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(回答先: 世俗的な価値の起源〜人権も主権や国家もみな、神のアナロジーなんです/橋爪大三郎 投稿者 仁王像 日時 2016 年 3 月 05 日 19:18:17)
第3章 三菱・三井を越える超巨大財閥
≪天皇という“操り人形”≫
ヨーロッパ諸国では、近代憲法を導入したのはキリスト教というバックボーンがあってのことだった。キリスト教の神の前では。万人が平等となる。民主制の前提条件である。しかし、日本ではそれがない。それではキリスト教に代わり得るものを創ってしまえばいいーそれが近代天皇制である。小室は『天皇恐るべし』のなかで次のように述べる。
「憲法政治を成功させるためには機軸が必要である。ヨーロッパ諸国は、キリスト教をもって機軸とした。しかし、日本には、ヨーロッパにおけるキリスト教に該当する宗教はない。しかたがないので、天皇をもってキリスト教に替えて、憲法政治の基軸にしようというのである(147p)」。
近代における天皇は、社会学的には、キリスト教の神と同じ構造を持っていた。天皇という存在によって、日本国民は“神である天皇の前では皆平等”となった。
近世までは、人間は平等ではない。士農工商の身分制度が存在し、農民として生まれた者は、(能力によらず)死ぬまで農民のままであり、こうした状況では近代化はできなかった。日本は、小室が指摘する“キリスト教ならぬ天皇教”によって、平等思想が生まれ、その後の近代化を達成した。
≪天皇を中心とする皇室が支配する“財閥”≫
『大元帥・昭和天皇』の著者、山田朗が指摘しているが、2.26事件に対する天皇の反応は、まずもって“経済危機の回避”だった。政権や、人民の安全などではなく、経済パニックを憂慮したのだ(『昭和天皇独白録』にそのことが書いてある)。
天皇家が金融を主とする財閥の性格を有していたことを考慮に入れるなら、当然の反応だろう。明治のころはまさしく「傀儡」でしかなかった天皇が、いつの間にか実質的な権力をもつようになった…ことが、天皇の政治権力を考える上では重要だ。
「法人」として永続的に財産を蓄積した天皇だが、財産の蓄積だけで権力が増大するわけではない。ある時点で、蓄積された財産の「量」が、政治権力という「質」に転化したのである。蓄積された富によって、巨大な官僚機構のトップに君臨した天皇は、政治機構のトップに君臨することになった。これを「天皇財閥」と呼ぶことにする。
日本最大の財閥である三菱、三井をさらに数倍上回る規模の財閥、それが「天皇を中心とする皇室が支配する財閥」−「天皇財閥」である。
戦前の天皇は、立憲君主であるとともに戦争時の大元帥であり、さらに財閥総帥だったことになる(意外な事実かも)。
明治から昭和にいたる日本の近代史は、要するに天皇財閥の興亡のことである。日本の対外侵略とは、天皇財閥の対外経営戦略であり、敗戦はその破壊的な終わりだったのだ。
≪戦前の日本は「天皇株式会社」によって支配されていた≫
【出典】「天皇家の経済学」吉田祐二/洋泉社‘16年
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