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円安進行 中日の競合が激化:「量的緩和競争の責は米国とEU」と日本を擁護:円安の主要因はECB=ユーロ圏の政策
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/178.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 1 月 31 日 01:53:40: Mo7ApAlflbQ6s
 


 表題は、「円安進行 中日の競合が激化」と、中国が円安を危惧し日本の経済政策を非難する内容と思わせるものだが、内実は、日本の経済金融政策を擁護する内容になっている。

 中国の学者がそのような評価をするのは、日本にとって現在の中国は、韓国やドイツよりも、米国と同等レベルで“好ましい国際分業”が出来上がっているからと推測する。

 現在のところ、円安にぴりぴりしているのは、韓国であり、ドイツである。(米国は、例により自動車産業が危惧を表明している)

 レートの変化から言えば、12%程度の韓国よりも、20%近く上昇したユーロを通貨とするドイツのほうがきついかもしれない。しかし、自動車関連を別にすれば、日独のあいだも国際分業ができあがっているので、ドイツが深刻な打撃を受けることはないであろう。
 円安でどこより打撃を受けるのは、自動車・家電・造船など輸出品目の上位10のうち9までが日本と激しく競合している韓国である。


 ドイツのメルケル首相やIMFのラガルド専務理事は、このところの円安を政治的介入によるものと日本政府が悪いかのように語っているが、安倍首相の“願望表明”はあったとしても、目標レートを示した“口先介入”さえ行っていないのだから、的外れの非難である。

 ドイツのメルケル首相やIMFの専務理事に反論させてもらうが、ユーロが対円で大きく上昇したのは、ひとえにECB=ユーロ圏の金融財政政策のせいなのである。

 ECBがスペインなどの国債を無制限で買い入れる政策と、日本の量的金融緩和政策がシンクロすることで、円借り入れ→ユーロ転換のキャリートレードを増大させ、ユーロの対円レートを上昇させたのである。

 日本の量的緩和政策が、円→ユーロのキャリートレードに“安心感”(円安傾向の持続)を与えたことは事実だが、理屈で考えればデフォルトを想定しなければならない国の国債さえ無制限に買い入れるというECB政策がなければ、それほど増大しなかった取り引きである。

 私が投機家であれば、“まだ強い”段階の円を低利で借りてユーロに転換し、今なおリスクプレミアムの金利が付いているスペインやイタリアの国債を買ったであろう。

 1ユーロ=100円のときに10億円借り、1千万ユーロ分のスペイン国債を買い、それを1ユーロ=120円の段階で売れば、12億円を手にすることができる。
 10億円の短期借り入れに金利を1%支払ったとしても、12億円−10億円−1千万円=1億9千万円の利ざやを得られる。
(実際は、借り入れ金利もスペイン国債の利子を考慮すれば最低でもチャラになるので、2億円超の利益を得られる)

 このような推移で円が対ユーロで安くなれば、ユーロ対ドルのレート論理から、必然的に、対ドルの円レートも安くなる。

 デフレ脱却を後押しするため現在の90円水準を望ましいレートと考えているが、円安が今後さらに進むとすれば、円キャリー取引がより多くの通貨に対して行われるようになったときである。

 国内では輸出企業や株式投機家などが輸出条件を良化させる円安状況に喝采を送っているが、円安を好機として国民経済の活性化に利用しなければ、円安がかえってボディーブローのように国力を劣化させることになるだろう。

 それは、ほとんどの期間が小泉政権時代と重なる「キャリートレードによる異常円安に支えられた戦後最長の好景気」とリーマン・ショック後の日本経済を考えればわかる。

 「小泉改革」が日本経済を強化したという見方もされているが、それは、小泉政権時代の好景気が、「規制緩和」の成果ではなく、異常円安に支えられたものであるという事実を忘れ去ったものでしかない。

 異常とも言える円安に支えられた好況を、デフレ脱却につながる国民経済の好循環に活かさなかったどころか、労働市場を中心とした「規制緩和」政策を行うことで、企業がより多く内部留保に励む条件を与えた。
 このため、日本経済は、リーマン・ショック後の“円ドルレートの正常化過程”で、 外需依存のもろさを見せ、グローバル企業もだが、多くの国民が過酷な状況に追いやられたのである。

 最長の好況期に恵まれていた小泉政権時代の正しい経済政策は、異常円安という恩恵で得た「おまけの付加価値」を、デフレ脱却と内需の着実な拡大に活かすことだった。具体的には、給与の増額であり、設備投資及び研究開発費の増加である。

 安倍政権は、今さらのように、消費税増税の地ならしとして「給与増で法人税減税」政策を打ち出しているが、そのような政策は、戦後最長の好景気に沸いた(グローバル企業だけで多くの国民はそのような実感はもてなかった)小泉政権時代に実施しなければならなかったのである。


 年明けから取り沙汰されるようになり、実際にも採用さることになった「給与増で法人税減税」政策は、私が10年以上前に提言し、財務省官僚を自称されていた「匿名希望」氏ともあれこれ議論したものである。
 10年前の日本経済の状況に対応した提言なので、現在においてもそれが有効性をもっているかどうか、機会を改めて説明したいと思っている。

 冗談のような話だが、13年度税制における法人税減税政策は、そのときに提示した3点セット「給与増加減税・設備投資減税・研究投資減税」がそっくりそのまま採用されている。


※ 参考投稿

「【「デフレ不況」からの脱却をめざして】 グランド・デザインを持ちつつも、まず第一歩の政策実施を  [政財界が望む「法人税減税」の活用方法]」
投稿者 あっしら 日時 2002 年 8 月 29 日 21:43:46:
http://www.asyura2.com/2002/hasan13/msg/284.html

[一部引用]
「■ 「供給力>供給」のギャップ縮小策としての「法人税減税」

法人税減税を先行的に実施するという政策アイデアが出ているが、法人税は利益に対して課税されるものだから、その減税方法は多様なものが可能であり、経済状況を変動させる力にもなる。

予定されている法人税の減税を所属勤労者の給与水準を引き上げる方向に誘導できる内容にしなければならない。

人件費のみに限定せず、設備投資や研究開発投資への減税措置もそれなりに有効である。

人件費は償却期間もない無条件の「費用」だから、設備投資のように償却期間を短縮するかたちでのインセンティブは働かない。
インセンティブにするためには、前期からの人件費増加分を考慮して課税方法を決定しなければならない。

例えば、10億円の人件費が10億5千万円になったら、増加分の5千万円の50%である2500万円を所得から控除するといったものである。
黒字が2500万円であれば、この企業の所得は0円となる。

法人税減税予算の2兆円をすべて人件費増加インセンティブに活用すれば、10兆円ほどの給与所得者の所得増加となる。
これは、消費税税収を上回る規模だから、デフレ解消に必ずや資する。」


==========================================================================================================
円安進行 中日の競合が激化

 このほど開催されたダボス会議において、一部の国家の指導者と金融界の有力者は安倍政権の金融緩和策をこぞって非難し、日本が「金融戦争」を引き起こしているとした。日本の量的緩和策は、本当に世界金融戦争を引き起こしうるのだろうか。環球時報が伝えた。(文:周永生・中国日本経済学会理事)

 中国には、「重病の治療には劇薬を用いる」という古いことわざがある。20数年間に渡り低迷している日本経済にとって、安倍首相の2000億ドル規模の量的緩和策は、「劇薬」の程度に遠く及ばない。歴代の日本政府が投じた8000億ドルの資金はすでにほぼ使い尽くされたが、日本経済の起死回生の効果に達しておらず、世界金融に対しても大きな影響を及ぼしていない。むしろ日本経済の世界に対する影響力が日増しに低下している。細かさを重視する考え方の制限を受け、日本の経済政策は非常に控えめであり、往々にして小規模な投入を講じるばかりだ。この探りを入れるような戦略は、日本経済に与える影響さえ限られているのだから、世界金融戦争を引き起こすはずもない。

 世界の紙幣印刷競争を引き起こしたのは米国とEUであり、日本はせいぜいその追随者でしかない。世界では一部の人間が責任を日本になすりつけようとしているが、これは世界金融市場の変動を引き起こした自らの責任逃れであり、本国もしくは本地域でより大規模な量的緩和策を実施するための口実である可能性もある。これこそが中国の警戒すべきことであり、日本にばかり注目してはならない。

 別の面から論じれば、量的緩和もそれほど恐ろしいものではない。量的緩和は、緊迫する金融、経済成長の原動力不足を受け講じられる、やむを得ない措置なのだ。これを実施しなければ、経済は引き締めの繰り返しに陥るだろう。企業は投資可能な資金を持たず、消費者も消費能力を失う。これでは消費を刺激し、経済と福利厚生の充実を促すことは不可能だ。他国が量的緩和策を講じたからといって、世界で「金融戦争」が生じると憶測してはならない。我々は大げさな言葉に耳を傾けるのではなく、事実そのものについて論じ、日本の金融措置から受ける影響について真剣に考慮するべきだ。

 円安進行は中国の対日輸出に影響を与え、対日輸出に支障が生じる可能性がある。特に低付加価値商品への影響が深刻だ。また円安により、日本の一部商品の中国市場におけるシェアが回復し、上昇する可能性がある。これらの商品は海外で競争力を高め、中国の海外市場シェアに食い込むだろう。中国製品の多くはこれまで、低価格により日本製品と競争してきた。この流れを今後10年内に変えることは難しい。日本は現在、金融の手段により中国製品の価格優位に打撃を与えており、新たな危機が生じる可能性が高い。金融戦争は現実的ではない。中国は海外市場において、いかに日本製品と競合すべきかを検討しなければならない。(編集YF)

 「人民網日本語版」2013年1月30日

http://j.people.com.cn/94476/8113379.html

 

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コメント
 
01. 2013年1月31日 08:55:26 : mHY843J0vA

>円安を政治的介入によるものと日本政府が悪いかのように語っているが、安倍首相の“願望表明”はあったとしても、目標レートを示した“口先介入”さえ行っていないのだから、的外れの非難

いいえ、善悪は別として、
安倍政権の閣僚や、経済学者は、具体的なレートを口にしているし

安倍首相も「1ドル85円よりも円安水準」と以前、言っていました


http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2013/01/21/3807.php
望ましいドル円レートについて石破茂自民党幹事長は「85円〜90円」というレンジを示している(甘利明経済再生相も一時これに同調)。一方、安倍晋三総理と浜田宏一教授はどうやら「1ドル100円」を望ましい円安水準と見ている


02. あっしら 2013年1月31日 10:20:17 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

01. mHY843J0vAさん、おはようございます。
ご指摘ありがとうございます。

 書かれていることは存じていますが、“願望表明”の域を超えないものだと思っています。
 例えば、「90円になるまで無条件に金融緩和を続ける」といったレベルのものがなければ、「口先介入」とも言えないと考えています。

 自然の流れで円安に向かうのに、「円安願望」をわざわざ言うまでもなかったのにとは思っています。
 円安になるということを、どうしても強く意識して貰いたかったのでしょうね。


03. 2013年1月31日 10:39:10 : 4gh4sp6YZw
あっしらさん・・

外電(通信社ニュース)をフォローしている者には・・先刻衆知の内容でした!

