http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/635.html
Tweet |
〔”縁切り死” いったい何が?〜取材1年警視庁捜査〕9月18日、Nクロ現
(一部カット)
ある男性の消息の聞き込みをする警察官。東京と都内で遺体で見つかった男性だが、身元が一月経っても分からない。
「私を知っている人はいませんか」との警察のビラ。今、身元が分かるものを持たずに自殺する人が後を断たない。
今年2月には、自殺と見られる中年女性の遺体が、住宅街を流れる川の岩場で発見された。所持品はカンカチだけだった。
都内のある団地では高齢の女性が飛び降りて自殺。遺書はなく、どこの誰とも分からなかった。
遺体の身元を特定する警視庁の専門チームの現場に初めて密着した。身元不明遺体は増え続け、その数は全国でおよそ2万体に上っている。
担当者「持ち物は非常に少ないというより、ない」
遺族を取材すると、思わぬことが分かってきた。その多くは、一緒に暮らす家族や親しい人にも周囲にも何も告げず、突然姿を消していた。そして何のゆかりもない場所で、一切の縁を切るように亡くなっていた。
遺族の一人「何を考えて死んだんやろ」「何で こげなところなの…」
世の中に痕跡を残さないように命を断つ縁切り死。私たちの身に何が起きているのだろうか。
〔”縁切り死” なぜ愛する人が突然…〕
警視庁が今年9月、臨時に設置した東京、巣鴨の身元不明相談所。テーブルの上には寄せられた情報や人相等のパネルが乗せられている(冒頭写真)。家族や知り合いに見てもらって、身元の特定につなげようとしている。亡くなったときの衣服やサングラスのみが掲示されている例は身元の特定が難しい(写真→http://img.asyura2.com/x0/d9/1584.jpg)
警視庁ではこうした相談所を60年に亘って手がけてきたが、中でも最近相次いでいるのが、身元が分かるものを全く身に着けずに自殺する人々である。ある日、突然姿を消して、縁を切るように亡くなるのは何故なのか、その実態に迫った。
取材班は1年前、ある身元不明相談室で、ある身元不明の女性について調べていた。年齢は50〜70代。都内の駅で電車に飛び込み亡くなった。所持品はなし。遺体の損傷が激しく、手掛かりをつかむため専門の調査官が似顔絵を作り、全国から寄せられた8万件の行方不明者のデータと照合した。すると2か月後、ようやく顔の特徴が似ている一人の女性が浮かび上がってきた。
北関東で行方不明届が出されていた70歳の女性であった。歯型の鑑定でも同一人物の可能性が高いことが分かった。
捜査員は女性がかつて住んでいた町に向かった。行方不明届を出していた自由業の60歳の男性は、女性と30年余り一緒に暮らしてきた。2か月前、女性が突然いなくなり探し続けてきた。捜査員は遺体の写真を見せることにした。男性は、間違いないと認めた。女性はいなくなったその日に飛び込んだ。女性がなぜ東京に行ったのか、男性には心当たりはなかった。
〔”縁切り死”一体何が?〜30年連れ添ったのに突然…〕
男性「何も言わないで ぽっといなくなって さみしかったですよ。もっと何か言ってくれればね」、と涙声。
姿を消す前、女性はどんな様子だったのか。男性が見せてくれたのは、亡くなる1週間前に紅葉をバックにした橋の上で撮影した写真。赤い上衣をはおりピースサインをする女性は(笑顔だという)、普段と変わった様子は全くなかった。
女性がいなくなったのは、2日前一緒に買い物をしている時だった。トイレに行くと言って男性に財布を預けたまま戻ってこなかった。
男性「携帯は持ってたけど、1時間くらいでつながらなくなっちゃった。本当に着の身着のままですから何も持たない状態なんで、すぐ自殺するなんてことは考えられなかった」
かつて二人は飲食店を営んでいた。バブル景気を追い風に連日多くの客でにぎわった。その後、景気の悪化とともに閉店。職を転々とする男性を女性は支え続けてきた。
自宅には一枚のメモが残されていた。「探さなくていい。お金がかかるから!」という書き出しのメモ。周囲の人には病気で入院していることにしてほしい、と綴られていた。しかし、自殺の理由は一切書かれていなかった。長年連れ添ったのに何故、今も答えは見つかっていない。
男性「分かんない。本人から聞かないとわかんない。何で言えなかったの、打ち明けてくれなかったの、それが今 本当の気持ちだね」
今相次ぐ縁切り死。なぜ大切な人の前から突然姿を消し、ゆかりのない場所で命を断つのか。
