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(回答先: 人類の「脱アフリカ」は定説より早かった!? 現代人は13万年前にヨーロッパに到着していた 投稿者 中川隆 日時 2014 年 5 月 19 日 21:13:45)
【ナショジオDVD】謎の人類 デニソワ人
https://www.youtube.com/watch?v=ov7p_3BJTrg
ネアンデルタール人と現生人類が地球上で暮らしていた3万年前、第3の人類“デニソワ人”が南シベリアに存在した!
異なる3種の人類は出会っていたのか?デニソワ人と我々現生人類、そしてネアンデルタール人との関係は?
わずか3点の骨と遺伝子の最新研究から、謎の人類と彼らの暮らした場所が明らかに。
シベリア南部の洞窟で見つかった化石。それは現生人類と共通の祖先をもつ“第3の人類”のものだった。
デニソワ人 知られざる祖先の物語
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20130619/354943/
シベリア南部の洞窟で見つかった化石。それは現生人類と共通の祖先をもつ“第3の人類”のものだった。
私たち現生人類(ホモ・サピエンス)とも、ネアンデルタール人とも違う、“第3の人類”。その骨の化石が見つかった。
現場は、ロシアのシベリア。モンゴルと中国、カザフスタンとの国境から350キロほど離れた場所にある、デニソワと呼ばれる洞窟だ。
二つに割った化石の行方
2008年7月のある日、そこで5万年から3万年前のものと思われる地層を調査していたロシアの若き考古学者アレクサンデル・チバンコフが、小さな骨のかけらを発見した。
大きさも形も、靴の中に入り込んでくる小石とそう変わらなかった。そのちっぽけな骨を袋に入れてキャンプに持ち帰り、古生物学者に見せたという。
古生物学者は、それが霊長類の指先の骨であることを突きとめた。
5万年から3万年前のシベリアに人間以外の霊長類がいた証拠は見つかっていないため、骨は人類のものである可能性が高かった。関節との接合部分が不完全な形状であることから、年齢は8歳ぐらいと推定された。
発掘チームを率いるアナトリー・デレビアンコは当初、その骨が現生人類(ホモ・サピエンス)のものだと考えた。以前、同じ地層から石を磨いて作った腕輪などが見つかっていたからだ。
しかし、周辺の洞窟からネアンデルタール人の化石が見つかっていたため、デニソワ洞窟の骨もまた、ネアンデルタール人のものである可能性があった。
デレビアンコは化石を二つに割った。
片方は米国カリフォルニア州の、とある遺伝学研究所に送ったが、それから何の音沙汰もない。
もう片方は、ドイツのライプチヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所の進化遺伝学者スバンテ・ペーボに手渡しで届けてもらった。スウェーデン出身のペーボは古人類のDNA研究における第一人者だ。
研究チームも驚いた分析結果
デレビアンコからの荷物が届いた時、ペーボの研究チームはネアンデルタール人の全ゲノムを解読する作業に忙殺されていた。2009年も後半になってやっと、チームの古参メンバーだったヨハネス・クラウゼが、ロシアから送られてきた指の骨に目を留めた。
ほかの誰もがそうであったように、クラウゼもまた、その骨が初期の現生人類のものであると考え、分析にとりかかった。
ペーボが不在にしていたある日、クラウゼは研究所のスタッフを集めた。
何度やっても変わらない分析結果に何か別の説明がつけられないか意見を募ったが、答えられる者は誰もいなかった。そしてついに、ペーボの携帯電話に連絡を入れた。
その時のことを、ペーボはこう回想する。
「クラウゼは最初に、私が座っているか聞いてきました。立っていると答えると、椅子を見つけた方がいいと言われたんです」
クラウゼ自身は、その日を「科学者人生のなかで最も興奮した日」と振り返る。指の骨は、現生人類のものでもネアンデルタール人のものでもなかった。
それは、まったく未知の人類の骨だったのだ。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20130619/354943/
デニソワ人、現生人類と交雑の可能性 2010.12.24
