★阿修羅♪ > 経世済民79 > 541.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
韓国が最近アベノミクスを批判しない訳  ソブリンリスクと通貨問題  回復に転じた中国の輸入
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/541.html
投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 14 日 16:54:06: .WIEmPirTezGQ
 

(回答先: 変貌する長期金利 低金利が覆い隠すもの 利子率革命 期待に働きかける量的・質的金融緩和 投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 13 日 00:28:04)

http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2013/04/14/018797.php

小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ |
韓国が最近アベノミクスを批判しない訳
2013/04/14 (日) 11:37


 アベノミクス、とりわけ「大胆な金融政策」に対しいち早くクリームをつけていた韓国ですが、最近は、おとなしくなっているように思いませんか?

 何故だかお分かりでしょうか?

 その理由が知りたければ、昨日もご紹介した米財務省の為替に関する報告書を読むことをお薦めします。

 英語が嫌いな方は日本語だけで結構です。逐語訳ではなく、要点だけまとめています。

(韓国政府のサイトより)

 South Korea officially maintains a market-determined exchange rate, and its authorities intervene with the stated objective of smoothing won volatility. Like many emerging market currencies, won movements have been influenced by swings in global risk sentiment, with greater global optimism leading to greater net capital inflows (and appreciation pressure). The won appreciated steadily in the second half of 2012. From a 2012 low on May 28, the won appreciated 11 percent against the dollar by year-end with improved global risk sentiment. For 2012 as a whole, the won appreciated by 8 percent, the most among currencies covered in this Report and in the G-20.

・韓国は変動相場制を採用しているが、相場の動きをスムーズにするために介入することがある。
・韓国のウォンは他の新興国の通貨と同じように、世界経済が順調なときには資本の流入が起き、従って通貨価値が上がる傾向にある。
・2012年後半にウォンの価値は上昇した。2012年5月28日のボトムから年末までに11%価値は上昇。2012年通年では8%の上昇となった。

In its September 2012 Article IV Consultation Report on Korea, the IMF noted that reserves are adequate and that "there is no need for further reserve accumulation beyond what would be needed to keep pace with rising foreign liabilities over time."Despite this, for the six months through December 2012, Korea's foreign exchange reserves grew by $12.7 billion (4 percent) to $317 billion. Its net forward position also increased by $10.5 billion to $37.9 billion.

・韓国の外貨準備は十分であるとIMFは判断。
・但し、2012年の後半に韓国の外貨準備は127億ドル増加し、3170億ドルとなっている。

In late 2012, Korean authorities spoke out against won "volatility."On November 27, Korea announced that limits on foreign exchange forward positions would be tightened from 200 percent to 150 percent of equity for foreign bank branches and from 40 percent to 30 percent of equity for domestic banks, effective January 1, 2013. Since then, the authorities have publicly warned they are contemplating a further tightening of macroprudential measures on the banking system.

・2012年後半、韓国当局はウォンの乱高下を鎮めると発表。
・2012年11月27日、韓国は、外国銀行支店の先物の持ち高を資本の200%から150%へ、国内銀行については、40%から30%へと引き下げることを決定(2013年1月1日から発効)。

The Korean banking system relies heavily on wholesale funding, much of it external. This leaves Korea vulnerable to external funding risk, as both the Asian financial crisis of 1997-98 and the 2008-9 global financial crisis revealed. However, the timing and characterization of the potential strengthened macroprudential measures fed market speculation that the intent would be to limit won appreciation.

・韓国の金融システムは外資への依存度が大きく、1997年-98年のアジア通貨危機や2008年-09年の世界金融が示すように、資本逃避のリスクが大きい。
・韓国当局の金融機関に対する規制は、ウォンの上昇を抑えるためのものであるとの見方が強い。

The Korean government does not publish intervention data, which is problematic. Many market participants believe that the Korean authorities intervened in both the spot and forward currency markets to limit the pace of won appreciation particularly in the latter part of 2012 and early 2013. The average monthly increase in Korea's forward position between November 2012 and January 2013 was close to $7 billion.

・韓国政府は、介入の実績データを公表していない。
・市場は、韓国当局がウォンの上昇を回避するために2012年終盤から2013年初頭にかけて現物及び先物市場に介入したとみている。
・2012年11月から2013年1月にかけての韓国当局の月平均の先物ポジションの増加額は70億ドル近い。

In mid-January 2013, the trend toward won appreciation reversed. The won depreciated by 6.9 percent against the dollar in 2013 through early April. According to estimates from the IMF's July 2012 External Sector Report and the IMF's Article IV Consultation with Korea, the real effective exchange rate of the won was moderately undervalued by between 0 and 10 percent.

・2013年1月中旬、ウォン上昇の流れが反転。ウォンは対ドルで、4月の初めまでに6.9%低下した。
・IMFによれば、ウォンの実質レートは、0〜10%の範囲で過小評価されている。

Korea's economy grew by 1.6 percent in 2012, but growth slowed sharply in the second and third quarters of the year. Third and fourth quarter annualized growth rates were 0.2 and 1.5 percent, respectively. In January, the IMF projected improved growth prospects in Korea, with an estimate of GDP growth rates of 3.6 percent in 2013 and 4.0 percent in 2014.

・韓国の経済成長率は2012年は1.6%であった。
・IMFは、韓国の成長率見通しは、2013年が3.6%、2014年が4.0%としている。

Inflation pressures in Korea have waned since 2011, with prices rising only moderately in 2012 by 1.2 percent, below the Bank of Korea's (BOK) 2 to 4 percent inflation target range. In response, the BOK lowered its policy interest rate twice in 2012, from 3.25 percent to 3.0 percent in July, and again to 2.75 percent in October. The policy rate remained at 2.75 percent through March 2013.

・韓国では2011年以降、インフレ圧力は弱まっており、2012年のインフレ率は1.2%となっている。
・韓国銀行の物価目標値は、2〜4%である。
・韓国銀行は、2012年中に政策金利を2回引き下げた。7月に、3.25%から3.00%とし、10月に2.75%にした。

Korea's trade surplus widened during the second half of 2012 relative to the same period in 2011 due to sluggish import demand. Goods and services exports totaled $332 billion in the second half of 2012,roughly unchanged relative to the same period in 2011, while imports-at $308 billion-were down 2.2 percent from 2011. Korea's current a ccount surplus as a share of GDP rose sharply to 3.8 percent of GDP in 2012 compared to 2.3 percent in 2011. The current account surplus was the highest on record. Korea's current account has remained in surplus even as the rise in commodity prices has resulted in worsening terms of trade over the past several years.

・韓国の2012年下半期の貿易収支は、前年同期と比べ改善した。
・韓国の2012年の経常黒字額は、対GDP比3.8%に上昇した(2011年は2.3%)。経常黒字額は過去最高。

In February 2013, Korea joined the rest of the G-20 in committing to refrain from competitive devaluation and resolving not to target its exchange rate for competitive purposes. We will continue to press the Korean authorities to limit their foreign exchange interventions to the exceptional circumstances of disorderly market conditions and to commit to greater foreign exchange market transparency including through the publication of intervention data, similar to Japan and emerging markets such as Brazil, India, and Russia. We will also continue to press Korean authorities to ensure macroprudential measures should be clearly directed to reducing financial sector risks-in design, timing, and description-rather than to limiting capital inflows or reducing upward pressure on the exchange rate.

・韓国は、2013年2月の、通貨切り下げ競争をせず、為替レートを目標としないとするG20の声明に合意している。
・米国は、韓国が通貨価値の切り上げ圧力を回避する目的で政策手段を利用しないよう圧力をかけ続ける。


 何故、韓国はアベノミクスに文句をいうのを止めたのか?

 それは、文句をいう必要がなくなった、と。つまり、ウォン売りドル買い介入を行い、ウォンの価値を引き下げるのに成功し、そのうえ、2012年度の経常黒字額は過去最高になったからなのです。

 さらに言えば、韓国もG20の共同声明どおり、各国の金融政策は通貨価値を目標とするものではないという認識を共有している訳ですから、日本のことを悪く言うことができなのです。

 いずれにしても、ここでもアメリカは、円と同じようにウォンの動きを注意深く監視し、圧力をかけていくと言っているのです。


 


とれんど捕物帳 海外勢の円安期待は根強い 来週のG20は注目したいイベント
:2013/04/13 (土) 08:33
:2013/04/13 (土) 08:23

 円安の動きは依然として続いていたものの、週後半にドル円が100円に到達できなかったことで、週末には気が抜けたように利益確定売りに押されている。
 日本の機関投資家による日本国債から外債への資金シフトの期待も出ているようだが、今週財務省から発表になっていた対内外証券投資や、生保のコメントなどからはその気配はまだ見られていないようだ。
 やはり海外のファンド勢を中心とした円安期待がドル円、クロス円を支えている模様。黒田日銀の緩和発表以降、急ピッチで円安が強まり、我々日本人からすれば、これ以上の上値追いは躊躇し、落ちて来るのを少し待ちたいといった人も多いのではないか。ただ、外国人はそうでもない。中期的にまだ魅力的な水準であれば、足元の状況がどうであろうと動いて来ることも多く、今週はその雰囲気を感じさせられた週ではあった。
 あと日本の個人投資家のFX取引を通じたオーダーも相当程度出ていたものと推測される。
 投機筋は矛盾を見つけ出して売るのが好きだ。去年はユーロを売った。その前はドルを売っている。それらも一巡感が出つつある中、過度に上昇していた円は売るのには魅力的だったのだろう。そのタイミングでアベノミクスが登場して来たことから、飛びつかざるを得なかったのだろう。
 大震災以降のエネルギー問題を抱え、貿易赤字国に転落、日銀の大規模緩和、そして、直近では地政学的リスクも台頭する中、海外勢を中心とした円安期待は根強い。

 さて来週だが、ドル円が100円に到達できなかったことで、円相場は一旦売りのトーンが下がっている。もう少し調整が続く可能性もありそうだが、来週のG20は注目したいイベント。
 日本政府の根回しがうまく行っているのか、主要国は日銀の政策に賛同する声が、気持ち悪いほど圧倒的。中国は文句を言っているようだが、G20で日銀の大規模緩和が非難される可能性は低そうだ。それを確認して再度円売りを再開させる可能性もあり、G20関連の動きはおさえておきたいところ。
 その他、米企業決算は主要なハイテク企業や金融が発表される。PCの需要低迷が伝わっており、ハイテクの決算には注意したいところではある。あとは週初に発表されるGDPを始めとした中国の経済指標、そして日本の貿易収支も注目して置きたい。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(→)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下から中立へトレンド変化
短期 ↑(↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 中立から上へトレンド変化
短期 ↑↑(→)

【概要】
幾つかのシグナル(内容は秘密!)を合成し、各通貨ペアの中期と短期のトレンドを示しています。中期は先週末からのトレンドの変化を言葉で説明。短期は矢印でトレンドを表記、矢印の本数は強さを示します。強ければ最大3本の矢印が表示されます。期間は中期が2ヵ月程度、短期は2週間程度の傾向です。


 

 


議事録、経済報告、会合などに注目の週 〜英中銀議事録、ベージュブック、IMF経済見通し他
2013/04/14 (日) 08:00

今週は、海外の経済指標としては、
月曜日に出る中国の実質GDP、小売売上、鉱工業生産などの一連の指標と
同じ月曜日の米NY連銀製造業景気指数が目立つ程度
日本の指標としては
18日の3月の通関ベース貿易収支がやや注目といったところ。

それ以上に注目されるのは
英中銀金融政策会合議事録や
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
IMFの世界経済見通しと国際金融安定性報告、
G20財務相・中銀総裁会議など
経済指標以外の発表、会合などに注目材料が目白押しとなっています。

中でも注目は17日17時半に発表される英中銀金融政策会合(MPC)議事録です。
4月3日、4日に行われた英中銀金融政策会合(MPC)では
事前見通し通り、政策金利(0.5%)、資産買入プログラムの規模(3750億ポンド)を
共に据え置く結果に。
ただ、英MPCでは現行政策を維持する場合、
基本的に会見や声明発表などを行わない為
その詳細(投票結果など)は17日の議事録公表待ちとなっています。

2月、3月のMPCでは
キング総裁を始め、3名の参加者が
資産買入プログラムの250億ポンド拡大を主張しており
6対3での規模据え置きとなりました。
TOPの意見が圧倒的に強い日本や米国とは違い
英国では議長提案が否決されることはよくあるケースとはいえ
2月3月(そしておそらく4月も)続けて否決という流れは
なかなかのインパクト。
そうした中で、次回以降の拡大にむけて
据え置き派から拡大派に転向したメンバーが居るかどうかがひとつのポイントとなります。

先週発表された英鉱工業生産や製造業生産高(共に2月)が予想及び前回(1月分)を上回るなど
景気低迷にやや一服感もあるだけに
投票結果も同じ6対3という可能性が高そうですが
マイナス金利導入に含みを持たせるなど
一層の緩和に対する姿勢を強め始めたタッカー副総裁あたりが
今回買い入れ拡大派に転向した可能性はあります。

英国は直近のインフレターゲットの対象である消費者物価指数(CPI)前年比が2.8%と、
ターゲットの2%を上回る状況が続いており
もう一段の緩和を阻む要因となっていますが
オズボーン財務相がここに来て中央銀行の責務見直しを表明するなど
インフレ抑制よりも景気底入れを重視し、もう一段の緩和を実施する余地が広がっていることもあり
年内の追加緩和期待が強まってきているところ。

本命は7月にカーニー新総裁(現カナダ中銀総裁)が就任して最初の会合での緩和実施とみられますが
今回タッカー副総裁あたりが緩和派に転向していると
5月の緩和期待が一気に広がるだけに
注目してみていきたいところです。

その他、ベージュブックでは
直近の雇用統計が衝撃的に弱く
ここに来て景気回復の減速懸念が広がっている米国において
地方経済の状況が依然として堅調であるかどうかを確認したいところ

