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アサド大統領はイスラム国と真面目に戦ってこなかった〜イスラム過激派との戦争は、手加減と手抜きの戦争だった/高橋和夫
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/305.html
投稿者 仁王像 日時 2015 年 10 月 26 日 20:06:37: jdZgmZ21Prm8E
 


第一章 イスラム国、急拡大の背景
≪結果的に浮上してきたイスラム国≫
 アサド大統領は、まず自由シリア軍を潰す戦略に出ました。すると、自由シリア軍と交戦していたイスラム系勢力の力が相対的に増して、今度はアサド勢力vsイスラム系勢力という色彩が濃くなります。
 反政府系イスラム勢力は政治信条などが過激ですから、アサド大統領としては、「テロとの戦い」という大義を持ち出し、西側諸国に対し、「俺とテロリストのどっちを支援するんだ」という選択を迫りやすくなりました。
 その結果、シリアではイスラム過激派が大量に生産され、この人たちがイスラム国として、力を拡大してきたのです。

 実際、アサド大統領はイスラム国と真面目に戦ってきませんでした。
 イスラム国の主な資金源は油田と言われています。アサド大統領は空軍を持っていますから、油田を空爆すれば、イスラム国の資金は一発でショートします。しかし、アサド勢力による油田への空爆は行われませんでした。イスラム国が存続してくれた方が都合がいいからです。
 欧米諸国も、自国のイスラム過激派がシリアに流入しているという事実に無頓着でした。アサド政権と戦うのであれば、それを良しとしていたからです。シリアと長い国境を接するトルコも、国境を管理しようとはしませんでした。
 ですから、イスラム国はアサド勢力と戦って勢力を伸ばしたわけではありません。アサド支持派や国際社会から放っておかれた間に、力をつけたといった方が適切です。アサドのイスラム過激派との戦争は、手加減と手抜きの戦争だったわけです。
 イラクにおいてもシリアにおいても、敵対勢力が失策や思惑によって沈み込み、結果的に浮上してきたのがイスラム国だったと言えるでしょう。

 【出典】「イスラム国の野望」高橋和夫/幻冬舎新書‘15年1月


・悪魔とも手を結ぶ、アサド政権とイスラム国の共同軍事作戦/佐々木伸
 http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/572.html
 投稿者 仁王像 日時 2015 年 10 月 19 日 20:39:32: jdZgmZ21Prm8E  

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コメント
 
1. 2015年10月26日 22:03:20 : dQfLQ1rskE
>アサド大統領は、まず自由シリア軍を潰す戦略に出ました。

ちょっと違うね。
時系列で言うと、最初はシリア政府軍(政府軍の大多数はアサド家の信仰するアラウィー派)のスン二派の軍人たちが脱走してトルコに逃れ、トルコの支援を受けて自由シリア軍が結成され、アサド政権打倒を目指して立ち上がった。
そうこうしているうちに後に結成されるアル・ヌスラ戦線の主要メンバーが潜伏していたイラクから故郷のシリアに入り込んでくる。
そして自由シリア軍に合流し、そこからイスラム原理主義者の武装組織を独自にオルグしてアル・ヌスラ戦線を結成したといわれる。
イスラム国はアル・ヌスラの分家という形で登場する。

だからアサド政権は最初は自由シリア軍と戦っていたというほうが正しい。

それからアサド政権は真面目にイスラム国と戦っていなかったと言うのだが、イスラム国が名前も存在も国際的に知られるのは主にイラク中北部のシーア派支配に不満を持つスンニ派を取り込んでイラク・レバントのイスラム国と名乗ってからで、それ以前はシリア国内では自由シリア軍を押しのけてアル・ヌスラが勢力を持っており、イスラム国は名も無いまだまだポット出に過ぎなかった。
イスラム国がシリア国内で知られはじめるのは、敵に対し凄惨な殺戮をやるアル・ヌスラから三下り半を突きつけられるほどに残忍な殺し方をする集団がいるという噂が経ってから後である。

自由シリア軍は最初こそ穏健的な考えを持つ軍人たちの反アサド勢力との触れ込みだったが、シリア国内のイスラム過激派を引き入れ力を増そうとしたとき、まさに軒を貸して母屋を取られてしまい、以降自由シリア軍はアル・ヌスラともイスラム国とも対立する。
2013年1月頃まではアサド政権の主敵は自由シリア軍だったが、2月に入るとヌスラが割り込んでくる回数が増えてくる。
シリア情勢に関してはこのウェブサイト(13年2月を以って更新が止まっている)が詳細である。