タイトルが仰々しいだけの釣り投稿??


04. 2013年1月31日 10:45:14 : xEBOc6ttRg
>>01,02  
www.finance-dictionay.com  
口先介入(くちさきかいにゅう)とは、一般に為替レート(為替相場)に対して政府高官や通貨当局などが現在の為替レートについて言及を行うこと。マーケットに対して為替介入の姿勢を見せることで実際には介入せずとも為替水準を意図した方向に誘導すること。

http://www.asahi.com/business/reuters/RTR201301240099.html
ドル89円回復、相次ぐ口先介入で円売りに傾く 
 [東京 24日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べて、ドル高/円安の89円前半。短期筋中心の取引で、要人発言に反応しやすい展開となった。午後に入り、中尾武彦財務官や西村康稔内閣府副大臣の発言が伝わると、ドル/円は一時89.46円まで上昇した。 


05. 2013年1月31日 11:42:44 : xEBOc6ttRg
コラム:日本が円安相場を正当化して良い理由=唐鎌大輔氏
2013年 01月 30日 15:49 JST
唐鎌大輔 みずほコーポレート銀行 マーケット・エコノミスト(2013年1月30日)

安倍晋三政権への期待をまとった円安相場に対し、海外からの批判が目立つようになってきた。1月10日には米セントルイス連銀のブラード総裁が「日本はより露骨な為替政策を取っているようで、私は少々困惑している」と発言。さらに21日には、バイトマン独連銀総裁が、安倍政権が日銀に金融緩和を迫ったことに関連し、「意図しようがしまいが結果的に為替レートの問題がますます政治問題化する可能性がある」と踏み込んだ牽制をしている。

このほかにも韓国の朴・企画財政相が「G20で日本の政策の影響について議論する」と述べ、キング英中銀総裁も「(通貨安を通じて輸出を増やそうとする国が増えているとして)いくつかの国はその達成のために措置をとった」(朝日新聞デジタル1月23日付)と暗に日本を批判するコメントを発した。極めつけは、24日のダボス会議の場でメルケル独首相が「為替操作への問題意識は高まっており、日本に対して懸念を持って見ている」と日本を名指して批判している。

現状、米大統領や米財務長官などクリティカルなルートから牽制の声が上がっているわけではないが、こうしたムードが拡がること自体、円売りのモメンタムを阻害する恐れはあるだろう。

しかし筆者は、一連の批判に関して、「今は言わせておけば良い」といった印象を持っている。麻生太郎財務相は28日の臨時閣議後の会見で、海外当局関係者の円安批判は「筋としておかしい」と反論したが、直感的にも周縁国の危機にあおられてユーロ安の恩恵を大いに受けていたドイツや、断続的な為替介入でウォン相場の低位安定を図っていた韓国に、最近の円相場の動きを批判する資格があるとは考え難い(少なくとも今の日本は為替介入をしているわけではない)。

麻生財務相の意見は、たとえば、金融危機後の実質実効為替レートを見ると、うなずける部分がある。2007年1月を100とした時、12年12月時点の水準は、円が110と10%上昇しているのに対し、ドルおよびユーロ(ドイツの場合)は92で8%下落、韓国ウォンは79で21%も下落している。ちなみに、ここでは国際決済銀行(BIS)発表の実質実効為替レートのうち、61の国・地域を対象とするブロード・ベースの月次データを使用している。

むろん、12年12月はすでに円安方向に反転し始めた後であり、11年にはもっと酷い円高・ウォン安が進行している局面があった。「金融危機後」に着目すれば、円の実質実効為替レート水準はウォンより4割程度高いイメージだ。為替を主たる背景として日本の輸出企業が窮地に追い込まれたことは想像に難くない。

なお、名目実効為替レートで見ても、07年1月を100とした時、円は12年12月時点でウォンの倍の水準にある。恐らくこちらの方が企業の体感に近いと思われる。

<日韓競争力格差の大半は円高・ウォン安に起因>

日本が円安相場を正当化できる理由はほかにもある。たとえば、単位労働コスト(ユニットレーバーコスト=ULC)だ。

日本の輸出産業が苦境に陥ったのは、07年夏のサブプライム問題に端を発する金融危機以降のことである。そこで、07―11年の5年間に関して、ドルベースで日本と韓国のULCの年次変化率を累積・比較してみると、興味深い事実が分かる(「ULC=時間当たり賃金−労働生産性」と定義)。もちろん、ULCは企業にとってのコストなので、「低下」イコール「国際競争力の改善」である。

まず韓国。金融危機後の5年間でULCはマイナス15ポイント程度低下しており、この分、競争力が改善したことになる。これを要因分解すると、時間当たり賃金の伸びがプラス20ポイント、労働生産性の伸びがプラス24ポイント、ウォン安・ドル高でマイナス12ポイントとなる(計算式は「20−24−12」。簡略化のため小数点以下は四捨五入)。

一方、日本のULCは5年間でプラス28ポイントも上昇しており、この分、競争力が失われたことになる。同じように要因分解すると、時間当たり賃金の伸びはプラス5ポイント、労働生産性の伸びはプラス16ポイント、円高・ドル安でプラス40ポイントとなる(「5−16+40」)。つまり、両国の競争力格差のほとんどは円高に起因するものだった。

もちろん、これはULCという基準だけに照らした議論であり、「円高さえなければ日本企業は完全復活する」という安直な主張をするつもりはない。だが、仮にULCをドルベースではなく自国通貨ベースで比較した場合(つまり為替要因を除去した場合)、韓国のULCがマイナス4(「20−24」)とマイナス幅が縮小するのに対し、日本のULCはマイナス11(「5−16」)と大幅なプラスからマイナスに転じるうえ、韓国より競争力が改善した格好になる。こうしたデータを見る限り、円高・ウォン安が日韓企業の業績格差に無視し得ない影響を与えたと考えざるを得ない(繰り返しになるが、円安・ウォン高でその格差が完全に埋まるとは思わない。ただ、埋まらないまでも縮まるだろう)。

<通貨外交の本領が問われるのはここから>

問題は、どの水準までを「円高修正」と呼び、どの水準からを「円安誘導」と呼ぶかである。

常に「相手がある」為替の世界において円高修正ないし円安誘導を明示的に主張するのは困難を伴うが、上述した実質実効為替レートやULCのデータ比較を見る限り、日本が一定水準まで円高を是正することに関しては正当性があると思われる。

筆者は輸出企業の実態を捉えるのに十分ではないとの理由から、実質実効為替レートを過度に重要視する立場ではない。だが、公平かつ相対的な視点が多分に求められる通貨外交の舞台において、多国間の通貨の強弱関係を示す指標として実質実効為替レートはどうしても参照にされるだろう。

そこで、実質実効為替レートを元に、最近の円相場の立ち位置を評価してみる。具体的には、ドル円相場が戦後最安値をつけた11年10月と直近データが取れる12年12月に関して「1980年以降の長期平均に対する乖離率」を計算し、各通貨を比較した。なお、ここでは、データ上の制約から、BIS発表の実質実効為替レートのうち、先ほどのブロード・ベースではなく、カバレッジの狭い方(ナロー・ベース)を使用した。ナロー・ベースには日米欧韓など27の国・地域が含まれる。

その比較によると、11年10月時点で円は長期平均に対し9.4%程度割高だったが、12年12月時点ではマイナス3%程度割安に転じている。12年12月のドル円相場が86円台後半で引けたことを踏まえれば、現状の90円超の水準ではより割安感が強まっているイメージになる。

もちろん、それでもドル(マイナス10.4%)、英国(マイナス9.3%)、韓国(マイナス5.3%)など、円よりも割安感が強い通貨は複数あって、水準自体が大きな問題とは言えない。だが、11年10月と12年12月の2時点間の「振れ幅」に注目すると、円はマイナス12ポイント超(9.4%からマイナス3%へ)に達している。これは主要通貨の中で圧倒的に大きく、確かに目立つ(通貨安方向の振れ幅として日本に次ぐのはアイルランドだが、日本の半分以下のマイナス4.8ポイントだ)。一連の海外からの批判はこの「振れ幅」の大きさへの牽制と見るべきだろう(実際、ダボス会議で韓国中銀の金総裁が「変化のスピードも問題だ。動きが急すぎる」と発言している)。

いずれにせよ、実質実効為替レートで評価された場合、諸外国からすれば「円高修正の局面は終わった」と評価される可能性がある。裏を返すと、ここからが通貨外交の本領が問われる世界になってきそうだ。ちなみに、円相場に見られている12年12月の割安示唆は20カ月ぶりの動きで、今年に入ってから堰(せき)を切ったように海外から批判が出始めたのは偶然ではないのかもしれない。

ただ、1月24日に発表された12年貿易収支で改めて確認されたように、日本はもはや巨大な貿易赤字国であり、通貨が安くなること自体に十分な道理はある。そもそも政治要因が浮上する昨年11月以前から、日米金利差が無くても円安は進んでおり、その背景には需給構造が円売りに傾斜しつつあるという事実があった。

また、需給のみならず、日銀と米連邦準備理事会(FRB)の置かれた状況に鑑みれば、円安基調が根付くために必要な日米金利差は今後1―2年以内に動き出す芽も出始めている。そう考えると、円相場は放って置いても緩やかに軟化する筋合いにありそうである。だとすれば、政財界の要人が言及する「90円」の節目に達したのを機に、露骨な金融緩和策や踏み込んだ高官発言で海外勢を刺激し、国内政策の変更を強いられないよう、「巧い立ち回り」を考える時期に差し掛かっているのかもしれない。

円安相場を正当化する理由は数多くあるが、今後はそのことをいかに対外的に巧く説明するかが課題となってきそうである。

*唐鎌大輔氏は、みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より現職。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。2012年J-money第22回東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では1位。


06. 2013年1月31日 14:50:21 : xEBOc6ttRg
国債の売却開始すべき─テンプルトンのハッセンスタブ氏=FT紙
2013年 01月 31日 13:19

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[ロンドン 30日 ロイター] 米資産運用会社フランクリン・テンプルトンの債券運用グループのポートフォリオ・マネージャー、マイケル・ハッセンスタブ氏は、手遅れにならないうちに国債の売却を開始すべきだとの認識を示した。

英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)が報じた。

同氏は「早期に行動するデメリットは非常に限られている。最後の上昇には参加できないが、お金を失うわけではない」と指摘。

「最悪の事態が起きている。われわれはデフレのわなには陥っていない。事態は安定もしくは若干改善しており、何もないところからデフレが起きるとは思えない」と述べた。

同氏の運用するファンドは昨年、アイルランドとハンガリーが金融危機から回復することを見込み、両国の国債を大量に購入した。

同氏が監督するファンドの運用資産は総額1750億ドル。 

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07. 2013年1月31日 15:37:12 : xEBOc6ttRg
円高を受け入れてきた日本、通貨安戦争の仕掛け人は韓国と英国だ―米教授
XINHUA.JP 1月31日(木)7時5分配信

