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指宿市及び鹿児島県での地熱発電コストの公開
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/289.html
投稿者 taked4700 日時 2015 年 10 月 08 日 02:54:00: 9XFNe/BiX575U
 

指宿市及び鹿児島県での地熱発電コストの公開
 「地熱発電コストの後悔」と最初に漢字変換されました。面白いなと思いました。指宿市及び鹿児島県に地熱発電コストについて、初期費用とか維持管理費などが一般的にどのぐらいになるのか、九州電力などに聞いて、サイト上で一般に公開することを求める陳情をしているのですが、指宿市は既に本会議で不採択が決定。鹿児島県も委員会で不採択が決定だそうです。

 指宿市は温泉条例をこの春に制定しました。しかし、どうも??な内容です。パブリックコメントの募集(http://www.city.ibusuki.lg.jp/modules/xfsection/cache/uploaded/public-comment/onsensigen-hogo-2014.12.26.pdf)が行われたため、応募をしましたが、ほとんどこちらの意見は反映されていません。

 以下に、1.パブコメ、2.指宿市への陳情、3.鹿児島県への陳情、4.指宿市の温泉条例へのリンク、5.指宿市の温泉条例施行規則へのリンク、6.指宿市の温泉条例パブリックコメントへの考え方へのリンクを載せます。1.は相当に長い文書ですから、面倒な場合は2.からお読みください。なお、1.と2.の境目をはっきりさせるために************を入れます。また、1.を読まれるときは、温泉条例の素案を先に読まれることをお勧めします。素案はパブリックコメントの募集のページ(http://www.city.ibusuki.lg.jp/modules/xfsection/cache/uploaded/public-comment/onsensigen-hogo-2014.12.26.pdf)にあります。

 なお、後ほど、このパブリックコメントの1週間ほど後に出した陳情で、指宿市が地熱発電をやることを求めるものもブログに載せたいと思います。あと、温泉条例へのパブコメは僕が提出したものだけであったということです。

1.指宿市の温泉条例へのパブリックコメント:
指宿市温泉資源の保護及び利用に関する条例の素案についてのパブリックコメント

1.「この温泉資源は,市及び市民の共有資源であるという認識の下,市内における温泉資源を保護するとともに,温泉資源の将来にわたる持続可能な活用と地域の産業振興及び公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。」について:

 意味があいまいです。

 資源の保護という場合、二つの意味があり得るように思います。例えば観光資源の保護という場合は、たいてい自然景観の保全を意味していて、自然景観自体は所有者が居ないか、国や不特定多数の所有物であるわけです。今回の条例案における「温泉資源」という場合、市内に多くの私営銭湯が存在し、更に配湯組合が組織されていて、毎月数千円の料金でかなり多くの家庭へ温泉を供給しています。つまり、指宿市における温泉資源は私有資源として位置付けられているわけです。更に事態を複雑化させているのは、温泉掘削に既存の源泉から半径何メートル以内は許可しないという規制があることから、温泉権は純粋な私有物ではなく、入会権と同じように、どちらかというと地域そのものに属している権利であるという事実です。

 そして、だからこそ、条例案においても「地域の産業振興及び公共の福祉の増進に寄与する」という文言が記されているのでしょう。

 以上のことを考慮すると、この条例案は既存の私有財産としての温泉権と今後開発の可能性のある地熱発電事業との調整において、「地域の産業振興及び公共の福祉の増進に寄与する」ための方策を定めるという意味になるはずです。しかし、残念ながら、今回の案には既存温泉権を守るという意味合いが強く出ているように思われます。このことの根拠については、具体的にそれぞれの条例文についてのコメントで述べますが、その典型例として、国民宿舎かいもん荘跡地開発の募集において、地熱利用が実質禁止されていて、温泉旅館業での再利用が望ましいとされていることがあります。温泉利用の旅館業がうまく行かなかったからこそ国民宿舎としての存続が出来なかったことを考えると、再度そういった形での利用を求めることが果たして「地域の産業振興及び公共の福祉の増進に寄与する」ことになっているかは疑問を感じる方が多くいるはずです。
 よって、「この温泉資源は,市及び市民の共有資源であるという認識の下,既存の温泉権と今後の地熱開発のバランスを取り、地域の産業振興及び公共の福祉の増進に寄与することを目的とします。」というような文言に改める方がより本来の趣旨に沿ったものになると思います。

2.「温泉利用事業者」について:

 「地熱利用事業者」にするべきです。

 最近よく言われる温泉発電では、既にある温泉からのお湯を使って発電を行います。この場合にどうするかが不明確になります。更に、バイナリー発電において、今後は、いわゆる温泉を地上にくみ出すことをせず、地下で熱源に対してアンモニア水のような沸点の低い液体へ熱交換をし、その蒸気をくみ上げて発電に使う形も出てくるはずです。また、高温岩体発電は地上から水を地下に注入して高温蒸気を発生させ、発電に使用します。更に、既に欧米においては広く使われている技術であるヒートポンプがあります。温泉と地熱はかなり実態的に同一と言ってもいい資源であり、地熱利用事業者とする方が実態に合っていると思います。

 「温泉利用事業者」が「地熱発電事業者」と別扱いになっているのは、既存の温泉利用義業者がほとんど個人事業者であり、また個々を取ると環境への影響があまりないと思われるためでしょう。しかし、現状の市内の温泉の過半は非常に老朽化していて、これらの施設を日常的に利用している市民もほとんど若い人はいず、多分、60歳以上が8割以上になるのではないでしょうか。そのため、今後、より一層高齢化が進み、国や自治体の財政が悪化すれば、配湯組合を除いて事業存続が難しくなるはずです。事実、今村温泉は最近閉鎖されたようです。その意味でも温泉利用事業者と地熱発電事業者を区別するよりは地熱利用者として行政の網をかぶせ、今後衰退傾向を避けれない事業者には新規事業へ移ることを促すことが行政として出来るようにするべきです。

3.「温泉資源を保護するため,自らが所有する温泉の状況等を把握するモニタリングに努めていただきます。」について:

 当然の規定であると思いますが、モニタリングしたデータはどう扱われるのでしょうか。市へ報告義務があるとして、どのぐらいの頻度でどう言った形で報告するのでしょうか。更に、これらはどういった形で公開されるのでしょうか。指宿市のホームページで閲覧が出来るようにするべきではありませんか?