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/3587/
デニソワ人の大人の歯。デニソワ人の化石はこの歯を含め2点しか見つかっていない。
現生人類とは別系統とされる「デニソワ人」について、最近行われた遺伝子解析の結果から、現生人類の祖先と交雑していた可能性が高いことが判明した。 デニソワ人は、数千年に渡ってアジア一帯に分布していたとされる人類の一種。ロシアのデニソワ洞窟で発見された約4万年前の少女の骨をDNA解析したところ、現在パプアニューギニアに住むメラネシア人から採取したDNAと一部共通の配列が確認されたという。これはメラネシア人が現生人類の祖先とデニソワ人との交雑の子孫である可能性を示唆している。
パプアニューギニアが属するメラネシア地域は太平洋の北西端に位置する。ドイツのライプチヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所の研究員で調査に参加したベンス・フィオラ(Bence Viola)氏は、「デニソワ人がパプアニューギニアにやって来たわけではない」と話す。
「ネアンデルタール人がユーラシア大陸西部に分布していたのに対し、デニソワ人はユーラシア大陸東部に広く分布していたと考えられる。メラネシア人の祖先は、東南アジア付近でデニソワ人と出会い交雑した後、パプアニューギニアまで移動したというのがわれわれの説である」。
2010年5月には現生人類の祖先とネアンデルタール人とが交雑していたことを示すDNA解析の結果が既に公表されている。スタンフォード大学の遺伝学者ブレンナ・ヘン(Brenna Henn)氏は、さらにデニソワ人との交雑が判明したことで、人類が進化する過程では従来考えられていたよりも多くの異種間交雑が起こっていた可能性が高くなったと話す。
デニソワ人の骨の化石が見つかったのは2008年。今回DNA解析が行われたのは5〜7歳で死亡したと見られる少女の小指の骨である。
研究チームは今回の解析に先立って、骨からミトコンドリアDNAを採取しその配列を決定していた。だがミトコンドリアDNAは母親からのみ受け継がれるため、遺伝子構造の情報は細胞核DNAに比べるとはるかに少ない。
そこで新たに同じ骨から細胞核DNAを採取し、配列決定に成功した。またデニソワ人のDNA配列は、現生人類ともネアンデルタール人とも異なるとわかった。ただしネアンデルタール人とは近縁関係にある。研究チームでは、デニソワ人はおよそ35万年前にネアンデルタール人の祖先から分岐したのではないかと見ている。
デニソワ洞窟で発掘にあたったロシア科学アカデミーの考古学チームは、大人の臼歯も1本発見している。現生人類のどの歯よりも大きく、ネアンデルタール人と比較しても劣らないという。ジョージ・ワシントン大学の古人類学者ブライアン・リッチモンド氏はデニソワ人の体格について、「ネアンデルタール人と同程度か、若干大きかったのではないか」と語る。
ただし、リッチモンド氏によるとヒトの祖先の中には、「大きな歯でも体は決して大きくない個体が存在する」という。そのため、歯と体格は必ずしも比例しないと指摘する。 デニソワ人が人類とは別系統の新種であるかどうかについては、依然議論が分かれている。研究チームも慎重な姿勢を示しており、今のところ新種ではなくネアンデルタール人の姉妹群と位置づけている。
現生人類とデニソワ人が異なる種ならば、交雑によって生まれた子どもには生殖能力がなかったと考えられる。だが今回の研究でわかったように、デニソワ人のDNAはメラネシア人に受け継がれている。フィオラ氏は、デニソワ人と現生人類は同種の可能性が高いと見ている。
だがイギリス、マンチェスター大学の遺伝学者テリー・ブラウン氏はこう指摘する。「交雑していたとすれば両者が同じ種である可能性は高いが、細胞核DNAだけでは断定できない」。
ただ、現生人類、ネアンデルタール人、およびデニソワ人に遺伝子レベルでの違いが存在することは明白である。「3者は交雑が起こるまで数十万年に渡って別々の道を歩んできた。これは確かだ」とリッチモンド氏は話している。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/3587/
40万年前のヒトDNA解読に成功 2013.12.05
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8612/
