http://www.asyura2.com/13/senkyo143/msg/267.html
Tweet |
TPP参加問題をめぐって、「参院選「自民に投票」41% 維新は12%・民主8%:主要メディアがこぞって安倍政権の提灯持ちに勤しめばそうなるもの」(http://www.asyura2.com/13/senkyo143/msg/234.html)のコメント欄で行ってきたXyzxyzさんとのやり取りの続きです。
※ これまでのやり取りの内容は末尾に添付。
【Xyzxyzさんの03.のコメントから引用】
「一時期大手マスコミでは、米韓FTAを結んで韓国大躍進!日本はTPPに
乗らないと勝てないぞ!って論調の記事をちらほら見たけど、あれだけ煽るなら
現在の米韓FTAの経過と続報も流してくれないと判断出来ないんですがねえ。
まあ最終的には非関税障壁を一部受け入れさせて、痛み分けな形にして
TPPは加入することになる可能性はあるかな。万が一そうなっても致命的な
条項だけは手を加えてほいて欲しいものです。」
【あっしらの新たなコメント】
米韓FTAは昨年3月15日に発効しましたが、その後の韓国の状況について知っている範囲で簡単に説明します。
1. 米系ファンドであるローンスターが発効前に起きた問題でISD条項に基づき韓国政府を提訴
米系ファンドであるローンスターは、昨年11月、買収した韓国外換銀を再建後に売却しようとした際、 韓国金融当局が認可を遅らせたり不当に課税したりしたことで損害を被ったとして、世界銀行傘下の投資紛争解決国際センター(ICSID)に韓国政府を提訴しました。
昨年3月に発効した韓米FTAに盛り込まれているISD条項が、発効からわずか8カ月ほどで実際に使われたわけです。
(ただし、今回の提訴は、韓米FTAのISD条項ではなく、韓国がベルギー・ルクセンブルクと結んだ投資協定を根拠にしたものと言われています)
しかも、提訴の対象となった出来事は、韓米FTAが発効する前に起きたものです。
となると、ローンスターの韓国政府提訴は、「対岸の火事」と言っていられるものではなく、日本にも飛び火する可能性があります。
なぜなら、ローンスターは、日本でも、東京スター銀行絡みで課税をめぐってもめた実績があるからです。仮に、日本がISD条項を含むTPP協定に参加すれば、ローンスターは、韓国と同じように日本政府を提訴する可能性もあります。
韓国におけるローンスターのいざこざは、添付した過去の投稿でわかるように、ローンスターの犯罪的振る舞いが問題になり、裁判所に株式売却を命じられたことが発端です。
庶民感覚で言えば、ローンスターの提訴は、盗人猛々しいというもになります。
さらに、ローンスターが韓国外換銀行をめぐって損害を被ったといっても、実損失があったわけではなく、逸失利益があったという訴えです。
韓国政府も、日本政府と同じように、破綻銀行の“安売り”などおかしな対応があったとも言われていますが、ローンスターは、韓国外換銀絡みで5兆1538億ウォンもの差益を得ており、買収から売却までの8年間の収益率は138%もあったと言われています。
この問題については、ローンスターが投資紛争解決国際センターに提訴する1年前の投稿で、「TPPには悪名高いISD条項があるが、ISD条項がない現在でも、日本、韓国で好き放題に動いてボロ儲けをしている実態を考えると、ISD条項付きになったときどうなるか空恐ろしくなる」と指摘して締めくくっています。
韓国ではまさにその通りの展開になったわけです。
※ 該当投稿:「日本でもある話:外換銀行を買収したローンスターの「犯罪」と「荒稼ぎ」に韓国民は憤然だが、売り抜けてサヨナラ
http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/295.html
※ 提訴関連記事
「日本のTPP参加を左右する「毒素条項」 韓国で初のISD条項発動(zakzak)」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/105.html
2. 米国政府が韓国製洗濯機に10%を超える「反ダンピング課税」
先週木曜日(24日)にNHKBS1で放送された韓国「KBSニュース」で、米国連邦政府が、ITC(米国貿易委員会)の決定を受けて、サムスンとLGの洗濯機(韓国及びメキシコで製造)に「反ダンピング関税」を課するようになったと報じました。
家電メーカー「ワールプール」の訴えを受けた米国商務省が、韓国製洗濯機が米国の業界に被害を与えたとした決定をITCも認めたわけです。
これにより、サムスン製洗濯機には11%、LG製洗濯機には13%の反ダンピング関税が課されることになります。