 よって、「これらのモニタリング結果は随時事業者からの報告を受け、年1回3月に指宿市のサイトで公開します」というような規定が必要だと思います。

4.「地熱発電事業者は,温泉法第3条及び第11条の規定による申請を行う90日前までに事業計画を市に提出し,あらかじめ市長の同意を得なければなりません。」について:

 必要な規定であると思われますが、市長がいつまでに同意・不同意の判断をするのかが示されていません。事業計画が提出されてから何日以内に市長が判断するというような規定が必要だと思います。更に、不同意の場合の根拠を示す必要があります。

 よって、「市長は事業計画の提出を受けた日から50日以内に判断し、その根拠を文書をもって事業者に通知する」のような追加が必要です。

5.「地熱発電事業の事業計画等を審議,調査等行うため,指宿市調和のとれた地熱活用協議会(以下「協議会」といいます。)を設置します。」について:

 「地熱活用協議会」の設置自体は非常にもっともなことですが、誰が設置するかが不明確です。市長が設置するなら、そう書く必要があります。あるいは、市議会が設置をするというのであればそういった表現にするべきです。

 更に、協議会参加者にどういった人が選ばれるのか、任期は、誰がどう言った根拠で参加者を選ぶのか、協議会参加者に報酬は出るのかなどが不明確です。同様に、協議会がいつ設置されるのかも不明確であり、だれが協議会開催の権限を持つのかも不明確です。これらの規定がなければ、単にこの規定によって恣意的な運用を許すことになります。そのため、別に「協議会設置規定」を作り、そこで上に挙げたようなことを定めるべきです。

 よって、上の規定は「地熱発電事業の事業計画等を審議,調査等行うため,市長は『指宿市調和のとれた地熱活用協議会』(以下「協議会」といいます。)を設置します。協議会の詳細については別に設置規定で定めます」のように改めるべきだと思います。なお、協議会参加者は温泉権を持った人が参加するのはもちろんですが、地熱開発側の人が参加する必要もあります。「事業計画の提出を受けた日から何日以内に設置する」とか、誰をどのような人数で選ぶか、メンバー選定に対する市議会の同意を求めること(市議会開催期間外の場合は臨時会を市長が招集)、協議会開催日時の公表や傍聴の自由、議事録のネットでの公開なども必要であり、設置規定でそれらを明確に述べる必要があると思います。

6.「ただし,既に地熱発電事業に伴う環境保全に関する協定その他市長が認めるものを市との間で締結している場合は,この限りではありません。」について:

 山川発電所があるためにこの規定が置かれていると思います。その意味で必要な規定であると思いますが、反面、例えば山川発電所が拡張して、地熱井戸を倍増するというような事態は有り得ないのでしょうか。つまり、一度認可を受けた後は、自由に事業拡張が出来てしまうことになる恐れがあると思います。

7.「なお,温泉法第3条及び第11条に定められた土地の掘削申請を行っている事業者は,この条例が施行されてから30日以内に事業計画を市に提出し,市長の同意を受けなければなりません。」について:

 意味があいまいです。

少なくとも「土地の掘削申請を行っている事業者」では、既に申請を済ませていて、実際に掘削作業をやっているのか、または申請をして許可が下りるのを待っているのか、更には、掘削も終了し温泉なり地熱発電なりの事業をしている過程にあるのか、それがはっきりしません。推測するに、2015年の1月から3月までに新たに「土地の掘削申請」をするものを対象にした規定のように読めますが、どうなのでしょうか?つまり、この条例案が施行される前に掘削申請をして規制逃れをする事業者がいる可能性があるために置かれている規定であると思われます。そうであれば、単に、例えば「2014年1月1日以降からこの条例の施行前までの間に温泉法第3条及び第11条に定められた土地の掘削申請を行った事業者は」とするべきです。既に行われている事業に対して後から規制の網をかぶせることは、それが公共の利益に合致することであれば十分に可能であり、正当性もあります。

8.条例案名称についての意見:

 この条例案では事業計画の提出義務があるのは地熱発電事業者だけです。失礼な言い方になってしまいますが、ある意味、地熱発電、又は地熱開発を嫌がっているように感じられます。地熱開発を忌避する傾向は非常に広く日本全体に見られる傾向です。2011年の暮れにNHKの番組で原発に代わるエネルギー源として太陽光とか風力を検討する番組がありましたが、専門家からは地熱発電の有望性についての言及がなく、安定した発電が出来る地熱発電をなぜ検討しないのかという声が素人の参加者から挙げられていました。「日本秘湯を守る宿」から出版された「地熱発電の隠された真実」というA4で500ページ近い大部の本があります。この本のサブタイトルは「温泉地は、地熱発電の工業廃湯を旅人に入浴提供しろというのか」というもので、地熱発電はダメだというトーンで貫かれたものです。しかし、そこに書かれていることはどれも誤解かまたは故意の捻じ曲げと思えるものです。例えば次のような記述があります。

「都市の地下水の問題を扱っている人にはもう全くの常識的になっている・・・それは深井戸から水をくみ上げれば浅井戸の水がたちまち枯れてしまう。つまり深井戸の水を過剰揚水すると、その水圧及び水量が減るので、それを補うため浅い所から深い所に地下水の大量移動がかなり急速に始まって、浅井戸の水を汲まなくてもたちまち枯れてしまうということが各所で分かっている(富士の田子の浦の製紙工場地帯)。深井戸と浅井戸とは密接にバランスをとりながら関連しているわけで・・・。地熱発電のために地下深所から熱水や蒸気を取り出すと、地下浅所の地下水が地熱にあっためられてそれは温泉水になっていたとしても、その浅い所の地下水は地熱発電のために枯れる。温泉事業者が反対したいきさつは、地質学的にみると非常に理由のあることだ。」
(*通しページ番号がふられていないため、ページ数を示すことが出来ませんが、本の中ほどの「地熱問題特別号 vol.4」の22ページの記載です。)