G20では
欧州経済の状況などが中心となるテーマですが
黒田日銀による「量的・質的緩和」やアベノミクスをうけての円安動向などについても
他国から色々と発言があると見られる為
この辺りにも要注意です。


http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r110/r110_05.pdf
欧州ソブリン危機―ソブリン・リスクと金融セクターのデフォルト・リスクの波及効果について―

大野早苗

2008 年のリーマン・ショックの再来とも懸念されるほど,最近の欧州金融情勢は深刻な状
況に陥っている。欧州地域は域内における金融取引の占有率が高く,投融資活動を経由して
域内のソブリン・リスクが周辺諸国へと波及する可能性がある。また,金融システム不安が
当該国の財政健全性の毀損につながる可能性も懸念されている。さらに,欧州金融安定化メカ
ニズムの創設後は,域内のある国で起こった財政危機が欧州全域に波及するもう一つの経路が
加わったことになる。
本稿では,各国の相互依存関係,金融セクターと公的セクターの相互依存関係を考慮した上で,
欧州域内における危機の波及効果にどのような特徴がみられるかを検証した。欧州金融安定化
メカニズムの創設以後ではユーロ圏のコア国同士の波及効果が顕著に高まっていたが,波及効
果が金融システム不安に対する懸念を通じて増幅されていた可能性が示唆された。一方,異常
な高騰を呈していたギリシャのソブリン&'6からの波及効果は確認できなかったが,その原因
として&'6取引に関する規制強化やクレジット・イベントの認定の混乱を背景に市場流動性が
縮小していることが挙げられる。また,コア国の中でも,ドイツの金融機関の&'6に対するソ
ブリン・リスクの波及効果は軽微であったが,その背景として「質への逃避」現象としてドイ
ツのソブリン&'6プレミアムを引き下げる効果が作用していた可能性が示唆された。


 


[ 米国全般 ]
QE3縮小の足音が近づく〜ただし直近の雇用改善ペースは鈍化:米国経済
掲載日:2013-04-13 発表元:大和総研 http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/usa/20130412_007045.html
 

◆2013年3月19日、20日に開催されたFOMCの議事録が公表された。現行の金融政策に変更はなく、事実上のゼロ金利政策とQE3による買い入れ規模が維持された。議事録の内容によると、Fedメンバーが想定する資産買い入れ規模の縮小・停止の開始時期は、民間エコノミストの想定より早い可能性がある。

◆しかし、FOMC後に発表された3月の雇用統計は雇用改善ペースの鈍化を示す内容であった。また、国内や欧州の財政問題など不確実性が依然として残っている。そのため、今回の議事録の内容はある程度割り引いて見るべきだろう。

◆Fedメンバーの間で資産買い入れ規模の縮小・停止時期について、それぞれの想定する期間まで議論が進んでいたことは事実である。今後の金融政策を占う上で、Fedメンバーの発言がより注目されることになるだろう。また、雇用統計や個人消費などの経済指標にも注目したい。

 


[ 行政・財政 ]
防災投資と政府間機能配分の経済理論:地方財政−政府間リスク分担
掲載日:2013-04-13 発表元:財務総合政策研究所 総アクセス数3 PDF [レポートへ直ジャンプ]
 

[ 欧州全般 ]
序論:ソブリンリスクと通貨問題
掲載日:2013-04-13 発表元:財務総合政策研究所 http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r110/r110_01.pdf


 財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」平成 24 年第3号(通巻第 110 号)2012 年3月>
−1−
序  論
一橋大学大学院商学研究科教授 小川英治
2009 年 10 月のギリシャの政権交代によって
財政上の統計の不備が明らかにされたことをき
っかけにして,ギリシャの財政当局に対する信
認が失墜し,財政危機に直面した。その財政危
機のインパクトは,2008 年のリーマン・ショ
ックに引き続いてユーロを暴落させるとともに
乱高下させたほか,ギリシャと同様の巨額の財
政赤字や政府債務残高を抱えていたポルトガル
などの南欧諸国へ財政危機が波及することとな
った。財政危機に直面したギリシャとポルトガ
ルそしてアイルランドの政府は,欧州連合((8)
と欧州中央銀行((&%)と国際通貨基金(,0))
のいわゆるトロイカ体制から金融支援を受ける
に至った。同時に,それまでリスボン条約にお
いて財政移転が禁止されていたものの,過渡的
に欧州金融安定ファシリティ(()6))を設立し,
2012 年 6 月までにリスボン条約を改正し,欧
州安定化メカニズム((60)を設立すること
が決まった。
ユーロ圏諸国の財政危機を解決するために
は,長期的には構造改革が必要であるとともに,
短期的には財政再建と民間部門の関与を通じた
財務削減とセイフティネットとしての ()6) の
拡充と (60 設立と (&%による国債買上げが必
要となる。とりわけ重要なことは,財政危機の
発生及び一部のユーロ圏諸国への波及において
重要な役割を果たした失墜した財政規律を回復
させることである。財政規律を回復することが
喫緊の課題である。そのためには,財政危機国
の財政再建が重要であり,可視化された財政再
建計画の策定と着実な実施が必要となる。それ
と同時に,財政規律確立とモラルハザード防止
によって財政危機の可能性やソブリンリスクを
縮小することが必要となる。
本特集においては,田中論文と嘉治論文が,
欧州のソブリンリスクの高まりによる財政危機
と原因とその対応からユーロ制度の問題を論じ
る。大野論文と井上・大重・増田論文は,世界
金融危機の欧州への影響も含めて,財政危機の
波及について実証分析を行う。そして,小川・
岡野論文は,ソブリンリスクを明示的に考慮に
入れて,(&% による国債買上げを含む共通通
貨圏内の金融政策について考察する。
小川・岡野論文(「欧州ソブリンリスクと金
融政策」)は,共通通貨圏における金融政策上
のインフレとソブリンリスクとの間のトレード
オフ問題について,動学的確率的一般均衡
('6*()モデルを利用して分析している。2 国
で構成される共通通貨圏及び外国の 3 国で構成
されるモデルにソブリンリスクを明示的に導入
している。債務残高の増大に伴ってソブリンリ
スクが高まっている経済においては,インフレ
の安定及び *'3 ギャップの安定化に対してテ
ーラールールがそれほどの効果をあげないこ
と,そして,価格が硬直的な経済においてはテ
ーラールールがむしろ経済を不安定化すること
が示された。共通通貨圏においてソブリンリス
クが存在する場合には,採用すべき金融政策は
テーラールールではなく,国債スワップ操作,
つまり同時にインフレ懸念のある国の国債を売
りオペを行うことによって,貨幣供給総額に対
して中立的にしながら,ソブリンリスクの高い
国債を買い支えることが望ましいことが指摘さ
れた。
田中論文(「ソブリン・金融危機とユーロ制
度の変容」)は,貨幣的制度集権がなされてい
るが,財政制度と金融監督制度が分権のままで
ある原初ユーロ制度が世界金融危機と欧州財政

危機に直面して,その垂直的通貨同盟の問題を
露呈したことを指摘した。また,原初ユーロ制
度は,危機の予防・管理・解決という 3 つの段
階の対応に関する規定がなく,「平時の通貨」
としてユーロが設計され,その運営を担当する
(&% は,狭義の金融政策のみを実施するとさ
れていた。このような原初ユーロ制度は世界金
融危機や欧州財政危機には耐え切れなかった。
そして,ユーロ制度の改革(@構造問題対策,
A金融危機対策,B金融機関の健全性監督の新
制度)が進められようとしている。さらに,原
初ユーロ制度の 2 つの原則,すなわち,財政連
帯性拒否と中央銀行国債引受不可の原則が崩壊
した。こうして,ユーロ制度の危機を超えて,ユ
ーロ圏連邦制度を加味した垂直的通貨同盟に向
かう改革ユーロ制度の見取り図が示されている。
嘉治論文(「ソブリン・リスクと通貨体制 ―
欧州の経験が与える示唆」)は,ユーロ導入の
目的の一つである,金融(財政)政策の自由度
を奪われ,価格・コストが透明になることによ
る,合理化・構造改革の促進が達成できず,共
通通貨域内の「非対称性」が低下しなかったこ
とが,ソブリンリスクを高めたと論じている。
そのうえで,欧州の財政危機が安定成長協定の
強化や (60 の設立や金融監督機関の設立など
制度改革をある程度進めている一方,ユーロ共
同債やリスボン戦略を受け継いだ (XURSH2020
などは依然として進んでいないことを指摘して
いる。さらに,危機をもってしても政治的に困
難な構造改革は実現しがたいことから,民主主
義の下で必要な改革を実現させる最も有効な方
法は,有権者自らが改革を是認することである
が,財政収支を改善するような緊縮的政策は,
それを困難とする。最後に,共通通貨を導入す
る場合にソブリンリスクを回避するためには,
欧州のように相互依存が高まった地域の平和的
繁栄のためには統合しか選択肢はなく,その論
理的帰結として共通通貨がある。統合を持続可
能なものとするためには,国家主権を譲渡して
内政干渉を受容れるかしかないと指摘する。
大野論文(「欧州ソブリン危機―ソブリン・
リスクと金融セクターのデフォルト・リスクの
波及効果について」)は,デフォルト指標(&'6)
と投資家の危険回避度や流動性調達の困難さが
反映されるリスク・アペタイト指標(9,;)を
取り上げて各国間の相互依存関係及び公的部門
と銀行部門との間の相互依存関係に着目して,
ユーロ圏内におけるソブリンリスクの波及効果
を構造 9$5 によって検証した。その実証分析
は,ギリシャの財政収支の改竄が明るみになっ
た第 3 期においてリスク・アペタイトよりもむ
しろギリシャの財政赤字問題の影響度が拡大
し,欧州ソブリン危機における各国の &'6 プ
レミアムの上昇がグローバル要因ではなく財政
赤字という国固有の要因を起因とする現象とし
て起こったことを示した。ギリシャへの第 1 次
救済策発表後の第 4 期になるとリスク・アペタ
イトの影響が顕在化した。ただし,反応にばら
つきが見られるようになり,特に財政赤字問題
が深刻な国の &'6 が高騰する傾向がみられた。
欧州財政危機時におけるリスク・アペタイトの
高まりは,危険回避度の高まりによる「質への
逃避」の他に流動性調達がより困難になったこ
とを示唆した。
井上・大重・増田論文(「ギリシャ財政危機
の波及とユーロ圏国債市場の構造変化」)は,
ユーロ圏諸国の国債利回りデータを利用して,
ギリシャ財政危機が他のユーロ圏国債市場へ伝
播したプロセス及びその構造変化について実証
分析を行った。構造変化が発生する可能性のあ
る時点を,ギリシャの財政数値の粉飾が発覚し
た時点(2009 年 10 月 21 日)とユーロ危機対
応融資の枠組みが合意された時点(2010 年 5
月 10 日)として,'&&0*$5&+ モデルを利
用して分析が行われた。分析の結果,第一に,
すべての欧州諸国が同時に上述の 2時点で構造
変化を経験せず,各国の経済事情によって構造
変化点に違いが存在することが示唆された。第
二に,リーマン・ショック以前には,ドイツ国
債利回りとユーロ圏諸国のそれとの間に高い相
関が確認されたが,リーマン・ショック後,ド
イツ国債利回りとギリシャ,アイルランド,ポ

ルトガル,イタリアのそれとの間の相関が徐々
に弱まった。第三に,平均の因果性と分散の因
果性の検定結果より,ギリシャ・ショックがス
ペイン,イタリア,フランス,ドイツのユーロ
圏主要国に波及したことが確認された。

[ 中国 ]
回復に転じた中国の輸入〜投資財比率が高い日本からの輸入は低迷:リサーチ・アイ
掲載日:2013-04-13 発表元:日本総合研究所

http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/6718.pdf

― 投資財比率が高い日本からの輸入は低迷 ―
【ご照会先】調査部 研究員 関辰一 (seki.shinichi@jri.co.jp , 03-6833-6157)
(1)中国では、2012年末から輸入の増勢が加速(図表1)。景気対策により、景気が持ち直しに
転じたことが背景(図表2)。
(2)もっとも、地域別にみると大きな違い。NIEsやASEAN、米国などからの輸入は急増
しているものの、日本とEUからは弱含み(図表3)。これは、足元の回復パターンを反映
した動き。すなわち、固定資産投資の抑制スタンスが続くなか、投資財の比率が高い日本・
EUからの輸入が減少した一方(図表4)、輸出と個人消費の持ち直しに支えられて、生産
財・消費財の比率が高いNIEs・ASEAN・米国からの輸入は着実に拡大。
(3)今後を展望すると、景気対策効果により中国の成長率が徐々に高まると予想されるなか、輸
入の増勢は続き、日本からの輸入も早晩増加に転じる見込み。もっとも、過剰生産能力を警
戒する政策スタンスが続くため、投資財の需要が急拡大する可能性は低く、日本からの輸入
は緩慢な回復にとどまる見通し。