【新華社北京】英フィナンシャル・タイムズ中国語の電子版は30日、「通貨戦争を引き起こすのは日本ではない」と題したハーバード大学のニアル・ファーガソン教授の論文を掲載した。

【その他の写真】

要旨は以下の通り。

経済学において、為替レートほど政治上における誤った表現による影響を受けやすい問題はない。22日、安倍晋三首相の要請を受けて、日銀はインフレ目標を当初の1%から2%に引き上げ、「なるべく早期に」この目標を達成すると表明した。これにより日銀は1年後、短期国債を柱とする資産を毎月13兆円購入する。

日本のこの措置は国際社会において、通貨戦争に繋がる恐れがあるとの批判の的となった。ロシア中央銀行のウリュカエフ第1副総裁、ドイツ中央銀行のワイトマン総裁、韓国の朴宰完・企画財政相が率先してこれに対して難色を示した。

ワイトマン総裁は、「日銀の行為は驚くほどルールに違反した行為。中央銀行の独立性を失ってしまった」と批評した。これに対し日本の甘利明・経済財政政策担当大臣は、ユーロ圏の固定相場制から最も恩恵を受けるドイツはこうした批判を行う立場にないと反発した。

ダボス会議で日本の新たな措置のために大波乱が起きる可能性は低いが、我々は歴史の角度からこの問題を検討する必要がある。まず、次の4つの事実を振り返る。1930年代に遡ると、当時、だれが通貨戦争を引き起こしたかは言うまでもなく明らかだ。世界大恐慌以前、多数の国が金を通貨価値の基準とする金本位制を実施していた。1931年9月、英国の金本位制からの離脱は通貨安ブームを招いた。エコノミストのバリー・アイケンググリーン氏によると、金本位制離脱は大不況から景気回復に向けた必要な第1歩だった。変動相場制の導入で、英国商品の輸出価格が抑えられ、英中央銀行も国内需要に立脚する金融政策の実施が可能になった。

だが現在、我々は変動相場制の時代にある。1971年8月、米ニクソン前大統領がドルと金の交換停止を公表した際、金本位制の最後の「遺跡」が取り壊された。この点でみれば、ある国が、通貨戦争を引き起こしたある国を非難することは理不尽なことだ。実のところ、この戦争は40年以上続いており、すべての人がすべてのこの種の戦争に参与している。

次に、日本の情勢の厳しさを再認識する必要がある。日本経済は1990年代からずっと停滞状態にあり、円建ての名目国内総生産(GDP)は20年前の水準とほぼ変わらない。そして膨らむ債務、世界最悪の人口状況を考えれば、こうした国をわざと苦しめるべきではない。

3番目に、日銀の措置は革命的な措置とはいえない。白川方明総裁は13年の新たな資産購入計画を打ち出しておらず、14年の資産購入計画の影響も限定的だ。というのは、購入予定資産の大部分が間もなく期限切れになる短期債券で、しかも14年の純購入額は日本のGDPの約2%に過ぎない10兆円だ。

米連邦準備理事会の政策と比べてみよう。金融危機勃発以来、米連邦準備理事会は日本よりもはるかに極端な措置を取っている。米連邦準備理事会のバランスシートはすでに3兆ドル以上に達しており、13年末までに月850億ドルの速度で資産購入を続ければ、その長期資産は米国のGDPの6〜7%に相当する1兆ドル増える。しかもこれは13年の分で、14年の分は含まれない。

4番目(これが最も重要なポイント)に、政治家や公衆が名目為替レートの短期間の変動に大きな関心を払い、これがおそらく相場に大きな動揺をもたらすだろうが、実のところ、これにどれほどの効果があるかは分からない。確かに円の対ドル名目為替レートは12年9月以来大幅な下落が見られ、1ドル=77円から1ドル=90円に急落した。だが、1990年代初めに1ドル=158円となった歴史もあり、2010年中頃から始まった1ドル=90円の状態はたいしたことではない。

名目為替レートに比べれば、国際決済銀行(BIS)の実質実効為替レートはさらに重要だ。貿易を展開する異なる経済体の事情だけでなく、相対価格の変化にも配慮しているためだ。

1990年代以降、デフレのため、円の実質実効為替レートはじり安が続き、1994年から2007年中頃までに3分の1超の下落幅が見られた。だが、世界金融危機の勃発で07年8月から11年10月まで円の実質実効為替レートは27%の上昇を創出した。今の政策はこの流れに歯止めをかけるだけのものだ。

BISの集計によると、韓国と英国は過去5年半で19%と17%の通貨安を見せた。英キャメロン首相は、欧州経済通貨同盟(EMU)の危機を政治面での絶好の機会ととらえ、ユーロ圏加盟に反対する立場を示した。そして英中央銀行が金融緩和を続けたため、キャメロン政権の緊縮政策の痛みを緩和させた。首相就任以来、キャメロン氏はずっと通貨切り下げに動いている。英中央銀行の総裁、さらに後継者のマーク・カーニー氏もキャメロン首相の成功に一役買った。キャメロン首相が次の選挙後にEU離脱の是非を問う国民投票の実施を承諾したことは、英ポンド切り下げ戦略の一環として政治的にも経済的にも大きな意味がある。通貨戦争で勝ちを制するのは密かに行動を講じる者だと言っても過言ではない。

(翻訳 孫義/編集翻訳 伊藤亜美)

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政府による「リスクマネー供給」は邪道か

森本 紀行 | HCアセットマネジメント株式会社・代表取締役社長

2013年1月31日 12時34分

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安倍政権の緊急経済対策に示された「三本の矢」のひとつは「民間投資を喚起する成長戦略」ですが、その喚起のための「呼び水」として政府が「リスクマネー供給」を行うとしています。これに対しては、資本主義の原点への政府の過剰介入として、批判があるのは当然です。今回は、政府による「リスクマネー供給」の可否の検討を行います。
政策的な民間経済活動への適切な介入は必要

実は、この緊急経済対策、それなりによくできているわけで、政府が民間事業に投資するなどとはいっていないのです。民間産業界における投資こそが経済成長の源であり、資本主義の原点であることを前提にしたうえで、その民間投資を喚起するための経済政策として、「官民ファンド」という政府による「呼び水」の投入を打ち出しているだけです。
民間投資を喚起するという経済政策が政府による過剰介入ならば、そもそも、経済政策ということ自体が、不要か無用か有害か、いずれにしても自由主義や資本主義の原理的立場からは、否定されてしまう。そのような極端な原理主義は現実にあり得ず、程度や手法の問題こそあれ、政策的な民間経済活動への介入が現代社会に必要であることは間違いない。ですから、民間投資を喚起するための経済政策の必要性自体は、誰にも否定できないでしょう。
問題は、まさに手法の妥当性です。「呼び水」という政府の直接投資が適当な策かどうか。日本における民間投資の低迷が何に起因するのか、その原因に遡って投資を誘発するような適切な手法を検討するというのが、政策論の正攻法なのでしょうね。しかし、現実の経済は多数の要因の複雑な働きの結果ですから、そのような理論的な正攻法が通じるものでもないでしょう。また、財政的諸制約もあるでしょうし。
そういうなかで、安倍政権(というよりも民主党政権時代からの政策手法の継承ですが)は、「呼び水」という名の直接投資を選択し、また、おそらくは財政制約も考慮し、更には官主導ではなく民主導であることを示す意味も込めて、民間との連携による「官民ファンド」を多用することになったのだと思われます。
規制緩和こそ優先させるべきとの主張について

これに対して、「官民ファンド」に批判的な向きからすれば、他にも有効な手法があるだろうということでしょう。投資減税とか、規制緩和とか。当然に、政府だって、そういうことも総合的に検討しているはずです。ただ、今回は、緊急経済対策として、とりあえず緊急に実施するものですし、どちらにしても財政の制約は大きい。それで、「官民ファンド」になったのだと思われます。
また、例えば、投資減税ですが、これは設備の加速償却などによって、税制上の利益を企業に供与して、設備投資を促すものですが、減税というのが政府にとっては難しいですし、企業にとっても税務上の利益が誘因になるような経営状況ではないような気がします。
では、規制緩和はどうでしょうか。「官民ファンド」というのは、資本主義の原点である民間の聖域への介入として、規制緩和の全く反対ではないのか。そういう批判がありそうですね。しかし、この規制と投資の関係こそ、私が東京電力問題に執念を燃やし続けている究極の理由ですし、「リスクマネー供給」についての私の見解の中核をなしているところです。
先に結論をいえば、そもそも規制緩和という言葉がおかしいのであり、本来は社会制度の設計の変更といわれるべきであること、そして、その設計において投資が誘発されるような工夫を行うことが産業経済政策の役割であること、そのようにして制度的に「リスク」が制御されているからこそ、「マネー」が供給されるのだという意味において、「リスクマネー供給」という言葉もおかしいのである、以上に尽きるわけであります。
規制緩和の真の意味

この総括は、少し難解ですね。そこで、電気事業あたりを題材にして、わかりやすく解説してみましょう。
経済産業政策の問題として、規制緩和が大きな課題となるのは、今ですと、電気事業と農業です。事実、両方とも、今回の緊急経済対策でも言及されています。もっとも、前者は原子力政策との関連で、後者はTPPとの関連で、難しい政治判断が絡むので、緊急対策のなかで踏み込めるようなものではありません。しかし、例としては、両方とも非常にいいですね。
電気事業連合会加盟10社による電気事業の地域独占ですが、規制とは、このような参入制限であり既存業者の保護行政であると一般に理解されています。規制緩和論というのは、規制が産業の革新と成長の障害になっており、規制に起因する非効率が利用者の利益も損なっているので、規制緩和によって保護行政を止めて新規事業者の参入を促し、競争原理によって電気事業の革新と再構築を図ることが必要だ、というものでしょう。
こうして規制緩和もしくは自由化といわれる施策が断行されれば、自然に民間投資を喚起するのだから「呼び水」は不要、というのが規制緩和論者の主張であり、こういう人たちが、「官民ファンド」にも否定的見解を述べているのだと思われます。
しかしながら、全くの無規制、完全な事業者の自由など現実にはあり得ないことで、程度の差こそあれ、どこにでも何らかの規制はあるのです。規制の強さの程度は、安定確実な供給の必要性の強さの程度に比例しているはずです。少なくとも規制を正当化する論理としては、そうでなければなりません。電気の安定供給は絶対的な必要性に裏打ちされているので、電気事業は高度に規制されているのです。農業の諸規制も、独立自営農を保護することで、食糧政策的に、供給能力を確保しているだけです。少なくとも、建前としては。
規制緩和の必要性というのは、社会構造の変化によって、供給能力を確保する必要性も変化しているのに、保護のもとで既得権益を確保している供給業者の抵抗によって、変革が阻止されているようなときに、叫ばれるのです。しかも、多くの場合、抵抗勢力は政治的にも有力である場合が多く、難しい社会的摩擦を起こすわけです。ですから、規制緩和というのが、革新の象徴のようにいわれるのです。
しかし、正確にいえば、規制緩和なのではなく、また保護行政の撤廃でもなく、規制と保護の対象を、社会構造や政策課題の変化に対応して、修正していくだけのことです。事実、電気事業についていえば、「再生可能エネルギー法」は、再生可能エネルギー事業への新規参入者に対する保護行政でなくて、一体何なのでしょうか。
金融の論理と規制の意味

