北朝鮮関連ニュースを主に発信する韓国のオンライン新聞「デイリーNK」は、1960年代から80年代にかけて北朝鮮が日本人漁船乗組員の拉致と殺害に組織的に関与していたと報道した。拉致に関与していたとされる元工作員の証言によるもので、それによれば、数十年前に北朝鮮に拉致された日本人の人数は、正式に発表されているものよりもはるかに多い可能性がある。

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この証言は、デイリーNKが29日に東京都内で開催したセミナーで読み上げられたもので、証言者は、北朝鮮人民軍で「448部隊」と呼ばれる偵察局部隊の元工作員だったとされる。ハングルで書かれ、通訳を通して日本語で読み上げられた証言によれば、120名ほどの工作部隊が1962年から1985年にかけて繰り返し日本の漁船乗組員を拉致していたという。

証言者の記憶では、漁船から拉致された乗組員の数は30人以上で、スパイを教育したり、日本近辺の海や日本の沿岸地域に関する情報を得たりすることが目的だった。

デイリーNKは、この証言者は、今週の産経新聞の記事の発言者と同一人物であることを確認した。

証言によれば、標的とされたのは乗組員が3〜5人の10-20トン級の漁船で、夜間に工作員が偵察船で近付き乗っ取った。

証言者は、「工作員は乗組員を縛り上げて尋問した。特に残忍だったのは、最も健康な若者1人だけを拉致し、残りの乗組員は機関室に拘束して船ごと沈めたことだ」と述べ、自身も1980年代に青森県沖でそうした行為に関与した、としている。

北朝鮮は1970年代と1980年代に外国人を拉致したとされており、今までに13人の日本人を拉致したことを認め、うち5人とその家族を日本に戻したが、残る8人は全員死亡したと主張している。

日本政府が認定している拉致被害者は帰国した人々を含む17人で、漁船乗組員は含まれていない。このほかにも多くの日本人が消息を絶っており、北朝鮮に拉致された可能性があるとみられている。

韓国政府が正式に認定している北朝鮮による517人の拉致被害者の大半は漁船乗組員であるため、日本人の漁船乗組員も多くが海上で拉致されたのではないかとの疑いが生じている。

デイリーNKは、この元工作員の証言は約1年前に日本政府に伝えたとしている。

古屋圭司拉致問題担当相は31日、過去の海難事故を再調査する政府方針を示した。

政府の拉致問題対策本部はJRTの取材の求めに対し、収集した情報に関するコメントはできないと述べた。

今月は安倍晋三首相の側近が突然北朝鮮を訪問し、日本の同盟国である韓国と米国を驚かせた。協議事項には拉致問題も含まれていたとみられている。

記者： 記者：Alexander Martin

原文（英語）：Did North Korea Abduct Japanese Fishermen Too?
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/05/31/did-north-korea-abduct-japan-fishermen-too/