[ 証券・投資 ]
東日本大震災と日本の株式市場における投資家行動:世界の資金循環と日本の金融市場
掲載日:2013-04-13 発表元:財務総合政策研究所

http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r109/r109_03.pdf

東日本大震災と日本の株式市場における投資家行動
−16−
要 約
東日本大震災前には上昇基調にあった株価は,震災後一旦急落し,その後数日のうちにあ
る程度回復した。近年,日本の株式市場で大きな取引シェアを占めているのは海外の投資家
であるが,震災直後は,通常時以上に海外の投資家が市場で活発に取引を行っていた。震災
前後に日本の株式をネットで購入していたのは海外の投資家だけであり,株式の投資主体別
に 2011 年1月以降のネットの購入額を累計してみると,日本の株式は海外の投資家によっ
て買い支えられていたことがより明確に示される。過去に同一データを分析した先行研究で
は,証券自己売買は,海外の投資家と同一のポジションをとっていることが多い(海外の投
資家の純購入額が増えている時には,証券自己売買の純購入額も増えていることが多い)こ
とが示されていたが,震災前後には,国内の証券会社(証券自己売買)やそれ以外の金融機
関は,ネットで売却し続けていたことが示される。VAR 分析では,震災前後は国内の金融
機関や証券自己売買など,むしろ国内の投資家に特定の売買パターンが観測されたことが示
される。また,原子力発電所の事故の影響についても分析を試み,東京電力株式会社の株式
リターンを変数に加えた VAR 分析も行ったが,分析期間中に事故の状況に特に敏感であっ
たと思われる海外の投資家の売買との間に特別な因果関係は観測されなかった。
キーワード:東日本大震災,日本の株式市場,投資家行動
JELclassification codes:G11,G14  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年4月15日 10:52:05 : xEBOc6ttRg
異次元緩和がデフレ脱却導く、日銀支店長会議で黒田総裁
2013年 04月 15日 10:06 JST
[東京 15日 ロイター] 日銀の黒田東彦総裁は15日開かれた支店長会議であいさつし、4日に打ち出したマネタリーベース(資金供給量)を2倍に膨らませる異次元緩和が「実体経済や金融市場の前向きな動きを後押しする」とともに「高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ15年近く続いたデフレからの脱却に導く」と述べた。

黒田総裁は、2%の物価目標は「2年程度の期間を念頭に、できるだけ早期に実現する」とし、「長めの金利や資産価格」などを通じた効果に加え、「市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる」と指摘した。

金融システムは「全体として安定性を維持している」と表現。投資家のリスク回避姿勢の後退や政策期待で「金融資本市場の状況は好転している」との見方を示した。

景気の現状については「下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられる」とし、先行きも「緩やかな回復経路に復していく」との従来見解を繰り返した。消費者物価指数は足もと「小幅のマイナスとなっているが、予想物価上昇率の上昇を示唆する指標がみられる」と指摘した。

(ロイターニュース 竹本能文:編集 吉瀬邦彦)

*内容を追加して再送します。


今週の注目はG20など、欧州経済の不振浮き彫りに
2013年 04月 15日 09:46 JST
[リスボン 14日 ロイター] 今週のグローバル経済は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議や中国の第1・四半期国内総生産(GDP)成長率、米国の3月住宅着工件数などが注目される。

18日に始まるG20では、ユーロ圏経済の不振と、キプロス支援策に関する判断のまずさが浮き彫りになるだろう。

15日発表予定の中国の第1・四半期GDP成長率は、ロイター調査のエコノミスト予想によると8%に達しそうだ。

米国では3月住宅着工件数やフィラデルフィア連銀など各地区連銀の4月製造業景況調査が発表され、非常に活発というには程遠いが、少なくとも前に進んでいることは示される見通し。

対照的に欧州連合(EU)の成長戦略はこれまでのところ成功しておらず、EUが委託した調査では、大胆な政策が打ち出されない限り、経済の停滞が続くとの見解が表明された。

ユーロ圏は昨年、景気後退に陥り、恐らくは今年もマイナス成長に見舞われる。

これほど低迷している1つの理由は、欧州中央銀行(ECB)の低金利政策が、ポルトガルなどユーロ圏周縁国の苦境に効果を発揮していない点にある。これらの地域では全般的に借り入れはなお困難で、欧州北部に比べてコストもずっと高い。

そこにキプロス支援をめぐる混乱が加わった。

EUと欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)が当初キプロスのすべての銀行預金者に負担を強いることに合意。この計画はすぐに撤回され、全負担は大口預金者にしわ寄せされることになったが、それでも既に痛みが出ている。

ロイズ(LLOY.L)のホルタオソリオ最高経営責任者(CEO)は12日、リスボンにおける講演で、キプロスの失敗により、銀行は顧客の信頼を取り戻すのが難しくなったと指摘。「顧客に信頼されなければ、銀行は景気回復を支え、より強い経済を構築するという自らの役割を実行できない」と語った。

G20では、キプロス問題で金融市場が動揺しなかった点については安心感が示されるとみられる。

ただ、投資運用会社アシュバートンのマクロアナリスト、デリー・ピックフォード氏は、次に銀行セクターの緊張が高まった際には大口預金者が神経過敏になるのは必至だと述べた上で、「キプロスにおける出来事は、金融システムの不安定化をもたらすリスクを高めた」と警鐘を鳴らした。

米国で12日発表された3月小売売上高と、4月ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)からは、それ以前に出た3月雇用統計に続いて、歳出強制削減に消費者が反応しつつあることがうかがえる。

しかし明るい面として、ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、サム・ブラード氏は、企業の設備投資と住宅市場は基盤が強くなって米経済を後押しし、今年全体で成長率は2%程度まで上がるはずだとみている。

3月住宅着工件数は、ロイター予想が年率93万戸。ブラード氏によると、着工件数は出発点が低いとはいえ、今年全体で約25%増加するだろうという。

IHSグローバル・インサイトは、米国の成長率が来年には3%程度まで加速すると予想。同社のチーフ・リージョナル・エコノミスト、ラジブ・ビスワス氏は、中国の成長が活発になり、日本経済にも今後数四半期で勢いが増しそうなことを踏まえれば、輸出に依存するアジアにとって見通しは悪くないと話している。

NTT株が年初来高値、野村証券が「バイ」に引き上げ
日経平均100円超下落で始まる、円安一服で輸出株に売り先行

ベルルスコーニ氏、再選挙なら「首相候補に」
2013年 04月 15日 09:51 JST
[ローマ 13日 ロイター] イタリアのベルルスコーニ前首相は13日、中道左派連合を率いるベルサニ氏が大連立を再度拒否して再選挙が実施されることになれば、国を率いる用意があるとして5度目の首相就任に意欲を示した。

イタリア政局は、2月の総選挙後も新政権が樹立できないまま混迷が続いている。

憲法上の理由から、5月半ばに任期を迎えるナポリターノ大統領は再選挙実施を決定できない。次期大統領が解決策を模索して新政権樹立を図るか、議会を解散して再選挙を行うことになる。

次期大統領を決める投票は18日から開始される。

13日付コリエレ・デラ・セラ紙が報じた世論調査によると、ベルルスコーニ氏が率いる中道右派は、再選挙が実施されれば僅差で勝利するとみられている。

ベルルスコーニ氏はこの日の演説で支持者に対し、依然として大連立に前向きであることを強調。その上で「近いうちに強力で安定した政府が発足できないなら、再選挙しか道はなく、6月にも実施されるだろう。再選挙の用意はできている。わたしは自由国民(PDL)の党首として首相候補となる」と述べた。

米欧が日本けん制も、競争的通貨切り下げで−今週G20会議
記事をメールで送信 記事を印刷する
記事
写真
映像
共有/ブックマーク ShareGoogleチェックTwitterシェア

  4月15日(ブルームバーグ):日本は今週開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、円安誘導は行わないとした公約の再確認を求められる見通しだ。日本がデフレ脱却に向けた取り組みを強化してから初となるG20会議はワシントンで18、19両日に開催される。
同会議に先立ち、米財務省は12日公表した外国為替報告書で競争的な通貨切り下げを控えるよう日本に迫る方針を表明。欧州各国政府は財政・金融刺激策に頼り過ぎないよう日本に求めている。
日銀が4日の金融政策決定会合で、2%の物価上昇率を2年で達成する目標を設定し、毎月の国債買い入れ額を2倍に引き上げたことで市場を驚かせて以来、円は主要16通貨全てに対し下落。各国の政策当局者は日本の成長てこ入れへの取り組みを称賛すると同時に、円安が続けば自国の輸出業者への打撃になりかねないとの懸念も抱いている。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、円安の動きが速過ぎるため米国は日本のデフレ脱却努力を称賛できないと指摘。日本は景気回復を図る上で円安のみに依存しているわけではないと明確にするため、成長促進に向けた財政計画や手段を示す必要があろうとの味方を示した。
米財務省は議会に12日提出した為替政策に関する半期報告書で、日本は「国内の手段を用いて個々の国内目標の達成を目指す姿勢を維持し、通貨安競争を避け、競争目的で為替相場を目標としない」ことが必要だと指摘した。
欧州連合(EU)はG20での協議に向けた準備文書で「米国と日本には信頼できる中期的な財政再建計画が欠如している」と指摘。日本に対しては、この20年間繰り返しリセッション(景気後退)に見舞われてきた経済の構造改革を推し進めるよう強く求めるとした。
原題:Japan Getting Calls From U.S. to Europe Not to Drive DownYen(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Kasia Klimasinska kklimasinska@bloomberg.net;ワシントン Ian Katz ikatz2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/15 08:22 JST


日本はボルカーの「戦争」から教訓を学べ
2013年04月15日(Mon) Financial Times
(2013年4月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


ポール・ボルカー氏はFRB議長として、政府と対立しながら厳しい金融引き締めを断行し、「インフレファイター」と呼ばれた〔AFPBB News〕

 日銀新総裁の黒田東彦氏が今月、量的緩和政策の急進的な新形態を発表した時、一部の識者はこれを同氏の「ボルカー」的瞬間と呼んだ。無理もない。

 今から30年余り前、当時、米連邦準備理事会(FRB)議長だったポール・ボルカー氏は、政策金利をピーク時に21.5%まで引き上げることで米国経済からインフレを締め出すという大胆な賭けに出て、歴史に名を残すことになった。

 今、黒田氏もまた劇的な対策に取り組んでいる。もっとも今回は、デフレを退治することが目的だ。そして従来と同様、この対策は、中央銀行が通常嫌うような経済的、政治的リスクを伴う。ゆえに例の「ボルカー」のレッテルが付くわけだ。

 だが、投資家が驚きに戸惑う一方、この話には若干の皮肉がある。ボルカー氏本人は今月の政策変更を全く喜んでいないのだ。

 もちろん、ボルカー氏は黒田氏や他の中銀関係者を直接批判したいとは思っていない。それは中銀のエチケットに反することになる。だが、筆者が先日、ニューヨーク大学での討論会の司会を務めた時、ボルカー氏は大きな懸念を隠せなかった。

中銀は「通貨の価値を守る」という基本的機能を見失った

 「中銀はもう、中銀のように振る舞わなくなった」。日本と米国の金融政策に関する議論の途中で、同氏はこう警告した。「中銀が中銀の基本的な機能を見失うと、危険なことになる」

 重要な問題は、この「機能」が何であるべきか、というところにある。近年は一般に、中銀の主な使命は、物価上昇率を低く抑え、経済の成長軌道を保つことだと考えられてきた(米国の場合は、ここに低失業率の実現も入る)。

 ボルカー氏は意見を異にする。同氏は「中銀の基本的な機能は通貨の価値を守ることだ」と主張し、全くそれだけではないにせよ、一義的にその目的に専念した時に中銀は最も効果的に機能すると語っている。

 理論上は、この「価値」機能は、インフレ目標の達成や成長促進といった他の目標と何ら対立するものではない。だが、今の世界では、中銀が成長と物価上昇率の使命を果たそうと非伝統的な対策を打ち出しているために、次第に「価値」機能を見失いつつある。


米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和の結果、中国を抜いて世界最大の米国債保有機関になっている〔AFPBB News〕

 例えば、中銀が株式や長期債、住宅ローン債権を大量に買い始めると、中銀自身と市場に損害を与える恐れがあるとボルカー氏は主張する。

 「中銀のポートフォリオに多額の損失が生じるだろう。低金利が永遠に続くと想定することはできない。FRBは(今や)世界最大の金融仲介機関になった」

 そして政治的なリスクがある。中銀が非伝統的な対策を取れば取るほど、政治家、投資家、有権者は一様に、中銀が手品をやることを期待するようになる。

日本で流行の考えに異議あり

 特にボルカー氏は、中銀は成長を後押しするために意図的に物価上昇率を高めるべきだという考え(現在、日本で流行している考え)を嫌っている。「中銀は全能の道具ではない」とボルカー氏。「多少のインフレは良いことだという考えを抱いてしまうと、インフレを退治するのが非常に難しくなる」

 大半の投資家と一部の中銀当局者は恐らく、肩をすくめるだけだろう。今の世界では、ボルカー氏はややもすれば、過去の戦争を戦うことにとりつかれた短気な大将のように聞こえる。何しろ、日本は言うまでもなく、米国でも物価圧力が高まる兆候はほとんど見られないし、通貨の信認が劇的に失われた兆候もない。

 10年物米国債市場に見て取れるインフレ期待は4月第2週に2.4%まで低下した。これは3カ月ぶりの低さで、過去3年間の水準と概ね一致している。

 また、4月第2週の調査は、日本の世帯の4分の3が物価の上昇を見込んでいることを示していたが、これは何年ものデフレに続く動きだ。実際、日本には停滞感があまりに深く染み付いているため、「衝撃と畏怖」並みの対策でないとムードは変えられないというのが一般的な見方だ。

 さらに、もし物価が再び上昇し始めたら(あるいは、上昇し始めた時には)、日銀は比較的容易に方向転換できると考えられている。

 米国でも同様だ。先日公開された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録は、FRBの理事らが積極的に将来の出口戦略について議論し、円滑な政策転換を期待していたことを示していた。

ボルカー氏が学んだ中銀の限界

 だが、たとえこうした背景のおかげで政策立案者がボルカー氏の言葉を一蹴するのが政治的に容易になるとしても、時として、最後の「経済」戦争について考えてみることは役に立つ。結局、ボルカー氏は35年前に挑んだ戦いで、中銀に対する信頼感がいかに脆くなり得るかを痛感したからだ。この戦いから、中銀の力がいかに限られているかということも学んだ。

 皮肉なことに、これは黒田氏自身が学び直さねばならない教訓ではない。同氏は内心、この2つの点をはっきり認識している(筆者の同僚のマーティン・ウルフが先日説明したような日本の構造的障害が大きく影響している)。

