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経済は何処へ?
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投稿者 中川隆 日時 2015 年 9 月 30 日 07:01:36: 3bF/xW6Ehzs4I
 

(回答先: 大富豪投資家ジム・ロジャーズ氏の奇妙なコメント 投稿者 中川隆 日時 2015 年 8 月 10 日 23:15:14)


Paul Craig ROBERTS 2015年9月4日

大企業資本主義の大きな問題は、公開会社は、計画対象期間が短いことだ。非公開会社とは異なり、公開会社の最高幹部は、一般に、熟年になってから、そうした地位につく。その結果、彼等が財産を築くには数年しかない。

改革主義者や議会の近視眼の結果、最高幹部の年間給与は上限が、100万ドルに制限された。これを越えた金額は、企業は、経費として控除できない。例外は、上限の無い“〜関連”手当だ。結果として、幹部給与の大半は、ボーナスの形をとっている。業績とは企業の株価上昇を意味する。

業績ボーナスは、誠実に、優れた経営で得られる場合もあれば、企業利益の増加をもたらした単なる幸運による場合もある。ところが、“ ボーナスを、合法性があやしい手口で得る方法は多数あるが、そうしたことのほとんどが結局は、幹部と株主にとっての目先の利益と、企業と経済にとっての、長期的損失という結果になる。

アメリカ人労働者を、外国人労働者で置き換えるのも一つの方法だ。ロシアと中国での共産主義の崩壊と、インド社会主義の崩壊のおかげで、インドや中国の活用不十分な労働力が、アメリカ企業に利用可能になった。“株主至上主義者”に後押しされて、ウオール街や、大手小売企業や、アメリカの製造会社は、アメリカの製造工場を閉鎖し、アメリカに売り込む製品の製造を、後にはサービスを、海外移転し始めた。

幹部と株主の短期的利益という観点からは、この判断はつじつまが合っている。しかし、例えば、どうやら、一つも工場をもたないアップル・コンピューターで起きた様に、製造会社から、マーケティング会社への変身は、長期的には戦略的誤りだった。製品の製造を海外移転することで、アメリカ企業は、技術、工場や、事業ノウハウを、中国に移転したのだ。今や、アメリカ企業は、ワシントンの阿呆連中が、敵へと変えようと尽力している国、中国に頼っている。

研究、開発やイノベーションが、製造プロセスから切り離された不毛な環境で成功するのは困難なので、これらの重要な機能が、研究、開発やイノベーションが、製造プロセスと結びついているという事実は更なる否定的側面を意味する。時間とともに、アメリカ企業は、製造企業から販売組織へと変身し、業務プロセスとのつながりを失い、これらの機能も、製造業雇用とともに、外国に移転されてしまうのだ。

製造業雇用の海外移転で、アメリカ人の高付加価値で高賃金雇用は減り、アメリカ中流階級は縮小した。出世階段は取り払われた。所得と富の配分は悪化した。実際、1パーセントは、アメリカの所得とGDPを中国に引き渡すことによって益々裕福になったのだ。企業の海外移転を喧伝した経済学者連中は、失われた製造業雇用にとって代わる、新しくより良い雇用を約束したが、私が長年、指摘している通り、雇用統計発表にも、10年間雇用予想にも、こうした約束された雇用の兆しは皆無だ。

雇用の海外移転は製造業から始まったが、高速インターネットの勃興が、ソフトウエア・エンジニアリング、情報技術、様々な種類のエンジニアリング、建築、会計や、MRIやCTスキャンの判読さえ等の、交易可能な専門能力の海外移転を可能にした。大学卒業生の雇用や出世の道も海外に移転され、アメリカ人には与えられない。アメリカに残された雇用の多くは、アメリカでは人材が不足しているという、明らかに偽りの主張に基づいて、H1-Bや、L-1就労ビザで入国してくる外国人労働者に与えられる。

幹部ボーナスの増加と株主のキャピタル・ゲインは、アメリカ経済の成長可能性を引き下げて、何百万人ものアメリカ人の今後の経済的見通しを破壊することによって達成された。長期的には、世界大国としてのアメリカの終焉を意味する。2004年に私が予想した様に“アメリカは、20年で第三世界になるだろう”。