シリア情勢:アレッポでゲリラが成果、ロシアが動揺、シリアは動じず

http://hibikan.at.webry.info/201302/article_8.html

高橋和夫氏はクウェートに滞在したイスラム研究に努めた経験を持つイスラム研究者であるが、情勢読みに関してはあまり正確ではないところがあるように思う。


2. 仁王像 2015年10月26日 22:24:55 : jdZgmZ21Prm8E : LBAkutGIUg

 日本の素人・陰謀脳が見抜いている「ISが、米=イスラエルの傀儡で、時期を見てアサド政権にぶつけてくる」というのなら、国家存亡の危機にあるアサドが見抜けないはずはない。つまり高橋・佐々木らの指摘は、アサドがISと馴れ合ったような戦争をしているということであり、アサドの認識は、日本の素人陰謀脳とは全く違った認識をしているということだ。ここがマクロな政治現象として極めて肝心なところ。

 米=イスラエルによるシリア内の5千人規模の反政府兵員の育成などという回りくどい策をとらず、コントロール下にあるはずのISを差し向ければよい。
 陰謀脳のはしくれにあるなら、何か唄えるだろう。陰謀脳の誰かが一くさり唄ったのを聞いたことがない。

http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/572.html#c10
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/572.html#c17


3. 2015年10月27日 00:06:14 : Ni8bGwNdIg
ISについてだが、俺は当初はイラクにおいてイラン寄りのシーア派政権に冷遇され、旧サダム体制下の軍人やバアス党員がイスラム原理主義を模して組織したイラクレジスタンスの巻き返しかと思っていた。
なので密かに期待もした。

そのうち、ISILの黒い旗に見覚えがあるような・・・?と思い立って考えるとイラクで悪名を馳せたザルカーウィーが率いていたタウヒードとジハード集団とISILの旗が非常によく似ていると気づいた。

http://www.asahi.com/special/jieitai/TKY200410270086.html香田青年を処刑したザルカーウィーの武装グループの旗。

http://www.xinhuaxia.jp/social/44512ホワイトハウスを占拠せよと宣言したイスラム国司令官の後ろに映る旗

これがあって以後俺はイスラム国の変遷がどうであれ、基本的にこの集団はスンニ派によくいるサラフィー及びワハーブのイスラム法根本(いわゆる原理)主義集団であり、アメリカやイスラエルが作ったというよりお前ら好きなように暴れさせてやるから行って来い的な、サウジやカタール、トルコの諜報機関を通じて二重三重に指示や金の流れを不透明にして関与している、良く言うなら操り人形、悪く言うなら餌で釣った野良犬というようなもんだと思っている。
だから戦闘に参加している連中も幹部たちも自分たちは、アメリカやイスラエルに間接的に利用させられているなどと露ほども思ってないだろう。

なお、イスラム原理主義のアラブでの扱いについてだが、非イスラム国(世俗主義国家)においては危険な思想集団テロリストゆえに弾圧の対象。

イスラム国家では目の上のこぶ、いつ自分たちに牙を剥いてくるか分らない厄介者ゆえに、アラブの非イスラム国に輸出して忌々しい世俗政権及びシーア派(アラブ民族主義および少数宗派シーア派政権は基本的に反米にして非イスラム)が倒れればいいと一石二鳥に使う手駒。
ゆえにアメリカ、イスラエルと親和性があるのはイスラム国家(アラブのイスラム国家は基本親米路線)の戦略ということになる。



4. 仁王像 2015年10月27日 20:08:34 : jdZgmZ21Prm8E : x4EfvVovAc
 (2の続き)

 陰謀脳の得意技というのは、見事なまでにツボを外した議論である。その記事の肝心なところをスポイルし、周辺の重箱の隅をほじくってそれを否定することで記事全体を漠然と葬った気分になっている。貧脳=ツボ外し脳である。中にはリクツそっちのけでただ感情に走るのもある。

 陰謀脳=貧脳=ツボ外し脳=裏返った脳=感情脳。


5. 2015年11月07日 01:18:23 : Xj6jeFF6Xo
シリアについてはイラク・リビアの政権を短期間で倒した欧米が手を抜いて難民づくりに励んでいるように見えなくもない
ところで陰謀論がもし外れている部分があるにしても、その全てを否定する事は出来ないのではないか?
これはシリアではなくリビアの話だが、反政府勢力は王党派・民主派・イスラム派に分かれてまとまりがないと言われていたのに内戦が終結していない段階で中央銀行設立がされた
カダフィはアフリカ全体を独自の経済圏にしようとしていた人物であるから、陰謀論的な見方をされても仕方ないのではないか?
そもそもイスラム国が全世界のイスラム化を目指しているのであれば、何故イラクやシリアみたいなローカルな国の住民ばかり攻撃しているのか?
本気でそういう考えならばもっと電撃的に米軍が駐留するサウジアラビアやクウェート、イスラエル、ヨルダンに攻撃してはどうなのか?
ドバイで石油メジャーの幹部が危険にさらされたという話も聞かないし、そんな所で油を売っている場合なのか?
イラクやシリアの人間を何人虐殺した所で世界支配層は痛くもかゆくもない訳でしょう?

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