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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013052302000112.html
2013年5月23日 朝刊
直下に活断層がある敦賀原発2号機(福井県敦賀市)を保有する日本原子力発電(原電)が、廃炉に伴い発生する放射性廃棄物の処分地を確保していないことが分かった。処分先がなければ、原電が廃炉を決断しても、廃炉が進まず放置される恐れがある。
敦賀2号機をめぐっては、規制委が二十二日に直下に活断層があると認定し、再稼働は不可能となり、廃炉を迫られることが確定的になった。
廃炉を強制する法律の規定はないが、再稼働できない施設を維持するのは費用の無駄遣いとなるため、原電は廃炉を勧告されたに等しい。
現時点では、原電は廃炉を決断していないが、問題となるのは廃炉ごみの行方。原発を解体すると、さまざまなレベルの放射性廃棄物が一基当たり二万トン前後発生する。
特に問題なのが制御棒や炉心部など放射線量が高い部材で、地中で三百年管理することになっているが、原電は「処分地は電力業界全体で検討している。現状では決まっていない」と回答した。
商業原発として国内で初めて廃炉作業に入った原電東海原発(茨城県東海村)でも、処分地がない問題で、二〇一四年度から始める予定だった原子炉本体の解体が遅れる恐れが出ている。
同様の問題は、廃炉作業中の中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)でも持ち上がっている。
◆規制委判断 偶然頼み
日本原子力発電敦賀原発2号機の真下に活断層があるとした原子力規制委員会の初めての判断は、偶然の発見に支えられた危ういものだった。電力会社任せになっている調査の限界があらためて浮き彫りになった。規制委が信頼を勝ち取るには、早急な改善が求められている。
「もし(地層の変形が)見つかっていなかったら、結論は変わっていたと思う」。二十二日の規制委定例会合で、調査の座長役となった島崎邦彦委員長代理が振り返った。
この言葉に、更田(ふけた)豊志委員は「今後、重要な見落としが起きる可能性があるということか」と強い懸念を何度も口にした。
島崎氏の言葉は本当のことだ。活断層と判断された2号機直下のD−1断層は、この断層を調べるだけでは、動いた時期などの情報が不十分だった。追加調査で掘った試掘溝から、たまたまD−1と一体となった地層の変形が見つかり、なぜその変形ができたかを調べることで、専門家チームは明確な「活断層」の結論を導いた。
基本的に、電力会社の調査は「大丈夫」と立証することを目的にしており、規制委が得たいデータとはずれが生じる。
規制委が進めている関西電力大飯原発(福井県おおい町)と東北電力東通原発(青森県東通村)の調査でも、判断に必要なデータがなかなかそろわず、専門家と電力会社の間で押し問答が続く場面がしばしば見られる。
規制委の委員たちもこうした状況を苦々しく感じており、この日の会合では、中村佳代子委員が「事業者のデータは信頼に足りるものではない」と批判。田中俊一委員長も「事業者は安全確保のため積極的に努力すべきだが、なかなかそういかない。そこに課題がある」と発言した。
規制委が客観的な判断を下すには、自らが調査地点や方法なども決めた調査が不可欠だが、「人員や予算が足りず、民間企業への調査に税金を使うのかという問題も残る」(田中氏)などとして、改善は進んでいない。
(小野沢健太)
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