07. 2013年7月26日 18:57:46
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ロンドン外為:円、対ドルで続伸−日本の消費者物価上昇で 7月26日(ブルームバーグ):26日午前のロンドン外国為替市場では、円がドルに対して続伸。総務省がこの日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI)が生鮮食品を除くコアベースで1年2カ月ぶりに前年比プラスに転じたため、デフレ脱却で日本銀行が追加措置を講じるとの観測は後退した。 ロンドン時間午前9時24分(日本時間午後5時24分)現在、円の対ドル相場は前日比0.7%高の1ドル=98円59銭。前日は1%上昇した。ユーロに対しては0.6%上げ1ユーロ=131円08銭。週間ベースでは0.9%上昇。ドルは対ユーロで0.1%安の1ユーロ=1.3291ドルでの取引。 総務省の発表によれば、6月の全国コアCPIは前年同月比0.4%上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は0.3%上昇だった。 更新日時: 2013/07/26 17:57 JST ギリシャ向け25億ユーロの支払い、ユーロ財務当局者らが承認 7月26日(ブルームバーグ):ユーロ圏の財務当局者らは26日、ギリシャ向け救済融資25億ユーロ(約3300億円)の支払いを承認した。欧州連合(EU)当局者2人が明らかにした。匿名を条件に発言した。 更新日時: 2013/07/26 18:08 JST 焦点:コアコアCPIもプラス定着へ、デフレ脱却判断には賃金上昇が必要 2013年 07月 26日 16:38 JST [東京 26日 ロイター] - 2012年4月以来、1年2か月ぶりに6月コア消費者物価(生鮮食品を除くベース)がプラス転換し、政府が「デフレ脱却」の判断基準としているコアコアCPI(電気代やガソリン代など円安の影響を除いた指数)も年内にはプラス転換するとの見方が広がっている。
ただデフレ脱却の判断を明確にするためには、賃金上昇の広がりが必要。その可能性は来年の春闘の結果にかかっており、民間エコノミストの間では、デフレ脱却宣言は早くても15年に入ってからになる、との予想が多い。 <景気回復と期待インフレ率上昇で、コアコアCPIも上昇へ> 6月コアCPIのプラス転換は主として円安によるエネルギー価格の上昇が大きい。内閣府がデフレ判断の基準として重視しているのは、コア指数からさらに電気代やエネルギー関連価格を除いたコアコアCPIだ。6月は前年比0.4%の下落で、5月と同じ下落幅となったが、これまで0.8─1.0%の下落が続いてきた推移を考えると、明らかな上昇傾向を示した。 「景気回復による需給ギャップ縮小と、耐久財の下落幅縮小が寄与している。耐久財では長らくテレビの価格下落が影響してきたが、テレビ市場のマーケットプレーヤーが淘汰され、過当競争が緩和しつつあることが要因」と野村証券・木下智夫チーフエコノミストはみる。加えて「円安を価格転嫁する動きも増え始め、インフレ期待の上昇が芽生え始めている」(伊藤忠経済研究所・主任研究員・丸山義正氏)との指摘もある。 コアコアCPIは2009年3月以来、マイナスが続いているが、民間エコノミストの間では、早ければ9月ごろからプラスに転じ、10─12月期には安定した上昇基調が実現するとの見通しが大勢だ。年度後半に向けて、消費増税前の駆け込み需要が一段と増え、需給ギャップが改善するためだ。 消費増税が来年4月に予定通りに実施されたとしても、「いったん上昇が止まるかもしれないが、下落に戻ることはないだろう」(伊藤忠商事・丸山義正氏)との予想も多い。円安による輸出数量効果が出るにはタイムラグがあり、その間に景気回復が続いて設備投資も増加基調となる、などの状況が想定される。 <賃上げなき物価上昇、消費が冷え込む懸念> しかし、デフレ脱却に向けての期待が、予想通りに実現するかどうか、現時点ではなお不透明だ。物価上昇と同程度に賃金も増える必要があり、政府・日銀もその点を重視している。 物価が上昇しても賃上げが伴わなければ、家計の実質所得が減少して個人消費が冷え込み、景気にはマイナスのインパクトを与える。特に来年4月には、消費税率が現行の5%から8%に引き上げられ、物価に上乗せされることになる。日銀では、消費増税に伴うコアCPIへの影響を2%程度とみており、少なくともこれを上回る賃上げが必要になる計算だ。2015年10月には、さらに2%の消費増税が控える。 厚生労働省が発表している毎月勤労統計をみると、5月確報値で賃金のベースアップが反映される「所定内給与」は前年比0.4%減。