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(回答先: 東大話法!悪党学者・伊藤元重のトリクル理論 法人減税は働く人のためだそうだ(笑) (世相を斬る あいば達也) 投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 10 月 13 日 14:30:00)
まず、「■ 法人税率引き下げは税収を減らすのか」という問いだが、法人税は付加価値のなかの最終利益部分に課される税なので、数%の範囲であれば税率よりも景気変動の影響を強く受ける。
景気が悪いときに法人税率を下げると税収が確実に下がり、景気が良いときに法人税率を下げると税収が減少せず増加する場合もある。むろん、景気の良いときに法人税率上げると、法人税税収は大きく増大する。
【法人税税率の変遷】
88年:法人税42%▼(暫定税率1.2%が消滅):法人税収18.0兆円
89年:[消費税3%導入△]・法人税40%▼:法人税収19.0兆円
90年:法人税37.5%▼:法人税収18.4兆円
97年:[消費税国税分1%アップ地方分2%で計5%にアップ]:法人税収13.5円
98年:法人税34.5%▼:法人税収11.4兆円
99年:法人税30%▼:法人税収10.8兆円
12年:法人税28.05%▼(復興増税分を含む):法人税収9.8兆円
※ 戦後最長の好況期と祝えた03年から07年までの法人税税収は、次の通りである。
03年10.1兆円
04年11.4兆円
05年13.3兆円
06年14.1兆円
07年14.7兆円
08年10.0兆円
伊藤元重教授の説明で最も重要なのは、
「まず消費税であるが、これは正確には付加価値税である。消費だけでなく、生産や流通など、付加価値に関わるあらゆる経済活動に税が課される。国が生みだす総付加価値のことをGDP(国内総生産)というが、付加価値税とは、そのGDPに税を課すようなものである。消費者だけに税負担を強いるものではない。」
という部分である。
GDPの要素である各事業者の付加価値に課税するのが消費税であり、その負担を消費者を含む取引先に転嫁するよう政府もサポートするのが消費税である。そして、そこまで政府が介入する目的は、政府が、多くの事業者が稼いだ付加価値をグローバル企業など輸出企業に移転させるためである。国家がひとの財布に手を突っ込んで国家運営に使うのは許せるとしても、ひとの財布に手を突っ込んで、そのお金を特定のひとの財布に投げ込む行為は許せない。
伊藤氏が言っているように、「付加価値税とは、そのGDPに税を課すようなもの」だから、「仕入に係わる消費税額」とか、「売上に係わる消費税額」という概念を持ち出して、輸出について「仕入に係わる消費税額」を控除できるという仕組みは詐欺以外のなにものでもない。
一方、法人税は、付加価値のなかの最終利益部分に課されるものだが、その負担を取引先や消費者に転嫁することについて政府は関与しない。統制経済ではなく自由主義経済なのだから、転嫁できるのなら勝手に転嫁すればいいと考えられている。
法人税減税の“損得勘定”だが、
「 法人税についても、その意味をよく考える必要がある。そもそも企業は、雇用の場であり、技術革新を行う場であり、そして企業が行う投資は経済を活性化させる。法人税率が引き下げられることで企業活動が活発になれば、雇用や賃金が増え、技術革新が経済を潤し、そして投資が景気をよくする。法人税率の引き下げが企業だけを利するとは決して言えないのだ。
法人税率を下げることで、海外からの投資が増えれば、それも日本経済全体の利益につながる。世界有数の高い法人税率を課している日本は、海外から見ればあまり魅力的な投資対象ではない。海外からの日本への投資が悲しくなるほど低調なのが、日本の高い法人税と無関係とは考えられない。
法人税を引き下げることは、インパクトの大きな成長戦略となる。消費税論議のなかで突如法人税引き下げの議論が出てきたことは喜ばしいことだ。 」
上述した法人税減税の歴史と給与総額とりわけ所定内給与の変遷を考えれば、伊藤元重教授が説明している内容があてにならないもの(インチキ)であることがわかる。
98年以降、戦後最長好況期(5年超)を挟みながらも、給与総額はほぼ一直線に減少している。
その間、法人税減税が3度も行われているにもかかわらずである。給与やボーナスなど所定外給与が大きく増加した数年を除き、好況期でも、給与総額が減少してきたのが日本である。
97年:[消費税国税分1%アップ地方分2%で計5%にアップ]:法人税収13.5円
98年:法人税34.5%▼:法人税収11.4兆円
99年:法人税30%▼:法人税収10.8兆円
12年:法人税28.05%▼(復興増税分を含む):法人税収9.8兆円
【給与総額の対前年比】
97: 1.6:★消費税率5%(地方分含む)
98:−1.3:●法人税34.5%に
99:−1.5:●法人税30.0%に
00: 0.1:
01:−1.6:
02:−2.9:
03:−0.7:
04:−0.7:
05: 0.6:
06: 0.3:
07:−1.0:
08:−0.3:
09:−3.9:
10: 0.5:
11:−0.2:
12:−0.6:法人税28.05%に
企業の投資を促進したいのなら、何より需要を拡大させることが第一で、それを基礎に、設備投資額のより多くを課税ベースから控除できるようにしたほうが効果が高い。
従業員の利益なら、ダイレクトに低中所得者向け所得税減税のほうが効果が高い。
法人税を3割未満の企業しか納税していない現実を考えると、その多くは有力企業で、経済的力関係においても優位にあるだろう。
それを前提に考えると、法人税増税は、その負担を授業員や取引先(消費者を含む)に転嫁しがち(転嫁できる)と判断することができる。
法人税増税は、働く人や消費者の「不利益」になる可能性が大だと言える。但し、それによって、低中所得者の所得税が減税されるのなら帳消しになる可能性もある。
一方、法人税減税によって誰が得をするのかという問題の解は、働く人や消費者の利益になるとは言い切れない。むろん、働く人や消費者の利益になる可能性もあるが、統制経済ではなく自由主義経済だから、手元に残った利益は、配当増加、役員賞与増額、内部留保増加に回る可能性のほうが高いだろう。
グローバル企業は、消費税増税と法人税減税の“お礼”として、安倍首相が強く望む賃上げを来年春に2%程度行う可能性はある。その原資は、法人税減税分であり、その賃上げ分については「賃上げ減税」で翌年の法人税額減少に貢献するのだが...。
単独での法人税税率の変更は、増税については高い蓋然性で働く人や消費者の「不利益」になり、減税については配当増加と内部留保増加に回る可能性が高いと言える。
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