ウォーレンバフェット名言集
投資の神様、オマハの賢人、ウォーレンバフェット氏の名言をオリジナルの英語、そして自分なりの日本語訳、解釈付きで集めてみました。
ネット社会になり投機的、短期的に儲けようとする人が多くなる時代だからこそ、彼の言動は今なお一層、見直されているのかもしれません。 今では素人の個人投資家でもパソコンを駆使し、株や為替、先物取り引きを簡単にできる時代。ここシカゴでもクウォントと呼ばれる高度な金融工学と並列コンピュータを駆使し、高頻度取引をするヘッジファンドをよく聞きます。
そんな時代にウォール街にも住まず、コンピュータも一切使わないネブラスカ州オマハの賢人、ウォーレンバフェット氏。彼のユニークで独創的、でも単純でストレートな物の考え方からは、投資のみならず生きるための術を学ぶことができます。 彼の名言をいくつか日本語訳、解説付きで紹介します。 1 価格はあなたが払うもの。価値はあなたが得るもの。
Price is what you pay. Value is what you get.
— Warren Buffett 株をやる人の中に、「1株8500円は高いね。」とか「130円は手頃だね。」という人がいます。
そんな人に対してバフェット氏は根本的ですが非常に大切な投資哲学を端的に言った言葉です。 例えば自動販売機で売られているコーラのペットボトルを考えてみましょう。 1本30円という「価格」だったら多くの人が安いと思うでしょう。 逆に3000円だったら「価格」が高いと思う人が多いはずです。 なぜなら皆さんは無意識のうちにコーラの「価値」を考え、大体100円前後だと推測するからです。バフェット氏は投資も全く同じだと言いますが、多くの投資家が株ではそれを見失うと言います。 ブームの時はあまり価値のない企業を過大評価したり、暴落時はパニックに陥って価値以下の価格で株を手放す人は多いはずです。 常日頃から会社の価値はどのくらいか、それに対して会社の価格(一株の値段ではなく時価総額)はいくらくらいが妥当なのかを考え、価値が価格を上回っていれば買い時であるし、価格が価値を上回っていれば売り時なのです。 どんな投資でもこれが基本です。 2 ゆっくり金持ちになりたい人なんていないよ。
No one wants to get rich slow.
— Warren Buffett アマゾンの CEO、ジェフベゾス氏がバフェット氏に 「何でみんなあなたの投資戦略を真似ないんですか?」 と聞いた時にバフェット氏が答えた言葉です。 バフェット氏の投資哲学や戦略は極めてシンプルで素人の投資家でも理解できるものです。ヘッジファンドのように高度な金融工学を駆使したり、コンピュータを操る必要はありません。 バフェット氏の恩師、ベングラハム氏によって奨励される「バリュー投資」が基本にあります。 いつの時代にもスタートレーダーやヘッジファンドマネージャーは神出鬼没しますが、バフェット氏ほど何十年にもわたって市場平均をコンスタントに打ち負かしてきた投資家は皆無です。 そんな実績と証明があっても、人の性でしょうか、賢人の言うことにはあまり耳を傾けず、みんな早く金持ちになりたがるようですね。 3 みんながどん欲な時に恐怖心を抱き、みんなが恐怖心を抱いている時にどん欲であれ。 Be fearful when others are greedy and greedy when others are fearful.
— Warren Buffett リーマンショック以降、もう株式投資はやめたという人がたくさんいました。
資産が半分以下に目減りすれば、誰もが恐怖心を抱いてもう二度と同じ目には遭いたくないと思うのは当然です。 一方でバフェット氏はリーマンショック前まで、既に過熱していた株式投資からは引き揚げており、4兆円以上の現金をダブつかせていました。 その後、暴落する市場からみんなが損を覚悟で逃げていくのを片目に、バフェット氏は株式市場に逆戻りし、バーゲンセールで多くの買い物をしました。 そして今日皆さんもご存知の通り、アメリカの株式市場はリーマン以前の最高値を更新しています。バフェット氏は全ての投資で莫大な利益を得たのです。 一方、アメリカ90年代後半のハイテクバブル。マイクロソフトやインテル、シスコなどナスダック上場のハイテク企業に投資すれば誰でも儲けられた時代、バフェット氏は1セントも投資をしませんでした。 その後ハイテクバブル崩壊で多くの人が大損をしましたが、バフェット氏はもちろん1セントも失っていません。 株式市場では理性が感情にコントロールされたら負けです。 それでも大多数の投資家は感情に支配されるのです。 ブームやバブル崩壊が生まれることがそれを証明しています。 でもバフェット氏やジョージソロス氏、ジムロジャース氏のような巨万の富を築いた投資家に共通するのが、いつもこの大衆心理を逆手に取って投資していることです。 みんなと同じように動いていては、所詮みんなと同じような利益しか生めないのです。 4 名声を築くのには20年かかるが、崩すのには5分とかからない。 もしそれを弁えていれば、あなたも行動を改めるでしょう。
It takes 20 years to build a reputation and five minuted to ruin it. If you think about that, you'll do things differently.
