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トルコ周辺事情ーどこをどう見ればトルコにとってロシアがシリアのクルドに絡むことが好ましいなんて言えるのか/無名氏
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/416.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 10 月 13 日 06:12:54: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

(回答先: イスラム国の誕生、諸氏のコメント集/2014年 投稿者 仁王像 日時 2016 年 10 月 12 日 20:09:41)

http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/823.html#c1
1. 2015年11月29日 23:30:29 : 8ZbuYP4pTk : v0&d1q9hYdU
>イランやサウジアラビアなどは、宗教国家ないし神権統治国家と呼べるのではないかとの意見もあろうが、共同体主義を基礎とするイスラムの本義に従えば、近代主義国家にイスラム的ベールをかぶせたところでそれらの国はまがい物でしかない。
(引用、ここまで)

 というより、イランやサウジアラビアなどの政治的支配層は、イスラムを統治の安定や支配力強化の手段として利用しているだけである。
 アラブ世界の政治的支配層は、欧米と結びつくことで、支配の安定した継続と経済的利益の獲得が保証されると考えている反イスラムの不信心者たちである。

 サウジはともかく、イランはイラン革命を経験しており選挙制度も議会もあるので別物でしょうね。
というか、サウジの場合は自らへの不満を外に向けさせるガス抜き機能として、アラブの世俗国家に振り向けているだけで、国家という意識は薄いと思うね。
 メッカの太守という意識のほうが今もって強いはず。

 それとイスラム教を額面通りにとらないほうがいい、とくに中東アラブは。
 大枠でスンニ派とシーア派の対立という面ばかりが強調され、そういう面は確かにあるけれども双方ともに教義や解釈がてんでばらばらの独自の宗派がいくつもあって、同様にキリスト教徒もユダヤ教徒もゾロアスター系の宗派もあるというカオスがあそこにはある。

 昔、アラブはひとつなんてうたい文句があったけれども、現実はばらばらでだからイスラムの屋根、つまりはイスラム共同体を標榜したジハードが出てきたけれども、やはりイスラムもばらばらだった・・・というのが中東アラブの現実なので、原理的な動きというのは基に帰るという意味ではムスリムのアイデンティティーをくすぐる言葉を旗に立てればそれなりに共感する者は出てくるけどさ、たとえばカリフとかさ。
 でもそれが中東アラブで全体性を獲得できないのはなぜなのかってことを考えるのに適切なのは、共感者は欧州の移民に多い、あるいは高学歴の欧米留学組に多いということだと思う。
 エジプトでムスリム同胞団の思想的支柱と言われ、今なお原理主義に駆り立てるムスリムが必読しているサイイド・クトゥブもアメリカ留学組だしね。

 辿ればアラブの民族主義革命を訴え、クーデターを利用し政権を握った独裁者は宗主国で留学したか、宗主国の名残りをもつ軍隊で勉強した者たちが多い。

 どちらも近代主義といかに向き合うかという点においては、共通しているように思える。とくに西欧とは。
となると我が国ともけして無縁ではないということは言える。


http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/484.html#c2
2. 2015年11月29日 22:50:30 : 8ZbuYP4pTk : v0&d1q9hYdU
>トルコは、そういう米国の働きかけがイラクとシリアのクルド人勢力の連合につながることを危惧している。
 そのような国境をまたいだ連合の成立は、トルコ国内のクルド人を「クルド人国家」独立に向けて刺激するからである。
 逆に、ロシアのシリアクルド組織に対する厚遇は、トルコにとって好ましい状況である。
 ロシアは“シリアの再統一”を要望している。その統一にはクルド人も含まれている。
 それによって、シリアのクルド組織がシリア内に封じ込められ、クルド独立の動きにタガがはまることは、トルコにとって安堵が得られる良き事態だからである。
(貼り付けここまで。↑)

 なんでしょうか?この酷い見解は。
 シリアのクルド人組織PYDはイラクのクルド民主党とも連携しているんだよ。
トルコのクルド労働党PKKは政治的には社会主義で、イラクのクルド民主党とは犬猿の仲だった。だからトルコ政府はイラクのクルド民主党とは、PKKを敵視する利害共通の味方として通じてきた。

 サダム・フセイン政権のイラクが湾岸戦争でイラク北部を飛行禁止空域と英米仏に勝手に決められてから、北部クルド人地域はトルコが媒介し、欧米がキルクークの油田利権に絡み、クルド民主党の軍事部門にはイスラエル軍がが就いたことは公然の秘密である。
 まさにトルコとイラクのクルド民主党とは蜜月を築き、それはサダム政権が倒れイラクにシーア派政権ができ、トルコがエルドアン政権になっても同じだったが、ISが出現したあたりから風向きが変わり、ISがイラク北部を支配しクルド人を攻撃し、同じくトルコ国境のシリア北部のクルド人を攻撃するようになると、政治的な対立を横に置いてクルド人そのものの危機としてイラク、トルコ、シリアのクルド・ナショナリズムの連携が成されるに至る。

 だから、シリアにおけるクルド人の動きはクルド・ナショナリズムに位置づけられるのであってPKKやクルド民主党の枠を超えたものであり、これまでのトルコ政府の敵の敵は味方戦術の崩壊を意味するものである。
 つまり、ロシアはシリア政府の統治に際し、クルド人自治をトルコ、シリア、イラクの国境を超えた広域性を保障しているということだ。
 おそらくアサドもそれは呑んでいると思われる。

 シリアの支配政党バース党は社会主義を標榜する政党だし、シリアのクルド人組織PYDもトルコのPKKも同じだ。
イラクだけは異なるけれども、シリアのYPDを米軍が支援してきたように、イラクのクルド民主党も長らく米軍が支援してきただけに、米露双方ともども利害は一致する。
 このような動きをトルコ政府、軍ともに不愉快このうえないと思わないはずがないだろう。
 どこをどう見ればトルコにとってロシアがシリアのクルドに絡むことが好ましいなんて言えるのか。
 

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