 これのもっとも誤解のあるところは、「過剰揚水」と地熱発電が無条件に結び付けられている点です。地熱発電をやれば必ず過剰揚水になるとされているわけですが、地熱開発をやる場合、必ず地下水利用計画のようなものを作成し、どの程度の地下水くみ上げであれば環境に悪影響を与えないかを確認します。また、「富士の田子の浦の製紙工場地帯」での地下水問題が例に挙げられていますが、工業用水の井戸の深さはせいぜい300m程度です。地熱発電は一般的に2000m程度であり、地熱発電で地下水が枯渇するということは本来有り得ないのです。更に、田子の浦の製紙工場の例を問題にするのであれば地熱発電だけではなく、一般的に工業用の地下水利用に対して温泉への影響を言わなければいけません。

 乗用車の運転が安全か危険かを考えるとき、例えば時速200キロでの運転を安全という方はまずいないでしょう。反面、時速30キロであればほぼ安全だと考えるはずです。どのようなものでも適正範囲があるわけで、地熱発電における地下水利用も適正な量を考えることで十分に温泉との共存は可能であり、それどころか、温泉と地熱発電は共存共栄の関係にこそあると思われます。

 更に、えびの高原での地熱開発反対をするうごきがあります。そのサイトが http://www.kirisima.org/ ですが、地熱開発調査をした結果、えびの高原での湯けむりが消えたことを根拠としてあげています。しかし、2014年10月頃から噴気活動の活発化が観察されています。つまり、自然の恵みである温泉はそもそも大きな自然のサイクルの中にあり、地熱を生み出している火山活動自体が盛んになったり弱まったりするのです。試掘井戸での地下水や蒸気のくみ上げ量はそんなに大きなものではないはずであり、地熱開発調査による噴気活動の停止とは関係が無かったと思えます。指宿市内においても昔は蒸気が崖から上がっていたが今はあまり出てきていないという話がありますが、同様に火山活動自体の変動による影響ではないでしょうか。指宿市内の温泉は殿様湯に象徴されるように江戸時代から続いてきたものであり、多少の火山活動の変動があってもそれを補って余りある地熱資源量が指宿市には存在すると思えます。

 以上のことから、条例名を地熱利用条例のようなものにして、温泉と地熱との共存共栄を促す内容にするべきです。

9.現状の地熱資源利用状況の調査と公表の必要性:

 2009年のNHKクローズアップ現代では4万キロワットの地熱発電所建設に150億円かかるとし、その根拠に、地熱井戸2000m級4本で25億円とか、5キロ程度の基幹送電線建設に20億円という数値が挙げられていました。専門家ではありませんが、かなり高めの見積もりだと思えます。少なくとも3万キロワットの山川発電所で100億円建設費がかかっているようには思えません。指宿市内にある山川発電所は地熱発電所としては例外的に山岳地域ではなく、平地の市街地に比較的近い場所に立地しています。つまり、指宿市は、一般的な地熱発電所建設にかかる費用よりもずっと安価に建設が出来る環境であるはずなのです。そのことを実証するために、九州電力に要請をして、山川発電所建設にかかった経費をある程度の内訳と共に開示するようにするべきです。また、現状での発電コストがどの程度で、どのぐらいの利益が出ているかを公表して行くべきだと思います。なお、自分としては、山川発電所の規模で指宿市内であれば、30から40億円以下で十分に地熱発電所の建設が出来ると考えています。

 市内の温泉利用についても、地区別の井戸の本数やくみ上げ水量の概算を公開するべきだと思います。もし、既に公開されているのであれば申し訳ありません。

 よって、「市長は、地熱資源の利用状況について随時調査をし、その結果を公表する。」のような条項があるべきだと思います。

10.現状の経済状況では近い将来、財政破たんし、多くの一般市民は公務員を含めて生活が立ち行かなくなるはずであること:

 日本の経済状況について、今の状況が継続するという前提に立って市の政策が決められているように見えます。1985年のプラザ合意後、日本の毎年の国債発行額が急激に増加しています。国債発行額の推移(実績ベース)( https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/hakkou01.pdf )で見ると、借換債を含んだ額で、1984年の18兆円規模から1985年の21兆円弱へ増加し、その後、1992年に31兆円、2000年には86兆円、そして、昨年の2014年は181兆円となっています。30年で18兆円から181兆円へと10倍にもなっているのです。特に注目するべきは、発行総額と借換債の関係であり、1985年には発行総額約21兆円の内借換債が約9兆円で全体の5割以下ですが、昨年は約181兆円の内122兆円となり、借換債の割合が67%にもなっていることです。借換債の発行割合が大きくなっているということは、借金を返すために新たに借金をするという構造になっていることを意味し、国債発行によって得た資金が税収入の増加に貢献していないということです。つまり、現在の産業構造では財政はやっていけないという意味です。だからこそ、安倍政権においてふるさと創生が叫ばれ、「まち・ひと・しごと創生法」が作られたのです。ここで目指されているのは地域の財政的な自立であり、産業構造の組み換えです。

 産業構造の組み換えとは、日本において起こっているだけではなく、世界的なものであり、それは化石燃料経済から再生可能エネルギーへのシフトを意味しています。

 産業構造の転換が必要であることは、国債の利率の変動からも分かります。固定利付10年国債の表面利率は、平成19年10月のもので年1.7%( http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/shinmadohan/issue/ten/h19/October.html )ですが、平成27年1月では年0.3%に低下しています。日銀が国債引き受けをするということは、民間への投資が出来なくなっているという意味であり、民間投資が出来るのであれば、こんな低金利の国債はもともと発行できないのです。日銀による直接国債引き受けはできませんから、民間銀行が一度買い、それをすぐに日銀が買い受けるということが行われていて、銀行は巨額の国債を取引することで手数料を得ているだけです。