— Warren Buffett これは人生にもお金にも言えることでしょう。 財や名声を築き上げるのには時がかかります。でも些細な欲や嘘、傲慢、怠惰が人生を瞬時に振り出しに戻すことがあります。 振り出しなら不幸中の幸いですが、最悪な場合、二度と人生を再生できないこともあります。 刑務所に入ったり、命を落としたり。 貪欲に金儲けに走るのもいいのですが、人の道を外しては元も子もないということでしょうか。 5 リスクはあなたが何をやっているか理解していない時に起こる。
Risk comes from not knowing what you're doing.
— Warren Buffett 先ほど話したハイテクバブル時に1セントも投資しなかったバフェット氏。 実はその理由は「(ハイテクの)会社が理解できないから」と言っていました。 マイクロソフトやインテルの強みが何で、5年後、10年後、どうなるかが読めないと。 バフェット氏はよく Circle of Competence という言葉を発します。 自分の適応範囲、自分の理解できる範囲とでも訳しましょうか、要はこの範囲を外れて投資は絶対にしないと言います。 その裏には、自分が知らないものに投資するとリスクを生じるというこの言葉があるのです。つまり他人の土俵では絶対に相撲は取らないのです。それは他の人がどれだけハイテクバブルで巨万の富を得ていてもです。 FXや先物をやっているあなた。あなたの投資対象はあなたの理解の範囲内でしょうか?
6 人生においてはほんのいくつかのことを正しくやればいいんです、、、たくさん間違いを犯さない限り。 You only have to do a very few things right in your life so long as you don't do too many things wrong.
— Warren Buffett 昨今、デイトレーダーという人が増えています。 専業主婦の方でも一日に何度も株や先物を取引している方もおられるでしょう。 バフェット氏のバリュー投資は長期保有に重きを置きます。 原点は投機と投資の違いです。 バリュー投資家にとって日々の値動きやマクロトレンドは関心ありません。 個々の会社が長期的にどう成長してリターンを生み出せるかを見るからです。 なので株の取引も年に数回あるかないかというのも当たり前です。 いつもマーケットの動向を見たり、経済ニュースを見ると、誰でも売買の衝動に駆られますが、たくさん売買してもかなりの確率で勝ちを治めないと、結局儲かっているのは証券会社だけということになってしまいます。 バフェット氏はたくさん売買はしません。 でも年に数回、これは絶対に利益を出せると思うものだけドンと買い物をします。 年に数回正しいことをするだけで巨万の富を築いた生き字引です。 7 第1ルール、損しないこと。第2ルール、第1ルールを忘れるな。
Rule #1: Never lose money. Rule #2 : Never forget Rule #1.
— Warren Buffett バフェット氏がプロの投資家の中でも抜きにでているのが、絶対に損をしないことです。 つまり負けゲームが皆無なのです。攻めが強い投資家は五万といます。 年利20%、30%をたたき出すファンドマネージャーは毎年います。 でもそれらの多くは守りが弱く、投機的な行動をして失墜することが多いのです。 かつてノーベル賞受賞者の集団が作ったロングタームキャピタルマネージメントも最初の数年は凄まじい利回りをたたき出し、絶対確実と言われていましたが、数年後に多額の損を出し破綻しました。 今回のリーマンショックでも有名ファンドマネージャーが何名か失墜しました。 そんな中、バフェット氏は何十年に渡って負け試合がほぼないのです。 バフェット氏はかつて言っていました、 「どんなに大きな数を掛け続けてもゼロを掛けたらゼロになる」と。 投資はギャンブルではありません。絶対に損することがあってはいけないのです。 8 どうもひねくれた人間の性質なのか、簡単なことを難しくしたがる傾向がある。 There seems to be some perverse human characteristic that likes to make easy things difficult.