 だが、現在、日本と米国の資産を大喜びで買い漁っている投資家は、ボルカー氏の言葉に留意した方がいい。年が若く、最初の「ボルカー・モーメント」を自分の目で見ていない場合は特にそうだ。

By Gillian Tett

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37577


【13/04/20号】 2013年4月15日 週刊ダイヤモンド編集部
ついにバブルの到来か!?
動き始めたマンション
高級物件を買い漁る富裕層
追随する金融マンと外国人

?高級ブランドのフラッグシップショップが立ち並び、都心の一等地として名高い表参道駅界隈。メインストリートから少し奥まった場所にある三菱地所レジデンスのモデルルームには年明け早々、フェラーリやマセラッティ、ランボルギーニなどの高級外車がひっきりなしに出入りし、スタッフが接客に追われていた。

?販売しているのは、同社の「ザ・パークハウス?西麻布レジデンス」。敷地面積3000平方メートルのタワーマンションで1億円を超える部屋も数多い高級物件だ。菊地伸一所長は「昨年は売れにくかった価格帯の部屋も売れるようになり、購入者の検討時間もかなり短くなってきた」と話す。

?昨年、既にマンション市況は底打ち感があったものの、買いたいと思わせるだけの大きな要因もなく、迷う客が多かったという。それが、年末に状況は一変。衆議院選挙で自民党が圧勝し、アベノミクスが始動したことで、マンション市況に火が付いた。

?市況を好転させている最大の要因はインフレ。長らく低迷を続けてきた不動産価格が上昇するのではないかとの観測だ。既に株価は急上昇。これがいずれ、不動産にまで波及するのではないかとの見方が強まっている。

?そうなれば、マンション価格は上がるし、購入した物件の資産価値も上がるだろうから、その前に買っておこうという思惑が働く。

?また、超低金利も後押しする。日本の金利は長らく低水準のまま推移してきた。黒田東彦・日本銀行総裁が就任早々打ち出した大胆な量的緩和策によって、住宅ローン金利はむしろ低下傾向を強めるだろう。だが、将来的に物価が上がれば長期金利も上昇に転じる可能性が高く、歴史的な低金利を享受するチャンスは今しかないとのムードが高まっている。

?さらに給料の引き上げもマンション価格の先高感に影響する。アベノミクスが成功したとしても、賃上げが波及するのはしばらく先になりそうだが、実現すれば購買力が増し、ひいてはマンション価格の上昇につながる。

?こうした構図を思い描き、「今が買い時」とばかりにモデルルームに走ったのは、富裕層だけではない。銀行や保険、証券など、いわゆる金融マンたちも年明けからなだれ込んだ。

?抜け目のない人たちだけあって、自分が住む物件に加えて、1LDKなどの小ぶりな部屋を投資用として購入するケースも少なくないという。

?2月に入ると、今度は外国人が動き始める。台湾や香港、シンガポールなどの富裕層が「日本に旅行に来た際のセカンドハウス需要や、投資用として購入していた」(菊地所長)。

?折しも昨年から10%以上もの円安になっている。彼らからすれば、10%オフで購入している感覚だから、お買い得感はかなりのものだ。

?こうして、昨年までは値下げしなければ売れなかった表参道や青山、六本木などでも、飛ぶように売れている。まさにマンション購入のドミノ倒し。それが3月に入るや、ついに一般のサラリーマン層にまで波及し始めたのだ。

サラリーマン層にも波及
GW以降は一大商戦に

?東武野田線・新船橋駅から徒歩3分、ショッピングセンターや総合病院、公園などと共に開発された「プラウド船橋」は昨夏から販売を開始し、今年3月末時点で総戸数1500戸のうち、1200戸が売れている。

「大型物件で、後半の苦戦は覚悟していたが、今年に入っても予想外の売れ行きで驚いている」。三菱商事と共に開発を手がける野村不動産の岩切真吾・住宅事業本部住宅営業一部長はこう話す。

?購入層の中心はサラリーマン世帯。通常なら完売まで3〜4年かかってもおかしくない規模だが、今年夏には完売する見通しだ。

?各地で開催しているマーケットセミナーにも、サラリーマンやその家族らが押し寄せている。

?これまでは、「部屋のスペックにばかり関心が集中し、マーケット動向などには興味さえ示さなかった」(岩切部長)が、今やマンション購入を検討し始めたビギナー層にも、アベノミクスや量的緩和などのキーワードが浸透し、購入意欲は着実に高まっている。

?デベロッパー側も、そうした客層に照準を合わせる。中央区の晴海や月島、江東区の豊洲、東雲といった人気の湾岸エリアで大型のタワーマンションを相次いで建設、大型物件を次々とオープンさせるのだ。

?東京駅界隈や銀座、大手町から近いが、元々は工場や倉庫地帯でこれから整備される地域であるため、販売価格が比較的安い点もサラリーマン層には魅力的だ。

?三井不動産レジデンシャルの「パークタワー東雲」もその1つ。斎藤裕・開発事業本部都市開発二部営業室長は「月を追うごとに検討時間が短くなり、ゴールデンウイークにはかなり期待できそう」と顔をほころばせる。

?まるでバブルの様相を呈しているが、不透明感も漂っている。

「ちょうど2006年ごろの手応えと似ている」──。マンション営業マンたちは口々にこう話す。リーマンショック前の数年間、需要が盛り上がり、価格の値上げ改定に沸いた時期があった。その初めのころの雰囲気に似ているというのだ。

過熱する土地取得競争
先行きに漂う不透明感

?バブルがはじけて以降、販売戸数、価格共に低迷、借金して土地を仕入れた中小デベロッパーはバタバタと倒産した。

?リーマンショックに襲われたこともあるが、購入層の給料が上がる要素さえない中で、土地の取得競争を繰り広げ、マンション価格をつり上げていったツケが回ったのだ。

?にもかかわらず、デベロッパーはまたぞろ土地の取得合戦を激化させようとしている。マンションブームというバスに乗り遅れてはならないとばかりに、土地の上昇スピードに給料が追い付いていかず、「販売価格に転嫁できないかもしれない」といったリスクには目を背けながら。

?おまけに、半年前あたりから、「資材や人件費が急騰してきたことも懸念材料」(木村俊久・大京執行役員事業統括部長)で、再び消耗戦に突入する可能性もある。

?確かに、金利の動向などを正確に予想することはできないながらも、販売価格や住宅ローン金利などが現状より悪化することはなさそうで、今買っても損はしない局面ではある。

?だが、本当に今、買うのが得策なのか。「人気のあるエリアだから」「モデルルームを見て気に入ったから」などの理由で、物件を選んでないだろうか。

?子どもができたり、成長して部屋が狭くなったといったライフスタイルの変化によって、10年程度でマンションを買い換えるケースが多い。いざ、売却しようとした際、ローンの残高と比べて売却価格が安ければ、おのずと負担は増える。

?そうした意味で、マンション選びにおけるポイントは、立地や物件のスペックもさることながら、資産価値を見極めることが重要といえる。マンションを取り巻く経済環境を押さえつつ、冷静な選択眼を養い、後悔しないマンション選びを行ってほしい。


『週刊ダイヤモンド』4月20日号の第1特集は、「今、買うならこれだ!マル得マンション」と題し、マンションを購入する際の判断材料を惜しみなく提供しています。

?中でも今回は、「資産価値」に着目。物件のスペックや立地、そして分譲価格との比較における「お買い得」度合いなどから多角的に分析しました。

?プロの目で、インフレ時代に強い新築マンション143物件(首都圏100物件、名古屋20物件、近畿圏23物件)をランキング、中古物件に関しても東名阪の200物件をランキングしました。

?加えて消費税のアップを間近に控え、いつ買うのが本当に得なのか、住宅ローン減税の影響と共に価格別にシミュレーション。意外な結果が出ています。

?そのほか、マンションのチラシや営業マンの口車にのせられないためのノウハウや、大幅値引きを引き出すための時期など、「賢い買い方の鉄則」も掲載。マンション購入を検討したり、交渉したりする際にも心強い一冊となっています。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長?田島靖久)
http://diamond.jp/articles/print/34616


【第272回】 2013年4月15日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
日本版ISAでの正しい運用法
?通称「日本版ISA」と呼ばれる制度が2014年1月からスタートする予定だ。これは、1人が年間100万円まで行う投資の収益に対して5年間非課税とする、投資優遇税制だ。

?日本版ISAでは、1人が1金融機関に一つだけ専用の口座を開くことになるので、金融機関の間では、すでに口座獲得競争が始まっている。現段階で予定されている日本版ISAの制度は、必ずしも使い勝手がよくないし、金融機関にとっても多額の手数料が入るような制度設計にはなっていない。しかし、新しい顧客の獲得につながるし、既存の顧客を他社に奪われたくないこともあり、半ば採算性を度外視して口座獲得競争に参加している会社が多い。

?さて、個人は、日本版ISAをどう利用したらいいのか。

「金融機関の選択」「運用計画」「金融商品の選択」に関して損得が明確な原則があるので、今のうちに確認しておこう。

?まず、金融機関の選択を先に行わないことが重要だ。金融機関は、必要な運用商品を扱っている会社を選ぶべきだし、同じ商品を購入する場合でも手数料が異なるので、この比較も行って決めるべきだ。最初に、「囲い込まれる」ことは、避けなければならない。

?運用の中身を考える上では、「税制の優遇枠を効果的に使うこと」「いったん買った商品を売却して再投資すると、非課税の対象からはずれること」の2点が重要だ。

?自分のお金の運用全体の中で、日本版ISAには、期待収益率が高い資産を集中的に「割り当てる」ことが得だ。仮に、預金と株式での運用を考えていて、株式のほうが収益率が高いと思うなら、日本版ISAで使える枠いっぱいまで株式を割り当てるべきだ。

?株式と債券の両方に投資するバランスファンドのような商品は、税制優遇の枠を最大に使えないので日本版ISAには不適当だ。

?一方、個別の株式に対する投資も、日本版ISAには不向きな場合が多いだろう。個別株の場合、5年間の投資期間の途中で売却したいタイミングが生じる可能性が大きいからだ。

?すると、選択肢は、国内株式ないしは海外株式に投資する投資信託ということになる。投資信託であれば、中身が分散投資されているので、個別の株式よりもリスクが小さい。その分、長期間持ち切ることが容易になる。

?自分のお金の全体の中での株式投資比率を変えたい場合は、日本版ISAで行っている投資の外側で調節することが好ましい。

?確定拠出年金であれば、運用対象をスイッチングしても運用益の非課税が継続するが、日本版ISAは今のところそうなっていない。長期的に固定することができるバランスの取れた運用がいい。

?もう一点重要なのは、手数料の安い運用商品を選択することだ。運用対象は投資信託が適当な場合が多いと思うが、購入時の手数料がかからない「ノーロード」の商品に投資すべきだし、継続的にかかる手数料である信託報酬が安いものを選ぶべきだ。

?そうすると、必然的にインデックスファンドが投資の対象になる。特に、国内株式への投資部分はTOPIX(東証株価指数)を目標とするETF(上場投資信託)がいいだろう。ETFに投資してじっとしている投資家は、金融機関側から見ると「厳しい顧客」だが、合理的な投資家である。

?日本版ISAでの運用は、国内株式と海外株式のインデックスファンドを組み合わせて、じっと長期保有するような投資がベストだ。
http://diamond.jp/articles/print/34606

韓国株を直撃する「黒田バズーカ」
2013年04月15日(Mon) Financial Times
(2013年4月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


韓国に投資している人にとっては、北朝鮮より黒田東彦・日銀総裁の「バズーカ砲」の方が心配?〔AFPBB News〕

 朝鮮半島では金正恩(キム・ジョンウン)の核兵器が注目の的になっているかもしれないが、韓国に投資している人々にとってより大きな悩みの種は黒田東彦氏のバズーカ砲だ。

 成長のために総力を挙げるという日銀総裁の決意は、日本株の投資家にとっては恩恵だったかもしれないが、多くの韓国企業にとっては逆効果になっている。

 韓国政府がいつあってもおかしくない北朝鮮のミサイル発射を待ち受ける中、朝鮮半島では緊張が高まったままだ。

 北朝鮮政府の敵意に満ちた言葉――さらには敵意に満ちた行動――は以前も株式とウォンの両方にマイナスの影響を与えたが、そのインパクトは必ずと言っていいほど短命に終わった。

 「我々は北朝鮮の過去の挑発から教訓を学んだ。株式市場は、数日間は急落する傾向があるが、いつも回復する」とトラストン・アセットマネジメントのチョン・インキ氏は言う。

北朝鮮からの脅威に加え、日本の金融革命も懸念材料に

 韓国総合株価指数(KOSPI)は、政治的緊張の高まりと経済のつまずきに打ちのめされて、今年アジアで最もパフォーマンスの悪い株価指数になっている。

 韓国の中央銀行は11日、2013年の成長見通しを2.6%に引き下げたが、利下げを求める要求には抵抗した。そして今、考慮すべき新たな要因が誕生した。日本の金融革命である。

 2008年夏から2012年12月にかけて、日本円は韓国ウォンに対して50%以上上昇した。通貨の面での相対的な強みが、KOSPIで大きな比重を占めるサムスンや現代といった韓国の輸出企業が世界中で市場シェアを拡大する助けになった。

 だが、日本の「アベノミクス」の後押しのおかげで、円は6カ月足らずで約20%下落した。長らく高い輸出コストと戦うことに慣れてきた日本企業が円安を活用し始めている今、韓国のライバル企業が最大の敗者になると見られている。

 「外国人投資家は韓国株を大量に売り越している。地政学的な状況だけでなく、韓国の輸出企業に対する懸念も原因だ」。バークレイズの韓国調査部門責任者チャニク・パク氏はこう言う。「投資家と話すと、彼らは過度な円安が韓国の輸出企業に与えるインパクトをとても気にしている」