パートタイム労働者の増加による押し下げ圧力を割り引いても、現段階で賃金が明確に上昇する兆しはみられない。 6月CPIを受け、菅義偉官房長官は26日、賃金上昇を伴わない物価上昇について、「十分、注意しながら対応していきたい」と発言した。政府は今秋にも経済界、労働組合との3者協議の場を設ける意向で、賃上げを含めた議論が行われれる可能性がある。来年の春闘に向け、賃上げをめぐり3者協議の場で前向きの議論ができるかどうかが、デフレ脱却への道筋をつけるカギともいえる。 <デフレ脱却宣言は2015年ごろに> 甘利明経済再生担当相は同日の閣議後会見で、コアCPIがプラス転換したことに触れ、「2%物価目標の実現へスタートを切った」と指摘した。物価上昇の継続は政府が来春の消費増税実施を最終判断するうえで、重要な検討項目となる。 「コアコアのベースで前年比プラスに転じた場合、予定どおりの消費税増税を最終決定する材料となる可能性が高い。また、日銀も、自らのインフレ見通しへの自信を深め、政策の現状維持姿勢を強めることになるとみられる」とクレディスイス証券チーフエコノミスト・白川浩道氏と指摘する。 ただ、08年当時に政府がデフレ脱却宣言を検討した際、GDPギャップ、コアコアCPI、GDPデフレータは判断基準に達していたが、宣言は見送られた。賃金上昇に難があったため、と当時の関係者は明かす。今回、政府が「相当慎重に判断する」(政府高官)としているのも、そのためだ。 民間研究機関などでは、来年春闘で賃上げの動きが広がったとしても、デフレ脱却が確実と確認されるのは2015年になるとの見方が多い。「最終的にアベノミクスの勝利宣言となるデフレ脱却宣言は本当の経済構造転換を成し遂げた後」(野村証券・木下氏)との指摘もある。 (ロイターニュース 中川泉 伊藤純夫 編集 北松克朗) 物価上昇に継続の兆し、期待インフレ率重視に手応え 2013年 07月 26日 16:50 JST [東京 26日 ロイター] - 6月全国消費者物価指数(生鮮食品除く、コア)が1年2カ月ぶりに前年比プラスに転換し、日銀は期待インフレ率が上がり始め、物価上昇の勢いが継続する兆しが見え始めたと手応えを感じている。
ただ、デフレになじんだ人々の物価観が本格的に変化し、多方面で価格転嫁が円滑に進むのか、疑問視する声があるのも事実。期待という数値で捉えることが難しい要素をテコに、物価上昇を実現していくという日銀のチャレンジが問われるのは、これからだろう。 <コアコアCPIもマイナス幅縮小の傾向> 日銀内では、6月コアCPIが前年比0.4%上昇したことについて、表向きは「想定通り」との声が多く聞かれるが、長く続いたゼロ近傍から脱却できたことに安堵する声も漏れている。 確かに物価上昇のウエートを見ると、エネルギー関連や輸入食品など寄与度が高いが、内閣府が公表した6月のコアコアCPI(総合から 生鮮食品、石油製品およびその他特殊要因を除く)は、連鎖基準で前年比マイナス0.4 %と5月と同じ下落幅にとどまり、今年1月の同マイナス0.8%と比較すると、下げ止まり方向への兆しも見える。 テレビのマイナス幅が縮小したほか、ノートパソコンが2カ月連続でプラスとなるなど、長年デフレをけん引してきた耐久消費財の価格に下げ止まりの兆しがみられるためだ。生鮮食品を除く食料や宿泊料やなども下げ幅が縮小している。 <期待インフレ率の上昇、現実味あると判断する日銀> マクロ的には賃金上昇の行方がカギを握るとの声が、市場関係者ばかりでなく、政府部内からも広がっている。日銀でも黒田東彦総裁が今後の所定内賃金の動向について「春闘のサイクルがあり、すぐに上がるのは難しい」(7月11日の会見)と発言するなど、消費増税が重なる来年の春闘に注目している。 ただ、日銀の異次元緩和では、単に賃金の上昇にとどまらず、全く新しい金融政策のレジームの下で、マネタリーベースを大胆に増加させれば、インフレ期待が上昇し、そのことで経済全体の循環に変化を与え、結果として物価が上がるという見方を採用している。 今回の物価上昇は、そのプロセスの始まりであり、期待インフレ率の上昇とともに物価上昇が継続するとの期待感を強めている。 <フィリップス曲線の押し上げで、需給ギャップの解消は可能か> 白川方明前総裁の日銀では、需給ギャップを短期間で埋めて、2年間で2%の物価上昇を達成するのは難しいとの声が主流だった。 しかし、現在は期待インフレ率の上昇によって、失業率や経済成長率と物価の相関を示すフィリップス曲線の傾きをスティープ化させ、需給ギャップをゼロにすることが可能であり、その可能性は高まっているとの立場だ。 これを現実の経済現象に当てはめると、消費者物価指数のプラス転換を契機に、価格転嫁の動きが円滑に進み、人々に染みついた物価観が上がらないという見通しが修正されるということになる。 