— Warren Buffett ビルゲイツ氏はバフェット氏と非常に仲の良い関係柄ですが、そのゲイツ氏がバフェット氏のどこを尊敬しますかと尋ねられて、 「物事の本質を捉えてそれを単純に理路整然に説明できること」 と言っていました。 複雑なことを複雑に説明できる人はたくさんいますが、複雑で曖昧なことを単純化し、理路整然と説明するのには賢さが必要です。 バフェット氏の言動がこれだけ世界の人の注目を集めるのも、その能力にあるからでしょう。 投資という一見難しく複雑な分野を単純化し誰にでも分かるように説明できるのです。 9 散髪が必要かどうかは床屋に聞いちゃいけない。
Never ask a barber if you need a haircut.
— Warren Buffett 利害関係が絡む人に投資の助言を求めてはいけないという戒めです。 例えば投資信託を販売する銀行員に「郵便局にある貯金を投資信託に移した方がいいですかね?」と聞いて、Noという銀行員はいないでしょう。銀行員はあなたが投信で得するか損するかはあまり関係ありません。おそらく販売した手数料で食べているのですから。 要は物事を判断する時に、一つの情報源を鵜呑みにせず、利害のない人の意見も参考にするのが賢明でしょう。 10 習慣の絆とは断ち切るには重すぎるくらいになるまで感じるには軽すぎる。
Chains of habit are too light to be felt until they are too heavy to be broken.
— Warren Buffett バフェット氏はよく大学の MBAクラスで講演することがよくあります。 YouTubeなどでいくつか見られますが、その時によく出るのがこの名言です。 話はいつも1つの質問から始まります。 「MBAのクラスメート、誰か一人の将来の収入の10%をもらい続けられるとしたら、誰に投資しますか?」 もちろん資産家の御曹司や令嬢は駄目です。 みんなそれを考える時、クラスで成績が一番だからとか、IQ が最も高いからという理由では多分選ばないでしょう。それよりもリーダーシップがあったり、正直で勤勉で、チームワークを尊重したり、自分の手柄も他人に譲る優しさがあったり、そういう人間として出来たクラスメートを選ぶでしょう。 一方でもし誰か一人、クラスメートを10%ショート(空売り)できるとしたら、誰を選ぶでしょう? これもまたクラスで最後の成績の人やIOの最も低い人よりも、傲慢で、不正直、人の話を聞かず、ずる賢く、手抜きをし、他人の手柄も自分のものにしたり、とそういった人をショートするでしょう。 両者の性質を見てみると実は誰でも持てるもの、もしくは取り除けるものなのです。 何も100メートルを9秒で走る能力とか、150キロの球を投げる能力とかは求められていないのです。 10%買いたいと思うクラスメートの尊敬する性質を自分もまね、10%ショートしたいと思うクラスメートの嫌な性格を、自分からも排除するよう努めれば、結果的に10%を買いたいのは自分自身になるでしょう、ということです。 そしてその努力をするのは若ければ若い方がいいのです。 歳をとってからでは良くも悪くも性格を変えるのは非常に難しいというのが、今回の言葉の意味です。
11 並の企業を安く買うよりも、優良企業を適正な値段で買う方が全然良い。 It's far better to buy a wonderful company at a fair price than a fair company at a wonderful price.
— Warren Buffett ベングラハム氏のバリュー投資は徹底的に価値よりも安い価格の会社を探し出して買いあさる手法を教えてきました。 バフェット氏の今の会社、バークシャーハサウェイ(Berkshire Hathaway)も実はその一つです。 バークシャーは元々、綿紡績会社でした。バフェット氏が会社に目を付け出した1960年代はアメリカでは紡績産業は既に斜陽で、そのためバークシャーも安売りされていたのです。バフェット氏はそのバークシャーに目を付け、最終的には経営権を持つまで株を買い増していったのです。 しかし時代の流れには逆らえず、多くの労使問題を乗り越えた末に、バフェット氏は結局、紡績事業から一切手を引きました。それでもその苦い教訓を絶対忘れないという意味も込めて、バフェット氏は投資会社(ホールディング会社)となった今でも、バークシャーハサウェイの名前を社名にし続けています。 投資先でもスーパーの商品でもそうですが、安かろう悪かろうではやはり駄目なのです。 優良なものを適切な値段で買うことの方が結果的に得るものが多いとバフェット氏は言いたかったのでしょう。 12 我々は永遠に株(企業)を保有し続けることを好む。
Our favorite holding period is forever.