日本株の上昇も足かせ


日本の株式市場は「アベノミクス」効果への期待に沸いて、大幅に上昇してきた〔AFPBB News〕

 日本株の上昇も足かせになってきた。日本株への投資比率を高めようとする投資家は、取引を賄うために大規模で流動性のある市場に目を向けてきた。最も大きな影響を受けたのが、韓国と大中華圏だ。

 年初来、KOSPIはアジアの中で出遅れてきた。米ドル建てで見ると、KOSPIは8%下落している。その間、日本を含むMSCIアジア太平洋株価指数は5%上昇した。この1カ月だけでも外国人投資家は韓国株を38億ドル売り越した。

 だが、韓国の1つの取柄は、実は悪材料かもしれない。

 日本以外のアジアに資金を配分しようとする投資家にとって、この地域には価格とモメンタム(勢い)の間にジレンマがある。東南アジア市場は過去2年間で急騰しており、多くの市場ではPER(株価収益率)が目もくらむような高さになっている。例えば、フィリピン株価指数は現在、20倍を超えるPERで取引されている。

 中国株は、短期間の息をのむような高騰の後、失速しており、多くのアナリストは今、市場が年内いっぱいボックス圏内にとどまると見ている。インド株も結果を出せずにいるが、比較的高いバリュエーションで取引されている。

割安感が出てきた韓国株だが・・・

 対照的に、韓国株は割安に見える。KOSPIは長い間、地域の他国に対して「コリアディスカウント」で取引されてきたが、約8.7倍という現在のPER――過去の平均は10倍――は注目を集め始めている。

 「韓国のマクロ経済の状況は厳しいように見えるが、ヘッジファンドが空売りを手仕舞い始めるため、お買い得品を探すにはちょうどいい時だと思う」。ウリィ・アセットマネジメントのキム・ハクジュ氏はこう話す。

 「外国人投資家のパニック売りが多少見られるが、今株を買えば、良いリターンが得られることは分かっている」

 HSBCのアジア株戦略部門責任者、ヘラルド・バン・デル・リンデ氏は、見掛けは人を惑わすことがあるとし、一見すると低い韓国株のバリュエーションは、業績下方修正や業績見通しの未達の長い実績と矛盾している、とリンデ氏は言う。

どんな業績数値に基づいて「割安」なのか?

 「成長が限られている世界では、業績予想は高揚しすぎており、楽観的すぎる」とリンデ氏。「確かに韓国株は割安に見えるが、一体どんな業績数値に基づいているのか? 韓国株は人が思っているほど割安ではない」

 バリュエーションが割安に見えるとしても、市場には好転のための明白な手掛かりが欠けている、という人もいる。

 「バリュエーションの観点から見ると、韓国市場は注目だ。だが、焦る必要はないと思う」とJPモルガン・アセット・マネジメントのアジア担当チーフストラテジスト、タイ・フイ氏は言う。「業績改善の兆しが出てくるまでは、投資家は比較的保守的な態度を続けるだろう」

By Josh Noble and Song Jung-a
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37584


02. 2013年4月15日 10:52:29 : xEBOc6ttRg

2013年4月15日 安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
若い世代は大胆な雇用調整も厭わず
それよりも日本企業のグローバル化を望む
?パナソニックの大坪文雄会長が6月末の総会で辞任することが報じられた。引責辞任とのことである。大坪会長が社長を勤めた期間(2006年から2012年まで)とパナソニックの業績を対比してみると次の通りになる。


?同様に、業績の悪化しているシャープとソニーについても、社長の在任期間と業績の推移を重ね合わせてみると次の通りになる。シャープの片山幹雄会長は、2007年から2012年まで社長を務めた。その間のシャープの業績は次の通り推移した。


?ソニーのハワード・ストリンガー取締役会議長は、2005年から2012年まで社長を務めた。その間のソニーの業績は次の通り推移した。


?シャープの片山幹雄会長は、昨年の総会で業績悪化の責任を取って代表権のない会長に就任した。ソニーのストリンガー取締役会議長は、会長就任の意向を示したそうだが、取締役会が反対して、会長には就任させずに、取締役会議長に就かせたという。それに対し、大坪会長は現在に至るまで代表権のある会長として君臨していた。3社の中ではパナソニックがガバナンスがもっとも不徹底であった。

?3人の経営者に共通するのは、外部の競争相手の変化を見てこなかったように思われることだ。この期間に海外のエレクトロニクス業界ではものすごい変化が起きていた。こうした変化に対応せずに、社長であり続けたことに重大なガバナンスの問題があると思う。筆者は前社長の弁解も推測しながら経営の問題点を掘り起こして行きたいと思う。

?変化の一番目は、垂直統合から水平統合への変化である。代表的な例がアップルだ。スティーブ・ジョブズが社長として復帰した2000年ごろから、自社で生産するのを止める方針に転換している。最初のiPhoneが登場した2007年ごろには生産を台湾企業の鴻海に委託し、鴻海が中国内の安い人件費を使ってアップルの求める品質の完成品を作る方式が本格化した。

?日本で水平統合を進めようとすれば、社内から猛烈な抵抗があったとしても不思議はない。製造部門が大きな権力を持っている製造業が多いし、工場長は出世街道のひとつだからだ。更に、国内の下請け企業との関係にもヒビが入る。力の弱い電子部品産業では倒産するところも出てきただろう。国内の工場を閉鎖すれば、誘致した地方自治体は、地域雇用の喪失に抵抗を示しただろう。社長としての重い決断がいくつもあったはずだ。

?日本人の価値観も変化できなかったろう。「良い製品を作れば売れる」という「物作り神話」が広く流布し、Made in Japanを作り続けて成功した体験がある。完成品メーカーと下請けとの間に「すり合せ」という独特の慣行が存在し、これも成功体験に組み込まれていた。これが日本の強味であると信じている人はいまだに多い。

?だが、80年代にMade in Japanを買ってくれた欧米の購買層は、その後経済の停滞から高品質な製品を買う余裕を失ってしまった。代わって勃興してきたのが、経済成長著しい新興国の購買層である。彼らは品質の高い製品に固執せず、「ソコソコの品質で安い製品」を好んだのである。前社長にこうした市場の変化への認識はあったのだろうか。

?二番目に、電子製品のコモディティー化が急速に進んだ。デジタル化が進み、テレビを構成する部品の共通化が進み、差別化の難しい製品となった。半導体の分野では90年代後半から、シリコンバレーか英国で設計して、製造は台湾のファンドリーに任せる方式が定着していた。2000年代に入ってから米日欧のセットメーカーが水平分業へ移行した。この過程で台湾企業が実力をつけてきた。テレビの基幹部品である「システムLSI」では台湾がトップ企業になった。高品質の液晶パネルは今でも日本・韓国で作られているが、それ以外の部品での台湾企業の躍進は目覚ましい。

?三番目に、海外の競合エレクトロニクス・メーカーは、最初からグローバル市場を目指して製品の開発を行う。台湾・韓国では国内の市場があまりにも小さいので、そうせざるを得ないのだ。それに対し、日本の市場は大きく、国内市場優先で対応してもビジネスが成り立つ。国内市場では販路が出来上がっているので、作ることに専念すれば事足りる。

?韓国と中国のセットメーカーは日本が手薄な新興国・後進国市場で、大規模なマーケティングを展開し、ブランドを確立して行った。特にサムスンは、20代半ばの社員をこうした地域に一年間派遣し、言語の習得から国民性の把握、市場調査に至るまでを勉強させる「地域専門家制度」を90年から導入していた。2007年ごろには帰国した専門家は3000人を超える規模になっていたと伝えられる。

?最後に、スマホへの取り組みの遅れも指摘される。これはドコモでも遅れたのだから、メーカーだけの責任にはできない。だが、スマホの開発に抵抗する社内勢力はなかったか。例えば、デジタルカメラを手がけている部門はスマホが成功すると「吸い込まれる」ので抵抗したと推測される。だが、スマホは予想以上に早く普及し、単品で市場投入してきた多くのデジタル家電部門が総崩れになってしまった。アップルやグーグルには、社内に「失うものがなかった」のが幸いした。

?家電メーカー3社の窮状の直接の原因は、テレビというコモディティーへの過大投資である。ただ、これから事業を再建するに当たって、超えなければならない課題はあまりにも多い。今までのように希望退職を募って社員規模を縮小していけば、国内市場に特化した家電メーカーとしてそれなりの事業を維持することはありうるが、これでは国際競争力を回復しないままの再建に終わってしまう。国際競争力を回復させる改革でないと意味がない。

?しかしながら、家電3社の現社長がいくら努力しても限界があるように感じられる。改革しなければならないものは、一企業内だけにとどまらず、国家・国民を含めた課題としてある。国家の制度改革と日本人の意識改革なしには実現できない。

?国家としては、企業が雇用調整を行いやすいように法制度を変更する必要がある。諸外国では既にやっていることで何も目新しいことではない。日本の規制が異常に厳しいのだ。企業側も、戦力として定着して欲しい人材と、そうでない人材とを処遇面で格差をつけるメリハリの効いた人事制度を導入する必要がある。内部での人材育成と並行して、即戦力となる外部人材を中途採用していくことも必要となろう。雇用の改革には官民一体となった改革が不可欠である。

?社員の側でも、企業が守ってくれるという「期待感」を捨てる必要がある。隣国のサムスンでは90年代から報奨制度を取り入れ、貢献のあった個人やグループに対して、特別賞与金(不定期)、生産性奨励金(年二回)、利益分配金(年一回)を基本給に上乗せして支払う制度を採っている。基本給は日本より低いが、総報酬はその何倍も取る社員が生まれている。当然、落ちこぼれて辞める人もでてくるが、社内研修で新たなスキルを身につけて再挑戦してくる社員も多いという。

?最近当地で、アップルに長く勤めた日本人の方の体験談を聞く講演会が開かれた。92年に日本のアップルに入社され、2002年から2009年まで米国本社で要職を歴任された。入社後数年間のアップルは、製品の返品率が高く、売上が伸びず、社員には緊張感も責任感もなく、モラルは極端に低下していた。96年にアメリオ社長を迎え96年、97年の二回に渡って総社員数の約3分の1に当たる6900人がレイオフされた。それでも業績が回復せず、アメリオ社長は97年7月に辞任に追い込まれた。

?ここからスティーブ・ジョブズが暫定CEOとして年俸1ドルで再登場する。社内のプロジェクトを350から10に絞り込み、恐怖政治ともいえる実力主義人事を導入した。倒産の瀬戸際まで追い込まれて、背水の陣で開発したiMacが売れ出し、製品を更に4製品に絞り込み、社員に発破をかけた。社員は意気消沈するどころか、逆に奮起して頑張るようになった。

?その方が言われるには、会社は社長のリーダーシップ如何でどのようにでも変わる。社員は会社がどこを向いて走っているのかわからないとダラケるが、はっきりとした経営方針が提示されれば、目標に向かって挑戦するようになるのだという。

?筆者は最近、日本のある大学からシリコンバレーに研修に来た工学部の学生数十名に講義する機会があった。内容的には本稿で展開したものにアップル・サムスン・鴻海との比較を入れて講義した。これからは大企業にますます頼れなくなり、学生一人ひとりがスキル(英語力とプログラミング能力)を磨いて生きていく時代になると予測した。

?学生たちは日本の経営者がグローバルな視点を持たずに経営していることに驚いた様子であった。特に、サムスンの「地域専門家制度」については多くの学生が強い関心を示した。今の教育制度ではグローバルな視点を持つことは不可能であるとの不満も多かった。グローバルな経営者の下で、グローバルに活躍してみたいという学生が多くいたことに筆者は勇気付けられた。若い人は決して内向き一辺倒ではない。

?安定した職を望むよりも、自分の努力に素直に報いてくれるような企業で働きたいという意見が圧倒的に多かった。学生の多くから、海外企業の変化と日本企業とのズレについて賛同する意見が出たが、水平統合への移行については実施はかなり難しいのではないかと疑問を持った人が少なからずいた。理由は日本文化である。日本文化を温存させながら、如何に国際競争力を回復させていくか。就職を間近にひかえ、学生の真剣な質問が次から次に出てきた。

?学生の意識は、「ダメ企業につき合わされるのはゴメンだ、それよりも自分自身の力量で生きていくほうがマシだ」に集約されると思う。日本でもようやく解雇規制の緩和を進める動きが出てきているようだが、雇用調整に官民が二の足を踏む必要はないように思う。若い世代は現実を受け入れてドライに生きようとしている。いま苦悩する家電企業はこれを機会に大胆な改革を行い、学生が「就職した」と周囲に誇りを持って言えるような「グローバル企業」に変身してほしいと切に願うものである。
http://diamond.jp/articles/print/34614

LNG先物市場創設のナゼ

原油が辿った道のりを30年遅れで追うLNG

2013年4月15日(月)  山根 小雪

 「ジャパンプレミアム」という不名誉な名前を付けられた割高なLNG(液化天然ガス)を買い続けてきた日本。この流れを断ち切り、LNGを安価に入手すべく政府が動いた。経済産業省が3月29日、LNG先物市場を2014年度中に創設する方針を固めたのだ。

 パイプラインで流通するガスには、米ヘンリーハブなどの価格指標が存在する。ところが、LNGに市場は存在せず、基本的に相対契約で取引されている。つまり、LNGが実際のところ、いくらで取引されているかは霧の中だ。しかも、価格は原油価格に連動する。シェールガスの登場などで需給が緩み、パイプラインでの取引価格が下落しても、日本はその恩恵を受けられない構図だ。

 日本でLNG先物市場が立ち上がれば世界初。取引価格が明るみに出てくると、LNGの価格指標ができ、原油連動から解放される。取引が活発になれば、需給に応じた価格で、LNGを調達できるようになる。日本が、不条理なジャパンプレミアムから解放される。

