03. 2013年7月11日 14:33:52
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日銀は景気判断に「回復」盛り込む、政策据え置き:識者こうみる 2013年 07月 11日 13:58 JST [東京 11日 ロイター] - 日銀は11日の金融政策決定会合で政策の継続を全員一致で決めた。輸出や設備投資の改善を受け、景気の現状判断を「緩やかに回復しつつある」とし、7カ月連続で判断を引き上げた。景気判断に「回復」という言葉が盛り込まれたのは、2011年1月以来2年6カ月ぶり。市場参加者のコメントは以下の通り。 ●時間経過につれシナリオと現実のかい離拡大へ <みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏> 展望リポート中間評価では、民間調査機関の見通しからかけ離れた強気の景気・物価見通しを示した。日銀短観や5月CPIコアなど、日銀が展望リポートの中間評価を行うにあたって追い風となる数字が少なからず出てきている。 一方で、1)賃金伸び悩みが毎月勤労統計でも確認されている、2)景気ウォッチャー調査の基調判断が下方修正された、3)CPIがプラス幅を急拡大していく可能性が引き続き小さい──など、日銀にとっての逆風も少なくない。2014年4月に消費増税が予定通り実施される場合の景気動向は、日銀の楽観的なシナリオよりもおそらく悪いだろう。 また、電力4社が5原発10基で原発再稼働を申請したので、来年に入ったあたりから再稼働が実現すると、貿易収支や企業業績が改善する一方、発電コストの低下から電気代が値下がりし、CPIコアを押し下げることも予想される。 この先は時間の経過とともに、シナリオと現実のギャップが拡大して、説明に苦慮するだろう。来年10月の展望リポート発表のころが、だれの目にも日銀の公約未達成が明らかになるタイミングであり、金融政策運営を先行きどうするかが議論される大きなヤマ場になるのではないかと予想している。 ●海外リスク要因、下振れ認識しつつ議論 <SMBC日興証券 債券ストラテジスト 岩下真理氏> おおむね4月の展望リポートの見通しに沿って推移しているため、金融政策に変更はなかった。設備投資と生産を前向きに捉えたことで、2011年1月以来2年6カ月ぶりに景気判断に「回復」という言葉が盛り込まれた。中間評価の実質経済成長率(GDP)については、2013年度は、データがそろってくる中で、実現できる視野のレベル感で数字が出されている。14年度、15年度に関しては、不確実性が多く、希望的観測による強い数字ではなくなった部分があり、極端な数字がなくなった印象だ。消費者物価指数(CPI)は基本的に大きなブレはない。海外のリスク要因については、新興国の記述などを微妙に変えることによって、下振れリスクを認識しつつ議論がされたことが、ある程度分かる表現変更となっている。 ●景気判断引き上げは素直に評価、実体経済を反映 <松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏> 事前には一部で追加緩和を望む声もあったが、金融政策の現状維持は想定どおりだ。景気判断を7カ月連続で引き上げ、2年6カ月ぶりに「回復」という表現を入れたことは素直に評価できる。異次元緩和が心的側面に働きかけ、個人消費の回復など改善しつつある実体経済を反映していると言える。展望リポートの中間評価では、2013年度と14年度の実質経済成長率見通しと消費者物価指数(CPI)の見通しをそれぞれ下方修正したが、もともと高めの数値を見込んでいたこともあり、実態に即したものに修正してきた印象だ。CPIは6月にもプラスに転じるとみられ、いよいよデフレ脱却が強まるだろう。 ●14年度財政下押し圧力を過少評価、目的ありきのシナリオ <バークレイズ証券 チーフエコノミスト 森田京平氏> 経済・物価見通しの数字は、13年度についてはやや下方修正された理由がわからない。4月以降ここまで、成長率を下方修正する理由はないはず。 一方で14年度の見通しはやや下方修正されたとはいえ、高すぎる気がする。消費増税や公共工事が減少するフィスカルドラッグがあるにもかかわらず、1.3%という見通しとなっており、実際にはもう少し低くなるはず。物価見通しも消費税込みで3.3%というのは、GDPギャップの縮小を考慮すると高すぎるように思う。日銀はGDPに対する物価の反応を高くみていることや、期待インフレ率の上昇でフィリップスカーブが上方シフトすると見ているのだろうが。