ただ、その見方に懐疑的な声もある。ある日銀OBは期待インフレ率のシフトが成功するかどうか、「今の時点では両方の可能性がある」と説明する。 また、政府関係者の一部には、2%の物価上昇は無理でも1%程度でも上がれば、政策目標は達成されたのと同じだとの声もある。 <改善する短観の販売価格判断> 2012年も2月から4月にコアCPIがプラス圏で推移したが、5月にマイナス圏に沈んでしまった。テレビの調査品目入れ替えなど特殊な要因もあったが、金融緩和を背景とした円安進行やガソリン価格上昇など、足元の経済状況と共通する要因も多かっただけに、同じ轍(てつ)を踏むリスクを懸念する声が、市場の一部にある。 だが、今年は6月日銀短観で大企業製造業の販売価格判断(上昇から下落を引いたもの)が、マイナス4と昨年6月のマイナス17から大幅に改善した。日銀は人々の物価観に変化の兆しが出つつあるとみる。 (ロイターニュース 竹本 能文 編集;田巻 一彦) コラム:株価1万8000円を呼び込む参院選後の政治力学=丸山俊氏 2013年 07月 26日 16:20 JST 丸山俊 BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト(2013年7月26日) 今回の参院選では事前の予想通り、自公連立与党が過半数を獲得した。日本維新の会とみんなの党が選挙協力に失敗し、反(非)自民票が割れたことが与党の議席を押し上げたと見られる。 とはいえ、自民党単独では過半数に届かなかったほか、自民党は米軍基地問題が暗礁に乗り上げている沖縄で議席を落としたり、生活の党・小沢一郎代表の牙城である岩手でも議席を無所属候補に持っていかれるなど、圧勝の陰に今後の政局運営をめぐって安倍政権が抱える「ジレンマ」が隠されているような気がする。 まず、参院では公明党がキャスティングボートを握ることになった。公明党の政策スタンスは憲法改正問題だけでなく、環太平洋連携協定(TPP)の例外品目、原発再稼動、雇用制度、年金改革などで自民党よりも穏健である。 そもそも、自公連立は1998年の参院選で自民党(橋本龍太郎政権)が過半数を失ったため、後を継いだ小渕恵三政権が99年に公明党と連立を図ったことに始まる。しかし、ねじれ解消のためとはいえ、両党の政策には隔たりも大きく、公明党の持つ創価学会という独自の選挙基盤を当てにしたという側面もあった。いずれにしても、公明党が参院でキャスティングボートを握ることにより、政権の改革姿勢が後退する可能性は否めない。 安倍首相の心中を察するに、最大の誤算は、自民と維新、みんなの党などの改憲に前向きな勢力が国会での発議に必要な3分の2に届かなかったことだろう(ちなみに衆院では3党合わせて3分の2以上を確保している)。安倍首相が憲法96条および9条改正を目指す限り、これらの第3勢力はもとより、公明党の協力が必要になる。 <アベノミクスの要諦は「株高=支持率」> 問題は野党だけではない。安倍首相の最大の弱みは党内における自身の政治基盤が弱いと見られていることだ。自民党総裁選で自身の派閥(町村派)の長である町村信孝氏を押し退けて立候補した安倍晋三氏は無派閥を中心に麻生派、大島派(旧高村派)、谷垣派などの支持を取り付けて総裁に当選した経緯を持つことは周知の通りである。 安倍政権が成長戦略として打ち出した医薬品のインターネット販売解禁やTPP交渉参加に強く抵抗したのが自民党内の保守派だったことは、与党が圧勝した参院選後の政権運営ですら、自民党内からの声にも一定の配慮をせざるを得ない状況を示している。 自民党内に強力な支持基盤を持たない安倍首相が、様々な利害を代表する議員集団である自民党を一つにまとめるための唯一無二の武器こそ「世論の支持」であり、高支持率の背景にある上げ潮・株高(政策)である。安倍政権は参院選までどころか、参院選後も景気を優先せざるを得ないのである。 そうした安倍政権の性格が端的に表れた出来事が、6月上旬に成長戦略を発表した直後の株価急落を受けて、急遽、法人減税や成長戦略第2弾の検討を関係閣僚に指示するなど、株価を上げるためになりふり構わない姿勢を示したことだった。 参院選前だったとはいえ、株式市場の要求に屈して即座に政策変更(追加)を行った内閣がこれまでにあっただろうか。成長戦略第1弾を受けて安倍政権は改革に消極的、小出しの政策というマイナスイメージを覚えた投資家も多かったかもしれないが、筆者の印象は全く正反対である。安倍政権は「株高=支持率」のためであれば、なりふり構わず何でもやる政権との印象を受けた。はっきり言って、これ以上に株式市場にとってポジティブな政治サインを見たことはない。 足元では、参院選直後の世論調査で内閣支持率が軒並み下落するなど、安倍内閣のハネムーンは終わりを遂げつつあるようだ。