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http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-d957.html
2013年2月25日 植草一秀の『知られざる真実』
2月22日早朝にブログ記事
「日銀総裁・副総裁人事案をズバリ予測する」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-58b2.html
メルマガ第499号記事
「安倍氏の日銀運営評価は歴史が定めることになる」
http://foomii.com/00050
を発信した。
私が予測した日銀総裁・副総裁候補者の最有力案は次のものである。
A案
総裁 黒田東彦氏
副総裁 岩田規久男氏
副総裁 雨宮正佳氏
なお、日銀出身者は雨宮正佳氏ではなく中曽宏氏になる可能性がある。
いま報道各社が伝えている日銀幹部人事案は筆者の予測と同じだ。
日銀出身者は中曽宏氏を軸に人選が進められると伝えられている。
私が上記A案を最有力案とした理由は以下の通り。
まず、総裁候補の黒田東彦氏。
三つの要因があった。
第一は、安倍晋三氏が「自分の考えに共鳴する人」を日銀総裁に起用したいとしていたこと。
いわゆる「インフレ誘導」色の強い金融政策を実現するには、非伝統的手段を含めて、追加金融緩和措置に積極的な人物を選出する必要があった。
岩田一政氏でもこの条件を満たすはずだが、みんなの党などがこれに反対していた。
これには、もっと深い理由が存在する。
第二は、財務省が何としても総裁、副総裁ポストを奪還したかったこと。
財務省の第一希望は武藤敏郎氏の総裁就任だったが、この案が通る見通しは低下していた。
とりわけ、安倍氏がインフレ推進派の起用にこだわっていたため、福井俊彦総裁体制下で副総裁を務めた武藤氏の起用では、この方針を示すことにならないとの声が安倍氏周辺で高まっていた。
また、武藤氏は財務省の官房・主計畑出身で、いわゆる財務省の天下り人事の側面が強調されることから参院での野党の拒絶も予想された。
黒田氏は財務官出身者であり、財務省の保守本流ではないが、財務省としては誰であっても日銀幹部人事を獲得できるのであれば、それを優先するとの姿勢を示したと思われる。
第三に黒田氏が財務省出身ではあるが、財務官経験者であるため、参議院での野党の賛成を得やすいことである。財務次官経験者を候補としても、参院で同意を得られなければ起用する意味がない。
2008年には財務次官経験者が相次いで同意を得られず、結局、財務省は日銀幹部ポストを失った。
黒田氏は財務省のなかの企画調査、ならびに国際金融畑の経験が長く、アジア開銀総裁の職にもあったため、野党の同意を得やすいとの事情がある。
これらの事情から武藤氏ではなく黒田氏が起用されることになった。
私は2月22日付メルマガに次のように記述した。
「財務省は武藤敏郎氏の日銀総裁就任を悲願としているが、武藤氏が必ずしも安倍氏が提唱するインフレ誘導に積極賛成しているわけでないこと、野党が財務次官経験者の日銀総裁就任に難色を示していること、などを踏まえると、武藤氏の総裁起用の可能性は低下していると判断される。
ここで安倍氏が武藤氏を起用するなら、「アベノミクスマジック」は消滅することになるだろう。
安倍氏周辺の取り巻きが武藤氏起用に強く反対するものと思われる。」
他方、学者出身の副総裁候補として、私が最終的に最有力候補になるとしたのが岩田規久男氏である。
2月22日付メルマガには次のように記述した。
「岩田一政氏をみんなの党などが金融緩和に消極的だとして除外しよ
うとしていること。
安倍晋三氏は、「自分の考えに共鳴する人」を日銀総裁に起用する方針を示している。岩田一政氏では、この要件を満たさないと安倍氏の周辺にいる取り巻きが騒いでいる。
これは、岩田氏では米国の命令を直接的に強制することが難しいとの事情があるのだと思われる。
安倍氏周辺の雑音とでも呼ぶべき声が偏り過ぎていることが問題なのだが、安倍氏がこの雑音的な声に影響される可能性がある。
(中略)
安倍氏がより鮮明にインフレ誘導の色を示すなら、黒田氏と岩田規久男氏をそろって起用する可能性が生まれる。
これがもっとも安倍氏提唱インフレ誘導路線を体現するものになる。
年次は岩田規久男氏が上だが、官僚出身者が総裁なら、この点は霞が関、永田町では問題にならない。
日銀経験のない人物の組み合わせになるから、極めてギャンブリングな人事となる。」
日銀出身者としては、本来は雨宮正佳氏が適任であるが、雨宮氏が正統派のセントラルバンカーであることが副総裁への起用への障害になったものと思われる。
かくして、私の日銀幹部人事予想はほぼ完全に的中したようだ。
しかし、2月22日付記事にも記述したように、これが適正人事だと私が評価しているのではない。むしろ、大いなる問題を内包する人事であると感じている。
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