 なお、「2014年3月末時点の家計が保有する金融資産の残高は前年同月末比3.3%増の1,630兆円となった。」( http://news.mynavi.jp/news/2014/06/18/262/ )ということを、日本の経済はまだまだ余裕があるという議論の根拠とすることがありますが、金融資産の多くは虚構です。株価は今売ればこれだけの金額になるというだけで、実際にその金額でみんなが売れるものではありません。国債金利として生み出された資金は実質的な経済活動の裏付けはないものであり、例えば国債発行残高が100兆円の時代に表面利率が1%であれば、1兆円が単に国債制度により新たに富として生み出される計算になります。普通国債の残高が100兆円を超えたのが昭和58年であり、平成6年には200兆円、平成11年には300兆円、平成14年には400兆円、平成17年には500兆円、平成22年には600兆円、平成24年には700兆円となり、直近の統計である平成26年では780兆円を超えています。これらの数値から大雑把に年利1%と仮定して、国債制度から作り出された金額を推計してみます。昭和58年から平成5年までの残額をずっと各年100兆円としてその1%ですから11年間で11兆円、平成6年から平成10年までを各年200兆円として5年間として10兆円、平成11年から13年は各年300兆円として3年間で9兆円、平成14年から16年を各年400兆円として3年間で12兆円、平成17年から21年までを各年500兆円として5年間で25兆円、平成22年から23年を各年600兆円として2年間で12兆円、平成24年から26年までを各年700兆円として3年間で21兆円となり、昭和58年から平成26年までの32年間で合計100兆円になります。(以上の普通国債残高については、https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/hakkou01.pdf から) 普通国債についてのみごく大雑把に見積もってこれだけの金額になるのですから、借換債として実質的な経済活動なしに発生した富はずっと大きなものになるはずです。現在すでに国債発行残高が1000兆円を超えていますから、年利0.1%としても毎年1兆円が架空の富として国債制度から金融資産に積み上げられているのです。

 金融資産の虚構性がもっともはっきりと出るのが為替であり、円安になればドルベースでの日本の金融資産はどんどん目減りします。ほぼ100%を輸入に頼る化石燃料や60%を超える食料について、国産化を進めないと、財政悪化と少子高齢化の進む日本は一気に資産価値を失ってしまいます。この意味でも、地熱を生かすことが必要になります。

 地熱利用が必要であることは、「(20)10年度の化石燃料の輸入額は18兆1000億円だったが、原発の停止により火力発電用の消費が急増。円安の影響もあり、(20)13年度は27兆1000億円」( http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD190HW_Z11C13A2TJ1000/ ) となっていることからも分かります。ただし、火力発電のためのLPG輸入量増加が主因ではなく、経済活動の活発化と円安が主因です。

今後、2020年のオリンピックであるとか、福島の復興で資金需要は増加するばかりですから、円安傾向は続くはずです。更に、富士山噴火や都市直下型地震など新たな大規模災害が数年の内に起こることは確実です。

よって、今後、何らかのきっかけで急激に円安になり、輸入インフレが破滅的な影響を一気に日本経済へ与えることになります。原発稼働をやっていても化石燃料の輸入減にはあまり役立ちません。原発や化石燃料という20世紀のエネルギー構造から脱却し、再生可能エネルギーを基幹に据えた経済を作る必要があるのです。
 
富士山噴火や首都直下地震が数年の内には起こるだろうと言われています。もしそうなれば日本経済は壊滅状態になり、地方においても地熱開発などが出来なくなってしまうと思われます。そのためにも安倍政権は地方創生を急いでいるはずで、指宿市としては行政主体が自ら地熱開発に乗り出すべきです。残 された時間は少なく、早急な取り組みをするべきです。

 以上のことから、条例の最初に「地熱資源を積極的に生かすことにより、地域の未来を明るいものとする。」のよう表現を加えるといいのではないでしょうか。

11.自治体が独自に収益事業をやる可能性について:
 一般的に自治体が収益事業をやることはよくないとされ、実質的に禁止されているようです。しかし、実際には県立病院などで分かるように地方公営企業法の対象となる事業分野は幾つかあります。その一つが電気事業であり、また、地方自治体の条例で地方公営企業法を適用することができる事業として宅地造成事業があります。簡単に言えば、宅地開発と地熱発電をセットにして自治体が行うことが可能なのです。

 現実的な問題として、市独自に何十億円という支出はなかなか困難であるでしょう。ですから、鹿児島銀行と九州電力と組んで、事業をやることがいいはずです。将来、確実に収益が出るとなれば、その時点で九州電力なりに有償譲渡することもできます。

 よって、「市長は金融機関や電力事業者との協議を行い、地熱事業の可能性を検討することとする。」のような条項を含めるべきであり、可能だと思います。

12.地熱事業をやる必要性について:

 現在、地方は県も市町村も自前財源は3割程度です。しかも、今後は年金にマクロ経済スライドが適用され、たとえ物価が上がっても年金額が減少します。このことは、「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)の年金運用において「近年、年金支給額が保険料収入を上回る状況」( https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2014/data/ron140619a.pdf )とあることから、ほぼ確実です。国からの各種の交付金などが減少し、年金も減少しますから、このままでは地方は経済が回って行かないのです。それどころか、今後急激に物価高になれば、公債発行のための金利が一気に上昇し、公債発行自体が不可能になるはずです。公務員給与の不払いさえ実現性が高いのです。これは地方どこでもほぼ同じ状況であり、鹿児島も埼玉もあまり変わりません。

 このことからも、「市長は金融機関や電力事業者との協議を行い、地熱事業の可能性を検討することとする。」というような条項の必要性があると思います。

13.地熱発電の有望な将来性について:

 現在、日本以外の地熱資源国では地熱発電は非常な勢いで伸びています。近年シェールブームに沸いているとされるアメリカも、実質的には地熱発電をにらんで政策を打っているのです。シェール開発に不可欠な技術である水平掘りと水圧破砕の技術は両方とも高温岩体発電という地熱開発の基幹技術です。つまり、アメリカはシェールブームを演出することにより、水平掘りと水圧破砕の技術の普及を図り、全米各地にこの技術と機材を持った業者を養成しているのです。