スペインの洞窟で発見された約40万年前の人骨から抽出した人類最古のDNAを解読したところ、DNAの遺伝的特徴は、ヨーロッパにいたネアンデルタール人よりもシベリアにいた初期人類デニソワ人に似ていることがわかった。
Diagram by Juan Valesco and Maggie Smith, NG staff. Photographs by Robert Clark. Source: Matthias Meyer, Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology
ドイツやスペインの研究チームが、スペインの洞窟で発掘された約40万年前の人骨からDNAを抽出し、塩基配列の解読に成功した。人類最古のDNA解析結果が、初期人類の進化の謎を解明する手掛かりになると期待されている。 共通の祖先を持つ初期人類ネアンデルタール人とデニソワ人は、それぞれヨーロッパとシベリアに分布していたと考えられている。今後は、両者の拡散ルートの見直しが迫られることになるだろう。
20世紀後半、スペイン北部のシマ・デ・ロス・ウエソス(Sima de los Huesos)洞窟で、約30体分の初期人類の骨格化石が発見された。当初、ヨーロッパに分布していたネアンデルタール人との関連性を指摘されていたが、母親から子どもに受け継がれるミトコンドリアDNAを大腿骨から抽出して解読したところ、シベリアのデニソワ人とのより近縁な遺伝関係が判明した。
「ゲノム配列がデニソワ人に類似しているとは」と、ドイツのライプチヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所の人類学者で、研究チームを率いたマティアス・マイヤー(Matthias Meyer)氏は困惑を隠さない。
「ネアンデルタール人とデニソワ人の進化の歴史は非常に複雑で、他の初期人類との異種交配さえ疑われている」とマイヤー氏。
両者ともヒト属の旧人で、その出現時期は、現生人類がアフリカから世界各地に拡散した6万年前よりさらに何十万年も遡る。我々の直系の先祖ではないが、DNAに両者の痕跡がわずかに残っており、異種交配の可能性が指摘されている。
ヒト属のDNA解読は、およそ12万年前の化石にとどまっていた。
今回は、一定だった洞窟内の気温が幸いして良好な状態に保たれたDNAと、遺伝子解析技術の飛躍的な進歩が相乗効果を発揮したとマイヤー氏は説明している。
◆異種交配?
では、スペインの初期人類とデニソワ人のDNA配列の類似性はどう理解したら良いのだろうか。
いくつかのシナリオが考えられると研究チームは述べている。例えば、スペインの初期人類はデニソワ人の近縁種で、ネアンデルタール人と隣り合わせで暮らしていたが遺伝的つながりがなかったという説。
また、まったく独立した系統種であり、デニソワ人との交配によってデニソワ人のミトコンドリアDNAを受け継いだ可能性もある。しかし、これではネアンデルタール人の特徴を説明できない。
もう1つの可能性として、スペインのミトコンドリアDNAが異種交配によってデニソワ人に受け継がれたとも考えられると、イギリス、ロンドン自然史博物館の古人類学者クリス・ストリンガー(Chris Stringer)氏は推測する。
いろいろな意見が入り乱れて身元はいまだ謎に包まれており、解明にはさらなる調査が望まれる。「ミトコンドリアDNAの遺伝情報だけでは進化の過程までわからない。デニソワ人の全ゲノムを解読できれば手掛かりが得られるだろう」と同氏は期待している。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8612/
人類3種が数万年も共存、デニソワ人研究で判明
“第3の人類”のDNA分析で。現生人類とネアンデルタール人と時期重なる 2015.11.19
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/111800325/
2010年にデニソワ洞窟の発掘現場で見つかった臼歯の化石は、新しいヒト科ヒト属(ホモ属)であるデニソワ人の存在を示す重要な遺伝的証拠となった。この臼歯は、5万年以上前の女性のもの。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NATIONAL GEOGRAPHIC)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/111800325/?SS=imgview&FD=-787263934
