http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/859.html
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アベノミクスそのものが、来年・再来年と続く消費税増税をスムーズに実施するための政策であるが、スケジュール化されている消費税税率アップを“無期延期”にするか実施に踏み切るかが日本経済の浮沈を決することになるだろう。
転載する記事も「消費増税が関門」と指摘しているが、正鵠を射ている。
付加価値税である消費税の税率が5%アップすることは、「額面給与+企業負担社会保険料」に対する“所得税”が5%アップすることと同じである。ゴマカシの課税構造でそのような内実が見えにくくなっているという話である。
企業も、最終利益ではなく、荒利に対して“法人税”が5%アップ(赤字企業は有無を言わせない法人税10%)することになる。
消費税を3%・2%と増税すれば、膨大なバラマキ(財政出動)をしない限り、GDPも税収も、間違いなく大きく沈み込むことになる。
(ただし、「輸出戻し税」で“不当に”還付を受けるグルーバル企業は、そのような“重税”から逃れられる)
このような論理から、消費税増税が経済活動を阻害しないようにするためには、財政出動で、労働者及び国内専業企業や商店などに増税に見合うだけのバラマキを直接ないし間接的に行わなければならない。
消費税増税は、財政健全化とは無縁のグローバル企業支援策でしかないのだから、円安状況を奇貨とし“無期延期”にすべきである。
来年4月の消費税増税は、今後も90円超えの円安が続く見通しであれば、延期される公算が高いと思っている。
住宅など消費税増税前の駆け込み需要もあるから、それをわざわざ消滅させる“延期宣言”はぎりぎりまで行わないだろう。
※ 参照投稿
「税収の伸び「大きな指標」=消費増税の判断―麻生財務相:伸びても不要、減ったら当然中止で、いずれにしても“無期延期”が正解」
http://www.asyura2.com/13/senkyo150/msg/568.html
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浮上する日本経済[日経新聞]
(上)景気、消費主導で回復
投資への波及カギ
デフレの海に沈んでいた日本経済が浮上してきた。株高を支えに消費が勢いづき、生産増を呼んでいる。円安を追い風に企業もそろり投資に動き出している。世界経済は米国の好調が続くものの、中国など新興国の高成長は陰りが見える。マネーの流れも波乱含みだ。内需主導の回復が来年4月の消費増税を乗り越えて持続するかには、不透明感も漂う。
朝鮮特需以来の上げ相場――。日経平均株価は直近3四半期で54%と1952年以来、60年ぶりの上昇幅を記録した。原動力は安倍晋三政権の経済政策アベノミクスの第1の矢、金融緩和だ。
早くも駆け込み
株高で人々の財布のヒモは緩んでいる。高島屋東京店の6月の宝飾品売上高は前年比2割以上伸びた。山口県の山口日産自動車は平均で1台1450万円のポルシェを4〜6月に13台受注した。20台程度だったこれまでの年間販売台数の半分強が3カ月で売れた。
消費は裾野も広がりつつある。大阪府のユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、グッズの購入単価が前年より1割ほど上がった。20〜30代向けの宝飾品店「4℃」を運営するF&Aアクアホールディングスの鈴木秀典社長は「若者も記念日に高価な贈り物を買うようになった」と指摘する。
住宅投資は消費増税前の駆け込み需要で早くも活況だ。不動産経済研究所によると、5月の首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月と比べ5割増えた。積水ハウスは175万円の太陽電池や20万円の断熱仕様付き「ゼロエネルギー住宅」を4月に発売したところ、5月の新築戸建て受注の4割を占めた。
日本経済は個人消費が主導する「ほとんど前例のない回復軌道」(日銀幹部)を歩き始めた。ITバブル崩壊後の2002年の回復期は消費が低迷し、エンジンは輸出だけだった。今回は国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が昨年11月から半年弱で1%増加。1〜3月期の実質経済成長率は年率4.1%と先進国最高となった。
拡大する消費は小売業の投資に点火した。日本経済新聞社の小売業調査で13年度の主要企業の設備投資額は前年度より18%増える見通し。慎重だった製造業でも一部に前向きな動きが見られる。
日本板硝子は舞鶴事業所(京都府舞鶴市)に50億円を投じ、来年2月にもスマートフォン向けの高品質ガラスの生産能力を高める。大型投資は2年ぶりだ。円安で人件費もドル換算で見れば下がる。国内でも採算が合うと見て「成長分野には積極投資する」(吉川恵治社長)。
円安で輸入コストが増え、企業が海外でなく国内で投資するハードルは下がっている。冷凍食品のピーコック(新潟県長岡市)はベトナムで作って輸入していた大型たこ焼きの製造設備を小国工場(同)に新設した。
設備投資全体の足取りはまだおぼつかない。6月の日銀短観で全産業の設備投資計画は13年度上期に前年同期比9.6%増と大幅な上方修正となった。控えていた設備の維持更新投資が一気に出た。だが、下期の計画は4.2%減。企業は先行きには慎重だ。工作機械の営業現場からは「中小企業から引き合いはあっても受注に結びつかない」との声も漏れる。
消費増税が関門
アベノミクス第2の矢、経済対策は年末にかけて息切れする。中国への建設機械の輸出台数が5月に前年同月比7割強も減るなど、新興国経済にも不安がある。輸出は円安で採算が改善したが、数量は5月も前年同月比4.8%減。駆け込み需要や金融緩和といった浮輪が外れた後、自律的な回復が続くかには不安がつきまとう。
