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http://moneyzine.jp/article/detail/208138?p=2
■主要国で膨れ上がる公的債務を、中央銀行の魔法で帳消しにする議論が出ている。異次元金融緩和バズーカ砲を超える威力に気をつけろ!
最近のキプロス、ちょっと前のギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペインに限らず、過去のアジア危機や中南米危機でも国家の過大な債務が重大な問題の原因でした。また、現在でもGDPの2倍に達するとされる日本の公的債務やアメリカの年金債務にも懸念が広がっています。ところが、最近になって「債務問題を一夜にして解決する方法がある」という意見が散見されるようになりました。
■「Debt Jubilee(デット・ジュビリー)」で国の借金は霧散する!?
GDP比で日本の公的債務が突出しているとはいえ、ユーロの周辺国やアメリカの債務残高も積み上がる一方で、どうやって解決するのかが各国共通の懸念材料となっています。そこで、最近真顔で語られることが多くなってきたのが「Debt Jubilee」(債務免除または徳政令)という考え方です。
もともとの意味は、旧約聖書に出てくる50年に一度すべての奴隷を解放し、借金を免除するというもので、現在は貧困国への債務免除などで言及されることがあります。欧米ではこれが主要国の債務に応用可能なのではないか、という見方が静かに拡散しつつあります。
例えば、CFA Institute Magazine(March/April)に掲載されている「Time-Bomb Zombie Swans」(John Rubino)では、将来予想されるデリバティブ危機、日本の債務危機、オイルダラーの枯渇による米国債への資金還流停止、米国年金危機などのブラックスワン(確率は低くても発生すると巨大なインパクトがある事象)を指摘した上で、これらに共通の問題が債務にあり、その解決策として「Debt Jubilee」を紹介しています。
具体的には、まず、各国の中央銀行が大量の資金を創出し、それで自国の国債を買い集めます。その結果、中央銀行の資産としては大量の国債、負債としては自分が出した紙幣が積み上がります。中央銀行のお金は、もともと何もないところから魔法のように生み出したものです。そこで、資産と債務を中央銀行が帳消しにしてしまえば、だれにも迷惑をかけることなく国家の債務は霧散するというわけです。
「えっ〜。そんなばかな!何かおかしいぞ」と直感的には誰もが思いますが、資産と債務を同時に消すので中央銀行は赤字になりません(いくらでもお金を刷れるので、実は赤字でもどうということはないのですが)。国家はなにもしないで借金が消えますし、国民も投資家も国債を保有していないので損はしません。常識的な経済学にはこの考え方はないので、著名な学者やエコノミストでも、実際のところどういうことが起こるのかよく分らないと思われます。
一方、その威力は桁違いに強烈です。異次元金融緩和を「バズーカ砲」というならDebt Jubileeは「超ウルトラ元気玉」と言ってもよいでしょう。
■現実的には「塩漬けDebt Jubilee」実施で放漫財政が続く?
それでも実際に債務を帳消しにしてしまうと、何が起こるか分らないので不安です。また、無節操な財政赤字をまたゼロから積み上げるのか(実際はそうなりますが)という批判が巻き起こることは十分予想されます。そうなると、各国政府・中央銀行が協調して同時に行わない限り、当該国通貨の暴落を招き、経済の大混乱につながりかねません。
そもそも「Debt Jubilee」が可能といえるのは、金や銀などの裏づけがない通貨を各国の中央銀行が好きなだけ発行できる状況にあるからです。しかし、これは1973年以来たかだか40年間続いているだけの金融体制に過ぎず、通貨の信用は不安定なバランスの上に成り立っているのです。
★そこで、もう少しマイルドな「Debt Jubilee」の方法として、中央銀行が巨額の国債を買い集めたままで残高を維持し(満期償還されたら同額買い入れ)、かつ政府の利払い負担を軽減するために金利水準をできるだけ低く抑えるという手法が考えられます。いわば「塩漬けJubilee」です。
「……どこかで聞いたことがあるかも」と思った方の想像通り、これはまさにアベクロ相場を支える日銀が行いつつある方法です。仮に、2014年までに日銀がバランスシートを100兆円膨らませ、金利を極めて低水準に保ちながら国債残高を半永久的に維持すれば、日本の公的債務が100兆円減った(GDP比で約20%もの債務削減)と同様の効果があります。さらに毎年40兆円から50兆円公的債務が増えるなら、日銀が同額国債の保有額を増やせばよいだけのことです。
★欧米各国も似たようなことをしながら、国民が嫌がる大増税や歳出削減を避け続けるなら、世界各国で未踏の領域に踏み込んでいることになります。
■投資に活かすなら
アベノミクスがインフレ率引き上げに成功し、税収増と実質的な年金負担の軽減に成功すれば、日本は直接・間接を含め「Debt Jubilee」に頼らなくてよいことになります。これなら素直に株式や不動産、それらに投資するeワラントやETFに投資するのが正解となるでしょう。
一方、円安は海外の圧力で進まず、2回の消費税増税と相続税の引き上げでアベクロ相場が腰砕けになれば、日本の公的債務はますます増加し、日銀による「塩漬けJubilee」(国債残高の積み増し)への依存度が高まります。
うまくお金が回っている限り問題はなさそうですが、なにせ誰にもよく分らない状況です。何年続けられるかは「神のみぞ知る」です。今後20年間ごまかしが効くかも知れませんし、経常収支の赤字が常態化する5年後から10年後には円暴落とハイパーインフレになるかもしれません。
さらに、同時に欧米や中国・韓国までも低成長と債務増加が続き「日本化」すれば、世界の主要国で「塩漬けJubilee」が常態化し、何かのきっかけでリーマンショックを遥かに上回る大混乱となる可能性もあります。
5000年の歴史を持つ中国やインドで金投資への需要が根強いことも何かを物語っているようにも思えます。
★このシナリオを想定するなら、株高が続いている「お祭り相場」のうちに、静かに金地金、農地、骨董などへ投資対象を切り替え、外貨も保有対象を分散するといった対策の必要がありそうです。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません/土居 雅紹)
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