「再生可能エネルギー法」は、まさに、再生可能エネルギー事業者による民間設備投資を誘発する仕組みです。しかも、ここが議論の中核なのですが、事業者が設備投資をするためには、投資資金の調達ができないといけないわけで、「再生可能エネルギー法」は、事業者の資金調達を容易にするための法律として構成されているのです。
つまり、再生可能エネルギー事業者は保護されている。保護されているから、金融の論理として、資金を供給し易いのです。もっとはっきりいえば、資金調達は銀行から借りるのが一番てっとり早いのですが、銀行の論理として、規制で保護されているものには貸しやすいわけです。当然ですね。
つまり、銀行としては「リスク」が小さいから「マネー」を供給し易いのですね。その「リスク」を小さくする仕組みが規制であるわけです。もっとも、規制という表現は嫌ですから、社会制度の設計といいたいところです。つまり、電気事業を変えたいなら、新しい制度を政府が設計すればいい。設計がきちんとできていれば、「リスク」は十分に予見可能性の範囲内に制御される、逆にいえば、「リスク」を制御できるように制度設計するということですが、そうなれば、金融界から産業界へ資金が流れ、産業界は、その資金を使って、新制度が生み出す新たな事業機会に対して積極的な設備投資を行う。これが本当の経済産業政策による民間投資の喚起ということです。
危機対策としての効果

このようにいうと、やっぱり、政府の「呼び水」としての「官民ファンド」に反対であると聞こえそうです。確かに、原理的には、「官民ファンド」に反対です。しかし、危機というのは、あるいは非常時というのは、原理を踏み越えるべき状況のことだとしたら、今こそ原理を超えて、「官民ファンド」をやったらいいでしょう。
大方の理解というのは、おそらくは政府内部の大方の見解も含めて、民間産業界ではとれない「リスク」というものがあって、その「リスク」を率先して政府が負担することをもって「官民ファンド」の機能としているのだと思います。実際、「リスクマネー供給」という表現では、そのように理解するのが自然です。しかし、これは大変に誤った考え方です。
これですと、「官民ファンド」批判者のいう通りで、税金を溝に捨てるようなものですし、金融規律の弛緩を招く可能性も高くて、弊害が大きいでしょう。ばら撒き行政的な経済効果しか期待できない。東京都による新銀行東京の惨めな失敗を繰り返すだけです。
そうではなくて、むしろ「呼び水」という表現にこそ着目すべきです。危機というのは内在的に自律回復ができない状況であって、だからこそ、外部からの刺激としての「呼び水」がいるのです。「呼び水」を契機として動態力学的に構造の変革が起きれば、後は自律的に回復に向かいます。そのような真の「呼び水」として「官民ファンド」が機能すること、それが必要なのです。
お役所仕事との批判は無責任

要は、「官民ファンド」という器の問題ではなくて、器に盛る内容ですから、担当者の能力に依存することは間違いないでしょう。これは当然です。そもそもが、お金がないのだから、人の知恵で不足を補わなくては。弊社の社是に「人+産業金融=成長」とあるのは、この意味です。
では、お役所仕事で大丈夫かとの批判があるでしょう。しかし、お役所のやることに、最初から所詮は役所仕事と決めつけて、識者ぶって評論するのは、国民として無責任ではないでしょうか。
官製ファンドの雄、産業革新機構だって、色々な意見があるでしょうが、例えば中小型ディスプレイの事業統合などは、日本の古典的大企業が自律的にできなかったことを実現させたもので、大きな革新を産業界にもたらして、成功しているではないですか。まさに変革の「呼び水」です。
今度は、似たような事例を純粋に民間の力でやり遂げるのです。それが国民の責務です。官がやることを批判するのではなく、事実として民にできなかったことをこそ猛省すべきなのです。やはり、日本の変革のためには、「呼び水」は必要だと思います。産業革新機構というのは、いい名前ですよ。もっともこれ、民主党政権の仕事なのですけれども。


森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社・代表取締役社長
HCアセットマネジメント株式会社・代表取締役社長。三井生命のファンドマネジャーを経て、1990年1月ワイアット株式会社(現タワーズワトソン)に入社。日本初の事業として、年金基金等の機関投資家向け投資コンサルティング事業を立ち上げる。2002年11月、HCアセットマネジメントを設立、全世界の投資機会を発掘し専門家に運用委託するという新しいタイプの資産運用事業を始める。東京大学文学部哲学科卒。

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08. 2013年1月31日 17:43:54 : xEBOc6ttRg
次期日銀総裁の出身母体問わず、公共事業の費用内訳は公開=首相
2013年 01月 31日 16:46 JST
[東京 31日 ロイター] 安倍晋三首相は31日午後の衆議院本会議で、次期日銀総裁人事でみんなの党の渡辺喜美代表から官僚の天下りでない人材を登用するつもりがあるか問われ、「総裁・副総裁については出身母体を問わない」と述べ、財務省出身者からの登用もあるとの考えを示した。

また緊急経済対策や来年度予算に盛り込まれた公共事業や官民ファンドに対する無駄使いの懸念には、費用効果や内容審査の強化などで対応する考えを示した。

日銀の次期総裁・副総裁人事の人選が本格化しつつあるが、みんなの党では官僚天下りに反対している。首相は「出身母体は問わない」と答えた上で「金融政策に関する私の考え方を理解していただき、確固たる決意・能力でデフレ脱却という課題に取り組んでいく方を人選していきたい」と述べた。

今般とりまとめた緊急経済対策や来年度予算について、その内容が公共事業に偏っていたり、民間投資促進を看板にした官民ファンドの乱立を招きかねないとの批判については、内容精査の取り組みを行う考えを示した。

首相はまず「今般の補正予算は景気の下支えを行うために必要な緊急経済対策を実施するための経費や社会保障の国庫負担のための経費を計上しており、真に必要な予算だ」と主張した。

来年度予算の中身に大規模な公共事業が盛り込まれたが、全ての公共事業について費用対効果や、補修・修繕費の割合を公表すべきとの提案について、首相は「直轄公共事業について、費用と効果、費用の内訳を公表する。また地方への補助事業についても費用の内訳を公表するよう要請し、情報公開を進めていく。また地方が行う交付金事業についても成果目標の一層の計量化など費用と成果が見えるよう要請していく」と述べた。

緊急経済対策には不動産関連やイノベーション支援のためなど数多くの官民ファンドの設立が盛り込まれている。その審査の甘さや資金き損の可能性についての質問に対し首相は「豊富な資金や多様な人材、優れた技術を引出し、成長による富の創出を実現するためには、民間投資を行うリスクネーの供給が重要。官民ファンドについては十分な審査体制、リスク体制を整えるとともに、出資後は出資先企業の経営モニタリングや各ファンドの特徴を生かした収益性確保やリスク管理をはかっていく」と述べた。

2013年度の国債発行計画は国債整理基金の取り崩しにより発行を抑制することとなったが、みんなの党は一般会計から国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れを他の先進国同様、なしにすることを提案。これについて安倍首相は「我が国では国債償還の財源について一般会計からの定率繰り入れが定着し、市場の信認に沿うものとなっており、これを停止することは適当ではない」と否定した。

民間投資促進の観点から、税務の償却期間を企業の自由に任せる「自由償却税制」の導入提案について安倍首相は「恣意的な利益調整が可能になることから、公平・公正の観点から慎重な検討が必要だ」と述べ、否定的な考えを示した。

(ロイターニュース 中川泉  編集 宮崎大)


山口日銀副総裁、物価2%目指し追加緩和視野
2013年 01月 31日 17:38 JST
[長崎 31日 ロイター] 日銀の山口広秀副総裁は31日、長崎市内で講演と記者会見を行い、新たに導入した2%の物価目標の達成を目指して、今後も追加措置を含めて強力に金融緩和を推進していく姿勢を強調した。

日銀の金融緩和姿勢とからめて、海外の一部から通貨安競争を招くとの批判が出ていることについては、円安誘導を意図したものではないと述べた。ただ、間接的に円安方向に影響する可能性は否定せず、円安の効果についても、輸出を下支えする、との認識を示した。

<政策対応、目標に向けた物価の動きを点検>

日銀は21、22日に開いた金融政策決定会合で、消費者物価の前年比上昇率を2%とする物価目標と資産買入基金における期限を定めない緩和策の導入を決定した。

「共同声明」で打ち出した政府との連携強化を含めて、山口副総裁は「全体として金融緩和の強化につながる」との認識を示し、2%の物価目標の早期実現に向け、資産買入基金による無期限の緩和策などで切れ目なく強力に金融緩和を推進していくと強調。今後も「景気の状況と物価目標に向けての物価の動きをバランスよく点検」し「従来にも増して果断な政策対応を講じていく」とし、必要と判断すれば追加緩和を行う可能性にも言及した。ただ、これまでよりも積極的に政策対応する考えを示したことについて「(追加緩和の)頻度や規模を意味するものではない」と話した。

<金融緩和、為替への直接的な影響狙っていない>

安倍晋三首相が「大胆な金融政策」を経済政策の重要課題の1つに掲げ、日銀が強力な金融緩和を推進する中、最近の為替市場では、急速に円高の是正が進んでいる。海外からは、こうした日本の政策対応について、通貨安競争を招くとの批判もある。これに対し、山口副総裁は「日銀として、為替相場の円安誘導を図ることを考え、今回、金融緩和を行ったものではない」と強調。金融緩和が間接的に円安方向に影響する可能性は「否定しない」としながらも、「ダイレクトにその効果を狙って金融緩和をしていく考え方は一切とっていない」語った。もっとも、最近の円安傾向については、「次第に輸出の下支えに作用していくと思う」との見解を示した。

<諮問会議の金融政策議論、日銀の自主性損なうものではない>

政府の経済財政諮問会議は、定期的に金融政策に関する集中審議を行い、日銀の物価目標達成に向けた取り組みなどについて議論を行う。諮問会議を通じた政府との関係について山口副総裁は、金融政策について踏み込んだ議論が行われる可能性を指摘したが、「金融政策運営はあくまで日銀の責任と判断に基づいて行われる」と明言。諮問会議で金融政策について議論が行われても、「日銀の自主的な判断が損なわれることはない」と語った。また、政治家らによる日銀法改正をめぐる議論について「関心を持って注意深くみている」とした。

<日本経済、年央にかけて緩やかに回復>

山口副総裁は、日本経済について、当面は弱めの状態が続くとしながらも、内需が底堅く推移し、海外経済が減速から脱出するにつれて「年央ごろにかけて緩やかな回復経路に復していく」と展望。前提となる海外経済についても「このところ、米国や中国を中心に明るい動きもみられ始めている」とし、先行きは米中経済を「リード役」に「今年半ば頃から上向きに入っていく」との見通しを示した。

(ロイターニュース 伊藤純夫 編集 橋本浩)



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09. 2013年1月31日 21:43:23 : 3fil4HFn8M
コメントに記事の全文をコピーしないで欲しいね。
誰も読まないよ

