02. 2013年2月01日 14:03:31
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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ | 国会で総理に質問して欲しいこと(デフレの定義) 2013/02/01 (金) 13:37 デフレからの脱却が最大の優先課題だと言う安倍政権。そして、デフレからの脱却は、日銀がその気になりさえすれば可能なのに、それが実現できないのは日銀の怠慢以外の何物でもない、というリフレ派の人々。 だからこそ、日銀をこれでもか、これでもかと叩く! いいんですよ、彼らを少しくらい叩いても。慣れていることだし。逆に彼らは、貴方がたのことを何と非論理的なことばかり言う人たちだ、という程度にしか思っていない訳ですから。 ただ、私は、一国民として思うのです。 デフレ論議に決着をつけるべきではないか、と。もう、10年以上も、どうしたらデフレから脱却できるか、なんて議論が続いているのです。 何度も何度も国会で同じような質疑があり‥なんと時間と労力の無駄であることか! ただ、私がそのようなことを言っても、アベノミクスを支持する人々は、もう決着がついているではないか、なんて思っているでしょう、多分。円安になり株価が上がり、そして、輸出企業が助かっている訳ですので。 しかし、そうしてムードがよくなっているとしても、それは円安のためであり、デフレ脱却の話とは本来筋が違うのです。 いずれにしても、私は、デフレの定義くらいこの際はっきりさせたらどうか思うのです。そのことに反対する理由は、どのような人にもない筈です。デフレの定義が人によって区々だからなかなか話がかみ合わない。そして、皆、都合のいいことだけを述べる、と。 よくこんな意見を聞きます。 「デフレの状況で消費税を上げるのは何事だ。デフレの状況で消費税を上げるようなことをすればそれこそ消費が弱まり、景気は益々悪くなるではないか」と。 どう思います、この意見? 多分、9割以上の方が、それはそのとおりだ、と思うのではないでしょうか? でも、答えは違うのです。その訳は最後に説明させて頂くとして‥このように、「デフレの状況で消費税を上げるのは何事だ」という場合の「デフレ」にはどんな意味が込められているのでしょう? 普通、リフレ派の人々、特に学者などは、デフレという用語を、物価が持続的に下がる状況という意味で使うのです。デフレはインフレの反対であるから、物価が下がり続けることだ、と。 貴方も、そのような説明で納得しますか? 承知しました。取り敢えずデフレとは、物価が持続的に下がり続ける状況だと致しましょう。 ただ、そうしたデフレが続いたとしても、ひょっとしたら実質経済成長率がプラスの値を示すこともあるのです。つまり、物価はずっと緩やかに下がりつつも、景気がいい状態が続くことだってあるのです。 例えば、インフレ率がマイナス1%である一方、実質経済成長率が3%、従って、名目経済成長率が2%である状態が続く場合もあるのです。 こうしたケースも、物価がずっと下がっているから、デフレと呼ぶべきなのですよね? しかし、実質経済成長率が仮に3%もあるのであれば、景気が悪いなどと誰が言うことができるでしょう? ということは、「デフレの状況で消費税を上げることは何事だ」と主張する人々は、当然のことながら、「デフレ」に持続的に物価が下がるという意味以外に、景気が悪いという意味合いを含めているのです。そうでしょ? つまり、デフレとは、物価が持続的に下がる状況にあって、かつ、景気がよくない状況である、と。 では、そうしてデフレの定義を変えたとしたら、デフレは、日銀が思い切った政策を取るだけで、つまりお札をじゃんじゃん刷るだけで脱却できる、なんてことが言えるのでしょうか? 例えば、竹中教授は言うのです。デフレは貨幣的な現象であるから、中央銀行がマネーを大量に放出すれば、いつかはインフレが起きデフレから脱却できる、と。 そうした主張はかなり疑わしいのですが‥それでも日銀が、仮に財政ファイナンスをしていると言われようが、とにかくどれだけでも長期国債を購入し続ければ、いつかはインフレになる可能性があることは否定できません。