フィリピンは総発電量の20%以上を地熱から得ていますし、インドネシアも地熱開発を電力事業の中核に据えています。

ヨーロッパの内陸に位置して、火山がほとんどないドイツでさえ、地熱発電所を作って地熱事業の普及研究をやっているのです。次に、福島県内のつちゆ温泉組合がドイツの地熱発電所を見学した様子を報じた福島民報の記事を二つ引用します。

http://www.minpo.jp/news/detail/2015011720403
地熱発電所を訪問 土湯温泉の視察団 ドイツ開発の歴史など聞く
【ドイツで吉田高徳本社営業部副部長】温泉を活用したバイナリー発電に取り組む福島市土湯温泉町の地熱開発関連事業視察団は15日、ドイツのインスハイムにあるファルツ電力地熱発電所を視察した。
 一行はダリウス・ザブリンスキー所長(39)から地熱開発の歴史、発電技術などの説明を受けた。発電所は平成24年11月に操業を開始した。地下4000メートルからくみ上げた約160度、毎秒70リットルの熱水は28度の沸点で熱交換を行い、空冷後、再び地下へ戻す。
 出力は最大4800キロワット、このうち25%を施設で利用し、残りはドイツの再生エネルギー法によって一キロワット当たり25ユーロセント(約34円)で売電している。売り上げは1日当たり1万5000ユーロ(約204万円)に上る。
 また、土湯温泉のバイナリー発電で使用する同じオーマット社(米国)製の設備が操業以来、故障なく稼働していることなどを説明した。加藤勝一団長(つちゆ温泉エナジー社長)は「技術的に安心できる」と評価した。
( 2015/01/17 09:40 カテゴリー:主要 )

http://www.minyu-net.com/news/news/0117/news4.html
独の地熱発電所を訪問 福島・土湯温泉の視察団
 福島市の土湯温泉源泉地で温泉の熱を使ったバイナリー発電を計画している企業「つちゆ温泉エナジー」(加藤勝一社長)の先進地視察団は15日(日本時間同日)、ドイツ南西部のインスハイムにあるバイナリー発電所「ファルツ電力地熱発電所」を視察した。ドイツの再生可能エネルギー法(EEG)の固定価格買い取り制度に基づき、同発電所の売電事業が軌道に乗りつつある状況を確認した。
 同発電所は出力4.8メガワットで、2012(平成24)年11月から操業を開始。発電電力の25%を施設稼働などに使用し、それ以外を販売している。1日当たり約1万5千ユーロ(約220万円)の売電収入があるという。
 地熱発電のEEGの買い取り価格は1キロワット時当たり25セント(約36円)で、同発電所のダリウス・ザブリンスキー所長(39)は「政府の促進姿勢で非常に高い価格設定だ。発電量をできるだけ増やしたい」と話した。掘削費や調査費を含む総工費は約5千万ユーロ(約72億円)に上ったが、10〜15年程度で償却したい考えという。
 発電で使用後の熱水の二次利用については、売電事業を軌道に乗せることを優先しているが、将来的に地域暖房での活用を検討している。暖房熱に対する地域のニーズがあるかどうかを含めて自治体と協議を進めている段階という。
(2015年1月17日 福島民友ニュース)

 山川発電所の3万キロワットに比べると、4.8メガワットは6分の1以下の規模ですが、井戸の深さは2倍であり、しかもバイナリー発電ですから発電設備の費用も山川のフラッシュ発電に比べて高価なものになります。それでも72億円程度で建設できています。指宿市内で同規模のバイナリー発電所を作る場合であれば半額程度になるはずです。フラッシュ発電であれば、かなり安価に建設が出来るはずで、1万キロワット級で15億円以内ではないでしょうか。

 更に、伏目温泉の塩田跡地は現状でかなりの量の水蒸気がパイプから常時噴出しています。これはほぼそのままバイナリー発電かまたはフラッシュ発電に利用でき、こちらは1億円未満で事業化が十分に可能であるはずです。

 なのはな荘は現状でほぼ閉鎖されている様子ですが、魚見岳のすそ野に位置することから、かなり有望な熱源が近傍の地下にあるはずです。つまり、魚見岳自体が地下から地上へ上昇してきたわけであり、伏目温泉やヘルシーランドとその周辺にある竹山神社がある小高い丘とはほぼ同じ位置関係にあるからです。

 更に、開聞岳は火山でありその周辺にはかなりの地熱資源があると思えます。

 また、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構によって平成19年に池田湖の東部地域は地熱資源探査が行われていて、その時の井戸の一つは既にメディポリスにより事業化がされています。この報告書「平成19年度 地熱開発促進調査中間調査報告書」が http://geothermal.jogmec.go.jp/data/file/017.pdf にあります。その要旨を次に引用します。

要旨
鹿児島県指宿市池田湖東部地域において,地熱発電事業計画の推進に必要な地質・地熱構造解明,地熱構造モデルの作成,資源量評価,環境影響調査,経済性評価を行う目的で,以下の調査を行った。本地域の地質構造を明らかにするため,地質・変質帯調査及びMT法電磁探査を実施した。地質・変質帯調査の結果,断層の存在を反映している可能性が高いと判断されるリニアメントが抽出された。電磁探査結果から,NW-SE系及びWNW-ESE系の2本の比抵抗不連続線が抽出され,これらの不連続線が地下の熱水流動・貯留に関連した断裂構造を反映している可能性が高いと判断された。本地域での地質構造,地層温度,地熱資源量を確認する目的で調査坑N19-IK-1 を掘削し,平成19年2月18日に深度1,526.0m に到達した。掘削中,深度1,233.1mで全量逸水となり,坑底まで全量逸水が継続した。掘削後の坑内温度検層では,深度1,223.1m以外に,深度1,400m付近及び1,500m付近にも逸水層の徴候が認められた。温度回復試験では,送水停止72時間後に深度1,525mで222℃の実測温度が確認された。逸水層の存在が推定される深度1,200m付近,1,400m付近及び1,500m付近の平衡温度は220℃から235℃と計算された。注水試験の結果,浸透率-層厚積は3.8darcy・mであった。調査井掘削による周辺温泉への影響の有無を把握する目的で,周辺温泉水の採取及び分析を,平成19年11月から平成20年3月の期間で計5回実施した。その結果,温泉成分・温度には調査井掘削の影響と考えられる変化は認められなかった。本年度の各調査の総合解析結果は以下の通りである。N19-IK-1の坑井調査の結果,深度1,200m付近に地層境界に伴う破砕部が,深度1,400から1,500mの間に推定断層構造に伴う破砕部が存在すると推定された。N19-IK-1 坑井調査の結果及び電磁探査結果から,N19-IK-1掘削方向の地熱構造モデルを見直したところ,地下温度が200℃を示す範囲が当初の想定よりも広い範囲に及んでいる可能性が高いと推定された。また,山川―松ヶ窪構造線の推定位置に沿って低比抵抗ゾーンが深部まで続いていることが確認された。既存調査結果によれば,本調査地域近傍ではほぼ中性の比較的塩濃度の高いCl型熱水が認められている。この熱水の起源は,池田湖の湖水を含む天水と海水を混合したものと考えられる。深部の貯留層温度は,地化学温度から,260〜270℃が推定されている。調査井N19-IK-1は,1)掘削中に全量逸水が発生し,坑底まで逸水が継続したこと,2)掘削後の坑内温度検層で3ヶ所に逸水層の徴候が認められたこと,3)温度回復試験で222℃の実測温度が確認されたこと,4)平衡温度計算結果から逸水層の存在が推定される領域の平衡温度は220℃から235℃と算出されたことから,初期の到達目標を達成する有望な熱水貯留層に遭遇したと判断される。また,調査地域周辺の10カ所の泉源において温泉変動調査を実施中であるが,現在まで掘削の影響は認められておらず,周辺温泉への顕著な影響を与えないとした到達目標を達成している。以上に述べた本年度の調査・検討結果を取りまとめ,報告書を作成した。また,地熱調査検討委員会を平成19年12月,平成20年3月の2回開催し,調査結果の報告及び平成20年度計画の説明を行った。
(*以上引用終わり)