円安によって日用品などの価格が上昇する一方、賃金の上昇ペースが鈍いこと、交渉が始まったTPP、相次ぐ原発再稼動へ向けた動きなどに世論が敏感になりつつある。このため、海外投資家が注目する改革、すなわち原発再稼動、解雇法制の見直しなどの労働市場改革、社会保障改革といった痛みを伴う政策に本腰を入れて取り組むのは、世論を背景にした公明党や自民党内からの大きな反発を考えると、2014年以降になるかもしれない。 しかし、だからこそ公表済みの成長戦略の具体化や特区による規制緩和、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)の推進、公的年金の運用方針見直しなどには速やかに取り組み、その一方で時間稼ぎのための金融・財政政策の出動も厭(いと)わないのではないだろうか。 実際、消費税率引き上げの判断が迫る中、景気に及ぼすマイナスの影響を緩和するために今年度も大規模な補正予算が編成される公算が大きい。公的年金の株式買い入れ拡大や長期国債を大量に保有する日本郵政の民営化などが決まれば、国債売り圧力を吸収するために日銀は国債買い入れの増額、買い入れ期間の延長、買い入れる国債の年限長期化といった追加緩和を実施する公算が大きい。 安倍首相が憲法改正問題に執着すればするほど「支持率」という束縛から逃れられないこと、そのこと自体が株式市場にとってはプラスなのである。 <もうひとつの消費税率引き上げシナリオ> そんな安倍政権が最初に迎える試練が、消費税率引き上げの是非を判断することである。オプションは、1)予定通り14年4月に5%から8%へ、15年10月に8%から10%へ引き上げること、2)来年4月の引き上げを見送り、15年10月に一挙に5%から10%へ引き上げるというスキップ方式が考えられる。 賃金上昇率で消費税率引き上げ分が相殺できない、要は実質賃金がマイナスの中での消費税率引き上げには景気への悪影響も小さくはなく、国民から不人気であることは明らかである。その意味では、15年10月に一挙に5%から10%に引き上げるのであれば、財政再建を棚上げしないで景気にも配慮できるベストシナリオである。 ただし、来年4月引き上げを先送りとしてしまうと、それ以降の引き上げは難しく、消費税率引き上げの中止(キャンセル)と見なされてしまう恐れがあり、海外投資家を中心に株式や国債は大きく売り込まれる可能性が強い。 日本の政治や政策変化に注目する海外投資家の期待は失望に変わるだろう。10年債利回りは再び1%台まで上昇しても不思議ではなく、悪い金利上昇によって株式市場も大きく動揺しよう。消費税率引き上げの是非は、安倍政権にとって最初の正念場になりそうだ。 <年内1万8000円の前提条件> 筆者は、以下の要因が整うことで、12年12月から13年5月までに起こった強気相場がもう一度(1回目よりはスケールダウンして)繰り返されると考えている。 参院選を経てすでに実現した衆参のねじれ解消に加えて、1)米緩和縮小に伴うドル高・円安、2)消費税率引き上げの影響緩和を意図した大規模補正予算の編成(財政拡張)、3)日銀追加金融緩和、4)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオ見直しや日本郵政上場計画などを受けた国内機関投資家の株式買い入れ、である。 この場合、13年末までに日経平均株価は1万8000円まで上昇するだろう。資産効果や消費者心理の改善を受けた消費の増加やキャッシュフローの改善を背景とする設備投資の増加も株高を下支えする。 もちろん、痛みを伴う国民にあまり人気のない法人税率の一括引き下げ、原発早期再稼働、労働市場の規制緩和、年金改革といった日本経済の潜在成長率引き上げに本当に必要な改革ができなければ、日経平均で1万8000円という株価水準はあくまでも一時的なものであり、維持不可能であることだけは念を押しておきたい。 <日本人が知らない日本株の魅力> 一方、アベノミクスとは別なところで、日本株の存在感が高まっている。その答えは、今後数年にわたる大きなレジームチェンジとなる、米金融緩和の出口戦略にある。 レジームチェンジと言えば聞こえはいいが、要は「この数年間あったことを忘れてください」ということである。政治的には、体力を回復した米国には新興国の助けが要らなくなったということである。経済的には、今まで金利を生まなかったお金(ドル)が金利を生むようになるということ、裏を返せばお金のコスト(資本コストと呼ぶ)が上がるということである。 もちろん、緩和縮小のタイミングについては十分に検討されるだろうが、たとえば最初の緩和縮小が9月だと早すぎて、12月だとちょうどいいなどという問題ではもはやない。