— Warren Buffett これはデイトレーダーの方には理解し難い考え方だと思います。 なぜなら売ってなんぼの世界だからです。 でもバフェット氏はよく株を所有することは、その企業の一部を所有するということだと言います。 株の売買は宝くじのように紙切れを買って当たった、外れた、上がった、下がったというものではないと。 株で分かりにくい人は友達の事業に出資すると考えて見ると良いでしょう。 友達が資本金1000万円で事業を始めたいので、100万円出資してくれないかとあなたに頼んだとしましょう。つまり100万円が友達の会社の10%分をあなたが所有するための対価なのです。 もし友達の事業が波に乗り、初年度の利益が100万円、翌年が200万円、その翌年が400万円と上がっていったとしましょう。単純にその10%分があなたのものなのです。 それは場合によっては配当金という形で利益の一部を友達が還元してくれるかもしれませんし、更なる事業拡大のために内部留保して原資として使うかもしれませんが、いずれにしても企業の資産価値が上がり続ける以上、あなたの10%の価値も上がり続けるのです。 株を買って投資するとはそういうことなのです。 バフェット氏は本当に投資で成功した企業は持ち続けています。 大きな会社で有名なのはコカコーラや銀行のウェルズファーゴなど。 小さい会社でバフェット氏がよく例に出すのが、主に西海岸でキャンディーを製造販売するお菓子会社、シーズキャンディーです。 出資した以上に利益や会社の価値を拡大し続けてくれる以上、それらの会社を持ち続けたいのです。その方が株の売却益を狙うよりも多くの富を築けるのでしょう。 実際、コカコーラの本社があるジョージア州アトランタにはコカコーラ長者が結構いるようです。コカコーラがまだ小さな地元企業だった頃に投資し、その株を今でも持ち続けている人達やその子孫です。 13 今後10年間市場が閉鎖しても喜んで持ち続けられる株(企業)だけを買いなさい。
Only buy something that you'd be perfectly happy to hold if the market shut down for 10 years.
— Warren Buffett これは一つ前の言葉に似ていますが、価格を愛するのではなく、会社を愛しなさいということでしょう。 バフェット氏は若い頃、アービトラージで短期的に利益を出せる投資もしていました。 シガーパフ(Cigar puff)とも言われる手法で、道に落ちているタバコの吸い殻を拾い、最後のまだ残った一服だけ吸って捨てるという意味ですが、会社への投資が目的ではなく、利益を短期的に吸い取るのが目的です。 リーマンショック後、多くの企業が倒産瀬戸際に追い込まれ、株価も1株 1ドルを切る会社もたくさんありました。 得てしてそういう株は値動きが大きく乱高下して、そのギャンブル性に魅了されて、シガーパフをしていた自分の同僚もいました。 でもそれは投機で、バフェット氏はあくまで長期の視点で企業を観察し投資することを薦めているのです。 また日々の株価に一喜一憂するなとも言えるでしょう。 市場が閉まっていると思って、年に数回会社をチェックする程度でいいのです。 実際バフェット氏はストックチャートは見ず、四半期決算やアニュアルレポートを読むことに時間を費やしているそうです。 14 時の経過は優良企業にとっては仲間だが、平凡な企業にとっては敵だ。
Time is the friend of the wonderful company, the enemy of the mediocre.
— Warren Buffett 1919年、コカコーラが株式公開した時の株価は40ドル。 翌年、株は暴落し19ドルに。 でもそのまま売らずに持ち続けていれば、今では1株500万ドル(約5億円)以上。 短期的に株価を追えば平凡企業も優良企業の株も日々乱高下し、その真の価値を見失いがちですが、長期的なスパンで見ればその差は自ずと株価に反映されるものです。裏を返せば今飛ぶ鳥を落とす勢いで株価が上がっている企業でも、中身が伴っていなければ、いずれ化けの皮は剥がれ株価は下落するでしょう。 15 経営が良ければ株価は自ずとそれを反映する。
If a business does well, the stock eventually follows.