5年前の2010年に報告されたばかりの謎多き“第3の人類”デニソワ人。その歯の化石を分析したところ、彼らは現生人類やネアンデルタール人と数万年もの間共存していたことが、11月16日付けの科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の論文で明らかになった。
我々ホモ・サピエンスの祖先が、かつて他のヒト科ヒト属(ホモ属)とユーラシア大陸を共有していたことを裏付ける研究結果である。約4万年前に姿を消したネアンデルタール人は、現生人類と数十万年もの間すぐそばで暮らしていたが、ある期間そこにはデニソワ人の姿もあったことになる。
2010年、マックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ氏率いる遺伝学者と人類学者の研究チームは、シベリア、アルタイ山脈のデニソワ洞窟で発見された指の骨が奇妙なDNA配列を示していると発表していた。
「大変興味深い場所です。全く異なる歴史を持った3種の人類が1カ所に共存していたことが分かっているのは、世界でもここだけです」と、ペーボ氏は語る。
過去に行われた指の骨と歯の分析では、現生人類にデニソワ人の痕跡が残されていることが判明した。パプアニューギニアをはじめ太平洋の島々に住むメラネシア人のゲノムの5%に、デニソワ人が貢献しているという。
デニソワ人発見のきっかけとなった骨の断片のレプリカ。進化遺伝学者スバンテ・ペーボ氏の小指に乗っている。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NATIONAL GEOGRAPHIC)
[http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/111800325/?SS=imgview&FD=1421851125
長らく見つからなかった第3の存在
だが、デニソワ人については、かつて存在していたという事実と、現代人に残したわずかな遺伝的痕跡以外にはまだほとんど何もわかっていない。彼らは一体何者だったのか? アルタイ山脈にどれくらいの期間住んでいたのか? 本当にこれほど巨大な歯を持っていたのか? それとも、たまたまこの歯の持ち主だけが変わっていたのだろうか?
ありがたいことに2010年に、デニソワ洞窟でさらなる発見があった。洞窟のもっと奥まった場所で、2本目の臼歯である親知らずが見つかったのだ。その前から研究所の倉庫に保管されていた1本目の臼歯を分析したカナダ、トロント大学の人類学者べンセイ・ビオラ氏が2本目の分析も行った。1本目の歯を調べた時は、大きさや広がった歯根から、最初はホラアナグマの歯かと思ったという。
しかしビオラ氏は、2本の歯が同じ種のもので、現生人類やネアンデルタール人のそれとは異なると結論付けた。これによって初めて、デニソワ人は大きな歯を持つ種であったことが強く示唆された。
大きな歯を持ったデニソワ人とは、どのような外見をしていたのだろうか。親知らずの形は持ち主によってさまざまだが、「巨大な歯根を持った大きな歯には、巨大なあごが必要であることは間違いありません」と、ビオラ氏は言う。
DNAの謎
最近の遺伝学の目覚ましい発展は、人類史の研究にも大きく貢献している。
マックス・プランク進化人類学研究所のスザンナ・ソーヤー氏率いるチームは、化石の中で長期間良好な状態で保存されるミトコンドリアDNAを調べ、2本目の臼歯の分析と年代測定を行った。
シベリア、アルタイ山脈のデニソワ洞窟で発掘調査中に休憩を取る学生のゾーヤ・グドコバさん。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NATIONAL GEOGRAPHIC)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/111800325/?SS=imgview&FD=1422774646
デニソワ人のきれいなDNAを見つけ出すのは容易ではなかった。現生人類、現代および古代のバクテリア、それに洞窟をあさっていた古代のハイエナなどの混入物を特定し、排除しなければならないのだ。