そして、そのようにしてインフレになれば、物価が持続的に低下するという意味での「デフレ」からは脱却したことになるのですが‥しかし、インフレになったとしても、景気がよくなるとは限らないのです。 もし、インフレにすることによって景気が良くなると主張するのであれば、その理由がなければなりません。一体その理由とは何なのでしょう? いずれにしても、リフレ派の言うデフレの意味合いは、状況によって違うのです。つまり、デフレから脱却する必要があるという場合のデフレは、物価が持続的に低下しているだけではなく、景気が悪いことも含まれているのですが、デフレは貨幣的現象だとか、デフレはお札を刷れば必ず脱却できるという場合のデフレは、単に物価が持続的に低下する状況しか意味していないのです。 ということで、リフレ派の人々、そしてアベノミクスを支持する人々に言いたい。 デフレ脱却を主張するのは結構。しかし、その場合のデフレは何を意味するのかをはっきりとさせて欲しい。 単にインフレ率がマイナスからプラスの領域に移っただけで、デフレ脱却と言っていいのか? あるいは、インフレ率が1%か2%に達すれば、それでデフレ脱却と言っていいのか? 否、そうではなくて、インフレ率がプラスになることも必要だが、併せて実質経済成長率がある程度の値を示すことも必要なのだと考えるのか? もし、そうだとすれば、例えば実質経済成長率が1%を達成したら、デフレから脱却したと言っていいのか? そこのところをはっきりしてもらわないと議論がかみ合わないのです。 これまでに何度かお示ししたところですが、物価上昇率がプラスになると何故景気がよくなると考えられるのかということについては、物価が上がるような状況になれば、価格が上がる前に商品を購入しておいた方が得だからと消費者が考えるようになって、消費行動に変化が起こるからということ、さらに、仮に、物価が上がりながらも金利が上がらなければ、実質金利が下がることになるので、そうなれば企業の実質的な金利負担が軽くなるので投資活動が促進されるから、という考えがあるのです。 でも、他にも理由があるのです。 もし、物価が上がるなかで賃金が上がらなければ、企業経営者からみれば、実質賃金が下がることになるので、雇用を増やそうというインセンティブが働くからだ、と。 この最後の理由、どう思います? 政治家の言うこととは逆なのです。政治家は、賃金を上げることによって景気を良くしたいと考え、しかし、学者は、物価が上がっても賃金が上がらなければ、実質賃金が下がるので雇用が増えるだろう、と。 いずれにしても、日銀の尻を叩くことによってデフレ脱却は可能だと主張する人々の言う「デフレ」は、単にインフレを起こすだけのことであるので、その意味でデフレから脱却しても、景気がよくなる保証はないのです。 国会の論戦が始まっていますが、質問する議員の突込みが足りず興味が湧きません。 議員の方々に言いたい。是非、安倍政権の閣僚たちに質問して欲しい、と。 何故、日銀叩きをすれば、デフレから脱却できると考えるのか? その場合のデフレの定義は何か? そして、インフレを起こすと何故景気がよくなると考えるのか、と。 最後に、デフレの状況において消費税を増税すれば益々景気が悪くなるという主張が必ずしも正しくない理由をお示しします。
私は、むしろバカ景気の状況で増税をすれば、景気にブレーキをかけることが考えられると思います。何故ならば、バカ景気の状況では消費者が見境なく商品を購入するようなことが多いので、増税されると、直ぐに消費を見直すことが可能であるからです。その一方、不況のなかでそもそも生きて行くための最低限度のものしか買わないような状況であれば、幾ら増税になっても、買わないと生きていけないので、消費を減らすことができないのです。 消費税増税を実施すれば益々景気が悪くなるのではなく、増税が実施される前に駆け込みの需要が発生し、そして、増税が実施された後にその反動がくるので、急にモノが売れないように見えるだけの話です。そして、増税が実施されても暫くすると、消費者は引き上げられた税に慣れざるを得なくなるのです。 消費者はただ増税が嫌だから、そうした政治家の主張を支持しているだけの話です。 以上 |