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首都直下地震の可能性
2014年07月21日にテレ朝で放送されたテレビタックルで木村政昭琉球大学名誉教授と串田嘉男八ヶ岳南麓天文台代表が出演され、それぞれ、房総半島沖と琵琶湖周辺の地震が近い将来、または今年秋にも起こる可能性があると発言された。そして、木村教授は首都直下地震は数十年起こる可能性がないとされ、串田氏も首都直下地震が切迫しているという見方は示さなかった。
この記事では、木村教授や串田氏の理論では首都直下地震の予知がそもそも難しく、木村教授の理論も串田氏の理論も、それぞれ得意とする地震の起こり方があり、それに当てはまらない首都直下地震については予知そのものができないということを明らかにする。
木村教授の理論は地震空白域を選び出し、微小地震が増加した箇所を中心にしてそこを地震の目と呼び、地震の目近くのプレート境界や活断層が近い将来地震を起こすというものだ。地球表面を覆うプレートが年に数ミリから数センチ動いているということは実証されている。大陸プレートの下へ海底プレートが沈み込んでいることもはっきりしている。だから、こういったプレートの動きが地域的な地殻の歪みを発生させ、ゆがみが一定以上の大きさになったときに地震になると考えるのは非常に分かりやすい理論だ。その意味で、大きな地震が起こればその後その地域であまり大きな地震が起こることはなく、長期間地震が起こっていない地域では大きな地震を発生させるだけの歪みが蓄積されていると考えることは至極納得が行く。実際、地震空白域で大きな地震の発生可能性が高くなっているという考え方は多くの地震学者の見方でもあるはずだ。
大きな地震が発生するとき、互いに食い違う方向へ働く力があれば、その食い違いを阻止しようとする硬いかみ合いの部分の強さが問題になる。食い違いが動かないように固くかみ合った部分をアスペリティと言う。アスペリティを挟んで両側の断層面が互いに食い違うのが地震活動だ。大きなアスペリティが壊れれば大きな断層面の動きとなる。大きなアスペリティが壊れる前はその周囲の小さなアスペリティが破壊されていくというのは多分ごく自然な推定だと思う。その意味で、微小地震の活発化が大きな地震の予兆になるという考えも自然なものだと思う。
しかし、木村教授の理論で問題なのは微小地震の発生をどう観測するかだ。微小地震は規模が当然小さいが、そのため、微小地震の発生プレートと地震計が設置されているプレートが同じ必要がある。もし、微小地震の発生しているプレートと地震計のあるプレートが異なってしまうと、揺れがあまりプレート境界を超えて伝わることがないため、地震計で微小地震を捉えられなくなってしまうのだ。そのため、一つの大陸プレートの内部の活断層を中心にした微小地震の観測などが地震の目理論の対象となるものだ。活断層の両側はともに地表面に出ていて、地表面に設置されている地震計によってほぼ同じ感度で感知することが出来る。または大陸プレートの下へ海洋プレートが沈み込んでいる海溝部分のように地震のすべり面の両側が地表面に出ている場合にも、両プレートが海溝付近では地表面に出ているので微小地震を同じ感度で観測が出来る。
ところが首都直下は事情が異なる。首都は大部分が北アメリカプレートの上に存在していて、北アメリカプレートの下にフィリピン海プレートがあり、さらにその下に太平洋プレートがある。つまり、関東地方は3枚のプレートがほぼ水平に重なり合っている。それぞれのプレートの動きは異なるため、プレート境界で摩擦が生じ、それぞれのプレート境界や個々のプレートの内部で地震が発生する。しかし、それらの地震の観測は全て地表近くに設置された地震計で行うことになる。つまり、地震計は全て北アメリカプレートの地表近くに設置されているので、例えば太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界の太平洋プレート側で起こった微小地震は、まずフィリピン海プレートに伝わり、次に北アメリカプレートに伝わって地震計に検知されることになる。だから、プレート間で起こる大地震の前兆現象としての微小地震はあまりきちんと観測が出来ない。また、北アメリカプレートよりも下のプレートの内部で起こる地震の微小地震も観測があまり正確にはできない。基本的には地表面が直接乗っている北アメリカプレート内部での大きな地震の前兆現象としての微小地震なら直接地震計で観測できるので木村教授の地震の目理論にとても合っていることになる。