10. 2013年2月01日 02:00:58 : xEBOc6ttRg
【第43回】 2013年2月1日 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
金持ち優遇、それとも格差是正?
アベノミクス「税制」の評価と課題
  去る1月24日自民・公明の与党両党が、税制改革大綱を決定した。「アベノミクス税制改正」は、公平と活力のバランスに配慮した内容となっている点は評価できる。だが、今後の課題は、法人税改革と所得税改革であり、負担の構造を変える税制改革こそが究極の成長戦略となる。     

分配面への配慮は評価

 先進諸国の経済統計を分析してみると、政府の規模が大きいほど所得再分配が進み格差は小さいこと、格差が小さいほど経済成長が高いこと、政府の規模が大きいほど財政赤字も少ないこと、という事実が分かる。

 このような目で平成25(2013)年度税制改正をみると、所得税・相続税の負担増を3党合意にそって、誠実に履行した点がまず注目される。

 これまでの消費税導入時や税率の引き上げ時が、所得税や相続税の減税とセットであったことを考えると、今回消費税率を引き上げる際に、所得・資産に余裕のある者に負担増を求める、つまり増税するというのは、きわめて異例のことであることがわかる。

 これは、わが国の最大の課題の一つが格差問題であること、これ以上格差を拡大させないことが、経済成長や財政赤字にプラスの影響を及ぼすことを考えると、評価すべき税制改革だ。

 もっともこれは、アベノミクス税制改革というより、「野田民主党政権の最後の置き土産」というほうが正確かもしれない。

マイナンバーの導入を急げ

 一方でアベノミクス減税は、デフレ脱却のためにはあらゆる手段を導入するという、きらびやかな内容のものである。その中身をみると、執行面で公平性が保たれるかどうか、疑問符のつくものも見受けられる。

 ここでは、住宅ローン控除を取り上げたい。内容は、住宅ローンを組んだ人への消費税負担増分を、所得税減税(税額控除)と住民税減税(税額控除)、さらに現金給付まで組み合わせて軽減するというものである。

 例えば、夫婦子2人で500万円の所得のある納税者が4000万円の住宅ローンを組むと、年間40万円の税額控除が受けられることになる。この人の所得税負担額は10万円弱、住民税が20万円弱なので、40万円の税額控除枠が10万円強使い残しになる。その分を国が現金給付するというのが、今回の改正案である。

 所得税減税を行うのは国、住民税減税を行うのは県や市町村で、現金給付の管理をするのは国となるのであろうが、マイナンバーなしでそこまでの情報を把握できるのか、執行面で大いに疑問のある減税だ。

 また、彼らが現金で買える金融資産を持っていても、ローンで住宅を買えば減税・給付の対象になるので、公平性の観点からも大いに疑問のある税制である。

 この減税は、筆者が長年主張してきた「給付付き税額控除」ととらえることもできる。しかしそれは、勤労インセンティブや税負担の逆進性対策として低所得者を対象として行うもので、住宅ローン減税のような中高所得者へ適用するのは趣旨が異なっている。

 いずれにしても、所得を正確に捕捉するための番号制度(マイナンバー)の導入を目指すべきだ。

この1年の課題は法人税改革

 この1年の最大の課題はなんといっても法人税改革だ。震災復興臨時増税が終わった後(2015年度)のわが国の法人実効税率は、現在の40%から5%下がり35%となるが、いまだ先進諸外国と比べた国際水準より数%高い。

 自民党は公約(政策集)で、これを、「国際的整合性及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意し、法人税を国際標準に合わせて思い切って減税します」としている。

 法人税は、グローバルに展開せざるを得ない企業の立地コストに、大きな影響を与える。そこで、企業の空洞化を防ぎ雇用の流出を阻止するという見地から、わが国の法人税の抜本的な見直しを行う必要性は高い。これは、アベノミクス3本の矢の最後の成長戦略とも符合する。

 わが国法人税の内訳を見ると、国税である法人税率は25.5%で、フランスの33.3%よりも低く、中国の25%と同水準で、国際的には遜色がない水準にある。

 つまり、わが国の法人税率(実行税率)を高くしているのは、地方税である法人事業税と法人住民税(地方法人2税)である。そこで、これを改革していく必要がある。すでに地方税を所管する総務省で、見直しに向けての検討が始まっており、筆者も意見陳述をしている。

 詳細は下記資料を参照していただきたいが、法人税減税するためには代替財源が必要で、消費税率引き上げ途上の現在、財源は容易に見つかりそうもない。つまり、なかなか出口の見えない減税議論なのである。

 筆者は、住民税や固定資産税など地方の基幹税や、外形標準課税(課税ベースを法人所得から法人の付加価値ベースに替えて04年度から導入された税制)の在り方、さらには三位一体改革のような国・地方の仕事の見直しと補助金・地方交付税の改革や税源交換・移譲など、大きな議論をしていかなければ、減税への道は開けないと考えている。そのためには、強力なリーダーシップが必要となる。

(参考資料)
総務省・地方法人課税の在り方等に関する検討会 @議事概要 A森信提出資料

構造改革としての所得税改革

 所得税の分野でも、わが国経済社会の構造改革につながる議論をしていく必要がある。具体的には、「配偶者控除の見直し」と「公的年金等控除の見直し」である。

 前者は、国が支援する対象を「専業主婦から働く女性へ」シフトする構造改革である。専業主婦やパート労働を優遇する配偶者控除を廃止・縮小して、その財源を子育て支援(手当や保育園の充実)に充てる(連載第42回参照)。

 後者は、国の支援(減税対象)を「高所得年金受給者から現役世代(保険料負担者)へ」シフトする構造改革だ。

 現在の公的年金等控除は、「公的年金」だけでなく、「企業年金」にも適用されており、またその控除額は、年金額に比例する青天井となっている。この結果、同じ所得でも、勤労世帯より年金世帯の方が税負担が軽いこと、また、高所得年金者ほど得をするという点において、世代間・世代内の両面で、負担の公平性に問題が生じている。

 年金制度の持続可能性を高めるという観点から、早急に公的年金等控除の見直し(縮減や頭打ちを設けること)をして、高額年金受給者の負担を高め、その分勤労者の負担の軽減につなげていく必要がある。政権交代以降、年金改革への関心が薄くなっているが、社会保障効率化の一環として、年金税制の見直しは重要なテーマだ。

 3本目の矢である構造改革・成長戦略にアベノミクスの命運がかかっている。税制面での改革を断行してほしい。


11. 2013年2月01日 02:01:09 : xEBOc6ttRg
今年後半、日本は制御不能の円安に突入する

『円安恐慌』の著者、菊池真氏に聞く

2013年2月1日(金)  石黒 千賀子

 昨年11月上旬、米国が景気回復に伴って金融政策を引き締めれば円安となり、日本は未曾有のインフレに直面、日本国債の価格は暴落し日本経済は破綻の危機に直面するという厳しいシナリオを『円安恐慌』という本にまとめて出版、静かな話題を呼んでいます。円安がどう進み、日本はにいかなる事態に陥るのか聞いた。
安倍晋三新政権は、選挙の時から日銀法を改正してもさらなる金融緩和を実施しデフレ脱却を目指すとしてきたこともあり、円は昨年12月から既に10%ほど円安に振れています。


菊池真(きくち・まこと)氏
1965年生まれ。90年早稲田大学政経学部卒、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。93年マーキュリー投資顧問(現ブラックロック・ジャパン)で日本株のファンドマネジャーを経て、99年ビーピーエム投資顧問(現イーストスプリング・インベストメンツ)に移り、日本株ファンドを含めた日本チームを統括。2003年にミョウジョウ・アセット・マネジメントを設立し、以来、同社CEO(最高経営責任者)兼CIO(最高情報責任者)。
(写真:的野 弘路)
菊池:日本はどこかで円安になり、その場合は大変な事態に陥る――。資産運用の仕事を続けてくる中で、長らくそういう危機感を持っていました。『円安恐慌』はそうした僕の見方が少数意見ではあるが、おもしろいということで出版に至ったわけで、別に「アベノミクス」を狙ってあの本を書いたわけではありません。ただ、思いのほか早く円安が到来した、という感じです。

 為替レートは日本だけでコントロールできるものではありません。相手があることです。日本にもできることはありますが、相手の米国がどういう状況かで決まる。現在、安倍政権がやっているのは、米国の事情が変わらないことが前提で、日本が「円高から円安に持っていこう」、そのために金融緩和をしようという考え方です。

 この約2カ月はドル円で見れば「円安ドル高」になっている。他通貨で見ても円の独歩安になっている。円安が牽引する形で円安ドル高になっているわけです。

 しかし、僕が当初、想定していた円安へのきっかけは本に書いた通り、米国の景気回復でした。米国の景気が回復してくれば、米連邦準備理事会(FRB)は2008年の金融危機以降続けてきた金融緩和策をやめ、引き締め策に転じるでしょう。米国が資金の供給量を引き締めれば当然、円はドルに対して安くなる。これは日本にとって、制御不能な円安が進行する可能性を意味します。

 ところが今浮上してきているのは、米国が、景気が回復しなくてもこの金融緩和策を縮小する可能性が出てきているということで、その結果として日本が制御不能な円安時代に突入しつつあるということです。

制御不能な円安とは、日本の側ではどうすることもできない円安を意味するのだと思いますが、なぜそうした円安が進みそうだとみているのでしょうか。

今年1月3日に発表になったFOMC議事録に驚愕

菊池:どういうことか説明しましょう。昨年12月11〜12日、米国の金融政策を決めるFRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれました。

 そこでFOMCは、ご存知のように昨年9月に始めた金融緩和策第3弾(QE3)の強化を決めました。FRBは市場に資金を供給すべく毎月、400億ドルの住宅担保ローン証券(MBS)を買い取っていましたが、加えて毎月、期間の長い米国債も450億ドル買い取ることを決めました。つまり、毎月850億ドルもの規模の資産の買い取りを実施するというわけです。加えて、失業率が6.5%程度に定着するまでQE3を続けるという数値目標まで掲げたので話題になりました。

 ただ、FRBはこのFOMCの直後に発表した声明で、失業率が6.5%程度に下がるまで金融緩和策を続けるとしながらも、「1〜2年先の物価上昇見通しが2.5%を超えない範囲で安定することが前提だ」との文言を入れていました。「あれっ」と思いました。

 FRB は昨年9月の段階では、「失業率が十分に改善した段階でQE3はやめる」という漠然とした言い方だった。それが12月には、それまで全く言ってこなかったインフレ見通しに言及したからです。

 そして、驚いたのが今年1月3日、このFOMCの議事録が発表された時でした。読むと、米国がこのQE3を年内にもやめる可能性が高いことが分かったからです。FRBのベン・バーナンキ議長を含め出席した19人の委員のうち、既に5人がインフレに対する懸念を表明していたのです。

