http://www.asyura2.com/13/senkyo154/msg/130.html
Tweet |
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9875.html
2013/9/20 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
2020年の東京五輪開催が決まり、1週間で日経平均は3%上昇した。安倍首相は、「五輪招致を起爆剤にデフレ解消」と息巻いている。東京都の試算では、五輪の経済効果は約3兆円。民間の中には150兆円の経済効果とソロバンをはじいているところもある。
景気のいい話ばかりが聞こえてくるのだが、本当に五輪で景気は良くなるのか。
「すでにインフラが整っている東京では、経済効果は極めて限定的だし、全国に波及するものでもない。そもそも、3兆円なんて、国家予算の規模と比べたら微々たる数字です。しかも、7年間で3兆円ですよ? 年間なら、わずか4000億円。それだけの効果が本当にあるかも疑わしい上、五輪が終わった後の反動はもっと怖い。64年の東京五輪でさえ、翌年に景気が急激に悪化し、株価も暴落した。期待のわりに企業の収益が上がらず、思ったほどの成果がなかったのです。65年5月には、当時の田中角栄蔵相が、潰れかけた山一証券を救済するために日銀特融を決め、7月には戦後初の赤字国債も発行されました。今の日本の状況を考えたら、当時よりヒドイ大不況に陥る恐れがあります」(経済アナリスト・菊池英博氏)
何も庶民の期待に水をかけようというのではないし、五輪で景気が良くなれば、それに越したことはない。しかし、現実はそう甘くないのだ。
◆黒字の大会なんて存在しない
五輪開催のために巨額の税金を使って、その金が回って、経済が拡大すればいいのだが、少子高齢化・人口減の成熟社会という構造が変わらない限り、一過性のもので終わってしまう。ウォールストリート・ジャーナルも「東京五輪の3兆円効果は楽観的過ぎる」と書いていた。
米金融ゴールドマン・サックスが昨年発表したリポートには、五輪と経済の関係について「開催に関連した費用を全て考慮した場合、真の意味で五輪から利益が生じるかは疑わしい」とある。インフラ整備費やセキュリティー費なども含めれば、黒字となる大会はおそらくないだろうとの見立てで、実際、ロンドンは期待外れに終わった。
東京五輪の予算としては、競技場や選手村の施設整備費として3560億円、大会運営費として3100億円が計上されているが、今後は五輪を名目にしたインフラ整備というバラマキが始まる。その総額は何十兆円になるのか。
そりゃ、公共投資は一時的にはGDPを押し上げる。しかし、そのカネは誰が負担するのか? 景気が上向くのは一瞬で、財政悪化が深刻化し、またぞろ、増税や社会保障カットじゃかなわない。
だいたい、五輪の予算計画ほどアテにならないものはなくて、途中からどんどん膨らんでいくのが常なのだ。国家的なお祭りムードが、放漫財政を許してしまう。ギリシャ破綻のきっかけも、アテネ五輪に当初予算の3倍以上を費やしたことが原因だった。
◆宴の後のツケは国民に押し付けられる
日本も98年の冬季長野五輪で散々な体験をしている。当初の予算は400億円だったのに、最終的には1030億円にまで膨れ上がった。一応、45億円の黒字ということになっているが、これは大会運営の収支に過ぎない。実際は施設整備に巨額の資金がかかり、02年度に長野県は1兆6475億円もの県債残高を抱えるハメになった。年間100億円ともいわれるオリンピック施設の維持費も財政を圧迫し、そのツケは県民に押しつけられたのである。
「そんな苦い経験があるのに日本人は忘れている。東京五輪開催に浮かれ、未来がバラ色のように喧伝するメディアに乗せられ、踊っているように見えます。『五輪のため』と言えば何でも許されるようなムードになっていますが、五輪開催の負の側面にも目を向けるべきです。例えば国立競技場を8万人収容のスタジアムに改築して、五輪後にいったい誰が使うのか。ただでさえ人口減時代なのに、維持管理費も考えたら、将来世代に多大な負担を残すことになる。老朽化した首都高を造り直すのにも莫大なカネがかかります。国費も相当つぎ込まれる。その財源はどうやって生み出すのか。社会保障のための増税だったはずが、いつの間にか社会保障は削られ、公共事業にカネが消えていくことになるのです」(法大教授・五十嵐敬喜氏=公共事業)
◆イケイケドンドンのインフラ整備で財政はパンク
五輪開催が決まってから、経団連の米倉会長は「リニア前倒し」を言い出している。2027年開通予定のリニア中央新幹線だが、「五輪で乗れれば」なんて言っていた。JR東海は「前倒しは無理」と言っているが、安倍政権は「世界に日本の技術を誇るチャンス。部分開通でも間に合わせる」(官邸筋)と鼻息が荒い。菅官房長官も「国としても実現に向けて必要な支援策は行っていきたい」とコメントした。
リニア計画前倒しの最大のネックになっているのが9兆円とされる工費だ。「必要な支援」とは、要するに、カネは出すということだ。
「64年の東京五輪が新幹線なら、こんどはリニア」というノリなのだろうが、これが怖い。東京中の道路がピカピカに新装されそうな勢いだ。
いったい、どこにそんな金があるのか、聞きたいものだ。
「もともと、アベノミクスは見せ掛けのバブルです。実体経済は何ひとつ良くなっていない。ムードだけで持っていたところへ、さらに五輪の期待感が上乗せされ、バブルがますます膨らむ懸念がある。こんなふうに放漫財政がエスカレートすれば、いつ国債が暴落してもおかしくありません」(菊池英博氏=前出)
◆国威発揚はロクなことにならない
五輪の経済効果なんて期待できないどころか、財政パンクの恐れがある。そんなことはもちろん、財務省だって分かっているだろうが、それでも、東京で五輪を開くのはなぜなのか。ここも恐ろしいところだ。政治評論家の森田実氏が言う。
「スポーツの政治利用です。その典型が1936年のベルリン五輪で、私はまだ子どもでしたが、よく覚えています。ヒトラーの得意満面な様子が記録映画などで映されていた。ヒトラーは五輪を“民族の祭典”と位置付けてナショナリズムを高め、パンとサーカスで国民の目くらましをして、同時に軍備を拡大し、戦争に突き進んでいったのです。東京招致が決まって有頂天になっている安倍首相を見ていると、いやな予感がします」
五輪で国威発揚なんて、ロクなことにならないのは歴史が証明している。
「64年の東京五輪には、日本は敗戦から立ち直り、これから新しい時代が来るんだという希望がありました。あの時の感動は忘れられない。しかし、今度の五輪には、何も希望が感じられない。五輪開催のために被災地の復興は後回しにされ、東京一極集中で、ますます地方との格差は拡大する。これから7年の間には、少なくとも2回の消費税増税もあります。景気が冷え込むのは確実で、そのシワ寄せは弱者に向かう。とてもハシャげる状況ではないし、おそらく、日本中が64年と同じような感動に包まれる五輪にはならないと思います」(五十嵐敬喜氏=前出)
右翼政権のPRに使われるだけの五輪なら、やらない方がマシだ。
- リニア新幹線「五輪前の部分開業も無理」 JR東海社長(熱病は冷める物) 戦争とはこういう物 2013/9/22 19:26:26
(0)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。