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(回答先: TPP交渉年内合意、米議会が壁 大統領の権限弱める: TPP 知財・関税なお溝 交渉官会合終了へ 年内妥結難しく 投稿者 あっしら 日時 2013 年 11 月 26 日 02:19:11)
[グローバルオピニオン]TPP、高水準でこそ意義 ニュージーランド貿易相 ティム・グローサー氏
原始時代に洞窟に住んでいた人類が、洗練された都市で生活を送るようになった。なぜだろうか。文明の進歩とは突きつめて考えると、自由貿易の恩恵ともいえる。
我々の祖先には狩猟が得意な者もいれば、道具を作るのが上手な者もいたはずだ。それぞれが得意分野に特化すると、そこに交易が生まれる。お互いの需要を満たし、双方が満足し、さらに技術や文化が進歩していく。これが自由貿易の基本原理だ。
高度な自由化を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)への期待は、まさにこの点にある。高水準だからこそ、世界全体を自由化へと突き動かす力があるからだ。
世界中が参加する多国間の交渉が行き詰まり、1980年代後半からは2国間の自由貿易協定(FTA)が主流となった。米国が第1号のFTA交渉開始を決めた82年が最初の兆候だった。相手はイスラエルだった。
多くの国が時代の変化を見落とし、多国間の世界貿易機関(WTO)交渉に幻想を抱き続けた。日本もそうだ。だが小国は変化に敏感でなければ生き残れない。ニュージーランドは素早くカジを切り、オーストラリアとの2国間交渉に踏み切った。
当時、ニュージーランドは貿易保護主義の国であり、豪州は大きくて強い相手だった。勇気が要ったが、成長のためには市場開放と国内改革が必要だと判断した。
豪州との合意をバネに、90年代半ばにはシンガポールに戦略的な対話を呼びかけた。そこで設計した構想が現在のTPPの原型である。我々は「P5」と呼んでいた。「パシフィック(太平洋)5カ国」という意味だ。
実際には「P4」となり、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、チリが包括的な貿易協定を結んだ。小国同士だから高水準の協定ができた。当初の構想から脱落したのは米国である。
その米国が再び参入して誕生したのがTPPだ。アジアの成長力を重視したオバマ政権が、既に結実していた高水準のP4をうまく利用したわけだ。
安倍晋三首相の歴史に残る政治決断で日本が加わり、TPPは世界の自由化の原動力に転化した。触発された欧州連合(EU)は、米国とFTA交渉に乗り出した。
やがてTPPは、北米自由貿易協定(NAFTA)と融合するだろう。世界のあちこちで連鎖的にFTAの融合が起きる。WTOでは果たせなかった世界規模の貿易自由化が、まさに実現する。
この力学を維持するためにTPPは目標を高く保ち続けなければならない。地域が広がるにつれて中身が薄くなれば、期待もしぼみ、推進力は失われてしまう。歴史を逆戻りさせてはならない。(談)
Tim Groser 米国が参入する以前にTPPを構想した発案者として知られる。徹底した自由貿易主義者で、官僚、政治家として通商交渉の経験が豊富。63歳
<記者の見方>「自由貿易」今が岐路
日本国内ではコメや麦など農産品5項目の関税に関心が向くが、自由貿易の設計者は別の次元にTPPの本質を見ている。EUや中国が市場開放と国内改革に動くのは、高い目標を掲げたTPPが、まぶしく輝いてるからだ。日本が加わって水準が下がれば、世界規模で高まった自由化のエネルギーは一気に衰える。今が自由貿易体制の岐路かもしれない。問うべきは「合意できるかどうか」ではなく「合意するかどうか」だ。グローサー氏は、各国の指導者に意志の強さを問いかけた。
(編集委員 太田泰彦)
[日経新聞11月25日朝刊P.4]
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