ちなみに、米国市場における韓国製洗濯機のシェアは、11年ベースで、サムスン20.77%、LG17.4と1位・2位を占めているとのことです。両社の韓国からの洗濯機輸出額は10億ドル程度だそうです。
(「ワールプール」は、韓国製冷蔵庫についてもダンピングの提訴をしていましたが、ITCは、実質的不利益が生じていないとして訴えを退けました)
韓米FTAの交渉では、工業製品として自動車の取り扱いが大きな問題となり、ピックアップトラックの25%の輸入関税はそのまま据え置きで、その他の自動車も、関税撤廃まで5年間の猶予が設定されました。
米韓FTAでは、主要貿易品目である自動車について、韓国が協定に違反したり、米国製自動車の販売・流通に深刻な影響を及ぼすと判断されたときは、米国の自動車輸入関税撤廃を無効にできる「スナップバック条項」があります。
しかし、今回のような「反ダンピング」の手法を使えば、自国製品の販売・流通に深刻な影響を及ぼすと判断されたとき、関税撤廃を無効にできるどころか、通常の関税より高い関税を課すことさえできるわけです。
韓国製の洗濯機に課された「反ダンピング関税」は、米国相手に自由貿易協定を結んでも、ご都合主義でないがしろにされてしまう現実をよく見せています。
KBSニュースは、今回の「反ダンピング課税」について、「韓国は、WTOに提訴することはできる。他にも、米国メーカーによる牽制が強まっており、今後の韓国メーカーの打撃になることが予想される」と解説していました。
(トルコ生産を含む韓国ブランド自動車は、FTAを締結しているEUとりわけフランスでも目を付けられています)
そのような現実を前提に、TPP参加こそ日本の国益と旗振りに精を出す日経新聞の1月21日の記事を読むと、“人の良さ”に思わず微笑んでしまいます。
その記事を転載します。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
[ちょっとウンチク]TPP脅威論と米301条
事実と異なる虚像でも、その影が大きく映れば恐ろしい。環太平洋経済連携協定(TPP)の反対論には、そんな「TPPおばけ」の作用が働いている。国内農業が壊滅する、公的医療保険が崩壊する、一度交渉に入ると抜けられない、などの観測だ。
落ちついて考えれば、おばけの正体は知れている。TPPは日本が既に多くの国と結んだ自由貿易協定(FTA)の一種であり、交渉だから駆け引きもあり、妥協もある。あらゆる品目の関税を直ちに撤廃するわけではなく、医療制度は交渉の対象にすらなっていない。
おばけが出やすいのは、1990年代の貿易摩擦で米国が盛んに使った米通商法301条の残像のせいかもしれない。貿易相手国を「不公正」と決めつけ、一方的に制裁措置を科すという天下の悪法だ。身勝手な要求を突きつける過去の米国のイメージが、現在のTPP脅威論をあおっているようにみえる。
95年にできた世界貿易機関(WTO)のルールが定着し、この法律は封印された。米国が手ごわい交渉相手であるのは変わりないが、極端な行動はもうとれない。真正面から正々堂々と交渉すればよい。
(編集委員 太田泰彦)
[日経新聞1月21日夕刊]
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
3.統計データをでたらめに解説して韓米FTAの利益を強調した韓国政府
韓国経済は、現状、それこそ日々というペースで悪化しています。
輸出が低迷するなか当然のように内需も低迷し、12年度の経済成長は、低く修正した予想(2.8%)さえ下回るだろうと言われています。
韓国経済が厳しくなればなるほど、その矛先は、円安ウォン高を招いている元凶と思われている日本の金融緩和政策(アベノミクス)に向くはずです。
内需不振に苦しむ韓国のスーパーは、1月下旬から2300品目もの商品で半額セールを行っているそうです。
夏頃から書いていますが、より深刻な事態は、家計の債務不履行比率が上昇し、ノンバンクが破綻する可能性が高いことです。銀行は外資が主力なので、“逃げ”の態勢をつくっていますが、ノンバンクの破綻が広がれば、韓国経済は97年危機以降としてはもっとも深刻な状況に陥ると思います。
韓国では、昨年末に、貿易統計をめぐってある騒動が起きました。
韓国政府が、対米輸出の伸びについて「韓米FTAにより対米輸出が伸びた」と発表したことに疑義の声が湧き上がったのです。
実際は、米韓FTAが発効した昨年3月15日より前の時期は対前年比で伸び率が高い一方で、FTA発効後は対前年比で伸び率が低くなっていたのです。
韓国政府は、間違いを指摘され、世界経済の状況が悪いなかで輸出がそれほど落ち込んでいないのは韓米FTAのおかげだと抗弁しました。
最近のKBSニュースに韓国の畜産農家が出ていましたが、韓米FTAにより将来の展望が見えなくなったため、息子も家業をつがないことを決めたと話していました。