ようやく2本目のミトコンドリアDNAの解析が終わってみると、歯はやはりデニソワ人のものであることが確認された。また、新たなDNAによって、洞窟で見つかった3体分に共通する祖先のミトコンドリア・ゲノムを復元させることも可能となった。
共通祖先のDNAのおかげで、ゲノムの突然変異率から年代を推定できるようになった。共通祖先の生きていた頃に近い時代に死んだデニソワ人は、もっと後の時代のデニソワ人よりも突然変異したゲノムの数が少ないはずである。ソーヤー氏は、2本目の歯の突然変異の数が、1本目の歯および小指の骨と比較すると半分しかなかったことを突きとめた。すなわち、こちらの方が古いことになる。
この歯の持ち主であるデニソワ人は、もうひとつの歯と指の骨の持ち主たちよりも約6万年も前に生きていたことを示唆している。この簡単な人類の系譜が示すように、デニソワ人は単一の種として、少なくとも現生人類と同じくらいの期間この地域に断続的に存在していたということだ。
外見はまったく不明
しかし、まだ研究すべきことは数多く残されている。
第一に、デニソワ人の化石の断片が5万年以上前のものだということ以外は分かっていない。放射性炭素年代測定によって特定できる古さは、ここまでが限度なのだ。
また、人類の系譜の枝分かれについても、最新の研究と2010年のそれには相容れない部分がある。2010年の研究は細胞に含まれる核DNAを分析したものだが、ミトコンドリアDNAを使用した今回の研究の結果、これまで考えられていたほどネアンデルタール人とデニソワ人は近縁ではないかもしれないことが示唆された。
2010年の研究によれば、ネアンデルタール人とデニソワ人は近縁種だった。DNAを比較した結果、現生人類は彼らからおよそ50万年前に枝分かれしたと考えられる。(CHIP CLARK, SMITHSONIAN INSTITUTION)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/111800325/?SS=imgview&FD=1423698167
また、デニソワ人の外見や体の動き、行動も謎に包まれたままだ。「おかしな話ですが、遺伝学的見地からは彼らのことはよく分かっているのですけれど」と、英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの人類学者マリア・マルティノン・トレス氏は言う。同氏は、この研究には関わっていない。
けれども、今後アジア各地からデニソワ人の化石が出てくる可能性はある。初期人類ホモ・エレクトスまたは現生人類のものと誤って分類されて、博物館に保存されているかもしれないのだ。中でも、最近中国南部で発見された8万〜12万年前のヒト属の歯は、人類拡散の歴史を書き換えるかと話題になったが、現代と古代の特徴を兼ね備えており、デニソワ人の歯にとてもよく似ている。(参考記事:「アジアでもデニソワ人と交雑の可能性」)
中国のヒトの歯を分析したマルティノン・トレス氏は言う。「本当にデニソワ人のものがあっても私は驚きません」
DVDの詳しい紹介はこちら。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/111800325/
チベット人の高地適応はデニソワ人由来 2014.07.03
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9430/
現生人類における自然環境への適応の特に顕著な事例は、近縁種との異種交配によって起こった可能性がある。 チベット人の生理機能は、大気中の酸素濃度の低い高地での生活に適応している。これはネアンデルタール人と共通の祖先を持つ初期人類のデニソワ人との異種交配の結果である可能性が高いことが、最新の研究によって明らかになった。
今年はじめにも、現代人の多くがDNAの一部をネアンデルタール人から受け継いでいるという研究結果が発表されている。これと並んで今回の研究も、現代人のゲノムがさまざまな人類種の“複雑なタペストリー”であることを示すものだ。また今回の研究は、現生人類の繁栄の一因として、これまで見過ごされてきた要素を指摘している。現生人類は近縁種との異種交配によって、その土地に適応しやすい身体的特性を手に入れてきた可能性があるというのだ。
