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2013年 3月 24日 22:15 成瀬裕史 JanJanBlog
■特捜「ストーリー」の“追認”に終わった「陸山会」控訴審
3月13日、東京高裁で小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引で、石川知裕議員ら元秘書3人が政治資金規正法違反に問われた事件の控訴審判決があり、飯田喜信裁判長は、3人を有罪とした1審の東京地裁判決を支持し、元秘書側の控訴を棄却した。
全国紙の報道では「高裁判決は、2004年の土地取引の際に小沢氏が出した4億円の処理について、3人が陸山会の政治資金収支報告書にうその記載をしたと認定した」と報じたが、
この「うその記載」とは、土地購入代金は2004年に支払ったが、登記は翌年だったため、土地購入の報告を2005年にしたという、報告年が1年ズレただけの「期ズレ」である。
こんな事務処理上の“ミス”のようなものを、「禁錮2年」の“大罪”に仕立てるには、「ストーリー」が必要である。
高裁は、石川知裕氏が中堅ゼネコン「水谷建設」から5千万円の裏金を受け取ったとの1審判決を追認。それが石川氏の動機形成の一因になったと指摘した。
しかし、この1審判決では、水谷建設の元社長の証言だけで、石川氏と大久保氏が各5千万円の裏献金を受領したと「推認」。
この裏献金授受の事実が争われる筈だったが、高裁は、裏献金はなかったとする証人申請を含め弁護側の証拠請求の大半を却下し、新たな証拠調べは実質的に行わず、1審の「推認」判決を「追認」した…。
■「刑事裁判の絶対権力者」による「ざまあ見ろ」判決の傲慢
この判決には、「検察の正義など」の著作がある元・検事の郷原信郎氏が自らのブログで、
「「刑事裁判の絶対権力者」による「ざまあ見ろ」判決の傲慢」と題し、
東京高裁の姿勢に「怒りを顕わ」にしている。
http://nobuogohara.wordpress.com/
曰く、「刑事事件の控訴審というのは、一体何のためにあるのだろうか」
「裁判所は、弁護側の証拠請求を、情状関係を除き全て却下し、事実関係に関する審理は一切行わず結審した」
「このようなデタラメな判決が出された背景には、控訴審の裁判長が絶対的権力を持つ、刑事司法の歪んだ構図がある」
「今回の事件は、そのような恐ろしい日本の刑事裁判の現実を示すものと言える」
郷原氏は、昨年11月に小沢一郎氏の無罪が確定した控訴審判決において、
陸山会事件の1審の判決では認められた
秘書3名の虚偽記入の犯意や、4億円の銀行借入の隠蔽の意図が否定されたことから、
これらの地裁、高裁の審理経過、判決を踏まえて、慎重な見直し判断が行われるであろうと「誰しも思ったはず」にも拘わらず、
控訴審裁判所が、一審の事実認定を見直す気が全くないことが明らかになった、とし、
「刑事事件の控訴審というのは、一体何のためにあるのだろうか」と憤っている…。
■「時効前」政治家を「時効後」贈賄証言で挙げる“常套手段”
この「控訴審裁判所が見直す気が全くない」一審の事実認定こそが、
地検特捜部の“常套手段”、時効の「2年差」を活用(?)した「贈賄側の証言」である。
今回の石川知裕氏らが有罪となった「決め手」は、
水谷建設の元社長の「石川氏と大久保氏に各5千万円を渡した」という証言だけである。
この裏献金の授受は2004年とされているが、石川氏逮捕は2010年の1月15日。
「贈賄」の時効は3年であることから、水谷建設の元社長は2009年の取調べ時に
「5千万円を渡した」と証言しても、“時効成立”で罪には問われないのである…。
逆に、特捜側から、時効が成立していない「余罪」の追求をほのめかされたりしたら、
政治家の立件に有利な証言をしてしまう可能性は否定できないのではないか…。
■「疑惑の総合商社」も「時効後」証言で“実刑”に
