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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131115/dms1311150728003-n1.htm
2013.11.15 「日本」の解き方
野田佳彦前首相が昨年11月14日に衆院解散を明言してから、ちょうど1年になるが、その間、アベノミクスの金融緩和策で経済はどのように変わったのだろうか。
筆者の主張は次の通りシンプルだ。日銀が国債を購入してマネタリーベース(日銀が供給する通貨)を増やせば、予想インフレ率が高まる一方、名目金利は上がらないので、名目金利から予想インフレ率を引いて算出する実質金利が下がる。その結果、為替安、株高を伴って輸出、設備投資、消費などの有効需要を増加させるというものだ。
波及ルートのキモは予想インフレ率だ。予想インフレ率を測る指標として、5年の名目国債利回りから物価連動国債利回りを引いた「ブレーク・イーブン・インフレ率」がある。昨年11月ごろに0・7%程度だったが、今では1・7%程度に上昇している。
一方、名目金利は5年でみると、昨年11月ごろは0・2%程度だったが、今も0・2%程度だ。この結果、実質金利を5年でみると、昨年11月ごろはマイナス0・5%だったが、今ではマイナス1・5%と大幅に低下している。
となれば、為替安、株高になるのは経済理論から当然だ。為替は昨年11月に1ドル=80円程度だったのが、今や99円程度まで円安が進み、日経平均株価も9000円程度から1万4000円程度まで上昇した。
国内総生産(GDP)も当然増加している。実質季節調整系列でみると、昨年10〜12月期の517・7兆円から今年4〜6月期に527・7兆円に増えた。民間最終消費支出も309・5兆円から314・4兆円、民間住宅は13・9兆円から14・1兆円、民間企業設備は65・6兆円から66・5兆円、純輸出は6・4兆円から10・1兆円と大きく増加している。
もちろん、こうした上昇は一直線ではない。予想インフレ率は今年1月頃から急上昇し、6月頃には2%に達しようとしていた。筆者は、2003年からの物価連動国債の発行を企画した経緯もあってブレーク・イーブン・インフレ率でみた予想インフレ率をウオッチしてきたが、これほど短期間の急上昇を見たことがなかった。
過去のデータはマネタリーベースの増加から半年ぐらい遅れて上昇し始めるので、市場が先取りしすぎのオーバーシュートとみていたが、案の定その通りだった。8月にかけて急落したが、それでも1・2%程度に踏みとどまり、上昇傾向に変わりはなかった。一進一退を繰り返しながら、9月頃からは再び上昇傾向になっている。今は1・7%程度なので、あと1年半の間(つまり今年4月の黒田緩和から2年のうち)には、2%まで達するのはほぼ確実だ。
インフレ目標は実際のインフレ率が目標レンジに入っていることを要求されるが、経済政策としては「インフレ予想」が目標レンジに入っていればいい。この意味で、アベノミクスの金融緩和策は現時点でもほぼ成功といえるだろう。
唯一の懸念は来年4月からの消費税増税だ。これに対して金融緩和ではもう間に合わないので、財政の出番だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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