 メディポリスが事業化した地熱井戸は新エネルギー・産業技術総合開発機構から無償譲渡を受けたもののはずで、指宿市が希望すればその他の地熱井戸も無償譲渡を受けることが出来るはずです。この場合、平地ではないため、山川発電所に比べて建設費用が多少かさむでしょうが、調査井戸の掘削の必要性はなく、確実に事業化が出来ると思えます。

 以上のことからも、「市長は金融機関や電力事業者との協議を行い、地熱事業の可能性を検討することとする。」というような条項があれば、指宿市の将来に役立つと思えます。

14.利益相反の可能性:

 この1月15日に「地熱発電シンポジウム in 別府」が開催され、指宿市温泉配湯業組合の組合長である****氏がパネリストとして参加されたそうです。そして、現在の指宿市議会議長は****氏です。姓が同一であるのは偶然であるはずですが、縁戚関係にある可能性もあります。もしそうであれば、配湯業組合長と市議会議長が利益相反を起こすことになります。こういった疑いを持たれないためにも、地熱発電を積極的に推し進める形の条例にするべきであると思えます。

 このことを考慮すると、例えば、「市長及び市議会議員は、地熱発電や温泉事業と直接的な利害関係がないことが望ましい。」のような条文があるといいのではと思います。

15.山川発電所の故障について:

 昨年末、山川発電所のタービンが一部損壊し、復水器に軽微な故障があったということです。しかし、報道によるとタービンの損壊は非常に不合理な形で起こっていたように思えます。タービンは円錐を横に寝かした形であり、円錐の頂点の方から蒸気が入り、底辺方向へ進行して排出されます。タービンの羽根の損壊は一番頂点に近い位置にあるところで部分的に起こったということで、その修理をしないまま出力を落として運転再開をしたというのです。しかし、蒸気の流れの上流のタービンの羽根が損壊しているのであれば、その破片がより下流のまだ正常な羽根にぶつかって破損が拡大することがあり得ます。もし、本当にタービンの羽根が部分損壊していたなら、損壊箇所をほぼそのままにしたままの運転再開は有り得ないはずです。実を言うと、この事故が発生する一月ほど前に自分は鹿児島県内の政治家の方へ、山川発電所の建設費用や発電コストの詳細を公開するようにできないかという相談をしています。このことと関係があるとは言えませんが、少なくともタービン故障の不自然さについて確認する必要があると思います。

 よって、既にある地熱発電所である山川発電所について、「山川発電所は、重大な故障や事故が発生した場合は、速やかに市へ連絡し、必要がある場合は、その詳細を説明するものとする。」のような条文が必要であるのではないでしょうか。

 以上です。

地熱は火山国日本にはとても有利な資源であり、それを生かさないのはとてももったいないことです。池田湖という九州一の大きさの湖が中心地域にあり、平地に地熱資源が分布することから、きちんと地熱開発を進めることで、指宿市は九州一、または世界一活気のある町になると思います。
 

氏名:武田信弘
住所:
電話番号:
***************************

2.指宿市への陳情

「地熱発電のコストを調査し、指宿市のサイトに公開することを求める陳情」

                        平成27年5月26日
指宿市議会議長  殿

陳情者
住所:
電話:
氏名:武田信弘

陳情の趣旨:下記の理由により、指宿市が独自に調査するか、既に地熱発電の実績がある九州電力へ問い合わせて、規模別に、フラッシュ発電とバイナリー発電に関する、それぞれの1kwあたりの発電コスト、初期費用の内訳、日常のメンテナンスコスト、稼働率などを、指宿市のサイトに公開すること。

               記

 地熱発電は、太陽光発電などに比較して初期費用が高く、太陽光発電の場合、小規模であるなら数十万円から開始できるのに対し、地熱発電は小規模なものであっても数千万円が必要とされます。しかしながら、安定的に発電が出来、また純国産の資源として日本は世界第3位の地熱資源量があり、その99%をまだ生かしていません。長期間を見れば、利益率もかなり高いわけで、安定した利益を上げることが出来るのが地熱です。

 日本で地熱開発が進まない理由の一つとして、温泉との競合が言われています。しかしながら、そもそも日本に於ける地熱は、地下150キロ程度の深さで大陸プレートと海洋プレートの摩擦によってマグマが発生し、そのマグマが地下10キロ程度の地表近くにまで上がってきた結果、発生しているものであり、常時新たに生み出され、周辺の地盤に拡散しているものであるようです。そうであれば、原理的に言っても、温泉利用と地熱利用の競合と言う事は有り得ません。つまり、常時新たに発生してきている熱エネルギーと水供給の範囲内での利用であれば、永久に持続可能な自然エネルギーなのです。