19人のメンバーのうち5人というと4分の1ほどに過ぎませんが…

菊池:そう見る人もいるでしょう。確かに議事録には、現時点では多数の委員が「基本的には現在の経済状況の中では緩和策を継続すべきだと見ている」と記載してある。しかし一方で、インフレ懸念を表明した5人の委員のうち「2人が金融緩和策を2013年中にやめるべきで、残る3人が2014年中にやめるべきだと考えている」とも記録されています。つまり、5人ものメンバーが既にインフレ懸念を持ち始めているということは、今年の後半には相当の委員がインフレに対する懸念を感じ始める可能性が高いということです。

 それを見た瞬間、「米国でいよいよインフレ懸念の議論が始まった」と思いました。

中央銀行の最高の責務はインフレコントロール

現状では、FRBはQEを相当長く続けるだろうというのが一般的な印象です。米国の昨年12月の失業率は7.8%。2009年1月以来、8カ月ぶりに7%台に低下したとはいえ、雇用回復の力は依然として弱く、6.5%まで下がるには時間がかかるはずだ、と。

菊池:そうです。市場でも、「QE3は、今年いっぱい続くのはもちろん、来年やめられるのかな、2015年まで続くのかな…」というイメージが強い。

 しかし、中央銀行の最高の使命はインフレのコントロールです。失業率が6.5%に下がるには時間がかかるとFRBも認識している。それでもインフレリスクが出てきてしまったら、中央銀行としてはインフレを抑えるべく積極緩和策はやめざるを得ない――。FOMCの12月の声明は、FRBがそう判断しているということで、今後この議論はFOMCで高まっていくと僕は見ています。

 つまり、今年中にQE3が終了するという議論が始まることはほぼ確実な状況だということです。

すると米国の動きを発端とする円安がそう遠くない時期に始まると…。

菊池:はい。そもそも米国では2008年9月のリーマンショックが起きる1年ほど前から、サブプライムローン問題が浮上し、FRBは金利をどんどん下げた。しかし、それでは足りず2008年11月以降、金融緩和策をQE1、QE2、QE3という形で進めてきた。その結果が、1ドル=120円から75円まで上昇したという円高ドル安です。これは、円が高くなったのではなく、ドルが安くなった結果、つまり、ドル安が牽引する形での円高だったということです。

 従って米国が今後、積極金融緩和を縮小することになれば、異常に安くなったドルの価値が正常化していく。為替はシーソーだから、片方が高くなればもう片方は安くなる。つまり、日本が何もしなくてもドル高円安になる。これが恐らく今年の10〜12月に始まるでしょう。

本では、米国の引き締めが始まる前に、もし日本が円安待望論のようなものに対応する形で円安誘導をした場合には、さらに悲惨な事態を招くことになると指摘していました。

菊池:そうです。僕は、この本を書いた時は、日本は何もしなくてもドル安がドル高に戻るだけで相当な円安が避けられないと指摘しました。そしてサブシナリオで、もしその前に日本が円安誘導のようなことをしたら、その先に制御不能な円安が来るのだから、事態の悪化は早まると説明しました。実際、現状ではそういう展開になりそうです。

 為替の影響はタイムラグを置いて発生するので、今の円安傾向の影響は3〜4月頃から徐々に表面化してくるしょう。ガソリン料金の値上げから、LNGの輸入価格上昇による電力料金の値上げ、輸入食品の値上げまでその影響は広く及ぶでしょう。円安によるインフレというのが確実に起きてきます。

 問題は、輸入物価の上昇によって起こるインフレは、いわゆるコストプッシュ型のインフレで、給与や可処分所得の上昇につながらないという点です。望ましいのは、給料が上がる、使えるお金が増える、だから「少し高くても買おう」という形でものの値段が上がっていくディマンドプル型のインフレです。しかし、こうはならない。

円安でも景気はよくならない…。

菊池:10〜11月には企業各社の中間決算発表が出てくる。輸出企業の決算にはそれなりの円安の恩恵が出てくるでしょうが、あくまでも「それなり」にとどまるでしょう。その一方で、円安のデメリットは顕在化してくる。

 安倍首相の周りにいるリフレ派と呼ばれるエコノミストの方々は、基本的に為替レートは通貨供給量の増減の差によって引き起こされる、と考えている。それは正しいと思います。ものが増えればものの値段は安くなるのが当たり前ですから。

 だからリフレ派の人たちは、円高を円安にするにはお金をじゃぶじゃぶにすればいいし、円安に行き過ぎたと思ったら、アメリカよりも供給量を絞ればいいと思っている。理論的には正しいですが、問題はそんなことが現実にできるのかという話です。

 米国にインフレ2.5%以上というリスクが出てきて、まず積極的金融緩和策をやめるとなった時、日本は円安を食い止めるためにそれ以上の金融引き締めをできるのでしょうか。引き締めができれば、確かに円安進行を食い止められるし、円高の方向に引き戻すこともできるでしょう。しかし、果たして可能でしょうか。

 日本経済は今年後半、あるいは来年、金融引き締めに対応できるほど回復しているのか、という問題です。金融引き締めとは金利を上げることです。そんなことをすれば中小企業の倒産が相次ぐ。

国債の利回り3%でも巨額の含み損に直面する日本の金融機関

 金利を上げる前に、日銀が買い上げてきた国債を売るという対応策もある。その場合、短期金利はすぐに上がらないにしても、5年以上の長期金利は確実に上がってくるため、日本国債の価格は急落する。株式の保有を減らし、日本国債の保有を増やしてきた日本の金融機関は、今や膨大な国債を保有しており、巨額の含み損を抱えることになります。

 50兆円の国債を保有する大手金融機関の場合、国債の流通利回りが1%上昇するごとに1.5兆円の損失が発生します。自己資本を10兆円抱えていても、利回り3%に上昇すれば、自己資本の3分の1が吹き飛ぶ。国際決済銀行(BIS)が定めるBIS規制では、金融機関は自己資本比率が8%を割り込むと国際業務はできなくなります。

 そこで国が銀行に資本注入をするとなっても、それにはさらなる国債の発行が必要となる。一体誰が国債を引き受けることができるのでしょうか。

 日本の国債は、90%以上が国内で買い支えられてきました。だからギリシャのように国債利回りが上昇する心配はないと言う人がいますが、本当にそうでしょうか。日本の純金融資産のほとんどは50歳以上が保有、特に60歳以上で全体の8割を持っています。従って引退後は、自らの資産を取り崩していくことになるわけで、国債を国内だけで買い支えていくという構造はもはや限界を迎えています。

つまり、金融引き締めを行わないにしても、今の財政を維持するために国債を発行し、国内だけで消化していくこと自体早晩、難しくなるとということですね――。確かにそうした指摘は最近増えています。しかし、こうした日本の財政危機にどのような対応の選択肢があると考えますか。

菊池:本には、かつて1997年のアジア通貨危機の際、IMF(国際通貨基金)が韓国に介入したように、日本もIMFが介入することになって抜本的改革を進めるしかないだろうと書きました。本には書きませんでしたが、僕は、実は日本は再び抜本改革を米国に頼ることになるのではないかと見ています。


(写真:的野 弘路)
 日本の財政の危機的状況は、政府がこのほど発表した2013年度の92.6兆円の予算案を見ても分かります。既に歳出の約4分の1が国債の満期に伴う償還費及び国債の利払いです。歳入を見ても新規国債の発行が43兆円強と、税収を再び上回りかねない規模で、国債発行残高は昨年9月末時点で983兆円にも達する。

 国債利回りが3%程度に上昇した時に、明確な買い手を示すことができなければ市場は事態が収まったとは見ないので、日本政府は日本国債を買ってくれるところを探さざるを得なくなる。その時、日本が「日本の国債を買っていただけませんか」とお願いに行く先は、やはり米国になると思うんですね。

 米国は「分かった。同盟国である日本の窮地だ。ここは最大限協力しよう」と、恩を売る形で購入に応じてくれるでしょう。しかし、高齢化が進む日本では、その後の財政状況は当然のことながら容易には改善しない。その頃には対外債務国に転落しているわけで、米国が自らの財産を守るためにも、どこかの時点で日本に強制的な緊縮財政を強いてくることになる、というのが僕が想定する今後の展開です。

 結局、日本は、自ら制度の大変革を行うということができない国なんだと思います。行くところまで行って、明治維新、第2次大戦後に続いて3度目の米国による外圧によって大改革を進めることになるのではないでしょうか。


石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス副編集長。


キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。


12. 2013年2月01日 08:20:08 : xEBOc6ttRg
日銀法改正めぐる議論再燃、にじむ首相の執心
2013年 02月 1日 01:48 JST

米経済は信用に依存し過ぎで持続不能=PIMCO
ブラックベリー株が一時10%急落、新型スマホ評価さえず見通し懸念
フェイスブック株が一時8%安、予想下回るモバイル広告収入を嫌気
東芝4―12月期営業利益12%増、火力など社会インフラ好調

[東京 31日 ロイター] 安倍晋三首相が30日の衆院本会議で日銀法改正の可能性に言及したのに続き、自民党でこの日、改正を目指す議員連盟が発足した。

日銀への不満を隠さない首相の「執心」ともいえる強い思いがにじみ出てきたことに、今夏の参院選をにらんだ政局的な思惑が加わり、法改正をめぐる議論が一気に再燃してきた。

政府と日銀が共同声明をまとめた22日、会見で声明を「画期的」と持ち上げた首相はその翌日、周辺に「日銀はしぶといね」と漏らした。「政策協定(アコード)」の締結を選挙戦から主張し続けたが、麻生太郎財務相らが日銀の白川方明総裁と水面下で複数回、直接交渉してまとめ上げた文書は、強制的な印象を欠く「共同声明」。リフレ色の強い考えを持つ周辺に囲まれる首相は受け入れたものの、「十分ではなかったとの思いがある」と関係者は受け止めた。

実際、金融政策で初の集中審議を行った24日、経済財政諮問会議の席上で首相は再び、日銀に対して「デフレファイターとして責任を持って物価目標を達成してほしい」とあらためて強く要請。次回の審議で物価目標の達成に向けた「道筋を描いてほしい」と、宿題まで出した。

首相の執心は、自民党が立ち上げた議連にもちらつく。法改正を目指す「デフレ・円高解消を確実にする会」は、もともと震災後に発足した「増税によらない復興財源を求める会」が母体。復興財源として、政府が震災国債を発行して日銀が原則、全額買い切りオペを行うよう求めた超党派議連だが、その当時に会長を務めていたのは、野党時代の安倍首相。今回、当時の議連の幹事長だった山本幸三衆院議員が再発足を持ちかけた際、首相は山本氏が会長となって議論を進めるよう要請した。

収まらない首相の思いを見透かしたかのように動き出したのが、いわゆる中小野党。日銀法改正案の国会提出を首相への「プレゼント」と公言する渡辺喜美代表が率いるみんなの党は30日、日本維新の会との政策協議で、改正案の共同提出を検討することで合意した。参議院で過半数に満たない与党に対し、首相が強い関心を持つ日銀法改正などを使い、自民と公明、さらには3党合意の関係を持つ民主党との間に風穴を開ける狙いがある、と読み解く関係者は少なくない。