雇用の海外移転が続き、1パーセントに捧げる為の残り利益が減少するにつれ、短期的強欲は、重役と株主の利益の為に、企業もアメリカ経済も破壊する新たな方法に取りかかった。公益企業の重役連中は、例えば保守や改良をするより先に、資金を自社株買いに使うのだ。もし、一体なぜ、お住まいの地域で高速インターネットが使えなかったり、電気が頻繁に停電したりするのか不思議に思っておられるのであれば、恐らくこれが理由だ。

重役は企業の利益を、自社株買いにも使い、利益が不足する時には、幹部は自社株を買う為、企業への銀行融資を手配する。重役“給与 ”は上がるが、企業は一層負債を抱えることとなり、不況や外国企業との競争に対し、更に脆弱化する。近年、自社株買いと配当が企業利益の大半を使い切り、leaving企業からbereft of更新や引当金。

公営企業資本主義の短期的な計画対象期間は、天然資源や環境に関しても明らかだ。ハーマン・デイリー等の生態経済学者達が、環境破壊は、企業が、その活動による廃棄物費用の多くを損益計算書から外し、環境に押しつけている結果だという事実を立証した。人為的に企業利益と株価を上げる他の方法が種切れになると、企業は公害抑制措置に激しく立ち向かうことになる。例えば、メキシコ湾で拡大しつつある巨大な死界の様に、環境が新たな資源を生み出したり、ゴミや公害を吸収したりする能力が減少するにつれ、地球の生命を維持する能力は弱まるのだ。

大企業が環境に押しつける、外部あるいは社会的費用を低減する為、リチャード・ニクソン大統領が環境保護庁を設置した。ところが公害産業は、シカゴ大学の経済学者ジョージ・スティグラーが予言した通り、この役所の乗っ取り、あるいは占拠をもたつくことはしなかった。

経済理論の基盤は、人工の資本が天然資本の完璧な代用品であるという馬鹿げた前提だ。つまり、もし環境が使い尽くされ破壊されても心配に及ばないのだ。イノベーションと技術が自然に置き換わるのだ。経済理論のこの馬鹿げた基盤が、生態経済学者が何故、極めて少ないのかという理由だ。経済学は環境については心配しないようにと教えるのだ。

要するに、1パーセントの連中は経済の潜在力や他の全員を犠牲にして私腹を肥やしているのだ。

現在、経済は一体どういう状態なのか、と多くの読者は思っておられよう。私は占い師ではない。それでも様々な物事は明白だ。アメリカでは消費者需要は、膨大な借金と、実際の世帯平均所得増加の欠如で制約されている。アメリカの消費者が制約されている証拠は、精彩を欠いた不動産売り上げや、工場受注額の年間前年比減に現れている。9月2日、ゼロ・ヘッジは、工場受注額が9ヶ月連続で下落していると報じた。

私が指摘した通り、月齢就業統計発表は、常に誇張されており、大半は低賃金の、パートタイム、国内サービス業雇用だ。何百万人もいる求職意欲喪失労働者を数に入れていないのだから、5.3%の失業率は、まやかしだ。回復とされるものとは反対に、実際、雇用の欠如が、就業率が連続して低下している原因なのだ。9月1日、Economic Cycle Research Instituteが、アメリカ政府の学歴別就業率データが、高校や大学卒業証書を持った人々の就業率は、経済回復とされるものが2009年6月に始まった時よりも、今の方が低いことを示していると報じた。唯一、雇用が増えたのは、高校卒業証書がない人々のもので、アメリカで得られる一番低賃金の仕事だ。明らかに、こうしたものは、いかなる消費者需要回復を生み出す雇用ではないのだ。そして、明らかに教育は解ではない。

大見出しのニュースになる、ワシントンの主要な経済指標発表、失業率、雇用統計、GDPや、消費者物価指数は無価値だ。失業率は、何百万人もの失業者を含んでおらず、インフレを実際より小さく見せる為、CPIは操作されており、インフレが実際より小さく見せられいるので、本当のGDPは過大報告されているのだ。実際、私の意見でも、shadowstats.comの経済統計学者、ジョン・ウィリアムズによる、インフレ是正でデフレートした名目GDPは、基本的に回復とされる時期の成長を示してはいない。政府や経済マスコミが、経済成長と呼んでいるものは、本質的に、価格上昇かインフレなのだ。