 燃料電池の開発が進んでいますが、その燃料である水素は石炭や天然ガスを改質するか、または水を電気分解して作るしかありません。その他に、工場などでの副生産物として水素がありますが、社会全体を支えるものとしてはあまりに少量です。
 日本は化石燃料の輸入に年間30兆円程度を使っています。発電や暖房、工業原料、輸送燃料など用途は多岐にわたっているとされていますが、地熱発電はそのすべてに対して貢献ができます。地域に対する電力や熱の供給だけでなく、水素製造と言う面でも有利なのです。太陽光とか風力を使った電力で水を分解し水素を製造するのは稼働率があまりよくありません。太陽光でせいぜい15%、風力で30%です。地熱発電であれば80%程度の稼働率があり、水素製造のコストと言う面から言っても地熱発電は有利です。

 すべての活動の前提となるものが、地熱開発に関する理解です。指宿市は、山川発電所という3万キロワット級の地熱発電所を、国立公園内ではなく、市街地に持ち、地熱開発という点から見て、とても有利な地域です。地熱発電の開発コストがかかる理由の一つは、国立公園内の山奥での開発であることがありますが、指宿市は市街地での開発であり、非常に地熱開発に向いた状況にあります。

地熱発電をめぐる状況について、調査し、それを整理して一般市民へ公開することが必要と思われます。経済産業省から「地熱開発理解促進関連事業支援補助金」という事業が実施されていて、平成26年度は全ての応募案件が採択となっています。明確に国も地熱発電の普及を狙っているのです。

山川発電所で、1995年からやってきたフラッシュ発電、及びこの数年間で実証実験をやったバイナリー発電について、初期費用や維持費用、稼働率、Ikwhの発電コストなど、ある程度の明細を九州電力に開示するように求め、指宿市が市のホームページ上で公開することが、必要だと思われます。

または、地熱学会、日本地熱協会、日本地熱開発企業協議会、新エネルギー導入促進協議会、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などと連絡を取り、国の地熱開発理解促進関連事業支援補助金を使って、指宿市内の地熱開発コストを幾つかのケースごとに調査し、それを指宿市のサイトに公開することが必要です。

今後、20年程度で全国の空き家率が40%程度になるという報道があります。指宿市もこのままでは自治体の存続が非常に厳しくなるはずです。地熱資源利用は、現状を打破し、新たな明るい将来を作るのに大いに役立つはずです。温泉資源との競合という心配をしているだけでは、温泉利用そのものの衰退が止まらず、地域の衰退は食い止められないのではないでしょうか。そのことは、近年の指宿市内の銭湯利用の低調さを見ても分かるはずです。
原子力発電はウラン資源量の問題がそもそもあり、最大限を見てもあと数十年で限界が来るのです。MOX燃料を使うことでウラン燃料の節約が出来るとされていますが、使用済みMOX燃料はアルファ線を出す放射性物質が大量に含まれ、半減期が数万年以上あることから、原子炉から出した後数百年の水冷が必要です。普通のウラン燃料が5年から長くても10年程度の水冷で済むところをその20倍以上の期間の水冷が必要とされていて、日本のように地震の多発地域にはとても危険な発電方法なのです。

高速増殖炉も液体金属ナトリウムを冷却材として使う必要があり、小規模な実験炉としては可能であったのですが、商業ベースで大規模にやるのはとても無理な技術です。そのため、アメリカでは開発当初に中止がされて現代に至っています。世界的に見ても商業ベースで実現はできていません。

核廃棄物は短く見積もっても数千年の安全保管が必要であり、ウラン資源の量から考えたら、未来世代に大きな負担を残すだけのものです。地下に埋設すると盛んに宣伝がされますが、地下数百メートル程度の深さであり、それ以上深いと地熱が高くなってしまい埋設が出来ません。しかし、地下数百メートルの深さは地下水利用がされる深さであり、長期を取れば地表への影響も十分にあり得る深さです。つまり、地層処分は、少なくとも日本のように地殻活動の活発な地域では無理です。

よって、核廃棄物は埋設ではなく、数千年以上の長期の管理が必要で、今の30代よりも若い世代にとっては単に負担が残るだけの発電方法が原子力発電なのです。地熱発電は、その代替えとなるベースロート発電であり、一刻も早い開発が必要です。指宿市は、地熱開発にとても向いているのですから、その好条件を生かすことが良いと思われます。
                             以上


3.鹿児島県への陳情(基本的に2.と同じような内容です。)
地熱発電のコストを調査し、鹿児島県のサイトに公開することを求める陳情

                        平成27年6月19日
鹿児島県議会議長 池畑憲一 殿

陳情者
住所:
電話:
氏名:武田信弘

陳情の趣旨:下記の理由により、鹿児島県が独自に調査するか、既に地熱発電の実績がある九州電力へ問い合わせて、規模別に、フラッシュ発電とバイナリー発電に関する、それぞれの1kwあたりの発電コスト、初期費用の内訳、日常のメンテナンスコスト、稼働率などを、県のサイトに公開すること。

               記

 地熱発電は、太陽光発電などに比較して初期費用が高く、太陽光発電の場合、小規模であるなら数十万円から開始できるのに対し、地熱発電は小規模なものであっても数千万円が必要とされます。しかしながら、安定的に発電が出来、また純国産の資源として日本は世界第3位の地熱資源量があり、その99%をまだ生かしていません。長期間を見れば、利益率もかなり高いわけで、安定した利益を上げることが出来るのが地熱です。

 日本で地熱開発が進まない理由の一つとして、温泉との競合が言われています。しかしながら、そもそも日本に於ける地熱は、地下150キロ程度の深さで大陸プレートと海洋プレートの摩擦によってマグマが発生し、そのマグマが地下10キロ程度の地表近くにまで上がってきた結果、発生しているものであり、常時新たに生み出され、周辺の地盤に拡散しているものであるようです。そうであれば、原理的に言っても、温泉利用と地熱利用の競合と言う事は有り得ません。つまり、常時新たに発生してきている熱エネルギーと水供給の範囲内での利用であれば、永久に持続可能な自然エネルギーなのです。

