アフガンはどうだろうか。田中宇氏の解説にもあるように現時点で、もはや「失敗」の烙印をおされてもおかしくない。
はした金や工作員や、内応者を育成したところで、できることは限られてくる。だが、彼らは何かを仕掛けなきゃならない衝動にかられて何かはやってくる。戦争にとって変えた安上がりな方法論では、その成果は決して地上戦を上回ることはできない。戦争は政治の継続ということだが(こんぐらかった政治を解決する最終手段)、財政難の米国は、いまや大規模な軍事作戦を決行することはできない。
米国が中東、北アフリカ地域から富を収奪する構図をとっているかぎり、これらの地の民衆は反米になる必然性がある。彼らは、いたるところで米国の思惑をよそに実力を以て反米国家を造っていくだろう。それが歴史の必然性でなくて何であろうか。
米国の裏庭中南米に旗色鮮明な反米国家が多いのは何故だろうか、詳しく検証したわけではないが、おそらく米国によって早くから「目覚めさせられ」てきたのだ。21世紀は、中東・北アフリカの番だ。
「エジプト軍は総兵力43万8500人(うち陸軍31万人)だが、約30万人は徴兵(うちに陸軍に20万人)で、兵はおおむね一般民衆の心情を反映する」とある。貧しい国で徴兵された兵士というのは、一般民衆出身ということだろう。だから一般国民も一般の兵士たちとは心情が通い合ってきた、と見られる。
だから、軍指導部が、血の弾圧を全土に大規模に繰り広げれば、リビア軍(自国本来の)と同様、瓦解していくのは止められないだろう。軍幹部も武力弾圧は必要最小限にしたいと考えているはずだ。さもなければキチガイの集団である。
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