http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/223.html
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「原発ゼロ修正を米に表明へ 首相、首脳会談で:やめることまで米国にお伺いをたてる日本政府:原発継続は北朝鮮への資金供与?」( http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/200.html )のコメント欄で、「で爺」さん(こうお呼びしてもいいのでしょうか?)からいただいたコメントへの返信です。
【引用】
「02. 2013年2月20日 07:56:43 : iKCWVxTNaQ
え、米朝原子力協定で、ウラン濃縮が認められているの?(笑)韓国にさえ認めていないのに。で爺」
【あっしらの返信】
米英など現時点で世界政治を牛耳っている勢力が北朝鮮にウラン濃縮活動を認めているのは、あくまでも、自分たちの利益になるからであって、北朝鮮のタメではありません。
まとまったかたちのものは別途用意したいと考えているので、そのワケを列挙するかたちで説明します。
● 採掘可能レベル400万トンと世界一と目されている北朝鮮ウラン資源の確保
コメント欄01.で転載した東京新聞の記事に、「北朝鮮のウラン埋蔵量は二千万トン以上とされる」と書かれていますが、採算性を考慮した北朝鮮の採掘可能埋蔵量は400万トンと言われています。(韓国政府や日本原子力産業会議もこの量を認めています)
なぜか、北朝鮮領域に埋蔵されているウランについて語られることはほとんどありませんが、敗戦まで「アジア太平洋戦争」時に原爆開発を企てていた日本の領土だったのですから、日本政府も、北朝鮮領域に眠るウラン資源の高品位やその量をおおよそは知っているはずです。
世界の採掘可能レベルのウラン資源は500万トンとされていますから、400万トンとされる北朝鮮の埋蔵量は、中・高品位ウラン資源の80%を占めていることになります。
話半分の200万トンと考えても、世界の40%ほどを占めていることになります。
個人的には、世界の採掘可能ウラン埋蔵量は、北朝鮮400万トン+世界500万トンの900万トンではないだろうかと推測しています。それが正しい見方であれば、北朝鮮のシェアは44.4%になります。
これだけの情報でも、原子力を商売のネタと考えている勢力が、北朝鮮を放っておくはずがないことは想像できると思います。
※ 2012年5月2日の韓国聯合ニュースの記事
▼北朝鮮核開発の原動力は良質なウラン=韓国専門家 | 聯合ニュース
【ソウル聯合ニュース】韓国政府の核専門家は2日、北朝鮮のウラン埋蔵量は約2600万トンで、可採量は400万トンに達するとし、「北朝鮮の核開発は良質なウラン資源が原動力になっている」と述べた。
2010年現在、全世界のウラン供給量は年間7万1000トンほど。北朝鮮のウラン資源量は北朝鮮を除く全世界の資源量の5〜6倍に上り、純度も高いため、経済性が非常に高いと分析されている。
● 採掘可能ウラン資源は100年もしないうちに枯渇する見通し
07年の世界のウラン生産量は4万トン超で生産国は18ヶ国、上位はカナダ(約9千5百トン)、オーストラリア(約8千6百トン)、カザフスタン(約6千6百トン)、ロシア(3千4百トン)、ニジェール(3千百トン)、ナミビア(2千8百トン)、ウズベキスタン(2千3百トン)、米国(1千6百トン)と言われています。この上位8か国で世界の生産量の92%を占めています。
国別ではそのような分布ですが、企業レベルで見れば、カメコ:Cameco(カナダ)、アレバ:AREVA NC(仏国)、リオ・ティント:ERA(オーストラリア:リオ・ティントRio Tinto(英国)が68%株式を保有)など主要8企業で世界のウラン生産のおよそ約80%を占めています。
世界の商業的採掘可能ウラン埋蔵量は500万トンですが、07年の原子炉が必要とするウランは6万5千トンほどだったと言われています。
年間生産量の4万トンほどではすべての需要を満たすことはできず、ウラン二次供給(解体核高濃縮ウランや民間在庫など)でしのいでいます。
このような事実は、07年ベースの原発稼働数でも、ウラン資源の寿命が500万トン/6万トン=83年ほどしかないことを意味します。(コストを度外視すれば、海水からウランを抽出することもできますが・・・)
北朝鮮の400万トンが、それがこれまでの確認埋蔵量の別枠であればなおのこと、とてつもなく重い意味を持つことはご理解いただけると思います。
※ 「主要国のウラン生産量推移」
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/04/04020102/02.gif
● 北朝鮮と縁が深い中国にウラン利権をとられる危険性
ご存じのように、北朝鮮との関係がもっとも良好な国は中国です。そして、ご存じのように、中国は、急増するエネルギー需要を“一時的”でも環境悪化を招かないように満たすため、原発の新増設を大々的に計画しています。
