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天 使 の 声 /大谷司完
1、信仰した以上は、素直になって吾が儘を致さぬように慎んで修行を励むのが、何より
結構な事となって行くのである。−自分の吾が儘や勝手から、今迄より悪くなると言うよ
うな事になっては可哀想で見て居れんので、何事も素直に神の申す通りに致すのが一番の
徳人であると御注意下されているのである。(P110)
2、賢者は常に力量を隠す事に努力しているものである(慎むべきは、自己に授けられた
霊力の乱用である)。(P113)
3、忍耐の二字こそは、人格完成の基礎である事を知らねばならぬのである。(P218)
4、この御恩返しの為に働く事を、社会奉仕と名附けられて居るのであるが、これを信仰
的に言うならば、報恩の為の功徳を積むことになるのであるから、此の功徳即ち社会奉仕
は、なすことの性質の如何に拘わらず、社会全体の進歩と幸福に属する最良の結果を必ず
もたらし来るものである。(P296)
5、口数多く語らぬ方が、その人の思慮に深みがあり、且つわざわいを造らめと言う、良
き結果を来すものである。(P318)
6、普通一般の祖霊は、現世の人特に子孫の内的支配を受ける事が、多いのであるから、
供養に依る霊祭又は命日などにお供えする供物等を、喜んで受けて居られるが、この祖霊
のよろこびは愛の流れとなって子孫に循環交流し、家庭の和合ともなれば、又その家の繁
栄をも、もたらして居るのである。−祖霊と子孫との仲は、事の善悪に拘らず見えざる鎖
に依ってつながり、常に一貫しているのである。−子孫が神を斎(いつ)き祀り、道の大
本を悟りて、生前に神の導きを知らずに、帰幽せし祖霊達と雖も、神徳に浴せしめられて
自ずと光を求むる様になり、遂には天界に登る事を得るので、安心することとなり、あえ
て現世の子孫に対して何等の要求も致さなくなるものである。−霊界と現世、祖霊と子孫
との関係は丁度合せ鏡の如きものと、思えば良いのである。(P303 〜4)
7、吾等の住む現世なる処は、其の人が心掛け一つにて、死後は言うに及ばず己が生涯を
良くも悪くもする事の出来る、人間完成の道場であると、霊界の実相にふれたる結果、深
く思わされたのであった。(P506)
8、音楽は宗教と同様の、働きをするものであるから、人間の内面的向上と優美なる情操
の陶冶を目的として、人生に授けられたるものである。音楽を愛好する者は、たとえ宗教
上の真理を学び、信仰する機会を逸する事があっても、正しくそれに精心をしているなら
ば其の精神的悦楽に基づいて、生き乍ら己が精霊は、天界に籍を置かしめられて居るもの
であること。(P534 〜5)
9、そもそも人間として、この世に生まれて来る根本的な理由は、其の者の霊魂の中に保
有する、智情意の働きの可不足を平衡ならしめんが為なのであり、又其の中で、特に未熟
なる部分を分霊として現世に生まれしめ、一個の人格を与えて実地に当たらしめる事に依
って、其の身魂の未熟な部分を、働きに依って完成せしめんが為に外ならんのである。
一霊四魂説−に依れば、人間の基本的霊性を直霊魂(なおみたま)と称してあり、その
霊魂の働く面を分類して四面となし−人間の智に属する働きを、奇魂(くしみたま)と称
し、勇の働きを荒魂(あらみたま)、愛の働きを幸魂(さちみたま)、親しみに属する働
きを和魂(にぎみたま)と称して−ある。−この理に依れば、男性となって生まれて来た
る時には、霊魂上の未発達の面は主として、荒魂と奇魂、即ち勇気と才能を、充分に修練
し補填せしめんが為なのである。又女性は主として和魂と幸魂、即ち一切を育てる愛情の
働きを、内的に旺盛ならしめて、己が魂の働きを補填せしめんが為なのである。然して男
女両性共に、其より四魂の働きはあれども、只主として働く面に自ずから差違を生じて来
るに過ぎんのである。(P446 〜8)
10、「如何なる場合に際しても、忍耐が出来るようになって来たのは大変宜しい。人間
は何事か仕事を通じて、人生の修業をさせられて居る事を忘れてはならぬ。物事の都合よ
く運ばぬのは、未だその者の身魂に『めぐり』が附いて居るからであって、神の教えを守
り努力精心をして居るならば、いつとはなしにお智慧を頂いて『めぐり』は消え去るもの
である。
然し−物事に対して融通のきかぬ固苦しい人間になる事ではないのであるから、正しい
事や自分の好きなことはやって見るのが宜しい。それがたとえ失敗致しても正しい事であ
れば、身魂に徳を積んだことともなり、又体験ともなるから、かえって結構なのである。
それを良く見せんが為の心にも無き言動は、神の道にある者は特に慎まねばならぬ」。
11、又世に処するには批細な事柄については、その事の善し悪しに余り固執することな
く、常に世間を超越したる心構えとなって、つとめて優美なる心境を作って置く事が、何
よりも大事であり−又たとえ善き事であっても、余りそれに執着したり囚われて居る時は、
おのずと悩みの種を蒔くこととなるので、これが原因となって血液にも変化を及ぼし、身
魂を曇らす事となるので遂には、病魔と迄なるに至ものである。麗しき人間死後の世界の
建設は、主として生存中に物事に対して余り屈託をせずに、世の中を楽しく過ごした人々
の心の所産であって、霊魂の安住所なる第二の故郷は、決して他人の造った天国に昇らさ
れるのではない事を知らねばならぬのである。(P661 〜2)
12、今一歩を進めて互いに、相手の為に善意を用いる事が出来るようにする必要があり、
然も其の事がお互いの幸福を招来する、基礎である事を覚らされたのであった。日常にお
ける己が想念の汚濁が、人間の運命迄を左右するものである事を、深く反省して、善意の
生涯を志す事に、眼をくばらねばならぬのである。−余りむずかしい事をいたすのではな
く、益なき事に心をわずらわさず、日々の仕事にのみ心を集中するだけの事であるが、こ
の程度の簡単な事であっても、これを継続するならば、其の目的を達成することが出来る
のである。(P681 〜2)
13、霊性の低い者は、得てして高い処から、人を見下す癖があり、何につけても威張り
たがるものであるが、そのような浅はかな精神では、反って自分を突き落として居るよう
なものであって−うまく−行かぬものである。
又霊性が高く優美な人程、常に身を慎しみ、己を知って下座の行を励み、蔭にて人の嫌
がることをもいたして、陰徳を積んでいるものである。神の御道の栄えて行くのは、霊性
の高い方々の、口では話せぬ蔭の御苦労があればこそ、開けて行くものである。(P805)
〔ことしろ社 S34年〕
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