「こうしたことは人類史の中でたびたび起こっており、今回たまたまこの事例を確認できただけ、と考えるべきであろう。近縁種からの遺伝子の継承は、私たちの進化にとって重要であったと考えられる」と、カリフォルニア大学バークレー校のラスムス・ニールセン(Rasmus Nielsen)氏は言う。
◆高地での生活に適した遺伝子
ニールセン氏らのグループはこれまでの研究で、現代のチベット人には、代謝経路に関係する遺伝子「EPAS1」に変異が見られることが明らかになっていた。低酸素環境における身体反応を制御するものであるため、ニールセン氏らはこのことが、チベット人が高地で生き延びる上で重要な役割を果たしてきたのではないかと推測した。
海抜の低い地域に住む人が高地に行くと、その身体は血中で酸素を運ぶタンパク質であるヘモグロビンの量を増やして適応しようとする。ところがチベット人のヘモグロビン量はそれほど多くないので、ヘモグロビン濃度の上昇に伴う心臓への負担を避けられている可能性がある。
チベット人の女性にはさらにメリットがある。妊娠中も高血圧になりにくく、高地での出産がさほど負担にならないのだ。
ところが、チベット人のこの遺伝子の変異は、これまで知られている人類の移動のパターンに当てはまらず、遺伝子の出どころを突き止められなかったとニールセン氏は言う。
そんな中、シベリア南部の洞窟で見つかった骨の断片から、デニソワ人という人類の近縁種の存在が2010年に確認された。発見された骨は小さかったが、ゲノムをほぼ完全に確認できた。
今回の研究で、ニールセン氏のグループはチベット人40人と、中国の漢民族40人からDNAを採取し、デニソワ人のゲノムと比較した。その結果、デニソワ人のEPAS1遺伝子は、チベット人のものとほとんど同一であることが確認された。
「(異種交配による)遺伝子移入なしにこれほどの一致が見られる可能性はゼロだ」とニールセン氏は言う。
現生人類とデニソワ人の異種交配が起こったのは3万〜4万年前のことだろうとニールセン氏は言う。親しく交流していたかは不明だが、デニソワ人のDNAがその周辺の地域で現生人類の遺伝子プールに流入するのに十分なだけの関係はあったようだ。その後、現生人類がチベット高原に移り住む際に、デニソワ人に由来するEPAS1の変異が有利に働いたようで、自然選択の結果、現在この地域に住む人の大部分にこの変異が見られるのだという。
◆先住民との交流
ドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所に所属する古遺伝学のスバンテ・ペーボ(Svante Paabo)氏は、デニソワ人の化石のDNA配列の分析を率いた人物だ。ペーボ氏は今回の研究の結論に同意している。「今回の研究は、人類の適応の特に顕著な事例がデニソワ人に由来していたことを示すものだ」とペーボ氏は言う。
ただし、デニソワ人とチベット人において、EPAS1遺伝子が同じように機能したかどうかは分からないとロンドン自然史博物館の古生物学者クリス・ストリンガー(Chris Stringer)氏は指摘する。それでも今回の研究は「近縁種との異種交配を経て私たちのゲノムに“パッチワーク”的な追加が起こったことを示す新たな事例をもたらした」とストリンガー氏は言う。
ニールセン氏の推測では、こうしたシナリオは先史時代に何度も起こっており、そのおかげで現生人類は、約6万年前にアフリカを離れてから、目覚ましい早さで新しい環境に適応できたのだという。変異が自然に起こるのを待つのではなく、すでにその土地に適応した近縁種との異種交配を試みたのだ。
文化面の移入もあったかもしれないとニールセン氏は言う。ただ今のところは、現存する遺伝情報のほかには手がかりがない。
「初期人類からの遺伝子の流入は、現生人類の生理機能に重要な役割を果たしてきた。将来的にはほかにも同様の事例を確認できるだろう」とペーボ氏も言う。
ニールセン氏らのグループによる今回の研究結果は、7月2日付で「Nature」誌に発表された。
PHOTOGRAPH BY LYNN JOHNSON / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9430/
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