すなわち、出口戦略のロードマップを一度手にした投資家は自らのポートフォリオにそれを反映させようとするだろう。 実際、近視眼的なヘッジファンドがまず動き、群集行動となって5月から6月にかけて世界の金融市場を混乱させた。今後は大きな資金を運用する機関投資家が動くことで、そうした動きがトレンド化していくだろう。 つまり、異例な金融緩和下で供給された低利のドル資金は高いリターンを求めて質の低い資産、たとえば新興国株式やジャンク債などに向かったが、ドル金利上昇・ドル高によってマネーの米国回帰が始まったのである。 一方、流動性や財務健全性、デュレ―ション(平均回収期間)などの面で質の高い資産に対する需要は高まり、平時より高い価格が付けられるだろう。国で言えば、米国株や日本株である。英国やアイルランド、ひとつ飛んでドイツなども強い米国の恩恵を受けそうだ。だから、海外投資家は日本株を買っている。 何よりの証拠に高成長を謳歌した新興国のマネーも日本に逃げてきている。そこには、「日本人が知らない日本株の強さ」がある。アベノミクスにかかわらず、3年タームで見て日本株は相対的に魅力的であると、世界中の機関投資家が日本に関心を寄せ始めているのだ。 *丸山俊氏は、BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、三和総合研究所に入社し、クレディ・スイス証券を経て2011年より現職。 アングル:米FRB議長後任人事、サマーズ氏への風当たり強まる 2013年 07月 26日 17:44 JST [ワシントン 25日 ロイター] - オバマ米大統領は、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の後任を数カ月以内に指名する見通しだが、ここへきて有力候補と取り沙汰されるローレンス・サマーズ元財務長官への風当たりが強まっている。
反発の声は共和党ではなく、民主党左派から上がっている。サマーズ氏は、オバマ政権で国家経済会議(NEC)委員長、クリントン政権で財務長官を務めたほか、ハーバード大学学長、世界銀行チーフエコノミストも歴任。クリントン政権下ではアジア金融危機に対処した。 しかし、リベラル派は同氏について、金融規制撤廃を先頭に立って進め、金融危機に至る手助けをしたと批判。ヘッジファンドのD.E.ショウに在籍していたことを挙げ、ウォール街と政府の間を行き来する典型的な人物と指摘している。 サマーズ氏はロイター向けにコラムを執筆している。 同氏の代理人はこの記事に関するコメントを拒否した。 ホワイトハウスとFRBもコメントを拒否した。 FRB、もしくはホワイトハウスに近い複数の関係筋によると、シティグループ経営幹部も務めたロバート・ルービン元財務長官ら複数の有力民主党員が水面下でサマーズ氏を支援しているという。 サマーズ氏は、もう1人の有力候補、ジャネット・イエレンFRB副議長とともに、議長に就任してもバーナンキ氏の路線を大枠で引き継ぐとみられている。 サマーズ氏の支援者らは、同氏には金融危機に対処した強みがあると主張している。 クリントン政権下の財務省でサマーズ氏と働いた経験があるカリフォルニア大学バークレー校のブラッド・デロング教授は「コンセンサスがある時は誰がFRB議長になってもほとんど問題はない。問題がある時には既成概念にとらわれずに考えなくてはならず、その際に彼(サマーズ氏)の強みが生きる」と語る。 関係筋によると、サマーズ氏に反発する民主党上院議員らは、オバマ大統領にイエレン氏を指名するよう書簡をしたためた。イエレン氏が議長に就任すれば初の女性FRB議長となる。 民主党のシャーロッド・ブラウン上院議員(オハイオ州選出)は書簡に携わったとされる。何人の上院議員が署名したかは不明だが、トム・ハーキン上院議員(アイオワ州選出)ら複数の民主党議員は、サマーズ氏ではなく、イエレン氏が議長に好ましいと公言している。 ブラウン上院議員の広報担当者に電子メールでコメントを求めたが、回答はなかった。 イエレン氏の広報担当者もコメントを拒否した。 バーナンキ議長は、2期目の任期が切れる2014年1月31日をもって退任するというのが大方の予想だ。 サマーズ氏を批判する人の中には、オバマ大統領が女性ではなく、女性差別主義者と批判される男性を指名する可能性は低いとみる向きもある。サマーズ氏はハーバード大学学長時代に女性差別的な発言で謝罪に追い込まれたことがある。 ポトマック・リサーチ・グループのチーフ・ポリティカル・ストラテジスト、グレッグ・バリエール氏は顧客向けノートの中で「バーナンキ議長の後任候補として聡明な女性がおり、彼女はFRB内部で大変尊敬されている」として、オバマ大統領がイエレン氏を指名するとの見方を示した。 <グラス・スティーガル法廃止を後押し> サマーズ氏はクリントン政権下での財務長官時代、グラス・スティーガル法廃止を後押し。商業銀行がリスクの高い金融商品を手掛けるようになった。 オバマ大統領の2度の選挙戦を支援したリベラルグループ「Moveon.org」は、サマーズ氏が深刻な不況に至る下地をつくったとして、「サマーズをFRBトップにするな」と題する請願書への署名を集めている。 上院銀行委員会のジェフ・マークリー委員(民主党、オレゴン州選出)はロイターに対し、サマーズ氏がFRB議長に指名されれば「当惑する」だろうと指摘。「規制や規制撤廃をめぐる彼の哲学に関して聴取する必要がある」と述べた。 <FRBの政策形成にマイナスか> オバマ政権に近い関係筋は、大統領がサマーズ氏の指名を非常に前向きに検討していることが信じられる理由があると指摘。同氏の指名に傾いているとすら感じられるという。 この関係筋は、サマーズ氏のウォール街との関係や危機管理の経験を大統領は重要だとみなしているのではないか、と指摘する。 一方で、FRBの内部事情に詳しい複数の関係筋によると、職員や一部の連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは、時折みられるサマーズ氏の他人の気持ちを考慮しない態度が、コンセンサスを重視するFRBの政策形成にマイナスになるのではないかと懸念している。 これらの関係筋は、敏感な問題だとして匿名を希望した。 イエレン氏はバーナンキ議長の後任として、金融市場参加者を対象としたメディア調査での人気は高いが、アナリストらは、サマーズ氏はオバマ大統領との関係の近さが有利だと指摘する。強力な支持者も強みだ。 前出のバリエール氏は「彼(サマーズ氏)の支持者らは支援活動を積極化しており、彼が(FRB議長のポストに)興味があるのは明白だ。そしてそれが命取りになる。もしもこの町で大きなポストがほしいなら、控え目にならなければならない」と語る。 指名プロセスに詳しい関係筋によると、オバマ大統領はまだFRB議長の後任を決めておらず、指名発表は今秋までは予定されていないという。 ( 翻訳 川上健一;編集 内田慎一)
国内企業決算に戸惑い、短期筋による株安・円高を増幅 2013年 07月 26日 16:43 JST [東京 26日 ロイター] - 「アベノミクス」の恩恵を期待した企業業績への戸惑いが市場に広がっている。26日に日本株安とドル安・円高が進んだのはCTA(商品投資顧問業者)など短期筋のポジション調整が中心だとみられているため、リスクオフムードはそれほど強くない。 しかし、株価は前日までと比べ押し目買いが乏しく、下げ幅を広げた。その背景には国内企業業績への期待感後退があるという。4─6月期の決算発表は始まったばかりだが、序盤の輸出企業で、円安効果を除けば数量増による利益上昇はまだ限定的であることが明らかになった。企業業績が伸びなければ賃金上昇も期待できず、デフレ脱却も難しくなる。 <業績回復なくしてデフレ脱却なし> 今週から本格化している4─6月期国内企業決算へのマーケットの期待感は高い。「アベノミクス」による円安や補正予算効果などが企業業績の改善という形でに本格的に表れてくるのではないかとみられているためだ。「通期の業績予想を上方修正するのは中間決算の発表時点になるとしても、アナリスト予想が引き上げられれば十分」(国内投信)との声も出ている。一足先の3─5月期決算発表では過去最高益を更新する小売り企業が多かったことで、自動車など主力輸出企業の決算発表には期待感が強まっている。 しかし、キヤノン(7751.T)や信越化学工業(4063.T)、日産自動車(7201.T)など序盤の主力輸出企業の決算は、株価の反応を見る限り、市場の期待感を満足させるレベルではなかったようだ。円安効果は出ているものの、欧州や新興国での苦戦が目立つ。「予想株価収益率(PER)は約16倍と全体的な割安感は乏しい。序盤の決算発表がさえなかったことで慎重なムードが広がっている」(しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏)という。 6月の生鮮食品を除く全国コアCPI(消費者物価指数)は前年比0.4%上昇と市場予想を上振れし、1年2カ月ぶりにプラス圏に浮上したが、このまま日銀・政府が目標とする2%まで一気に上昇するとの見方は少ない。足元の物価上昇はエネルギー価格や輸入価格の上昇による要因が大きく、持続的な物価上昇に欠かせない賃金上昇が依然として見込めないためだ。一時金ではない継続的な賃金上昇には企業業績の本格的な回復が必要になる。 