麻生財務相はこの日の会見で、日銀法について「当面、即改正するつもりはない。その必要も特に感じていない」と表明。共同声明で、物価目標の「早期」実現を英語訳で「at the earliest possible time」としたことに言及し「as soon as possible (できるだけ早期に)ではない。あれが一番大事なところだ」と、文書の重要性を重ねて強調した。だが、政局も絡み始めた法改正をめぐる動きは、簡単に収まりそうもない。

(ロイターニュース 基太村真司) 

関連ニュース

再送:〔永田町ウォッチャー〕日銀法改正めぐる議論再燃、にじむ首相の執心 政局にらみ思惑加速 2013年2月1日
安倍首相が所信表明、日銀との共同声明「きちんと実行」 2013年1月28日
諮問会議で金融政策集中審議、首相が物価目標達成を要請 2013年1月24日
来年度予算、公債発行額が税収を上回ることは避けたい=麻生財務相 2013年1月24日
 

原発停止で相次ぎ値上げへ
原発停止に伴う燃料費増加などで、電力7社の4─12月期赤字額は5802億円に。電気料金値上げを目指す動きが相次ぐ。
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シャープ、5四半期ぶりの営業黒字に
日銀法改正議論再燃、政局的思惑も
30mの波乗り成功、世界記録更新か


 


日本株「無関心」が「懐疑的関心」に、メリル神山氏欧州探訪

  2月1日(ブルームバーグ):海外投資家の日本株に対する投資姿勢が、これまでの「無関心」から「懐疑的関心」へ変化してきた−−。メリルリンチ日本証券では、最近行った欧州投資家への訪問を通じてこうした見解を示している。
同証の神山直樹株式ストラテジストが1月31日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで明らかにしたもので、同氏は同18日から24日までフランス、イギリスの合計26に及ぶ投資家を訪問。内訳は伝統的投資家が15(うちマルチアセット系5)、ヘッジファンドが11だった。当初は3日間の訪問予定だったが、海外勢の関心の高まりを背景に長期化したそうだ。
神山氏によると、海外投資家は昨年11月以降の日本株の上昇が「『シクリカル』か『構造変化』のいずれを要因とするものか」「円相場と日本株相場の強い連動性に今後変化が起こるのか」「これまで日本株買いに参加していなかった投資家が新たに参入する可能性があるのか」などに関心がある。
今回の株価上昇がシクニカルによるもので、必ずしも日本株を買う必要がないと見る投資家がなお存在し、現在は多くの投資家が必ずしも日本株ウエートを「ニュートラル」まで戻していないのではないか、と神山氏は推測。海外勢の日本株への姿勢は、従来の「無関心」から「懐疑的な関心」に変わった状況だと言う。
恐怖心残し強気転換に余力
ただし、「日本株が変化したかもしれない、という2005年の小泉内閣での相場上昇時のような恐怖心が海外勢にある」とも指摘。現状に関し、同氏が主張するリーダーシップ変化を起点としたシクリカルと構造変化のハイブリッド型相場という色彩が認識されれば、03年時のような海外勢の大幅な「アンダーウエート」から大幅な「オーバーウエート」への転換が進む可能性もある、とした。
昨年11月以降の株高が為替効果を背景とした第1ステップだとすれば、4−6月には「1株利益の改善などを追い風とする上昇第2ステップが到来するだろう」と神山氏は予測。4−6月に海外勢のポジション(持ち高)はオーバーウエートになっている可能性があり、TOPIXは1050ポイント、日経平均株価は1万2600円に達すると読む。
東京証券取引所が31日に発表した1月第4週(21−25日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家 は日本株を差し引き1992億円買い越した。買い越しは11週連続で、11年12月−12年3月にかけての12週連続の記録に迫った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net;東京 Anna Kitanaka akitanaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net
更新日時: 2013/02/01 00:01 JST


 

2013/01/31 12:51 pm
「アベノミクス」でダメなら日本売りか

「アベノミクス」などを手がかりに日本株の底堅い値動きが続いている。目先も堅調地合いが予想されるが、「アベノミクス」が長期的な経済再生に効果を表さない場合には、期待が大きい分、日本売りにつながる懸念もある。


Bloomberg
日経平均は年初から1カ月弱で3.7%上昇
今年の日経平均株価は1万600円付近で始まり、約1カ月で1万1000円付近に3.7%上昇した。円安の継続と米国株の上値追いを背景に、日本株が買いやすい状況が続く。目先も大きなリスク要因は見当たらず、株価はどこまで上昇するかに投資家の関心が集まっている。

「アベノミクス」で期待される長期的な効果は、企業の業績が為替差益や金融緩和で回復し、雇用が拡大、経済成長率が上昇する一方で、消費税率の引き上げなどで財政状況が改善するという流れ。しかし、そうならなかった時には「世界のヘッジファンドによる大きな売りにつながる」と岡三証券・日本株情報グループ長の石黒英之氏は指摘する。

「今はいい」と石黒氏はしながらも、「これまで(デフレ脱却などに)真剣でなかった日本がとうとう本気で取り組み始めたものの、1-2年後に結果が出なかったら、日本経済は死を迎えるだろう」と手厳しい。

日本株は動きの鈍かった銀行株や不動産株にマネーが流入し始めた。年度末までは1万500-1万2000円のレンジ内で堅調に推移し、ヘッジファンドの決算期が集中する5月ごろまではやや軟化するものの、安倍政権が6月に発表するデフレ脱却に向けた「成長戦略」への期待感が株価を支える見通し。

足元の株高が継続するには、7月の参院選で与党がねじれを是正できるかが最大のポイント。自民党が昨年12月の衆院選圧勝の勢いを参院選でもみせ、安倍晋三首相がねじれを解消できるのかが注目される。

記者: 吉池 威

(吉池記者をツイッターでフォロー: @WSJYOSHIIKE )

アベノミクス, ヘッジファンド, 安倍晋三, 成長戦略, 日経平均, 日本売り, 日本株

7:33 pm January 31, 2013
a さん:
デフレ脱却する前に増税したら、消費冷え込んで税収減って財政状況は悪化しますよ
増税は絶対阻止で

4:50 pm January 31, 2013
hikinomasaharu さん:
霞ヶ関官僚どもは、「デフレ状態」が程良い「湯加減」なんだと思います。国民の財産がどうなろうと、国家財政がどうなろうとお構いなし。足らずば「薄く幅広く」掠め取る。我が国の「官僚システム」。何処の国の「官僚」も50歩100歩
だと思う。USA,UK,EUも自国の「官僚ども」を良く注意深く見てご覧なさい。

3:43 pm January 31, 2013
Highbaii Taji さん:
安倍政権は現在の所、無難な船出だが税の一体改革と経済政策の行方、そして外交をしっかりと、政治生命をかけておこなわなければならない。


13. 2013年2月02日 16:54:17 : mb0UXcp1ss
小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ |
通貨安戦争が起きれば日本が勝つ!
2013/02/02 (土) 12:39


 それにしても円安が止まりませんね。

 しかし、これだけ円が安くなっても、まだまだ円はそれほど安くなっていないという人も多い。そう言えば菅さんが財務大臣に就任した頃、「円は1ドル90円台の半ばが適切だと経済界の人が言っている」なんて言っていましたね。

 つまり、数年前の日本の輸出産業は、1ドル=95円程度であればどうにかやっていけると思っていたところ、それより20円ほども円高が進んでしまっていた訳です。だから、それから考えるならば、円安といってもそれほどでもない、と。

 一方、ユーロとの関係はどうかと言えば、一時1ユーロ=94円台をつけたことがあったのですが、それが今では126円台になっている訳ですから、対ユーロとの関係ではさらに円安に振れているのです。

 まあ、こうして円安になるから、輸出産業の人々の表情は明るくなる、と。

 でも、その分海外のライバル関係にある国々からしたら、日本と逆の立場にある訳ですから、愚痴も言いたくなる、と。

 韓国、ドイツ、ロシア、米国‥そうした国々が、アベノミクスの円安政策にクレームを付けているのです。

  では、彼らの一部が言うように、日本が自重しなければ通貨安戦争に突入する危険性があるのか?

 どう思います?

 まあ、外国からそんなことを言われて、安倍政権としては面白くないのです。そもそも欧米が超緩和策を採用してじゃぶじゃぶマネーを放出するようなことをしたから急激な円安がもたらされたのではないか、と。

 つまり、一言で言えば、安倍政権としてはこうした通貨安政策を今後も改めることはなく、インフレ率が2%ほどに達するまでは大胆な金融緩和を続け、従って、円安政策を続けることでしょう。

 では、そうして日本が姿勢を改めないとすれば、世界的な通貨安戦争を引き起こす可能性があるのか?

 私は、その恐れは殆どないと思うのです。それに仮に通貨安戦争に突入しても、日本が勝つと思うのです。

 何故?

 安倍総理の決意が固いから? それとも、日銀の新総裁になる人が、安倍総理の考え方に近い人だから?

 そんなことが理由ではありません。そうではないのです。

 いずれにしても、例えば米国がゼロ金利政策を比較的早期に打ち切ってしまうことはないでしょう。何故ならば、FRB自身がそのように言明している訳ですから。従って、米国はこれからもゼロ金利政策を続けるでしょうし、長期国債の買い入れも続けると思うのです。

 しかし、そうはいっても、再び対円でドルの価値を80円を切るレベルにまで引き下げるために大胆な緩和策を取るようなことはしないでしょう。そして、欧州としても、もちろんユーロの価値がこれ以上上がらないことを望んでいるでしょうが、だからと言ってユーロの価値を引き下げることを目的として無制限な金融緩和策に打って出ることはないでしょう。

 そして、もし、米国や欧州が通貨安を狙いとする無制限の金融緩和策に打って出ても、恐らく円高を引き起こすことは難しいでしょう。

 私がこんなことを書くと、どうして?と思う方がいらっしゃるかもしれません。

 というのも、つい数か月前までは超円高が続いていたではないか、と。そうして円高になっていたのは、米国や欧州の金融緩和の内容が日本よりも強力であったからなのではないか、と。

 皆さんが、そのような考え方をしても仕方ないかもしれません。というのも、専門家のなかにも、そのような主張をする人が多いからなのです。安倍総理もその一人でしょう。

 でも、それは真の理由ではないのです。但し、そうした主張を信じる市場参加者が増えているために、アベノミクスによって無制限というか大胆な金融政策が実施されるならば円安に振れるはずだと予想する向きが増えていることは否定できません。

 いずれにしても、この数か月間でドルもユーロも対円でこんなに急に価値を回復してしまったのは事実。では、その間に、日銀の保有する資産が急増し、大量にマネタリーが放出されたのでしょうか?