15年度は、14年度の見通しを強気に出しているために、物価が1.9%という、目的ありきのような見通しになっているのだろう。いずれにしても、為替や原油価格の前提を公表していないので、物価の見通しがどう設定されたのか、評価が難しい。 ●現状維持をきっかけにドルロングの巻き戻し <FXプライム 取締役 上田眞理人氏> 昨日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の発言にせよ、日銀決定会合の現状維持にせよ、中央銀行としては、極めてまともな発言や判断を示しているに過ぎないと考えるが、市場はドル売りで反応した。日銀については、現時点で追加緩和の必要もなく、そうした措置が出るはずがないにもかかわらず、予想通りの「現状維持」だったことで、円が買い戻されるという不自然な展開となった。 こうした一連の反応は、これまで市場がかなりドルロングに傾いていた証左であり、ドル全面安は、その反動とみることができる。過剰に累積したドルロングの巻き戻しが、バーナンキ発言や日銀の判断をきっかけに一気に噴出したものだ。こうした動きが一巡すれば、98円近辺に再びドル買い需要が集まってきているようなので、ドルは底打ちするとみている。今回は93円、94円を目指すような流れにはならないだろう。
日銀景気判断に2年半ぶり「回復」盛り込む、金融政策は維持 2013年 07月 11日 13:35 JST [東京 11日 ロイター] - 日銀は11日の金融政策決定会合で、2%の物価目標達成を目指して資金供給量(マネタリーベース)を年間60兆─70兆円増やす「異次元緩和」政策の継続を全員一致で決めた。現行の資産買い入れ方針も継続する。
輸出や設備投資の改善を受け、景気の現状判断を「緩やかに回復しつつある」に引き上げ、2011年1月以来、2年半ぶりに「回復」の表現が復活。2015年度に物価上昇率が2%程度に達するとの見通しを維持した。 景気判断の上方修正は7カ月連続。 前月は「持ち直している」と判断していた。輸出を「持ち直している」、設備投資を「持ち直しに向かう動きもみられている」などそれぞれ上方修正。こうした内外の需要動向を反映し、生産も前月の「持ち直している」から「緩やかに増加している」に判断を引き上げた。 先行きは、足元の「回復」を反映して「緩やかに回復していく」とし、前月の「緩やかな回復経路に復していく」との見方を修正。物価については、全国の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年比上昇率が足元でゼロ%まで回復しており、先行きも「プラスに転じていく」との見通しを示した。予想物価上昇率は「上昇を示唆する指標がみられる」としている。 今回の会合では、4月に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の中間評価を行い、経済・物価の先行きは日銀シナリオと比べて「おおむね見通しに沿って推移する」と展望した。日銀が2年程度で2%の物価安定目標の実現を目指す中で注目される2015年度のコアCPI見通しは、消費税率引き上げの影響を除いて前年比プラス1.9%となった。4月時点の見通しと同水準で、2015年度にコアCPIが同プラス2%程度に達するとの見通しを維持した。 一方、その他は、すべてが0.1%ポイントの小幅下方修正。実質経済成長率見通しは、13年度に同プラス2.8%、14年度に同プラス1.3%、15年度に同プラス1.5%を見込み、コアCPIは13年度に同プラス0.6%、14年度に同プラス1.3%を想定している。これらの数値は、9人の政策委員の見通しから最大値と最小値を除いた中央値として公表している。 6月に続いて木内登英委員が2%の物価目標をより緩やかに目指すよう提案したが、反対多数で否決された。 (伊藤純夫 竹本能文)
国内への設備投資、生産能力に余力がある中では困難=自工会会長 2013年 07月 11日 11:44 JST [東京 11日 ロイター] - 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車(7203.T)社長)は11日の定例会見で、政府が民間企業の国内設備投資を拡大する目標を掲げていることについて「国内の生産能力に余裕がある中、生産拡大に向けた設備投資は困難と言わざるを得ない」と述べた。 その上で、車ユーザーの税負担軽減など法整備が進まなければ「優先順位として海外が高くならざるを得ない」と語った。