韓米FTAについての賛否は別として、多くの韓国人が、韓米FTAは、財閥系グローバル企業にはメリットがあるが、それ以外の経済主体や国民に利益があるかどうかはわからないと考えているようです。
朴次期大統領の最大の課題は、FTA政策で利益を得る財閥系グローバル企業の利益を全国民まで浸透させていく方法を見出すことでしょう。
韓国は、輸出国家として経済発展を追求する道を選択したのですから、その“狭い道”しか進みようがないと思っています。しかし、今後の中国のさらなる台頭を考えると、財閥系企業は生き延びても、その他の企業や一般国民はますます苦しい状況に追いやられていくと予想しています。
============================================================================================================
【これまでのやり取り】
01. xyzxyz 2013年1月28日 02:37:30 : hVWJEmY6Wpyl6 : hMsRcRvT0w
どこのマスコミだったか忘れたが、TPP参加の国民調査だと5割以上が賛成だから、自民が
このまま反対し続ければこれがアキレス腱となって下げてくる可能性はある。
TPPがクローズアップされるのは参院選前だろうから5,6月には自民の支持率は
確実に下がっているだろう。
02. あっしら 2013年1月28日 03:55:46 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
xyzxyzさん、こんばんは。
安倍政権がTPP交渉への参加に踏み切るのは参議院選挙後だと予想しています。
それは、林農水大臣が「TPPは貸し切りバス」だから、日本が参加しなければ始まらないし、日本は焦って交渉に参加する必要もないと語っているからです。
前々から書いていますが、民主党政権時代から政府は、TPP交渉の途中経過などが報じられ、TPPの問題点や最終的な参加が大きな論議の的になることを避けようとしています。
林農水大臣が「TPPは貸し切りバス」と語ったのは、参議院選挙が終わるまでTPP問題を議論の対象にしないという宣言だと受け止めています。
7月の参議院選挙後に交渉参加を決めると、参加できるTPP交渉は1ないし2回になってしまいますから、日本は、他の参加国が決めた協定文書に“めくら印”を押すというとんでもないかたちになる可能性もあります。
そして、関税など二国間の交渉で決めることもできる問題は、包括的協定文書のあとに参加各国と交渉を続けることになると見ています。
(米国などとのあいだの関税設定は、すでに、“裏”で落とし所が決まっていると思っています)
安倍政権の至上の政治課題は、7月の参議院選挙で参議院でも与党が安定過半数を占めることです。
そのために、放漫財政に走る一方で、見掛けだけの対中強硬やTPP慎重の姿勢を続けると予想しています。
03. xyzxyz 2013年1月28日 04:26:40 : hVWJEmY6Wpyl6 : hMsRcRvT0w
>>2
>そのために、放漫財政に走る一方で、見掛けだけの対中強硬やTPP慎重の姿勢を続けると予想しています
自分もこの可能性が高いとは思ってます。
TPPに関しても、かなり前からこれは実質日米FTAに近いものだとの認識をもっています。
そもそも日本を省いた残りの加盟国の市場はアメリカにとっては雀の涙のようなもの。
日本のマスコミは去年からバスに乗り遅れるな!と掛け声をかけてるけど
日本が乗り込むまで絶対に動くの事の出来ないバスなのでいつまでもいつまでも
眺められるだけ眺めて、米韓FTAの行く末を見てから決めても遅くないと思ってます。
というか、一時期大手マスコミでは、米韓FTAを結んで韓国大躍進!日本はTPPに
乗らないと勝てないぞ!って論調の記事をちらほら見たけど、あれだけ煽るなら
現在の米韓FTAの経過と続報も流してくれないと判断出来ないんですがねえ。
まあ最終的には非関税障壁を一部受け入れさせて、痛み分けな形にして
TPPは加入することになる可能性はあるかな。万が一そうなっても致命的な
条項だけは手を加えてほいて欲しいものです。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
- あっしらさんの主張は 筋違いの点があるようですね。 真相の道 2013/1/29 11:03:37
(0)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK143掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。