 決してそんなことはありません。この先、そうなる可能性があることは否定できませんが、しかし、まだ現実には、日銀の保有する資産が急増し、急速にマネタリーベースが増大しているのではないのです。

 しかし、円は急速に安くなった、と。

 だとすれば、それは市場関係者の心理状態に変化が起きたためだと言うべきなのです。

 アベノミクスで無制限の金融緩和が行われれば、大量にマネーが放出され、そうなればドルやユーロに対して円が安くなる筈だ、と。

 もちろん、それが正しい考えであると実証された訳ではないのですが、著名な経済学者たちがそのようなことを主張し、そして、現実に円安が起きているものだから、その説が正しいと皆信じている。そして、そうやって、円安が進むと信じてドル買いをして儲ける投資家が続出するものだから、だからなおのことドル買いが勢いを増す、と。

 今、ドルを買わずに何時買うのか、と。定期預金を下ろしても買うべきだ、と。

 そして、そのようなアドバイスに従ってドルを買ったところ、更にドルが上がって、簡単に儲けることができたので、だから更なるドル買いを呼ぶのです。

 いずれにしても、そうして円安が進むので、韓国やドイツは特に面白くない、と。

 では、海外も日本の通貨安政策に対抗して、さらなる緩和策に踏み切ることになるのか?

 でも、それはなかなかできないのです。

 リフレ派の人々、そして、日銀が怠慢だなんて批判する人々はよく言うのです。米国や欧州の中央銀行は無制限の緩和や無期限の緩和を打ち出すのに、なぜ日銀は小出しの政策しか打たないのか、と。

 それは全くの誤解です。

 米国や欧州の中央銀行が、仮に無制限とか無期限と言う言葉を使用していたとしても、それは偶々そういう言葉を使用しただけの話で、心のなかでは常にインフレのことを懸念していて、いつも出口政策、つまり緩和策を打ち止めするときのタイミングと手法について気を使っているのです。だから、文字通り無制限に金融を緩和するなんてことが彼らの本意ではないのです。

 しかし、日本ではそういう風に理解はしない。ただ、日銀を叩きたいだけのことなのです。

 私のいうことが信じられないという人は、例えば、バーナンキ議長のスピーチやドラギ総裁のスピーチをよく読んだことがないのか、と言いたい。

 いずれにしても、仮に米国や欧州や或いは韓国が、通貨安戦争に参加したと仮定してみましょう。

 その時に、誰が勝つのか?

 問題は弾をどれだけ保有しているかということです。

 つまり、誰が無制限に金融緩和をできる弾を持っているのか、と。

 韓国は日本に対する対抗意識が強く、そして輸出主導の経済だから、通貨安戦争に参加し日本に対抗するのでしょうか?

 ある程度のことはするでしょう。

 しかし、韓国を含め海外勢には限度があるのです。それは、幾ら金融を緩和して自国通貨の価値を引き下げたくても、その一方で、インフレに対して警戒する必要があるので、無制限の金融緩和を無期限で実施することなど不可能だからです。

 その点、日本はどうか?

 どれだけ金融を緩和し続けても、一向にインフレが起きなかったのは日本だけだと言ってもいいでしょう。そして、今後も、経済界はそう簡単に賃上げに応じることはないと言っているので、インフレが起きるとしても、相当先のことになる可能性が大なのです。

 そのように日本の場合は、インフレになる可能性が世界で一番低いと言ってもいい訳ですから、そのために、どれだけでも超緩和策を継続することができるのです。つまり、日本は無制限に弾を有している、と。だから、仮に通貨安戦争になっても、なかなか太刀打ちできる国は現れないでしょう。

 そして、そのようなことは欧州勢も気が付いており、特にドイツなどはかつてハイパーインフレを経験したことがあるものだから、なおさらインフレを招く恐れのある金融緩和には及び腰になりがちなのです。

 つまり、ドイツを中心とする欧州勢は、日本との通貨安戦争に参戦することはできない、と。

 そして、そうやって日本と通貨安を競うことができないことが分かっているので、アベノミクスによる通貨安政策にいちゃもんをつけ、日本に対し自重することを求めるしか方法がないのです。

 但し、こうして急激に円安が起きている原因としては、アベノミクスによって市場参加者の予想に変化がもたらされたことの他、ユーロ危機が収まってきていること、また、米国の経済が回復してきていること(第4四半期はマイナス成長になっているものの)、さらには日本の貿易赤字が拡大基調にあることなどがあるのです。

 いずれにしても、通貨安戦争に勝つということは、自国の通貨が安くなるだけの話なので、本来は寂しい面もあるのです。

以上


14. 2013年2月02日 17:32:39 : mHY843J0vA
一時93円台目前まで円安加速、ユーロは全面高=NY市場
2013年 02月 2日 09:14

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[ニューヨーク 1日 ロイター] 1日終盤のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが対ドルで1年2カ月ぶり、対円で2年9カ月ぶり高値をつけた。

1月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値が11カ月ぶりの高水準を記録したことに加え、日米中銀の金融緩和観測が追い風となった。

朝方発表された1月の米雇用統計は、米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和を維持するとの見方を裏付ける内容となり、ドルの投資妙味が後退した。

だがドルは円に対しては上昇し、2年半ぶり高値をつけた。日銀の追加緩和観測を背景に、円安基調が継続している。

ドル/円は直近で1%高の92.70円。一時は2010年5月以来の高値となる92.96円をつけ、93円台に迫った。

1月の米ISM(供給管理協会)製造業部門指数が9カ月ぶりの高水準となったことに加え、1月の米ミシガン大米消費者信頼感指数が予想外に改善したことを受け、ドルの上昇が加速した。

ユーロ/ドルは一時2011年11月中旬以来の高値となる1.3711ドルに上昇。直近では0.48%高の1.3643ドル。次の上値抵抗線は1.3833―35ドル辺りで、これを上抜ければ1.40ドルも視界に入る。

ユーロ/円は直近で1.81%高の126.75円。一時は2010年4月以来の高値となる126.96円まで買われた。

シティFXの通貨ストラテジスト、グレッグ・アンダーソン氏は「ユーロは過去1カ月間、テールリスクの後退が支援材料となって買われており、また欧州中央銀行(ECB)のバランスシート縮小を受けて、短期金利が上昇している。他の主要中銀が金融緩和を実施する中で、ECBの金融政策は相対的に引き締め方向にある」と指摘した。

米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比15万7000人増と、市場予想の16万人増をやや下回った。また失業率は7.9%に小幅上昇した。

ただ過去2カ月分は計12万7000人上方改定された。

ドイツ銀行のG10為替戦略部門責任者、アラン・ラスキン氏は、雇用統計を受けてリスク選好が高まったと指摘。財政の崖問題を抱えながらも、景気の趨勢は底堅いことを示す一方で、「失業率の上昇により、FRBの量的緩和解除懸念も和らぐ」との見方を示した。

ユーロはまたポンドに対し1年3カ月ぶり高値をつけた。

シティFXのアンダーソン氏によると、ユーロ圏製造業PMIに加え、次期イングランド銀行(英中銀)総裁への就任が決定しているカーニー現カナダ中銀総裁の英議会公聴会を来週7日に控えていることも、ユーロを支援した。

カーニー総裁が、現在2%としている英中銀のインフレ目標を1─3%のレンジにすることを支持する考えを示せば、英中銀の緩和余地が広がるとみられている。 

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ロイター調査:米FRB資産購入、年内終了予想はほぼ変らず
2013年 02月 2日 15:06

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[ニューヨーク 1日 ロイター] ロイターが1日、米プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)を対象に実施した調査から、米連邦準備理事会(FRB)が現行の景気刺激策を年内に終了するとの見方が依然、大勢となっていることが分かった。

プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)のエコノミスト15人中8人が、FRBは現在の資産買い入れプログラムを2013年中に終了すると予想。そのほか6人が2014年、1人が2015年にそれぞれ終了するとの見通しを示した。

1月4日に実施した同様の調査では、FRBが昨年12月に決定した月額450億ドルの国債買い入れについて、16社中9社が年内に終了すると回答していた。

また、現行プログラムの下でFRBが購入する国債総額について、今回の調査では15人の予想中央値は6000億ドルとなった。1月4日時点の予想中央値は5400億ドルだった。

クレディ・スイスのエコノミスト、デーナ・サポータ氏は、FRBが今年末までに資産買い入れを停止するには「労働市場で、これまでに確認されている以上に力強い回復が求められる公算が大きい」と指摘。「ただ、たとえ緩慢であっても、雇用情勢の回復が続けば、FRBは買い入れ規模を月額850億ドルから縮小する可能性がある。われわれは、年央付近までに月額600億ドルに縮小すると予想している」と述べた。

今回の調査は1日の1月米雇用統計発表後、プライマリーディーラー21社を対象に実施した。

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日本のデフレ対策、G20の主要議題にならず=ロシア財務次官
2013年 02月 2日 10:47  
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[モスクワ 1日 ロイター] ロシアのストルチャク財務次官は、今月中旬にモスクワで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、日本のデフレ対策について判断を下すより、むしろ各国の財政赤字と債務削減に向けた新たなコミットメントを示す必要があるとの考えを示した。

日銀は前月の金融政策決定会合で、デフレ脱却に向け、2%の物価安定目標の採用を決定するとともに、期限を定めずに資産買い入れを行う「無期限(オープンエンド)型」の新たな金融緩和強化策を打ち出した。

こうしたなか、今月15─16日にモスクワで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議を前に、多額の債務を抱える先進国と、競争的な通貨切り下げを懸念する輸出国との間で「通貨戦争」をめぐる論争が高まっており、今年新興国として初めてG20議長国に就任したロシアの中銀関係者の間からは、日本の金融政策は「保護主義的な金融政策」との声も上がっていた。

しかしストルチャク財務次官は、1月31日に行われたロイターのインタビューに対し、今回のG20会議では、為替に関する議論は分別のある範囲にとどめておく必要があると指摘。「当然、何らかの反応は出てくるが、この問題に不相応なシグナルを市場に送ることがないよう、適切に反応する必要がある」と述べた。

その上で、日本経済は「開放型の経済」との認識を示し、「日本が競争的な通貨切り下げを行っていると非難する前に、よく考える必要がある」と述べた。G20会議でロシア大統領の首脳個人代表(シェルパ)を務めるクセニア・ユダエワ氏も、これまでに同様の見解を示している。

日本がとっている政策について、ストルチャク次官は討議される必要があるとしながらも、G20の主要な議題にはならないと言明。現時点で財務次官級会合で取り上げる予定はまったくないとしている。

今回の財務相・中央銀行総裁会議の主な目的は、9月4─5日にロシア第2の都市サンクト・ペテルブルクで開かれるG20首脳会議に向けた議題の整理。

また、G20は2010年にカナダのトロントで開かれた首脳会議で2013年までに少なくとも赤字を半減させることを確約したものの、ほんとんどの国がこの目標を達成できないまま2013年を迎えたことから、政府借り入れ抑制に向けた新たな合意が必要になっている。

ストルチャク次官は、「G20が財政赤字と債務水準の引き下げに向けた新たな目標と指針を採択しなかった場合、奇異なことだ」と述べた。

その上で、財政赤字と債務の削減目標達成期限を現在の3年から5年に延ばす案が浮上していることを明らかにした。同案は「まだ討議はされていないが、排除することはできない」としている。

同次官はまた、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などが導入している非標準的な金融政策は、危機後の世界でこれらの国々の成長モデルがいかに不適切であったかを物語っていると指摘。「国は輸入のみによっても、輸出のみによっても生き延びることはできない」との考えを示した。
 
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