情報BOX:6月FOMC議事録、スタッフ予想に関する部分 2013年 07月 11日 12:27 JST [10日 ロイター] - 7月10日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月18─19日開催分)のスタッフ予想に関する部分は以下の通り。スタッフ予測はFOMCの討議資料になっている。
「6月のFOMC向けに用意されたFRBスタッフの経済予測では、実質国内総生産(GDP)の伸び率に関する短期的な予測は前回からほとんど変わっていない。しかし、中期的予想は若干上方修正された。 スタッフは、株価や住宅価格の動向に関する予測を引き上げた。それにより、中期的な消費支出の予想も上がった。また国内原油生産予想を引き上げたため、原油輸入予想が下げられた。 これらのプラス要因は、GDPの中期的予想によって幾分相殺されている。GDPの中期的予想では、長期金利とドル相場がともに上昇するとされている。 スタッフは、今年は財政政策が引き続き経済成長の足を引っ張ると予想されることから、実質GDPの拡大ペースは潜在成長率を幾分上回る程度と予想している。また、実質GDPは、緩和的な金融政策、財政政策によるマイナスの影響の緩和、個人・企業センチメントの改善、借り入れ・金融の状況の一段の改善に支援され、2014年、15年と穏やかペースで増加すると予想している。 この間の経済活動の拡大は、労働・生産市場の緩みを徐々に解消し、失業率を段階的に下げると見込んでいる。 スタッフは長期的な自然失業率に関する見解は変えていないが、それに向かって低下する動きが従来の想定に比べ、より顕著になっていると判定。この結果、今後2年の失業率予想が従来予想から若干下方修正された」 「最近の消費者物価動向などを反映し、短期的なインフレ予想も前回から若干下方修正された。ただ、スタッフは、最近のインフレの落ち着きは一時的なものと考えており、中期的予想は大幅に変更していない。 今年後半にはインフレが上向くと予想している。ただ、長期インフレ期待が安定し、コモディティ価格や輸入価格の変化が小幅にとどまると想定し、予測期間中に資源の緩みが徐々に是正されるとの見込みから、インフレは2015年末まで比較的抑制されると予想している」 「スタッフは経済活動に関する予測を取り巻く不確実性は過去20年の経験との比較でノーマルとみている。しかし、欧州情勢や米国経済が打撃を克服する能力への懸念などから、リスクは依然下向きと判定している。インフレの見通しは不確実としながらも、リスクは均衡しており、異常に高いとは考えていない」
米FRB議長、退任視野に自身の功績について語る 2013年 07月 11日 12:48 JST [ケンブリッジ(米マサチューセッツ州) 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は10日の講演で、任期終了を視野に退任した際に自身が残した功績として記憶に残ってほしい事柄について金融政策の透明性向上への取り組みなどを挙げた。
2002年にFRBに加わったバーナンキ議長は当初06年にブッシュ前大統領から議長に指名され、過去約80年間で最悪となる07─08年の金融危機時に政策の舵取りを担った。 議長は自身の実績がどのように受け取められることを望むかと質問され、FRBは過去10年間に劇的な変化を遂げたと指摘。自身が一般の人の理解を容易にする努力をしてきたことを強調した。 全米経済研究所(NBER)主催の講演で「私は11年ほど前、コミュニケーションと透明性への関心を持つ総裁として(FRBに)やって来た。その分野でFRBは大きく前進した」と述べ、四半期ごとの記者会見の導入や2.0%のインフレ目標採用などをFRBの変革として挙げた。これらはFRBのコミュニケーション方法における大きな進展を示している。 バーナンキ議長は自身の功績が何かは結局のところ他者が判断することだと指摘した。 議長の退任をめぐっては来年1月の任期終了時点になるとみられている。これまで議長は公式の場で自身の今後の計画について述べていないが、オバマ大統領が前月「(バーナンキ議長は)すでに議長自身が考えた以上の期間在任している」と述べたことで退任の観測が強まった。 バーナンキ議長はまたFRBの功績として経済成長支援策や、金融危機の再発防止に向けた銀行システムのリスク監視などFRBが講じた積極的な措置を挙げた。 議長は「金融政策ではゼロの下限に直面した。われわれがそれにうまく対処したかどうかは人々の判断するところだ」と控えめに語った。
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