中国は、その他の資源でも確保にしゃかりきになっています。
※ 関連記事
「アジアで原発新設100基 日韓ロ、受注競争が加速:プロメテウス信仰と貨幣崇拝に走った近代世界の悲劇的判断力」
http://www.asyura2.com/13/genpatu30/msg/305.html
ここまで書けば説明する必要はないと思いますが、現時点のウラン資源トップ企業が手を拱いてじっとしていれば、北朝鮮のウラン資源は中国の手に落ちることは間違いないでしょう。
ひょっとしたら、日朝平壌宣言で経済支援を約束した日本が、北朝鮮のウラン資源に手を伸ばす可能性もあります。日本は、ウラン濃縮活動の権利を得ていますが、その権利を活かせるだけのウラン資源が国内にはないため、オーストラリアの試掘権をめざして激しい争奪戦に加わったくらいです。
● ウラン採掘が引き起こす健康被害や環境悪化で採掘を拡大できない“先進国”
日本ではあまり報じられていませんが、ウラン採掘はとんでもない汚染発生源で、人身と環境に大きな被害をもたらしています。
このため、オーストラリアやカナダでは、ウラン鉱山の開発を進めにくい状況が生まれています。
オーストラリアの鉱山会社パラディン社の部長は、「オーストラリア人やカナダ人はウラン鉱の開発に関係する問題にあまりにも意識が高くなりましたので、これからはアフリカに行かなければなりません」と語っています。
このアフリカを北朝鮮に置き換えれば、核燃料関連企業は、ウラン発掘にまつわる危険を、オーストラリアやカナダといった自国ではなく、北朝鮮に押し付けていることになります。
ウラン濃縮は、イスラエルなど秘密裏に行っている国は別として、核兵器保有国や日本を含む一部先進国といったごく限られた国しかやっていない(やる権利を持たない)ものです。
北朝鮮は、黒鉛型原子炉でプルトニウムを抽出していたので、ウラン濃縮の必要性はなく(インドもCANDU型で濃縮不要)、ウラン濃縮技術は保有していませんでした。
ウラン濃縮については、米国がウラン濃縮施設の縮小ないし更新を行っていることを知れば、北朝鮮との絡みが見えてきます。
米国は、電力消費が遠心分離法の50倍に達すると言われるガス拡散法でウラン濃縮を行ってきましたが、21世紀に入り、それらの施設を遠心分離法に更新する計画を打ち出しています。
米国政府の本音は、様々な有害物質が出てくる核燃料の国内での製造は核兵器に必要な限定的な量にとどめたいというものではないかと推測しています。
“核燃料製造クラブ”は、03年頃から、北朝鮮にウラン濃縮機器を提供し、技能や工業力を試したようです。
それが、10年の元ロス・アラモス研究所所長シグ・ヘッカー氏の北朝鮮ウラン濃縮施設訪問というかたちになったと思っています。
そして、北朝鮮は能力が十分にあると認定されたことで、昨年末に報じられたようなウラン濃縮施設の拡充が進んでいると見ています。(それまで2千台の濃縮装置だったのが倍増されるという話)
● 北朝鮮もただ利権を貪られるような契約は拒否する
北朝鮮がウラン濃縮の下請けをやっているということは、核燃料棒製造に関して、
1)ウラン鉱石の採掘
2)化学処理でウラン含有率を60%ほどにするウラン精鉱(イエローケーキ:現在1ポンド当たり43ドルほどで取引)
3)イエローケーキから六フッ化ウランを製造する転換(転換工場は日本にない)
4)転換で純度が高くなったウランを濃縮(六ヶ所村に濃縮施設がある)
までの工程が行われていることを意味します。
このあとの工程は、
5)二酸化ウラン粉末を生成する再転換
6)燃料ペレットを製造しジルカロイ被覆管への封入と被覆管を束ねての燃料集合体作成
となりますが、北朝鮮がそこまで行っているかどうかはわかりません。
北朝鮮が米国からウラン濃縮活動の権利を得たのは、わずかなお金と引き換えでウラン資源だけを持って行かれる取引を忌避し、付加価値が得られる道を強く求めたからだと推測しています。
イエローケーキは、現在1ポンド(約453g)当たり43ドルほどで取引されていますから、下請けであっても、ウラン濃縮後のモノは軽く50ドルを超えるはずです。
これが、アーミテージ氏が言う「北朝鮮は資金が潤沢」の理由だと思っています。
● 北朝鮮がIAEAの査察官を追放したワケ
北朝鮮は、何かことが起きる度に、IAEAの査察官を追放してきました。米国などはそれを非難していますが、実際のところは、IAEAにウラン濃縮活動の実態を見られることを回避したい思惑から、米朝合作で査察官を追放した可能性が高いと思っています。
10トンを超えるイエローケーキもIAEAの査察対象になりましたが、濃縮手前の転換処理で生成される六フッ化ウラン以降は、従来から査察の対象です。
IAEAは、米国の息がかかっているとはいえ、北朝鮮が核燃料の元となるウランの低濃縮活動を大々的に見られるのを避けたかったからだろうと推測しています。
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