— Warren Buffett これも上記と同じ意味合いですが、 将来の株価を予測するのに過去の動向を見る人がいます。 バフェット氏に言わせればそれはナンセンスです。 過去の株価は将来の株価を何にも保証しないと。 人の心理を突くために、過去の株価を見て予測するのは結構なことですが、それよりも何よりも、会社の将来性を見抜く能力があれば、過去も未来の株価も心配する必要はないのです。
16 履歴書を良くするために好きでもない仕事ばかりするのは馬鹿げてると思うよ。まるで年寄りになるまでセックスをとっておくみたいなもんだね。 I think you are out of your mind if you keep taking jobs that you don't like because you think it will look good on your resume. Isn't that a little like saving up sex for your old age?
— Warren Buffett キャリアを登り詰めるにはそれなりのステップが必要ですが、その経験固め、履歴書を飾るために好きでもない仕事ばかりをするなとバフェット氏は言っています。その時々に一番やりたい仕事を目指せばいいと。
バフェット氏は学生時代から一番働きたかったベングラハム氏の事務所で働き始めましたが、給料なしでもいいから働かせてくれと言ったそうです。それ以来、自分のやりたい仕事だけを自分の好きな仲間だけとしてきたと言います。 決して世間体が良いからとか、親が喜ぶからとかの理由で仕事や会社を選ぶなとも言っておられました。 17 分散投資は無知を保護する手段だ。 投資を理解している人にとって、分散投資は理にかなっていない。
Diversification is a protection against ignorance. It makes very little sense for those who know what they're doing.
— Warren Buffett 大抵の投資アドバイザーは分散投資をしなさいと薦めます。 資産の何割を株に、何割を債券に、何割を定期預金になど。 分散投資の一番の目的はリスク回避です。 英語では「たくさんの卵を一つのかごに入れるな」という諺がありますが、いくつかのかごに卵を分けることで最悪の事態を防ぐということです。 しかしバフェット氏は分散投資を誰にでも薦めていません。 投資を知らない、お金の運用に興味がない人には分散投資を薦めていますが、積極的に投資をする人にはむしろ集中投資を薦めています。 バフェット氏自身、分散投資はしていないと言っておられます。 バフェット氏曰く、 「最善のアイデアに投資して大金持ちになった人はいるが、9番目、10番目に良いアイデアで金持ちになった人はほとんどいない」と。 なるほど。つまりこれから財を築こうという人にとって、みんなと同じように機会を分散していたのではなかなか大きな財は築けないということですね。 18 株式市場に見逃し三振はありません。投げられる球、投げられる球、全てを振らなくてよく、いい玉を待ち続けられるのです。
問題はもしあんたがトレーダーだと、あなたのファンが仕切りに「振れ!馬鹿野郎ー!」と野次ることです。 The stock market is a no-called-strike game. You don't have to swing at everything — you can wait for your pitch. The problem when you're a money manager is that your fans keep yelling, "Swing, you bum!"
— Warren Buffett バフェット氏は現金を持ち過ぎている時にどうも余計な買い物をしてしまうと言います。 現金がダブついていたり、日々投資情報が飛び交っていると、どうしても何かしなければという衝動に駆られるのが人の性。 これがもしファンドマネージャーのような仕事に就いている人であれば、なおさら何もしないと仕事をしていないと思われ、どうでもよい売買をしてしまいがちです。 それでもバフェット氏は動かないことの大切さをよく言います。 これは無駄な買い物をしないこともそうですが、早まって売らないということにも言えます。 1960年代、バフェット氏はディズニーに投資します。 会社の5%を400万ドルほどでと言いますから、ディズニー全体で80億円位の時価総額だった時代です。 もちろんこの買い物はバーゲンで、数年後には売却して何倍もの利回りを出します。 それでもディズニーの現在の時価総額は12兆円以上ですから、売らずに持ち続けていれば今頃は6000億円以上の価値があることになります(配当金を除く)。 辛抱強く会社の成長を見つめるというのは厳しいものですが、それが出来る人には時にこうした莫大なリターンが返ってくることがあるのです。 19 本当にすばらしいビジネスは不朽の「お堀」が存在し、それによって高い利益が守られている。 A truly great business must have an enduring 'moat' that protects excellent returns on invested capital.