アメリカでは起きているのは、何十年にもわたる成功で蓄積された体制内のあらゆる剰余金が使い果たされつつあることだ。極少数の巨大銀行の不良金融資産を購入する為、何兆ドルもの札を印刷すると連邦準備金制度理事会が決めているので、アメリカ人の貯金からの利子収入は皆無だ。言い換えれば、公共の利益に尽くすというプロパガンダと逆に連邦準備金制度理事会は判断し、連邦準備金制度は、アメリカ国民やアメリカ経済ではなく、ごく僅かの大き過ぎる銀行に尽くすために存在しているのだ。組織として、連邦準備金制度理事会は余りに腐敗しており、閉鎖されるべきなのだ。

下落は長く続き、貯蓄のかなりの部分を食いつぶす可能性があるので、高齢者は株式市場を避けるものだ。同じことが、長期債にもおこり得る。それゆえ、高齢の人々は、より短期の金融証券を好むのだ。連邦準備金制度理事会のゼロ金利政策で、高齢者達は、生活水準の崩壊を防ぐため、心の平安や、相続人を犠牲にして、貯蓄を使い果たしつつある。高齢者も失業している子供達や孫達を支援する為に、貯蓄を引き出している。世帯の形成や、一人で生きることさえ支えられる雇用を見つけられずに、多くの若いアメリカ人学卒者が両親や祖父母と同居しているが、私の人生ではこれまでには見られなかった状況だ。

その間も腐敗した経済マスコミは、明るい経済ニュースをたっぷり浴びせてくれる。

多くの読者は、株式市場下落がおわったかどうかを知りたいだろう。まだどうなるかわからない。二つの対抗勢力が活動しているというのが私の考えだ。利益と経済見通しからすれば、株式は過大評価されている。ところが、経済がうまく行っているという見かけが、ワシントンの権力者にとって重要なので、市場を支援する為に介入する、アメリカ財務省/連邦準備金制度理事会のチーム、Plunge Protection Teamが導入された。ウオール街は、1988年に、チームを作らせることに成功したが、低迷している近頃、それが活動している兆しがある。例えば、市場が下落している時、突然に強い買いが現れ、下落を止めている兆しがある。通常、下落を、買いのチャンスと解釈する楽観的な買い手は、下落が終わるまで待つものだ。彼等は下落のさなかには買い込まない。

現在、大半の株式購入は、投資信託会社や年金基金等の資産運用会社によるものだ。個人は市場では大した割合を占めていない。資産運用会社の実績は、同業者と比較して判断される。同業者連中と一緒に、上がったり、下がったりしている限り、彼等は安全だ。政府が市場を支援していると専門家達が判断すれば、専門家も市場を支援する。この振る舞いは、強欲によって強化されている。参加者達は、市場下落ではなく、上昇を望んでいる。それゆえ、たとえ資産運用会社が、株はバブルだとわかっていても、Plunge Protection Teamが市場を支えていると彼等が考えている限りは、彼等もバブルを支持するのだ。資産運用会社の頭にある不明な疑問は、財務省と連邦準備金制度が割高な市場を断固維持するつもりなのか、それとも、単に、有力なコネがあるお仲間が脱出できるだけの十分な時間、持ち続けているだけなのかだ。時が経てば分かるだろう。

私の著書、The Failure of Laissez Faire Capitalismと、Economic Dissolution of Westは、雇用の海外移転によってもたらされた損害と、環境が経済成長に対する制約ではないという、経済学者の間違った前提を説明している。

マイケル・ハドソンは違う側面を扱っており、経済の金融化と、かつて実物の製品生産やサービスに融資していたものから、経済のあらゆる生気を吸い取って、自らの利益にする、金を搾り取るヒルへの金融部門の変容を説明している。私は最近、パム・マーテンスの著書、Killing The Hostの書評へのリンクを掲載した。

もし、私の本と、マイケル・ハドソンの本、そしてハーマン・デイリーの本一冊を読者が理解されれば、読者は経済学者よりずっとしっかり経済学を把握されたことになる。頑張って頂きたい。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-f029.html  

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