 ただ、先物市場が本格的に機能するためには複数のハードルを越えなければならない。(この点については、4月15日号日経ビジネス時事深層「前途多難なLNG先物市場」をご覧いただきたい)。

 では、なぜ今なのか。LNG取引の歴史は長いが、これまで市場創設の動きが顕在化したことはなかった。

 住友商事の高井裕之理事は、こう説明する。「東日本大震災以前は、ヘンリーハブとアジアの取引価格の値差はそれほど大きくなかった。震災後に日本の輸入量が急増しLNG価格が高騰したことと、ヘンリーハブ価格がシェールガスの増産で急落したことで、値差が急激に広がり、市場創設の必要性が出てきた」

 ヘンリーハブと日本の取引価格の差があまりに大きくなり、無視できなくなった。そこで、民間の取り組みを越え、政府が市場創設に動き出したというわけだ。

「原油で言う1980年がLNGの今」

 実は、LNG取引における現在の状況は、原油が辿ってきた歴史と重なる。

 かつて原油にも取引市場はなく、価格は産油国(OPEC)が一方的に決めていた。1970年代初頭の原油価格は、1バレル当たり2ドル程度と安価だったので、市場の必要性が叫ばれることはなかった。

 ところが、1973年に始まった第4次中東戦争で、同2ドルだった原油が、同10ドルに高騰。第1次石油ショックが起きた。さらに、80年には同30ドルにまで跳ね上がり、第2次石油ショックとなった。「このままOPECに一方的に価格を決められては困る」という市場創設ニーズが生まれ、ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)に、原油先物のWTIが上場した。

 いざWTIが上場されても、すぐさま原油取引に影響が出たわけではないが、価格変動をヘッジできるといった利便性から、徐々に浸透していった。この間、WTIだけでなく「北海ブレント」や「ドバイ原油」などの価格指標も誕生し、取引時のベンチマークになっていった。

 住友商事の高井理事は「原油で言う1980年前後がLNGの今」だと言う。

 東日本大震災前、日本のLNGの取引価格は、100万BTU当たり10〜11ドル程度。欧州も同様だった。パイプラインガスの価格とLNG価格は、天然ガスの液化にかかるコストとタンカーでの輸送費として、同7ドルを上乗せするとすれば、同6〜7ドル程度だったヘンリーハブに割安感は薄かった。

 ところが今では、ヘンリーハブが同4ドル(液化、輸送コストを上乗せしても同11ドル)、欧州は10ドルなのにもかかわらず、日本は同20ドルもする。これだけの差がつくと、「市場を作りたい」という話になる。

 LNGの先物市場が日本で順調に立ち上がるかどうかも現時点では不透明だし、日本市場での価格が原油でいうWTIのような存在感を放つようになるかどうかもわからない。実際、シンガポールや中国でも水面下でLNG市場創設への動きがある。

 シンガポールは、来るLNG取引に向けてLNGの貯蔵施設を完成させている。しかも、産ガス国であるインドネシアからのパイプラインも引き込んである。LNGの現物取引をするには、東京よりも圧倒的に有利だ。

 原油の歴史に習えば、価格指標は複数出てくるだろう。買い手としては需給を反映したアジア市場価格が形成されるのであれば、市場がどこにできても構わないというのが本音だ。政府の介入リスクがある中国は別かもしれないが・・・。

 実際のところ、「東京はシンガポールや上海に比べて貯蔵施設やパイプラインがない分、どうしても不利になる」と、あるエネルギー会社幹部は言う。政府の方針によると、2014年度中の先物市場創設時は、現物受け渡しを伴わない現金決済型の取引だ。本格的に市場が機能するのは、現物の受け渡しを伴う市場になってから。そう考えると、シンガポールに軍配が上がる可能性は十分にある。

今後10年は混乱期が続く

 あるエネルギー会社幹部は、「2014年ごろはガス需給がタイトになる。北米からのLNG輸入が実現しそうな2017〜18年ごろに市場が立ち上がってくれればベストだが・・・」とつぶやく。

 だが、その望みを叶えるためには、原油市場が通った紆余曲折の歴史をショートカットする必要がある。

 JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)特別顧問の石井彰氏は、「原油と同じ道程を辿るならば、これから10年ほどは混乱期が続く」と指摘する。

 「原油市場は、OPECによる数度の大幅値上げがあり、その反動で暴落もした。市場メカニズムが導入され落ち着いたようにも見えたが、2000年代には金融緩和を背景に先物市場の暴走が始まり、現在に至っている」(石井氏)。

 買い主である日本が原油価格連動で大損するのは嫌だと思う一方で、売り主である産ガス国は原油価格連動を守りたいと考える。このせめぎあいも、混乱の要因になるだろう。

 だが、市場が安定化するまで手をこまぬいていては、日本の電力、ガス価格は高まる一方だ。日本のLNGの買い手は、新規契約時に今まで通りの柔軟性に欠けた長期契約一辺倒ではなく、余ったら他社に転売できるオプションを付けるといった努力をすべきだ。

 また、国としてもLNG火力発電に頼り切りであることが見え見えの今の状況は脱却する必要がある。石炭火力発電や原子力発電、再生可能エネルギーなどの他の選択肢を「本気で検討している」という姿勢を見せるだけでも、交渉時のカードになり得る。

 中国はLNGを日本よりも5割安く買っていると言われる。先物市場の創設はもちろん、ありとあらゆる選択肢に本気で取り組み、日本だけがLNG取引で貧乏くじを引き続けることは避けてほしい。


山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130411/246505/?ST=print




欲が深すぎる米国の環境保護団体
今度は太陽光パネルが環境破壊を招くと訴訟起こす
2013年04月15日(Mon) 堀田 佳男
 1つの政治判断がすべての国民を納得させることは無理――。それを改めて思い知らされる事例が米国で起きている。

 今年2月初旬、米環境保護団体3グループが内務省を提訴した。もちろん決着は当分先だが、3グループは連邦政府が所有する西部6州にまたがる広大な土地に、大規模な太陽光発電所ができることに異議を申し立てた。

砂漠にも希少動植物が生息しているからダメ


コロラド州デンバーのビル屋上に設置された太陽光パネルの間を歩くオバマ大統領〔AFPBB News〕

 一見すると不毛の土地と思われる砂漠である。だが希少動物や植物が生息しており、ソーラーパネルが設置されることは好ましくないとの立場だ。先住民族が先祖から受け継いだ土地も含まれており、反対派は環境破壊につながると主張する。

 3グループは「西部土壌プロジェクト」「砂漠保護評議会」「西部水域プロジェクト」という団体で、砂漠を産業用地に変えることは国家環境政策法(NEPA)に抵触すると訴える。

 ただ、この地で太陽光発電の事業を行うのは連邦政府ではない。内務省が民間企業に土地をリースし、エネルギー関連企業がソーラーパネルを設置する。環境保護団体は、土地使用を許可した連邦政府に判断ミスがあったとの論理を使う。

 「西部土壌プロジェクト」の創設者、ジェニーヌ・ブルーロック理事は文書で、こう述べる。

 「バラク・オバマ政権は自然豊かな広大な土地を、不必要な産業用地に変えようとしています。その土地は国民のものです。太陽光発電は本来、民家の屋根や駐車場、ビルの屋上、廃棄された土地などで行うべきです」

 その主張には一理あるが、連邦政府が太陽光や風力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギーに力を入れている背景がある。実は今、反対派に回っている環境保護団体こそが、オバマ政権の誕生を契機に再生可能エネルギーを後押した急進派そのものなのだ。

 彼らはジョージ・W・ブッシュ前政権が推し進めた石油や石炭等の化石燃料に反対した。

 石油や石炭は燃やした時に二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などを発生させ、大気汚染や地球温暖化の原因になる。シェールガスにしても地下水の汚染という現実を生んでいる。こうした化石燃料にまず抗議の声を上げた。

 首都ワシントンにあるシンクタンク「エネルギー調査研究所」が公表した報告に、次のような記録がある。ブッシュ政権時代、連邦政府は民間企業から年間95億ドル(約9500億円)もの原油採掘料を徴収していた。

風力発電の送電線が環境破壊を招くのでダメ


洋上風力発電設備(写真はノルウェーのもの)〔AFPBB News〕

 だがオバマ政権になって、その額は3500万ドル(約35億円)にまで減った。単純計算で270分の1にまで原油採掘のレベルを落としている。それこそが環境保護団体の歓喜する動きだったはずだ。

 彼らにしてみると、オバマ政権が推し進めた大規模な太陽光発電事業は好ましいだけでなく、長年願ってやまなかった自然に優しい政策だったはずだ。ところがそうなっていない。なぜなのか。

 いくら砂漠であっても、自然破壊が予測できる限り、むやみに賛同できないというのだ。太陽光や風力など、発電には広大な土地が必要になる。長い送電線も必須だ。そこに異論を唱え始めた。

 2010年、カリフォルニア州ロサンゼルスに電気を送電するグリーン・パス・ノース計画というプロジェクトがあった。再生可能エネルギーの送電線は全長約135キロ。だがその敷設が環境に大きな影響を与えると判断されて中止になった。

 「パターン・エネルギー・グループ」という環境保護団体の代表は、「一見、自然環境に優しいと思われる再生可能エネルギー計画でも、常に疑問を投げかけなくてはいけない」と説いた。

 今でも全米各地に次々と風力発電の巨大なタービンや太陽光発電のパネルが設置されている。同時に、その前段階で実に多くの訴訟が起こされてもいる。

 2012年4月、西海岸オレゴン州で環境保護団体2グループが、州内のスティーンズ山に建設予定の風力発電タービンが白頭ワシやビッグホーン(オオツノヒツジ)等の生態系を破壊するとし、地方裁判所に中止を求める裁判を起こした。

 また12年10月、カリフォルニア州のノース・スカイ・リバー風力プロジェクトでも訴訟が起こされた。3つの環境保護団体は100基ほどのタービンが設置されると、イヌワシの生態系が脅かされるため、環境評価の見直しを求める訴訟を起こしている。

 皮肉である。再生可能エネルギーこそが米国の将来のエネルギー供給をまかなう中心的な存在であり、これこそが未来の姿という姿勢であった。しかし、訴状には環境の破壊が連綿とつづられている。

ダメ出しはするが代替案はナシ


米軍グアンタナモ基地の門〔AFPBB News〕

 ただ原告側の弁護士の1人は、「もちろん化石燃料よりは太陽光発電の方がずっと環境にいいのです。太陽光そのものに異議を申し立てるつもりはありません。ただ場所を選別してくださいということなのです」と説明する。

 それではエネルギー需要に応えるために、環境保護団体は具体的な代替案や候補地を提示できているのか。「屋根の上で発電してください」では話にならない。

 その一方で、風力発電用の大型タービンが100基も並んだ光景は壮観ではあるが、すぐそばに住みたいと思う人が多くないのも事実である。英語では「Not in My Back Yard(自分の裏庭には来ないで)」という表現がある。普天間の移設問題でも、日本人は同じ心象を抱いているはずだ。

 冒頭の問いに戻ると、政治決断の多難さはそこにある。両者にどう折り合いをつけ、総合的な判断から最善の方策を見つけ出すのか。米国でも同様の問題は一朝一夕には解決していない。

 キューバのグアンタナモ基地が好例だ。オバマ大統領は2008年11月に当選を決めた直後、大統領になってまず手をつける公務の1つにグアンタナモ基地の閉鎖・移転を挙げた。だが、4年以上たった今も、基地移転は実現できていないばかりか、候補地も決まっていない。

 オバマ政権のエネルギー政策は現在も再生可能エネルギー推進でぶれていないが、政府が助成金を投じたプロジェクトが破綻し、失業者を出し、財政危機に陥った企業も後を絶たないのも事実だ。

 環境保護団体が訴訟に訴える手法はいかにも米国らしい。訴訟によって発送電事業が建設的な形で着地点を探ることができれば申し分ない。

 だが環境保護団体が自分たちの利害だけで訴訟を起こし、電力の未来に何の手だても施せなければ、むやみなやたらな訴訟はマイナスである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37576


03. 2013年4月16日 02:02:49 : xEBOc6ttRg
債券投資家に金融抑圧の「カチカチ山」
編集委員・滝田洋一
2013/4/15 7:00
日本経済新聞 電子版
 次元を異にした黒田緩和から10日余り、債券市場が大荒れとなっている。池の中の鯨のように、日銀が市場から国債をのみ込んでいく。その先に見えるのは日本版の「金融抑圧」ではあるまいか。様々な理由で国債を抱える投資家にとって、カチカチ山のような事態が到来した。

 金融抑圧(financial repression)とは、産業の投資活動などを後押しするために、人為的に金利を抑え込む政策をいう。名目金利が物価上昇率を下回り、実質金利がマイナスになるケースが多い。
 もともとは新興国が産業育成のためにとってきた策である。ところがリーマン・ショックを境に、財政が大幅に悪化した米欧でもこの言葉がよく使われるようになった。
 (1)中央銀行が国債の購入を増やして長期の名目金利を押し下げる(2)名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利をゼロないしマイナスにする(3)国債発行に伴う元利払いの負担を軽減し、財政を立て直すのに役立てる――というわけだ。
 10年物国債の実質金利は、米国でほぼゼロ%、英国ではマイナス1%程度となっている。こんな状況で割を食わされるのは、期間の長い資金を運用する機関投資家だ。
 企業など民間の資金需要が乏しく、有望な投融資先が見当たらなかったために、泣く泣く国債を買ってきた。銀行の自己資本規制など規制・監督面でも、国債の保有は優遇されてきた。やむにやまれず、という投資家の心模様が「抑圧」の語に込められている。
 ならば問う。10年物国債の利回りが1%をも下回っていた日本で、金融抑圧なる言葉が米欧ほどはやらなかったのはなぜか。ほかでもない。過去約15年にわたりデフレが続いてきたからだ。名目金利は低いが、実質金利には物価下落分が上乗せされてきた。