— Warren Buffett バフェット氏はよく Economic Moat、「経済のお堀」という言葉を使います。 優良企業はお堀が深く広く、ビジネスや商品、サービスが守られているという意味です。 例えばかつてのゼロックス。コピー機と言えばゼロックスと言われた時代があり、英語ではコピーするという動詞がそのままゼロックスするになったほど市場を独占していました。その技術は特許で固く守られ、経済のお堀は決して崩されない時代が何年も続きました。 今日でもディズニーやコカコーラ、ジレット、グーグルなど、取って代わることが非常に難しい企業は非常に深く広いお堀で守られているのです。 バフェット氏はそういった企業への投資を好みます。 20 ウォール街は唯一、ロールスロイスで送り迎えされる人が地下鉄で通う人からアドバイスをもらうところです。
Wall Street is the only place that people ride to in a Rolls-Royce to get advice from those who take the subway.
— Warren Buffett 皮肉った言葉ですが、バフェット氏はウォール街には住んでいません。 アメリカ中西部、ネブラスカ州オマハという田舎町に住んでします。 もちろん生まれ育ったからという理由もありますが、ウォール街は雑音が多いと嫌ってもいます。もちろんここで言う雑音とは金融の雑音です。 ウォール街では目紛しい数の金融情報がもの凄いスピードで飛び交う大都市です。そんな所に住んだら、日々どうでもよい売買の衝動に駆られ、上っ面の金儲けの情報に翻弄され、本来の会社の価値を見抜き長期的な視点で投資するということに専念し辛くなります。
21 私は馬鹿でも経営できるほど優良な企業の株を買うようにしている。なぜなら遅かれ早かれどの会社もそういう人が経営するのだから。 I try to buy stock in businesses that are so wonderful that an idiot can run them. Because sooner or later, one will.
— Warren Buffett 「遅かれ早かれ馬鹿が経営者になる」とは、フィデリティーのマゼランファンドで名を馳せた投資家、ピーターリンチ氏が放った言葉ですが、バフェット氏もそれに同意しています。 世の中にはカリスマ創業者のお陰で優れた経営をしている企業があります。 ジョブズ氏が立て直したアップルや、ゲイツ氏時代のマイクロソフト、日本では孫さんのソフトバンクなどがそうでしょう。 しかしバフェット氏が好むのはそれとは全く逆の企業です。 つまり誰がトップになってもあまり浮き沈みしない企業です。 例えばコカコーラ。商品は非常に単純ですが競争力があり、既に築かれた大きなマーケットがあります。現状維持でもそれなりに安泰な企業ですよね。 またチューインガムを製造するリグリーもバフェット氏が投資した企業です。チューインガムビジネスはインターネットが出現しても、スマートフォンが出現してもほとんど影響を受けないビジネスです。みんな昔と同じようにガムを噛み続けます。ある意味ライバルも少なく、新規参入者や市場変化が乏しいビジネスですが、着実に利益を産み続ける投資先としては最高なのです。 もしあなたが経営の素人なら想像してみてください。 日々熾烈な競争にさらされているアップルやソフトバンクを経営できそうですか?それともコカコーラやリグリーの方が経営できそうですか? 自分でも経営できそうな優良企業を見つけたら投資チャンスかもしれません。 22 多くの人はみんなが株式市場で過熱しだすと興味を持ちます。 でも本当はみんなが興味がない時に興味を持たないといけない。 既に人気で上昇中の株は買えません。
Most people get interested in stocks when everyone else is. The time to get interested is when no one else is. You can't buy what is popular and do well.