民間調査機関の予測をまとめた「ESPフォーキャスト調査」によると、13年度の実質成長率は四半期ごとに年率3〜4%の高成長となり、消費増税がある来年4〜6月期は5%台のマイナスに急減速する。その後の成長率は2%超からマイナス成長まで予測が大きく分かれる。増税後の展望はまだ見えていない。
所得好転には時間 持続的成長へ改革急務
金融緩和をテコに景気回復の歯車は動き出した。焦点は政策の後押しが消えても浮上し続ける地力をつけられるか。カギは賃金が握る。働く人が手取りの増加を実感できないまま物価だけ上がる「悪いインフレ」になれば、景況感が一転して冷え込むリスクも潜む。
5月の有効求人倍率は0.90倍と2008年のリーマン・ショック前の水準を回復した。東日本大震災の復興事業もあり、建設業などは人手不足だ。
それでも現金給与総額指数(10年=100、季節調整値)は5月(速報値)も99.4と前月比0.3ポイント低下。リーマン直前の水準(103.0)は遠い。業績に連動する賞与は増えても、残業代を除いた基本給は動きが鈍い。
来春に消費増税も控え「経済成長が持続的と確信するまで企業は基本給を上げにくい」と日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは指摘する。「本格的な賃上げは15年以降」(シティグループ証券の村嶋帰一エコノミスト)との見方もある。
円安で輸入物価が上がる影響もあり、生鮮食品を除く消費者物価上昇率は年末に向け前年同月比0.5%程度まで高まるとの予想が多い。賃金が伸び悩み、生活必需品の物価だけ上がる可能性もある。働く人の実質手取りが増えなければ消費の勢いは一過性で終わり、景気回復は尻すぼみとなりかねない。
安定した成長軌道に入るには企業が収益力を上げ、従業員に賃金として還元する道筋が必要になる。環太平洋経済連携協定(TPP)による貿易自由化や労働市場の規制改革を断行し、自律的な成長を続ける地力を早くつけることが重要だ。将来の成長期待が高まれば投資や賃上げの呼び水となり、デフレを脱却する日も近づく。
(景気動向研究班)
[日経新聞7月8日朝刊P.1]
(下)堅調な米景気 潜む不安
「この機会をお見逃しなく!」。米住宅建設大手のDRホートンはカリフォルニア州で抽選による新築住宅の売り出しを久々に再開した。金融危機以来、在庫が過剰だったのが売り手市場に戻った。S&Pケース・シラー住宅価格指数は主要20都市で4月に前年同月比12.1%上昇と約7年ぶりの高い伸びとなった。
住宅市況の復活は米経済が回復局面に入ったことを映す。ダウ工業株30種平均は5月に過去最高値を更新。6月の非農業部門の新規雇用者数は市場予想を上回った。2013年10〜12月の実質経済成長率は民間予想の平均で2.6%に回復する。
タイヤ工場増強
個人消費という従来の米景気のエンジンに加え、シェールガス関連の新規投資案件が目白押し。日本企業も需要取り込みを急ぐ。横河電機は米国向けプラント制御機器の受注が急増。「成熟市場だと思っていたが成長市場になった」(西島剛志社長)。日本の対米輸出額は5月まで5カ月連続で前年水準を超えた。東洋ゴム工業は米国のタイヤ工場の年産能力を拡大する検討に入った。一方で中国江蘇省の工場の生産能力を倍増する計画は凍結する方針だ。
リーマン危機以降、先進国に代わって世界経済を支えてきた中国景気には変調が見える。
中国の鉄鋼メーカーは昨年後半から増産に走ったが「期待ほど需要は伸びなかった」(中国鉄鋼大手、宝鋼集団の徐楽江董事長)。今は鉄鋼問屋に在庫が積み上がり、「仕事がヒマ」と鋼材市場の卸売業者はぼやく。
習近平国家主席ら新指導部が景気テコ入れよりバブル抑制を優先したことが背景だ。6月には中銀が資金供給を絞り、市場金利が跳ね上がった。
新興国に変調
インドは通貨安でインフレ再燃の懸念が広がる。中印の減速で周辺国や資源国の景気も足どりが重い。ブラジルなどは反政府デモが起こった。新興国の高成長が陰り、欧州も停滞が続く。
今のところ新興国の減速によるマイナスは米国経済が補う見通し。日本の輸出(実質国内総生産ベース)は1.3%減だった12年度から13年度は約5%増加へ回復するとの予測が多い。6月の日銀短観では製造業大企業の今年度の経常利益は14.6%増える。
当面は「21世紀で初めて日米が世界経済を引っ張る局面となる」(SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジスト)。日本経済への期待は海外からも強い。
ただ、現在はマネーの潮流の歴史的転換というリスクが待ち受ける。米景気の回復を受け、量的緩和で世界にマネーをあふれさせていた米連邦準備理事会が緩和縮小を探り始めたからだ。新興国の株価は5月から急落し、通貨も下がった。
リーマン危機後に5兆ドル近いマネーが流入し、過熱した新興国経済がマネーの引き潮に対応できるかは不透明。1990年代の米国の金融引き締めは中南米の経済危機の引き金となった。「新興国は資金逼迫のリスクがある」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)。日本企業に影響が及ぶ可能性もある。
新興国経済の揺らぎや米金融緩和の出口の行方。日本経済が持続的な成長を実現するには世界経済の微妙なリスクにも目配りする必要がある。
(景気動向研究班)
[日経新聞7月9日朝刊P.1]
- 01. のnJF6kGWndYさんへ:消費税の内実について あっしら 2013/7/11 00:36:07
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