 米欧以上に民間に投融資先が見当たらず、株価は直近まで右肩下がり。そんな局面では、元本が保証される国債は安全かつ有利な投資対象だった。銀行や生保、年金などの投資家にとって、国債は「お宝」でこそあれ、金融抑圧をもたらす「ムチ」とは認識されてこなかった。
 日銀の黒田東彦新総裁が打ち出した異次元緩和は、債券市場のぬるま湯に熱湯を流し込んだ。改めて注目すべきは、金融政策の対象として長期金利を強く意識し、その低め誘導を意図していることだ。しかも、2年をメドに2%の物価上昇を目指している。
 早晩、デフレには幕が引かれ、物価は徐々に上向くとみられる。その一方で、日銀が国債をのみ込む結果、10年物国債の利回りは1%を下回るペギング(くぎ付け)が続くだろう。かくて、名目金利から物価上昇率を引いた実質金利はマイナスとなる。いよいよ、日本でも金融抑圧の時代がやってくる。
 あるメガバンクは昨年末以来、資金運用の軸足を債券から株式に移している。運用責任者は気をもむ。「日銀による国債買い上げという需給面の材料だけを頼りに、国債投資にしがみつく金融機関が多いけど、大丈夫なのかな」
 もちろん、中小金融機関は「分かっちゃいるけど、やめられない」が本音だろう。国債保有で運用益が稼げなくなった資金は、一体どこに向かうのか。リスク資産の保有や貸し出しが増えれば、ポートフォリオ・リバランス(運用の組み替え)のハッピーエンドとなるが、その道のりは滑らかではない。
http://www.nikkei.com/markets/column/globaloutlook.aspx?g=DGXNASDF1200K_12042013000000

 


http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130415/347571/?ST=overview
大前研一の「産業突然死」時代の人生論
ヘッジファンドが「異次元金融緩和」で浮かれた市場のスキを狙っている 大前研一
 日銀は4月4日の金融政策決定会合で、今後2年間で物価上昇率2%を実現するため「次元の異なる金融緩和」(黒田東彦総裁)を導入することを決定した。
 それにより日銀マネーにもとづく株高・円安の流れがいっそう強まったが、しかし、これはマーケットの「錯覚」にすぎない。今後は財政リスクにも注意が必要だ
資金供給量を2014年末に270兆円程度に
 日銀の大胆な金融緩和決定から一夜明けた5日の東京市場は、大幅な株高・円安の展開となった。日経平均株価は大幅続伸で始まり、ほぼ4年7カ月ぶりとなる1万3000円台を回復。為替も一時1ドル=97円台と、3年8カ月ぶりの円安ドル高水準となった。その後も株高・円安の基調が続き、11日には4年9カ月ぶりに終値で1万3500円台を回復、為替も1ドル=99円台となった。
 日銀の金融緩和は、市中に大量のマネーを供給するというものだ。年間60兆〜70兆円規模でマネタリーベース(日銀当座預金と紙幣、貨幣の残高の合計額)を増加させ、2014年末に270兆円程度になることを目指すという。
 イメージとしては、下の「資金供給量(マネタリーベース)の推移」を見ていただくとわかりやすい。

[画像のクリックで拡大表示]
 これまで120兆〜130兆円程度だったマネタリーベースを、一気に2倍に跳ね上げるというのである。そのため、買い入れる国債の対象を40年債まで広げて平均残存期間をこれまでの3年以内から7年へと延ばすなど、あらゆる手段を尽くしていくとしている。
Next:「正気の沙汰と思えない」といった声も
「正気の沙汰と思えない」といった声も
 一方、日銀がマネーをばらまくことで、円の価値が薄れて為替は円安の方向に振れていく。「円・ドルレートと日経平均の推移(日足)」をご覧いただきたい。

[画像のクリックで拡大表示]
 このように、安倍政権がアベノミクスを唱えるようになってから、円安・ドル高傾向が続いている。日銀の新しい金融緩和を受けて、円安が加速しているのが現状だ。
 さらに円安により、日本企業の収益が改善されるとマーケットは受け止め、日経平均株価も連動する形で上昇を続けている。
 しかし、これは一種の「錯覚」である。言ってみれば、錯覚に基づく心理的な効果でマーケットが上昇しているに過ぎない。日銀がいくらマネーを供給したところで、効果は長くは続かないだろう。
 一橋大学大学院教授の斉藤誠氏は、5日付のロイター記事で、今回の金融緩和について「正気の沙汰と思えない」と指摘している。
 また米ヘッジファンド、ヘイマン・キャピタル・マネジメントの創業者で「日本売り」を公言するカイル・バス氏は、「むしろ日銀は金利のコントロール能力を失う可能性が高い」と米メディアにコメントしている。
Next:本当に企業と家計の資金需要は高まるのか
 政府・日銀は「異次元金融緩和」で次のようなシナリオを描いているのだと思う。日銀が国債を購入し、資金を供給すると、市中銀行には大量のお金が貯まってくるため、貸し出しを行わなければならない。したがって貸出金利を引き下げることになる。特に個人に対しては、1.5%とか1.2%といった非常に低い長期固定金利で住宅ローンを貸し出し、住宅ブームが起きる――。
 しかし、現在の日本は空き家率が10%を超えており、住宅需要が急激に伸びることは考えられない。また、若い世代の婚姻率も下がってきているため、家族で家を建てたいという欲求が期待できない。人口が増えている米国では金融緩和に対する反応が良く、住宅ブームが再燃しているが、日本での反応はイマイチなのではないか。
 また、低金利なら企業も銀行からの借り入れを増やすはずだが、設備投資への食欲があまり高まっていない。大手企業の場合には社債を発行して直接市場から調達する。資金需要がなければ、いくら銀行が貸出金利を引き下げても、貸し出しは伸びない。
 これだけ日銀がマネーを供給しても企業や家計の反応が鈍いということは、言い換えると、反応が良いのは手っ取り早い株式市場だけということになる。結局、今後も日銀マネーは株式市場に流れていくだけではないだろうか。
Next:日銀マネーは不動産市場にも流れ込む
本来なら株価は企業の現在価値を表しているハズだから、業績の見通しが良くなって上昇するものだ。しかし今のような状況では業績が良くなるだろう、という見通しのもとに、海外からの資金も日本の株式市場に向かっている。今年になって25%上昇という点においては世界第1位!という記録である。しかし、企業業績がそこまで上がらないということが見えてくれば、潮が引くように資金も去って行くだけだろう。
 ここまでの資金供給が続けば、日銀マネーは株式市場にとどまらず、投資目的の不動産市場にも流れていく。実際、都市部では不動産価格が上がり始めていて、東京などでは案件が減ってきている。マンションなどの都心5区の優良物件は払底してしまった。
 別荘地も活況だ。私は軽井沢の不動産を長年見ているが、軽井沢では売り物件がほとんどなくなっている。ただし、軽井沢の超一等地でも坪40万円くらい。バブル景気のピーク時には坪500万〜600万円していたのだから、それに比べればまだ10分の1以下だ。せいぜい、地価下落が下げ止まり、堅くなってきたという程度である。
 このように、株式市場や不動産市場が「ええじゃないか」と浮かれている中、日銀の金融緩和のリスクも指摘されるようになっている。
Next:油断していると財政リスクが顕在化する
 日本経済新聞は1日、「米の財政対立を笑えない 安倍流『楽観』の大リスク」と題するコラムを掲載している。これは2年近く財政健全化交渉が決着しない米国が、「決められない政治」と批判されることについて、その実態は日本よりはるかにマシと指摘するものだ。財政赤字削減に躍起な米国に比べ、金融緩和頼みの安倍政権はリスクが大きく、信頼に足る財政健全化策という「第4の矢」が必要との専門家の声を紹介している。
 安倍晋三首相は7月の参院選までは増税と歳出削減をセットにした財政健全化ということを言いたくないのだろうが、参院選までまだ4カ月近くある。「まだ先だ」と思って油断していると、財政リスクが顕在化することも考えられる。
 マーケットというのは、調子が良い時は問題ないのだが、逆回転し始めると落ちる時は一気に落ちる可能性がある。資金が殺到して国債の利回りが急落したかと思った後に神経質に戻す時が危ない。
 実際、日銀が大胆な金融緩和を決定した後も、国債の利回りが神経質に戻す場面が何度かあった。
Next:アベノミクスのリスクを認識しておくべき
 日本国債暴落シナリオで資金を集めているヘイマンや円安に賭けて1000億円以上を稼いだジョージ・ソロス氏らのヘッジファンドは、そのような瞬間を、国債の暴落を仕掛ける空売りのタイミングとして狙っている。
 彼らは安倍首相の応援団ではない。とりあえず「安倍+黒田の異次元の緩和策」に唱和して儲けただけだ。今度は確実に浮かれた市場のスキをつくことを狙っている。
 国民はアベノミクスのリスクをしっかりと認識しておかなければならない。長期金利が急上昇(国債は暴落)してからでは遅いのである。


大前研一のホームページ:http://www.kohmae.com
ビジネスブレークスルー:http://www.bbt757.com


 

日本的ものづくりの病〜なぜ「急成長企業」が産まれないの?
能登左知氏(KAPIONパートナーズ共同代表)に聞く「新規事業が成長しない理由」
2013年4月16日(火)  瀬川 明秀

 米国シリコンバレーでのスタートアップ手法を紹介したエリック・リース氏の『リーンスタートアップ』。1章はこんな一文から始まる。
 「スタートアップの構築とは組織の構築にほかならない」。
 ベンチャーのみならず大企業の新規事業を立ち上げる時、開発する製品やサービスには関心が集まりがち。だが、「組織」という観点から成長を考える視点が日本では弱い。起業を志す人はすぐに2、3人でチームをつくり始めるが、その2〜3年後も同じ2、3人のままであるケースが少なくない。つまり、組織を構築できずにいるのだ。
 起業家にはゼロから1を生み出す力が必要だ。その「1」をつくり出すスタートアップの考え方やノウハウを教える機関は日本でも増えてきた。が、課題はその先。ビジネスの種を短期間で大きく組織に育てるプロセスの重要性は認知されていない。このステップアップで鍵を握るのが“スケーラブルマネジメント”という考え方だ。日本でこのスケーラブルマネジメントを教えるKAPIONドリームガーデンを主宰する能登左知代表に、なぜ、日本では急成長の組織が産まれにくいのか、などについて聞いた。
(聞き手は瀬川明秀=日経ビジネス)
幸先良い今どきの起業家たち
まず、KAPIONドリームガーデンについて教えて欲しい。
能登:KAPIONドリームガーデンは、起業家を支援する団体KAPIONパートナーズ(設立2012年、横浜市)が主催するメンタリングセッション(講座、演習、ワークショップ)です。