  日本は化石燃料の輸入に年間30兆円程度を使っています。発電や暖房、工業原料、輸送燃料など用途は多岐にわたっているとされていますが、地熱発電はそのすべてに対して貢献ができます。地域に対する電力や熱の供給だけでなく、水素製造と言う面でも有利なのです。太陽光とか風力を使った電力で水を分解し水素を製造するのは稼働率があまりよくありません。太陽光でせいぜい15%、風力で30%です。地熱発電であれば80%程度の稼働率があり、水素製造のコストと言う面から言っても地熱発電は有利です。

 すべての活動の前提となるものが、地熱開発に関する理解です。地熱発電をめぐる状況について、調査し、それを整理して一般市民へ公開することが必要と思われます。経済産業省から「地熱開発理解促進関連事業支援補助金」という事業が実施されていて、平成26年度は全ての応募案件が採択となっています。

山川発電所で、1995年からやってきたフラッシュ発電、及びこの数年間で実証実験をやったバイナリー発電について、初期費用や維持費用、稼働率、Ikwhの発電コストなど、ある程度の明細を九州電力に開示するように求め、県のホームページ上で公開することが、必要だと思われます。

また、地熱学会、日本地熱協会、日本地熱開発企業協議会、新エネルギー導入促進協議会、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などと連絡を取り、国の地熱開発理解促進関連事業支援補助金を使って、鹿児島県内の地熱開発コストを幾つかのケースごとに調査し、それをサイトに公開することが必要です。

核廃棄物は短く見積もっても数千年の安全保管が必要であり、ウラン資源の量から考えたら、未来世代に大きな負担を残すだけのものです。更に、高レベル核廃棄物のほとんどは重金属毒性を持ち、こちらは永遠に毒性があります。地下に埋設すると盛んに宣伝がされますが、地下数百メートル程度の深さであり、それ以上深いと地熱が高くなってしまい埋設が出来ません。しかし、地下数百メートルの深さは地下水利用がされる深さであり、長期を取れば地表への影響も十分にあり得る深さです。つまり、そのような深さのところへ数万トンと言う単位でまとめて埋設するという地層処分は、少なくとも日本のように地殻活動の活発な地域では無理です。

なお、九州経済連合会でも、地熱などの再生可能エネルギーの活用を掲げています。今年6月5日は、「再生可能エネルギーの産業化を目指すアクション プラン(九州モデル) について」
http://www.kyukeiren.or.jp/files/topics/news/150608134809583.pdf が発表され、地熱については次のようなことが書かれています。

・温泉井や浅部井を活用した温泉熱発電や熱利用を中心に展開。
・地熱・温泉熱関連企業の技術力向上を図るとともに九州で優位な農業、観光等、他産業と連携したモデル事業の構築。
・これらの成果を九州モデルとして国内、海外に展開。
・このほか、ネットワーク形成、情報一元化、人材育成等、産業化環境を整備。

評価指標
・温泉熱活用プロジェクト数 (累計)
2020年:200件
2030年:700 件
 
                            以上

4.指宿市の温泉条例へのリンク:
「指宿市温泉資源の保護及び利用に関する条例」
http://www.city.ibusuki.lg.jp/modules/xfsection/cache/uploaded/kikaku/o-h-z-5-h27.3.27.pdf

5.指宿市の温泉条例施行規則へのリンク:
「指宿市温泉資源の保護及び利用に関する条例施行規則」
http://www.city.ibusuki.lg.jp/modules/xfsection/cache/uploaded/kikaku/o-h-s-6-h27.3.27.pdf

6.指宿市の温泉条例パブリックコメントへの考え方へのリンク
「指宿市温泉資源の保護及び利用に関する条例の素案に対するご意見等とそれ対する市の考え方」
http://www.city.ibusuki.lg.jp/modules/xfsection/cache/uploaded/public-comment/onsensigen-hogo-kekka-2015.2.9.pdf

以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。何か、これを書いているときに、誰かが、「面倒な奴がいるな」と思っているような感覚がありました。でも、多分、今のままであれば、いずれ、「あいつの言っていたことをやっておけば」と思われる日が来るのではと、危惧しています。

2015年10月08日00時05分 武田信弘 
 

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コメント
 
1. 2015年10月08日 10:18:25 : EP3N27j9ts
地熱発電コストの公開は大変に興味があり、是非やって欲しいと思います。
しかし、この投稿記事では、なぜ公開が不採択になったのか、わかりません。それが肝心です。ほかのことはどうでもよいから、不採択になった理由を書いていただければありがたかったと思います。

不採択なのは、実は非常にコストがかかっているなど、一般に知られると都合の悪いことがあるからかもしれません。コストが非常にかかるということは、本当に温暖化防止に役立っているかどうかへの疑問にもつながります。

太陽光発電や風力発電も、特に公共の施設の場合には、コストを公表してほしいと思います。


2. 2015年10月08日 12:08:31 : nJF6kGWndY

ゼロリスク志向の日本人にありがちなこと

地熱発電の利益は小さい上に薄く広いが、温泉観光ビジネスと既得権へのリスクは明快だ

それを考えれば、明らかな話だな


3. taked4700 2015年10月08日 21:28:26 : 9XFNe/BiX575U : bSXN73sRQ6
>>01

>不採択になった理由を書いていただければありがたかったと思います。

委員会で不採択が決定されていたのですが、委員会の議事録は情報公開請求が必要ということで、情報公開請求をしました。それによると、企業が発電事業やっているのだから、指宿市がコストを公開するひつようはないというようなことが書かれていました。

ただ、どうも、その話そのものがかなり??なのです。今は書きませんが、とても不合理なことが書かれていました。

>不採択なのは、実は非常にコストがかかっているなど、一般に知られると都合の悪いことがあるからかもしれません。コストが非常にかかるということは、本当に温暖化防止に役立っているかどうかへの疑問にもつながります。

確かに、地熱発電は初期コストが太陽光に比べるとかかります。しかし、減価償却などを考えて、事業としての発電コストを考えると、多分、現状で最も安価な発電が出来るのが地熱です。

電源別の1KWHの発電コストは大まかなものはいろいろな形で公表さてています。

また、更に述べれば、指宿市は国立公園外に山川地熱発電所があり、市街地での地熱開発が可能なのです。その意味で、普通にある山奥の地熱開発とはコストがかなり変わるはずなのです。

>太陽光発電や風力発電も、特に公共の施設の場合には、コストを公表してほしいと思います。

自分もそう考えています。


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