— Warren Buffett リーマンショック後、自分はバフェット氏の言葉を信じて、安売りされる株をどんどん買い増していきました。当時は優良企業が驚くほどの安値で取引されておりました。結局資産の90%以上を株式市場に注ぎ込んだのです。お陰で今はそのリターンが非常に大きなものになりました。 今はアメリカの株式市場は多少過熱気味なので、徐々に市場から手を引いています。 自分が思う企業価値よりも価格が上廻り続ければ、更に手放し、またバブル崩壊した時に安値で買い戻せばいいと考えております。 大衆と違う動きをするには非常に勇気がいります。 誰もが株はヤバいと言っている中、買いに入るのですから。
特に今回のリーマンショックは100年に1度の大恐慌と言われました。 買いに入る時も必ずしも底値ではないので、値段はさらに下がり続けます。 それでも原点に戻って、この価値であろう会社にしてこの価格は安すぎると判断すれば、投資に値するのです。 幸い、当時はそういう会社が五万と存在していました。 裏を返せば100年に1度の大バーゲンセールだったのです。 本当に優良な企業まで安売りされていましたから。 今は市場が過熱しているので、優良企業のバーゲンを見つけるのは非常に難しいです。 23 25以上のIQがあれば投資での成功は頭の良さとは何ら関係ない。 それなりの頭があれば、投資で必要なのは多くの投資家を失敗に陥れる衝動をコントロールできる気質だ。
Success in investing doesn't correlate with I.Q. once you're above the level of 25. Once you have ordinary intelligence, what you need is the temperament to control the urges that get other people into trouble in investing.
— Warren Buffett 「When Genius Failed(天才が失敗する時)」という本があります。 ノーベル賞学者や多くの博士号所持者が90年代に設立したヘッジファンド、ロングタームキャピタルマネージメント(LTCM)の栄光と衰退を記したノンフィクションです。 高度な金融工学を駆使して、初年度の運用は21%の利回り、翌年は41%、その翌年は43%と、驚異的な利回りをたたき出す天才投資集団でした。 しかしその翌年、4年目にして、4000億円以上の損失を数ヶ月で出し、結局破産します。 本にも書かれていますが、結局最後は天才集団にも金欲が出て理性を押さえきれずに数式に従わない誤った投資をしたのが原因でした。 投資において本当に大切なのは平常心、理性、一貫性などの気質です。 いくら高度な金融工学や数学理論で武装固めしても、いざという時に心が迷うと、こうやって取り返しのつかない損失を被るのです。 バフェット氏の強みはまさにこの気質の一貫性です。 70年以上投資の世界で生きてきたバフェット氏は、度重なる金融市場のブームとバブルを経験してきましたが、一貫して彼は投資スタイルを変えず、踊らされることがないのです。 24 もしあなたが投資家なら資産がどう動くかに着目する。 もしあなたが投機家なら株価がどう動くかに着目する。 我々はそのゲームはしない。 If you're an investor, you're looking on what the asset is going to do, if you're a speculator, you're commonly focusing on what the price of the object is going to do, and that's not our game.
— Warren Buffett 株をやる人で、どれだけの人が貸借対照表を理解したり、損益計算書を見たり、アニューアルレポートを読んだりしているでしょうか。 個人投資家の多くは、ストックチャートは見ても、こういった財務諸表に目を通す人はあまりいないかもしれません。でもバフェット氏がするゲームはまさに貸借対照表や損益計算書、アニューアルレポートを隅から隅まで読むことなのです。 経営者に関しても深く勉強します。一方で株価はほとんど見ないと言います。 皮肉ですよね、そんな人が世界一株の投資で成功しているのですから。 25 なぜか多くの人が投資のタイミングを価値ではなく値動きから察知する。 絶対上手くいかないのは自分で理解していない投資をしだしたり、先週誰かが儲けたからといってそれを真似すること。 最も馬鹿なのが株が上がってるからといって買うことだ。
For some reason, people take their cues from price action rather than from values. What doesn’t work is when you start doing things that you don't understand or because they worked last week for somebody else. The dumbest reason in the world to buy a stock is because it's going up.
— Warren Buffett スーパーマーケットでは安売りしているとみんな喜んで買います。 値段が上がっているからといって喜んで買う人はまず皆無でしょう。 ストックマーケットでは逆のことが起こります。 株価が上がっていると、私も私もとみんな買いに入ります。 株価が下がり始めると、さらなる損失を恐れてみんな売りに入ります。 バフェット氏に言わせるとその考え方が分からないようです。 スーパーもストックマーケットも同じであると。 投資先の価値を見極めていれば、価格が安い時、すなわちみんなが市場から手を引いている時が買い時で、みんなが加熱して価格が上昇している時は売りに出るか、手を出さないということですね。 ごもっともな正論ですが、なぜかみんなそれが出来ないのが株です。 http://www.tnoda.com/blog/2013-12-15
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