みずほ銀行・国際為替部マーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は「頼みの東京都区部CPIは7月の食料とエネルギーを除く総合指数が前年比マイナス0.4%となり、結局上がっているのはヘッドラインだけだ。円安のデメリットとしての物価上昇は見られるが、コアコアベースでは引き続きマイナスが続いており、需給のひっ迫を受けた物価上昇はまったくみられない。相変わらずディマンドプル型ではなく、コストプッシュ型だ」と述べている。 <海外勢の日本株買いも一服> 本格化する決算発表を前に慎重ムードが広がる中、日本株市場では、現物株に前日までのような押し目買いが入りにくくなっており、現物株の商いは薄い。先物中心の相場展開となるなか、「為替と連動した先物売買を行うCTAなどの株先売りの影響が強まり、裁定解消売りを誘って下げ幅を広げている」(国内証券)という。26日の日経平均は400円を超す下落となり、1万4100円前半まで軟化した。 東証の主体別売買動向によると、5月の急落以降も、外国人投資家は計1兆6800億円、日本株をコンスタントに買い越しているが、市場筋によると、26日の寄り付き前の外資系証券6社経由の注文状況が22営業日ぶりに売り越しになるなど、海外勢の買いにも一服感が出ている。「富士電機(6504.T)など好業績銘柄には買いが入るため地合いはそれほど悪くないが、期待外れの決算も多いため様子見ムードが出ている」(大手証券トレーダー)という。 外為市場では、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や7月米雇用統計など重要イベントを控えたポジション調整のドル売り・円買いが出てドルは98円後半まで下落した。「米経済の回復傾向は変わっておらず、米金融緩和縮小によるドル高トレンドは継続するだろう。ただ短期的にポジション中心の相場展開になっており、サマーズ氏の量的緩和に否定的な発言やFRBの失業率目標が6.0%に引き下げられるといった観測記事によって振られされている」とIG証券マーケットアナリストの石川順一氏は話す。 海外投資家が重視する株主資本利益率(ROE)は世界の平均が15%程度なのに対して、日本企業は8%程度。コーポレートガバナンスの評価も低い。日本の景気回復やデフレ脱却による中期的な業績回復期待は消えていないが、本業回復にはまだ遠い企業も多く、円安などの買い材料が一服してしまえば相対的な魅力の低さが際立つことになる。政府の成長戦略に頼るだけでなく、企業も構造改革を進めることが求められている。
ブログ:意外と低い市場の参院選評価 2013年 07月 26日 10:52 JST 伊賀 大記 市場予想通りの自公圧勝となった参院選。衆参の「ねじれ」解消で政策推進期待が高まっていると思いきや、当の市場参加者からは低い評価も聞かれる。それは安倍政権への不安というよりも、選挙自体のお粗末な結果によるものだ。 戦後3番目の52.61%という低い投票率、特定団体から後押しを受けた候補の上位当選、政策よりも自分の名前と頑張りますという言葉だけが響く選挙活動、当選後のインタビューですら自らの政策方針をきちんと話せないような候補──。こうしたことは、何も日本だけの現象ではないが「何も変わらなかった」と嘆く声はマーケットで多い。 しかしながら、この結果を招いたのは、誰でもないわれわれ国民自身だ。本当に能力のある政治家に出てほしい、既得権益の抵抗を排してでも規制緩和や構造改革を進めてほしい、持続的な経済成長軌道に乗せてほしい、など国民のほとんど誰もが口にする要望だが、実際の投票行動はだいぶ違う。 政治家が「理想よりも現実」と思ったとしても責められないだろう。誰もが日本の閉塞感を感じていながら、構造改革よりも目先の利益誘導が大事なのだという現実を今回の参院選は示した。たとえ、政治家が勇気をもって構造改革を実施したとしても、国民からの本当の支持のない体制が維持できるかは誠に疑問だ。 ありがたいことに昨年11月から約10兆円、日本株を買ってくれた海外投資家の日本に対する期待は高いままだが、期待を実践できなければ失望に変わる。国内投資家は依然慎重で、買い支えてくれそうにもない。そうなれば株高・円安効果に多くを依存している「アベノミクス」は瓦解してしまうおそれがあろう。 「国の政治は、その国の一人一人を映し出した鏡である」──序文の「天は自ら助くる者を助く」という言葉で有名な英国の作家サミュエル・スマイルズの著書「自助論(Self-Help)」にはそう書かれている。「国民の水準と政治の水準は必ず同等になる。国民に比べて政治が優れているとか劣っているということはありえない」。耳の痛い言葉である。 [東京 26日 ロイター]