この日、捜査員は九州をを訪れた。都内のビルで飛び降りした60代と見られる男性が、九州で行方不明届が出されている人物と同一の可能性が浮かび上がった。
行方不明届を出した女性は男性と10年余り連れ添ってきた。遺体の胸にはガン治療の器具が埋め込まれていた。またTシャツも行方不明届の写真と一致した。
女性「飛び降りたんですか。自殺する勇気はないって言ってた。病院の先生にも言っていた」
親族の話しでは、高卒後地元の会社に就職。結婚し3人の女の子供がいて幸せそうだった。だが、40代で離婚、職も辞めその後は職を転々としていた。
10年連れ添った女性は、遺品を探しだし、ある薬袋を取り出し「通院だけで一日5万円かかるって…」
男性は去年、すい臓がんと診断され治療費を気にかけていたという。男性の薬手帳に思わぬものが見つかった。表紙に「ビルマ、満州、関門トンネルに死の前に行きたい」とメモ。旅行が好きだった男性は死を意識して行きたい場所を記していた。
女性「死ぬ前に行きたい。こういうこと書かれてとったら、えーっと思うやん。涙ぽろぽろ 何を考えて死んだんやろ。(死ぬなんて)思ってもおらんやった」
癌の診断から半年余り、男性は遠く離れた東京で自ら命を断った。遺体が見つかったのは東京タワーの見える路地裏で、いつものTシャツを着ていた。ポケットの中には20万円ほどの現金とメモが残されていた。「このお金でひっそり火葬してください」とあった。
女性「東京やったら(身元)分からんやん。それはいちばんに私思った。東京で死んだってことは…無縁仏になる。本当に私のこと思うならさ、ひと言でもいい、ごめんねって それだけでも良かったたい」
警視庁・鑑識課長「都内で毎年100体前後増加している」
自殺に関する調査を続けてきた清水康之さん(NPO法人代表)は、縁切り自殺の背景には”周囲に迷惑をかけたくない”という思いがあるのではないかと、推測している。
清水「残される人たちのことをまったく考えないのであれば、わざわざ追跡できないような形で亡くなる自殺するということはないんじゃないか。負担をかけるぐらいであれば自らその状況を回避するために自ら死にたい、でも自殺で亡くなると知られると、それはそれで残された人たちに過度な負担をかけかねないという中で、知られずにそっと姿を消すということを考えた可能性はある」
香山リカ(精神科医)は、縁切り死は”自らの価値を見出しにくい社会の断面”を映し出しているのではないかと指摘。
平野啓一郎(作家)は、縁切り死には”きれいな想い出だけを残して消えたい”という願いがあるのではないかと話す。
平野「その人がどんなに多様で複雑な人生を生きてきたとしても、自殺をしてしまうと自殺をした人っていうふうに見られてしまう。で、それまでの彼の言動とかがすべて自殺の予兆のように結びつけられて、アイデンティティを整理されてしまうところがあって、そのときにやはり最後は自殺した人として記憶に残るのではなくて、良かった関係のままその人の心の中に残りたいっていう気持ちもあるんじゃないか」
縁切り死が相次ぐ社会の中で私たちはどういきていけばよいのだろうか。
平野「本当の人間関係っていうのは何もかも打ち明けて、お互いに理解してという理想を抱いてしまっているためにすごくプレッシャーになっている。しかし、言いたくないことは言わないとか、好きだからこそ黙ったままでいるとか、非常に複雑な感情があるのが本当の人間関係だと思う。だから、そういう人間の複雑さに対して繊細な感受性を持って、優しく見守るっていうような態度をもっと身につけるべきじゃないか」
身元不明の遺体はいまも増え続けている。(以上)
(仁王像)
重苦しく、かつ衝撃的な番組であった。真相知りたがり人の筆者は避けて通れない性分。
”縁切り自殺”としか言いようのない社会現象がなぜ今盛んなのか。社会心理学的な一層の解明が待たれる。
現時点で最も真相らしいのは、平野「自殺をしてしまうと自殺をした人っていうふうに見られてしまう」ということではなか。と言っても、現世はうまく行方を眩ましても天はお見通しだろ。普通はそう考えるはずで、得心がいく訳ではない。
・“縁切り死” なぜ愛する人が突然…/Nクロ現
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4183/
- Nスペ「風の電話」を思い出して想うこと〜”縁切り死”とは無縁だろうこと 仁王像 2018/11/11 15:46:38
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。