能登 左知(のと・さち)
KAPIONドリームガーデン 主宰者
2001年Kansas City Art Institute インダストリアルデザイン科BFA 学士終了。帰国後インキュベーションフィールドに携わる。行政運営の創業支援施設にて創業支援の立場にいたことから、スタートアップの課題や問題について研究、起業家・曽我弘氏とともに著書『シリコンバレー流起業入門』を出版。本書を使い曽我氏とともに、ベンチャー企業育成手法を考案しプログラムを開発、KAPIONドリームガーデンを主宰している。また2012年ALC教育社と共同で、慶応大学博士課程の秋季コースでも採用され2013年も実施予定。
 もともと、私の専門はCIビジネスデザインで、VCなど機関投資家に対する提案書のシナリオをつくるアドバイスをしています。具体的に相手にはどのように見えるのかなど、イメージ構成やプレゼンテーションづくりを得意としています。今まで1500件ほどの起業をサポートしてきましたが、日本の起業家に共通するのは「急成長のシナリオづくり」がとても下手だということです。それを解決する場を提供したいと考えていました。そこで、シリコンバレーでゼロから起業し、5年後のIPO直前でApple社に売却した経験を持つ曽我弘氏に共同代表になっていただき、KAPIONパートナーズを設立したのです。
日本の起業志望者に何か特徴はありますか?
能登:今どきの起業家は皆さん慎重です。根拠のない勢い、ただの起業熱だけでは行動しません。無駄なく利口なスタートアップを意識し、知識を十分に備えた上で、はじめの一歩を踏み出だそうとしています。
 実際、知識があることで成功の確率は高まってきています。「リーンスタートアップ」などの考え方が広まったお陰で、商品やサービスを顧客やターゲットの望むカタチにいち早くもっていける会社は増えていますしね。
 彼らの追い風となっているのが、シードアクセラレーターという存在です。まだビジネスの種を固めている段階、いわゆる「シードステージ」の本格的なビジネスが始まってはいないものの、今後新市場や既存市場に新風を巻き起こす可能性がある企業に対し、IT業界だと100万〜500万円程度の少額投資をする団体を言います。この「シードステージ」から、実際にアイデアを試作しいていく「アーリーステージ」にステップアップする時に、非常に助かる存在だ、と聞いています。
やっぱり資金調達に困っていた
つまり、成功する確率が高まっているということでしょうか?
能登:「はじめの一歩」を踏み出すのはいいんです。しかし、気になるのは2歩目からです。ベンチャーにはいろいろな段階があります。
 最近、KAPIONでいらしたDさんの話しをしましょう。彼は20代。技術系の仲間3人でチームをつくり、ゆくゆくは大手IT企業に会社ごと売却したいと考えています。ちょうど2年目を迎えたところです。
 そこで、私は「今困っていることは何ですか?」と尋ねてみました。すると「ラウンドAステージの資金調達に困っています」との答えが返ってきました。予想通りの答えでした。なぜならば、彼は2年前に会った時と同じメンバーの3人の状態だったからです。
2年前、3人でスタートし最近も同じ3人だった“から”ですか?
能登:ええ。なぜ、この会社が資金調達が成功しないのか…。資金調達ができない1番の理由は「チームを10倍以上の規模の組織へと発展させるためのシナリオがこの会社にはないと投資家から見られている」からでしょう。
 ベンチャーにはいろんな段階があります。ゼロからスタートして、ビジネスの種となるアイデアや技術だけがある状態の「シードステージ」、その次にアイデアをカタチにするため実用最小限の機能をもたせた状態の製品やサービスを顧客からのフィードバックを反映させて完成させる「アーリーステージ」。
 そして、製品が完成した後に、「ラウンドAステージ(完成商品を拡張するため本格的にビジネス化する段階。マネジメント組織づくりの段階)へと入ります。その後、ラウンドBステージ、ラウンドCステージとエグジット(IPO、M&A、事業撤退)を目差した段階は続きます…。
 文字通りステージごとに成長を図る展開なので、スロープになった坂をじわじわ登るような進み方ではなく、ダイナミックに下段から上段へ階段(ステージ)を駆けあがっていくのです。
 ではなぜ、Dさんの場合、シナリオができてないと言われるのでしょう。
 確かに、専門を持つ人2、3人の組織は製品を完成させるまでは有効です。しかし、ラウンドAステージではそのビジネスを本格的に大きく伸ばすため、いわばスケールアップするマネジメント組織を構成するステージです。完成した商品やサービスをお客さんやユーザーの手元まで提供するその間の仕組みをつくるには、シードステージやアーリーステージとは異なる組織に再編成しなければなりません。ラウンドAに向かっている、といいながら、こうした組織作りの視点がない時点で、この会社にはビジョンがあるのかと疑われてしまうのです。
 Google社、facebook社だって創業時は少人数だったかもしれません。が、今や数万人の社員がいます。これらのネット関連ビジネスは大企業のように半世紀前から存在するというものではありません。Googleは1995年、facebookは米国でサービスをはじめてからまだ10年もたってないのです。大きく成長することを前提にビジネスを開発するのであれば、ラウンドAステージの目的を達成できるメンバーを結成し、組織を構築することは避けられません。この組織をどう構築をするかというシナリオをどう描くか――ここでDさんの明暗が分かれます。
なぜ、急成長企業は産まれないのか
日本には巨大企業に急成長したベンチャー企業の数が少ないのですが、どう考えますか?
能登:ここで強調したいのは、数年前にたった3人の少人数チームで始めたばかりの会社であっても、しっかりしたシナリオとそれを実行できるマネジメントチームがあれば短期間に数百、数千人の巨大グループへと急速に成長できる可能性はある、ということです。
 特にシリコンバレーにはこのような事例がたくさんあります。シードステージからはじまり、アーリーステージ、ラウンドA、B、C…M&A、IPOの段階を猛ダッシュで駆け上がってきますが、彼らに共通するのは、みな明確なシナリオを持って、投資家と力を合わせてすべてのステージを進んでいる点です。だから現段階はたった3人の少人数のIT企業だったとしても、スケールアップするやり方を最初に知っていれば、大きなことができるグループに成長するチャンスはあるということです。
 逆に、この事実を知らずに、起業して試作製品やサービスができたと喜んでいるだけでは、継続した成長は期待できません。
3つのポイントをお話しする前に
具体的なポイントを教えて下さい
能登:仮に、あなたの会社がまだ10人以下のチームで、今の状況には満足してない、としましょう。かつ自分のマネジメント能力に問題があるからラウンドAステージの資金が調達できない、と自覚しているのであれば、ぜひ3つのポイントを素直に聞き入れて実行して欲しいと思います。
 1つ目のポイントはビジョンを持つことです。
 あなたはビジョンを持っていますか?何を今さらと思われましたか?「世の中をこうしたい!」などミッションを抱え続ける起業家はいても、いつの間にか同時に掲げたビジョンはどこかに忘れてきている人も少なくありません。それがこういう質問をした時の答えに表れます。
というのは?
能登:「5年後にどうなりたいですか?」こう質問した時に、「5年後、上手く言ったら5億円の売り上げになるビジネスになるかもしれないですね」と答えたとすれば、これはもうラウンドAステージの投資家を説得できるビジョンがないと判断されます。投資家たちは「5年後までには利益率はXXくらいで、50億円以上の規模の売り上げがあるビジネスを、これだけの資金をこのように使って実行します」という答えを期待しているのです。日本ではどのように教えているか知りませんが、これが一般的なビジョンの語り方です。
ビジョンがある。それを実現するため、そこから逆算して、どんなビジネスモデルが良いのかが決まり、どんなプランがいいかという発想に至るというわけですか。
能登:それからもう1点お気づきですか? 売り上げの1ケタが違いますよね。もし売り上げが5億円程度と言えば、シリコンバレーにいる機関投資家たちは「この規模ならばエンジェル資金で十分、彼らが投資した額に見合った見返りがないのであれば、ラウンドAステージの投資に興味を持ちません。決して規模が大きければいいというわけではありませんが、投資のリターンが大きいか否か、そこが重要です。
なぜジョブスペックなしにリクルートしようとするのか
2つ目のポイントはなんですか。
能登:ジョブスペックシート(Job specification:職務明細書)を書けるようになることです。いわば、このシートは「ラウンドAステージでは何をしておくべきか」というやるべきことを描いたロードマップです。どんな専門性の高いメンバーを揃えて、どのようなマネジメントチームを構成すべきか、皆でイメージできるものです。
 これを続けることで、ビジョンから逆算して考えられるようになります。逆算の発想が身につけば、具体化してラウンドAステージで調達しなければいけない資金がどれくらいか把握できます。ジョブスペックシートはいわば、ラウンドAステージでの事業拡大するための資金計画表でもあるのです。
 ここで大事なのは考え方です。創業間もないシードステージの間は「こうありたい」というビジョンはあっても、人やお金などすべての条件が完全にはそろっていませんよね。でも、そういう時、「こうありたい」の「こう」をより具体的に把握できていれば、人やお金などをどのくらい足せば、次にラウンドAを実行できるか現実化してきます。
しかしながら、Dさんなど、事業をはじめようとする方々の多くはビジョンを持っているのでは?
能登:一応持っているのです。が、こうしたジョブスペックシートのロジックが分かってないのです。厳しい言い方をすると、ビジョンはある、といっても、ではどうやって達成するのか、そのためのロードマップを考えてないのです。一体どうやって進むの?ビジョンを実行するためのメンバーのジョブスペックをそれぞれ見直して欲しいのです。
逆に、ジョブスペックシートを持っていない人たちはどういうふうに考えるようになるのでしょう?
能登:ジョブスペックをもっていない「典型的な考え方」はこんなかんじでしょうか。
 「さてシードステージもようやく終盤、ラウンドAに行きたいんだけど、お金がない。だから人も雇えないからメンバーも増やせない。このメンバーで売り上げを増やしながら、資金がたまった段階でメンバーを増していこうか。まずは行けるところまでやってみよう。それで、5年後には売り上げ○○万円にはなっているかな…」
なるほど。
能登:こうした思考に対して、私たちが指摘するとするならばこうなります。
• 「シードステージもようやく終盤になってきた…」
 →そんな終盤になって、ラウンドAを考え始めるなんて、対応が遅すぎます。
• 「ラウンドAステージに行きたいんだけど、お金がない…」
 →お金がないからラウンドAステージの資金調達をするのでしょ? それには投資家が納得するシナリオが必要。
• 「だから人も雇えないから…」
 →お金がなくてもシナリオができていれば、どんな人を雇う必要があるかを考え、探すことはできます(資金調達できるまでは雇えないけど)
• 「メンバーも増やせない…」
 →シナリオもない、お金がない、それではメンバーが増えないのも当たり前です。
• 「とにかくこのメンバーで…」
 →シードステージのメンバーに加えて、事業展開を行う人を採用してマネジメントチームを再構成するのではないのか?
• 「売り上げを増やしながら…」
 →行き当たりばったりなんて、スタートアップする起業家のとるべき行動ではないですよ。
• 「資金が貯まればメンバーを増そう…」
 →それはアベコベです。ロードマップ達成のために、資金集めて人を増やすのではないでしょうか。
• 「いけるところまでやってみよう…」
 →最初からそんなシナリオだったのだろうか。それではやっぱりビジョンがないと言わざるを得ない。
• 「5年後には売り上げ○○万円にはなっているかな。」
 →なっているわけないです…
まずは1年で15人のグループを結成した
なるほど。ところで、共同代表者である曽我弘さんは、それそこ会社を興してスケーラブルマネジメントをしてきた人ですね。
能登:曽我さんが1996年に創業したSpruce社はシードステージから5年後、IPO直前でApple社に売却されました。
最終的にSpruce社は何人を雇っていたのですか。
能登:会社売却直前には約95人の社員からなるグループに成長しました。全員社員です。他社からの出向やアルバイトで構成した数ではありません。
起業して数十人の社員と言う会社も、蓋を開ければ大半がインターン学生や派遣社員ということもありますからね。
能登:曽我さんは1人でSpruce社をスタートさせ、そこから6月間の準備期間を経てファウンダーチームを結成。(ドイツ人とアメリカ人の2人と曽我さんの3人)、この時点でラウンドAステージの資金を集め、この時点で12か月間のロードマップを作り、開発を始めるにあたり15人のコアなメンバーでチームを結成して品質管理を徹底して試作製品をつくりあげました。
 その時の15人のコアチーム内訳は、
• 曽我(CEO)1人
• VP:エンジニアリング 1人
• CTO 1人
• オフィスマネジャー 1人
• 経理 1人
• コアな部分の開発を担当する技術者 8人
• 品質管理を担当する技術者 2人
その1年後は?
能登:1998年12月ごろには、「ラウンドBステージ」の資金調達を行い、50人くらいのグループにまで成長し、困っている問題を抱えている人がいる業界(当時のハリウッド)に焦点を定めて商品を仕上げていきました。
 その時の約50人のグループ内訳(概要)は、
• アドミ関連  5人
• マーケティングを担当する者 2〜5人
• 開発を担当する技術者 約30〜35人
• 販売を担当する者 3〜5人
• カスタマーサポートを担当する者 3〜5人
2年でスケールアップしましたね。
能登:最初は曽我さんたった1人で始めましたが、すぐに3人のチームとなり、8人のコアチームを結成し、2年後には50人くらいのグループへと成長したんです。でこの過程で強調したいのは、この間にラウンドA、Bステージの資金調達をしたという部分です。決してDさんのように2年目もおなじみのメンバーでいたわけではありません。
そもそも、曽我さんが特別にそういう才能を持っていたんですか?もしくは、シリコンバレーだから可能だったんじゃないですか?
能登:はい。こういう話をすると、多くの人たちが「どうやって人を集めたのですか?」「その人たちの給与とかどうしたのですか?」という聞きます。曽我さんは必ずこう答えています。「すべてはシナリオなんだよ」と。
 これが最後の3つ目のポイントとなります。
「シナリオ」とは?
 例えば、ラウンドAステージへの道筋を描くため、次のように取り組んでいきます。
1. まずは、ラウンドAステージで実行すべき具体的なビジョンをイメージする
2. そのビジョンを実行するにはどのようなプランを実行すれば良いか決める
3. プランを実行するために必要なメンバーとそのジョブスペックは何かを明確にする
4. 構築すべき組織で欠けているポジションのジョブスペックが何かを認識し、それを埋める人材や資金がどれくらい必要かという視点で手持ちのビジネスプランを再検討する
5. そのビジネスプランを持って知り合いに紹介してもらった投資家をしらみつぶしに出資してもらえるまで当たる。調達できるまであきらめない!
すべてはシナリオと創業者のパッションであると。
能登:曽我さんのラウンドAステージでは、ビジョンからすると、その時点でおおよそ50人の特定業務をするメンバーが必要だったということ。そして、ラウンドBステージを達成するには、その50人の給与を支払わないと実行できないということです。だからこそその資金を調達する必要があると、機関投資家にプレゼンして回ったのです。「断れても断られても必要な資金を集めまくる。これは一番ハードな仕事ですよ」と曽我さんは言っています。
 シードステージやアーリーステージの場合は多くても1000万円以下くらいの少額投資なので、その金額内で開発がすむ人もいます。何度も言うように、それらのステージはそれでも良いのです。間違ってはいけないのは、その感覚を持ち続けたままで、ラウンドAステージを突破しようとしても通用しないということ、です。それをまず知ることです。
 ラウンドA,B,C…ステージにはそのステージごとのシナリオが必要です。そして少人数チームから十数人のグループを再編成するスケーラブルマネジメント能力を身に着ける必要があるということです。
どうすればそういう能力が身に着くのか。
能登:シードステージにいる何人もの起業家に聞いたところ、実際に起業しているちょっと先行く先人からスケールアップのコツをメンタリングしてもらっているようですが、スケーラブルマネジメントは特殊です。誰でも教えられるものではありません。
 大学でもマネジメント手法は研究されていますが、すでに起動にのった企業のケースが大半で、一般化されたものです。その手法は既存の企業の経営データから得られた教訓ですが、個々の現実のケースには適応しにくいものです。短期間にエグジットを目指す生のスタートアップの企業には適応できない部分がたくさんあります。
 既存の企業は何でも対応できそうなゼネラリストを望むところ、スタートアップの企業の場合は、先ほども言いましたが、何をどうしないと次に進まないと分かっているから、そのジョブスペックにあった適材適所の人材を、はめるように雇用します。マネジメントの仕方は似ているようでまったく違います。日本でもスタートアップの最初のステージを支援する仕組みは増えつつありますが、起業家たちを通じたスケーラブルマネジメントに関する能力開発は急務です。

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)
日経ビジネス副編集長。
日経BPビジョナリー経営研究所 主任研究員。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130415/246679/?ST=print


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民79掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

アマゾンカンパ 楽天カンパ      ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民79掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