コラム:景気停滞を先読みする長期金利、成長戦略の追加策不可欠に 2013年 07月 23日 14:47 JST [東京 23日 ロイター] - 田巻 一彦 日本の長期金利が低下し始めた。この2カ月間、0.8%がほぼ下限を形成していたが、23日は0.770%まで低下している。背景には、日銀オペによる国債大量購入の効果が本格的に出てきたほか、安倍晋三内閣が打ち出した成長戦略に対し、「迫力不足」の見方が市場でジワジワと広がっていることがあるようだ。成長戦略には、「異次元の規制緩和」などのサプライジングな追加策が不可欠だ。 <0.8%割れの長期金利、出てきた日銀オペの効果> 10年最長期国債利回りは、5月中旬に0.8%台に上昇後、概ね0.8%が下限となって推移し、最近はレンジの上限も0.8%台に収まる変化幅の小さい取引が続いていた。 市場関係者によると、日銀による国債の大量購入が続き、4月4日の「黒田緩和」発表直後に高まったボラティリティが次第に落ち着きを見せ、銀行勢がボラティリティの高さを理由に国債売却を急ぐ必要がなくなったことが大きく影響しているという。 その意味で、日銀の大規模な国債購入という政策が、足元の市場では金利低下圧力の増大というかたちで、本格的に効果を見せていると言えるだろう。 <日米金利の連動性遮断した信託銀行の国債買い> 私は、米長期金利が一時、2.6%台に上昇した5月下旬以降の局面で、日本の長期金利が急上昇しなかった要因として、日銀の国債大量購入のほかに信託銀行の買い越し基調があった点を指摘したい。 国債投資家売買動向によると、6月に都銀が中期債を9090億円売り越したが、信託銀行は1兆0261億円の買い越しだった。信託銀行の買いで都銀の売りを吸収して「お釣りがくる」構図となっている。 長期債では、都銀が531億円の小幅買い越しとなったものの、地銀が2804億円の売り越しだった。ここでも信託銀行は1952億円の買い越しだった。 中期債に限定すると、都銀は4−6月に2兆8205億円を売り越したが、信託銀行は3兆6778億円の買い越しとなっており、都銀の売りを吸収する規模の買い注文を出していたことがわかる。 信託銀行の背後には、年金などの機関投資家が存在する。日米長期金利の連動性が足元で遮断されている要因の1つとして、年金系の国債買いがあると言えるだろう。 <0.8%下限、2年・2%の日銀コミットが影響> こうした国債買いの要因があっても、前週末22日までは0.8%が下限となって、そこまで利回りが低下すると売り注文が出てきたという。ある国内銀の関係者は「日銀が2年で物価を2%まで上げると宣言しており、金利低下を深追いして国債を買えないというムードがあった」と話す。 では、今週に入ってどうして長期金利は下げ始めているのか──。そこには、政府の成長戦略に対する辛口の評価が隠されているようだ。 <今のままの成長戦略なら、こう着相場続く> 複数の市場関係者によると、参院選の結果を受けた22日の東京市場で、日経平均.N225の上値が重くなり、ドル/円も100円を割り込んだのは「織り込み済みの選挙結果を見た利益確定売り」(外資系証券)に加え、「安倍政権の成長戦略が迫力不足で、実効性が弱いという見方が、海外勢や国内市場関係者の中で広がっていることが影響した」(国内市場関係者)という。 ある外資系証券の関係者は「法人税減税などインパクトのある政策が成長戦略に追加されるまで、今のようなこう着した相場が継続するだろう」と予想している。 別の国内銀の関係者は「米連邦準備理事会(FRB)の資産購入額削減や中国経済の減速長期化など、円安効果を相殺するような材料が少なくない」と指摘。その上で「長期金利が0.8%を割ってきたのは、国内景気の回復が今のペースでは継続できず、いずれ失速感が出てくると先読みした市場関係者が、予想外に多かったからだろう」とみている。 <異次元の規制緩和や法人税減税の追加が必要> ただ、日本経済への期待感が大幅に削ぎ落とされているわけではないようだ。新興国の経済減速が明らかになり、相対的に元気な先進国の中でも日本の成長率は最も高い。消去法的に日本株が選好されやすい地合いになっている。 しかし、そのパワーは決して今年初めのような強さではない。安倍政権が、もし、株価を一段と押し上げたいのであれば、岩盤規制にくさびを打ち込む「異次元の規制緩和」の姿を具体的に示すことだ。 さらに多くの市場関係者が難しいとみている「法人税減税」などサプライジングな政策を成長戦略に追加し、政権の浮揚力を増強させるべきだろう。 すでに発表されている内容だけを10月の臨時国会で法案化しても、株価の上昇は限定的な範囲にとどまると予想する。その時、長期金利がじわじわと低下を続けていれば、それはアベノミクスに対するマーケットの「警戒信号」と見るべきだ。
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