かつて「疑惑の総合商社」と揶揄された鈴木宗男氏は、
1998年8月に官房副長官就任祝いとして政治資金規正法に則って受領した400万円を“贈賄”とされ、実刑判決を受けた「やまりん事件」について、
当時、東京地検特捜部の取調べで「贈賄」を認める供述をした、やまりん株式会社・山田哲社長が、
後に供述を否定し裁判所に提出した「陳述書」を、氏のホームページに2010年9月21日付けで掲載している。
http://www.daichi.gr.jp/html/diary201009.html
「贈賄」の時効が成立した2002年6月に、地検特捜部から取り調べを受け、4年前の盗伐の事件を持ち出され「時効は10年だ」と脅されながら、官房副長官就任祝いを「贈賄」と認めた調書にサインした経過が、生々しく陳述されている…。
■「ロッキード事件」も司法取引による「時効後」証言
元祖「政治とカネ」、田中角栄氏が1976年7月、受託収賄罪容疑等で逮捕された「ロッキード事件」も、同年に米国上院で行われた公聴会で、当時のロッキード副会長・コーチャン氏が、
1972年に児玉誉士夫氏に対しコンサルタント料21億円を渡し、彼から小佐野賢治氏や丸紅などを通じ、当時首相の田中氏に5億円が渡されたことを、「時効成立」の4年後に証言した。
しかも、コーチャン氏の証言は、「米側証人が日本側の要請で証言する場合、
どんな犯罪行為を喋っても、日本側は絶対に刑事訴追しない」という
日米政府間の「司法取引」による“嘱託尋問”として、特捜側の証拠として採用された…。
どうも、我が国の“特捜”は、「陸山会」であれ、「やまりん」であれ、「ロッキード」であれ、時効や刑事取引による「罪に問われない者」の証言で、政治家を「追い落とす」のが“得意技”のようだ…。
ちなみに、当時の日本社会党・成田知巳委員長は、「政敵」田中氏を追い落とす裁判にも拘わらず、この司法取決について、「日米間の国家機関を通じて決まった、一種の条約であるにも拘わらず、関連資料の提供を捜査機関のみに限定するのは、三権分立を定める憲法違反である」と指摘した…。
■「或る国」の利益を脅かす政治家が“特捜”に葬られる国
田中角栄氏は、「或る国」の意向に反して、中国との国交正常化を実現した…。
鈴木宗男氏は、「或る国」が打込んだ日ソ間の“楔”、北方領土問題の解決に尽力していた…。
そして、「政権奪取確実」の民主党代表であった小沢一郎氏は、「或る国」と新たに覇権を争う中国と、「政治の父」角栄氏譲りの太いパイプを持っていた…。
「或る国」による占領下、旧日本軍の隠退蔵物資を摘発しGHQの管理下とすることを目的に設置された「隠匿退蔵物資事件捜査部」としてスタートした“特捜部”…。
そんな“特捜”を擁する検察との「判検交流」による人事交流を続ける“裁判所”…。
そんな“特捜”と“裁判所”との「連係プレー」により、一審の「推認」が「追認」された、
今回の「陸山会事件」控訴審…。
そして、そんな、弁護側の証拠請求を殆ど却下し、事実関係の審理を一切行わず結審した高裁の姿勢を、一部夕刊紙を除き、一切批判しない、我が国のマスメディア…。
そんな、郷原信郎氏の言う「恐ろしい日本の刑事裁判の現実」は、氏が自らのブログで訴えない限り、世の中には伝わらない…。
しかし、そんな郷原氏や、同じく「小沢裁判」を司法関係者の「当たり前の視点」でツイートする江川昭子氏が、テレビのコメンテーターから「退場」させられて久しい…。
「或る国」に、司法も、行政も、そして「第四の権力」メディアも支配された国に、TPPやオスプレイを跳ね返す力は、果たしてあるのだろうか…。
成瀬裕史記者のプロフィール
1960年生まれ。北日本の一地方在住。一次産業を主とする“地方”の復興のため、明治維新から続く中央集権・官僚主導の国家体制の“CHANGE”を志す。
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