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環境省ホームページより
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/6979954.html
2013年03月15日10:29 とある原発の溶融貫通(メルトスルー)
“100mSvまで許容”は「緊急事態」に適用 「ICRP2007年基準」の正しい読み方
ICRPは1960年に一般公衆の許容量を年間5mSv程度とした。この基準が長く続いたが、チェルノブイリ原発事故(1986年4月)を経て、1988−90年に一般公衆の年間被曝許容量を1mSvまで下げている。この基準が現在も続いているのである。
一般公衆とは、作業者と異なり、意図せざる被曝を受ける市民のことである。作業者の場合は、報酬を得て計測しながら被曝(計画被曝)するので、一般公衆の意図せざる被曝とは区別される。一般公衆の場合、医療放射線などの計画被曝を除き、原発事故や核戦争などによる意図せざる被曝の上限を年間1mSvとする、という意味である。
原発事故による内部被曝はカウントされていない。日本では現在、意図せざる内部被曝も年間1mSvを上限として食品のセシウム137含有量を規制している。
ICRPは2007年に大きく改定した。基準を変更したのではなく、原発の重大事故や核攻撃を受けた場合の緊急事態を想定した数値を発表したのである。
「ICRP2007年勧告」は邦訳が出版されており(★注@)、図書館で閲覧が可能だ。「1990年勧告」に比べ、被曝対象者の分類などが細かくなり、事故や核戦争を想定した緊急事態時の対応が記されていることなどから、非常に分かりにくくなっている。しかも翻訳の文章が難解だ。重要なポイントだけを中央放射線審議会の中間報告から抜き書きする。これも2年前に紹介したが、もう一度簡略に書いておこう。
★注@『国際放射線防護委員会の2007年勧告』(日本アイソトープ協会訳刊、2009)
「ICRP2007年勧告」のポイント
●放射線防護の生物学的側面
・確定的影響(有害な組織反応)の誘発――吸収線量が100ミリ・グレイ(グレイはシーベルトとほぼ同じ)の線量域までは臨床的に意味のある機能障害を示すとは判断されない
・確率的影響の誘発(がんのリスク)――LNT(直線しきい値なし)モデルを維持
100mSv以下だと特定の機能障害は見られないという。累積100mSv以上の短期集中被曝で確定的影響が出るという意味だ。確定的影響とは、脱毛、白血球の減少、白内障などの明らかな病変である。
長期にわたる低線量被曝でも累積100mSv以上で影響が出る。これを確率的影響という。年間20mSvだと5年で100mSvに達することになる。年間1mSvならば100年である。1mSvの根拠は、100歳まで生きたとして年間1mSvを上限にする、ということである。実際には内部被曝、医療被曝、自然放射線などもあることに注意されたい。
100mSv以下の確率的影響は、閾値(しきいち)はないとするLNTモデルを想定している。ガンが発現するリスクは、放射線被曝ゼロから線量率に比例して直線的に上昇する考え方だ。すなわち、可能な限り被曝を避けるべき、という発想である。
●線源関連の線量拘束値と参考レベルの選択に影響を与える因子
・1mSv以下――計画被曝状況に適用され、被曝した個人に直接的な利益はないが、社会にとって利益があるかもしれない状況(計画被曝状況の公衆被曝)
わかりにくい表現だが、事故などで公衆が意図せざる被曝状況にあり、被曝を避けなければならない、しかし、年間1mSvまでなら社会活動上の利益があるので許容する、と解釈する。
・1−20mSv以下――個人が直接、利益を受ける状況に適用(計画被曝状況の職業被曝、異常に高い自然バックグラウンド放射線及び事故後の復旧段階の被曝を含む)
・20−100mSv以下――被曝低減に係る対策が崩壊している状況に適用(緊急事態における被曝低減のための対策)
「計画被曝」とは作業者のことである。したがって、この項目を公衆レベルで読むときは、太字にした「事故後の復旧段階」と「緊急事態」が適用される。
つまり、事故直後の「緊急事態」では対策が崩壊しているので、短期的に20−100mSvまで許容、「復旧段階」では一般公衆の被曝量は1−20mSvまで認める。
1mSvなんて厳しすぎる、という議論がこれからたくさん出てくるだろうが、福島県の「除染特別地域」で「20mSv/yへ抑え、長期的には1mSv/yへ」と数値目標を定めているのは、環境省が「ICRP2007年勧告」を以上のように適用しているからである。
「年間100mSvまで安全」というのは誤解で、「累積100mSv」までは確定的影響は観察されず、100mSvで発がん率が0.5%上昇する、ということである。
事故で意図せざる被曝状況にある場合、累積100mSvから割り返して、緊急事態の超短期では100mSv以下へ、復旧段階では20mSv以下へ抑えようという意図である。
20mSvだと5年で100mSvに達するので、復旧段階の期間が重要になる。そして、事故収束後は1mSvを上限とする。ちなみに、「作業者」つまり放射線作業のプロの被曝限度は年間50mSvで上限は100mSvである。
環境省はホームページで非常にていねいに除染の進捗状況などを公表しているので、ときどきチェックすることを勧めたい。
(DIAMOND online)
http://diamond.jp/articles/-/33291?page=3
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