なお、東北地方太平洋沖地震、つまり、311の地震も一応海溝部分で起こった大きなずれなので海溝を挟んだ両方のプレートが地表に出ていて、微小地震を観測し安かったのかも知れないが、基本的に東北沖の太平洋プレートの微小地震を直接測る地震計は設置されていなかったはずなので、東北地方太平洋沖地震の予知は木村教授の理論ではもともとあまりできなかったはず。それがマグニチュードの予測を8にさせてしまった原因だと思う。
次に、串田氏の理論を見てみよう。串田氏の理論は、FM波が上空の電離帯で反射されることを利用している。地震が近くなると、地殻に圧力が強くかかり、岩石の表面に静電気が溜まる。地表面に例えばプラスの電荷が溜まれば上空にはそれに対応してマイナスの電荷が溜まる。そういった電離層に遠くのFM局の電波が反射されて、本来なら届かないはずの遠隔地のFM局の電波が観測所で観測できる。どの地域の上空に電離層が出来、その大きさがどの程度かをみて地震の発生地域と規模を推定しているのだと思う。7:13の法則というものがあるそうで、観測されるFM波の強さのピークの前後の期間の比がほとんどの地震で7:13になるのだという。強さのピークまでの期間が70日ならピークから130日後に大きな地震が起こるということだ。地震の規模や深さにはかなりの変動があるのに、この7:13という法則が出来るというのは不思議な感覚がするが、岩石にかかる圧力と電離との関係が一定であるということかもしれない。
串田理論が取り扱うのは基本的に岩石に圧力が加わる場合なので、逆断層型地震であり、やはり、地表面に活断層が観察できるような地震の観測に向いているはず。つまり、岩石に圧力があまり働かない正断層型地震や横ずれ型地震の時にはあまり前兆現象が発生しないはず。更に重要なことに、FM局が一定の距離のところにある時に串田理論が成立する。つまり、電波は基本的に直進するので、観測所とFM局がある程度離れていて、その間に地震発生地域があるのであれば、ばっちり前兆現象を観測できる。このことが琵琶湖周辺での地震の予知を可能にさせているのだと思う。
首都直下地震は、必ずしも岩石に圧力が働くとは限らない。北アメリカプレートの内部で起こる地震、つまり、地表近くに活断層があるような場合は前兆現象が出やすいはず。しかし、フィリピン海プレートと北アメリカプレートの境界で起こる地震や、更に深い太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界がずれる地震などでは岩石破壊の前兆となる電圧の変化があまり地表面には出ないのではないだろうか。つまり、北アメリカプレート自体にかかる圧力の変化があまりないためだ。
更に、首都直下地震の時、FM局と観測所の位置関係が問題になる。基本的に電波は直進するため、FM局と観測所の間に地震発生域がないと前兆現象をきれいに捉えられない。しかし、関東地方は逆くの字型に曲がったその曲がり角に位置するため、前兆現象をうまく捉えられないはずなのだ。
また、東北地方太平洋沖地震はかなり沖合で岩石破壊が起こり、その更に沖合にはFM局が存在しないので、あまり前兆現象が観測できないはず。これが番組で串田氏がはっきりと前兆現象があったと断言しなかった理由であるはず。
以上見てきたように、木村教授や串田氏の理論はそれぞれ得意とする地震の型があり、そういった条件に合えばかなりの確率で正確な予知を可能にするものだと思う。しかし、首都直下の地震の予知には木村教授の理論も串田氏の理論もあまり向かないのではないだろうか。
約1000年前の貞観地震と2004年の太平洋沖地震は酷似しているという。そうであれば、貞観地震の9年後に発生した相模・武蔵地震と同じく、10年程度以内、つまり、2020年頃までに首都直下地震が発生すると考えるのが一番当を得ているのではないだろうか。
2014年07月23日21時05分 武田信弘 ジオログ(http://geocities.yahoo.co.jp/gl/taked4700)はヤフーブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/taked4700)へ移行しました。1070
- Re: 天罰としての首都直下地震と慎太郎大震災の接近 バロック 2014/7/26 10:39:39
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