http://www.asyura2.com/12/warb10/msg/218.html
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(回答先: 日中関係の悪化は、フクシマよりはるかに大きなリスクを日本経済に与える 想定以上の実体経済悪化 安倍新総裁の「上げ潮」 投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 28 日 19:13:15)
小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!
中国をボロクソ非難する大統領候補
2012/09/28 (金) 16:21
初めに次の英文を読んでみて下さい。英語が嫌いだという方は、日本語の訳だけでも結構です。但し、以下の文章は、適当に抜粋したものであって、繋がった文章ではないので、その点ご注意ください。
President Obama and I both care about poor and middle-class families. The difference is, my policies will make things better for them.
「オバマ大統領と私は、両方とも貧しい家庭や中流階級の家庭について心配している。両者の違いは、私の政策の方が、彼らの生活を良くするということだ」
I know what it takes to get this economy going again. I care about the people of America. And the difference between me and President Obama is I know what to do and I will do what it takes to get this economy going.
「私は、経済を再び活発にするには何が必要かが分かっている。私はアメリカの国民のことが心配である。そして、私とオバマ大統領の違いは、経済を活発にするために何が必要であるかを私は分かっており、そして私はそれを実行するということだ」
One of the nations that has cheated over the years has been China. They've artificially held down the value of their currency. And by doing that, the prices of their products are artificially low. And when their prices are low and then they compete with our manufacturers, our guys go out of business and people lose jobs.
「長年に渡って我々を騙してきた国の一つが中国である。彼らは、自分たちの通貨の価値をわざと
低くしている。そして、そうすることにより中国製品の価格は人為的に低くなっている。中国製品の価格が安くて、米国の製造業者と競争するとき、我々の仲間たちは仕事がなくなり失業してしまう」
I'm going to crack down on China. They should not steal our jobs unfairly. That can't continue.
「私は、中国を厳しく取り締まるつもりである。彼らは、我々から不公正に職を奪ってはならない。そうしたことが続くことがあってはいけない」
さあ、如何でしょう?
発言の主は誰なのでしょう?
それはいうまでもなく、共和党の大統領候補のロムニー氏なのです。
それにしても、はっきりといいますよね。中国を厳しく取り締まる、だなんて。何故取り締まるのかと言えば、中国が通貨の価値を不当に低くしている‥つまり、通貨のmanipulatorだからだ、と。
ただ、これと同じようなことを4年前にオバマ大統領も言っていたことを憶えているでしょうか?
大統領選のさなかに、オバマ大統領候補は中国が人民元の価値を低く抑えていることを問題視し、そして、その考え方を財務長官になる前のガイトナー氏も支持していたのです。
しかし、実際にオバマ氏が大統領の就任すると一気にトーンダウン。manipulatorなんて言葉は
もう二度と使わなくなってしまうのです。それどころかガイトナー財務長官が、オバマ大統領の真意を伝えるためというか、釈明のために北京を訪れ、そして学生たちの失笑を買ったことをお忘れでしょうか? それだけでありません。半年に一度、議会に提出することになっている為替に関する財務省の報告書も、中国に気を使ってか公表が遅れたりしたことがあるのです。
何故?
つまり、政権に就く前には、どんなことでも政治家は言える、と。しかし、一旦責任のある立場に立つと、相手側のあることであり、そしてまた、自分たちの主張が100%正しいなんてこともないので、自ずから発言ぶりがトーンダウンせざるを得ないのです。
いずれにしても、米国の製造業関係者は、こうして政治家が中国を批判する声を聞いて一時的に欲求不満を解消することはできる訳ですが‥しかし、現実に中国を厳しく取り締まるなんてことはとてもできるものではなく、今でも中国は為替レートを好きにコントロールしているのです。
但し、その中国も、一方ではバブルやインフレの懸念もあるために、為替レートにだけ注意を向けていればいいと言う訳でもないのです。つまり、バブルやインフレを未然に防止するために、ある程度人民元の価値が上がることを認めなければいけない状態にもあるのです。
以上
米国の超緩和策が恵みの雨になる可能性
2012/09/26 (水) 14:28
今月13日、FRBはQE3を実施すると発表した訳ですが‥QE3なんて言い方をするのは止めましょう。何故なら、FRB自身がそのような言い方をしている訳ではありませんし、それに、「QE=量的緩和措置=長期国債の大量購入」という図式が多くの人の頭のなかに刷りこれているかと思う一方で、今回のQE3には長期国債の購入が全く含まれていないからなのです。購入の対象になるのは、住宅ローン担保証券であって長期国債は含まれない、と。
ただ、いずれにしてもそうして連銀が追加的に住宅ローン担保証券を購入すれば、それによって大量の資金が市場に放出されることが期待されるのです。
さて、ここで皆さんに質問したいと思います。
アメリカがこのように非伝統的な政策まで動員して超緩和策を実施することは、日本にとって不利になるのかそれとも有利になるのか?
さあ、如何でしょう?
常日頃円高の弊害を訴えている人々は、直ぐ答えが出るでしょう。
そうなのです、アメリカが超緩和策を実施するとドル安円高を引き起こすので、日本にとっては不利になる、と。
確かに、米国が超緩和策を実施した結果、米国の金利が低下することになれば、ドル安円高が進む可能性が大きいのです。(否、現実を踏まえて言えば、実際に金利が低下しなくてもドル安円高が進むことがあり、今回もQE3発表後にはそのような現象が起きたのです。)
従って、日本サイドには、米国が超緩和策を採用することに警戒する人々が多いのも事実でしょう。
しかし、その一方で、米国の景気回復のスピードが遅いままでは日本の米国向け輸出が増加することもなかなか見込めません。つまり、日本としては、米国の景気がよくなるということは、日本の米国への輸出が増えることを意味するので、それならむしろ超緩和策を歓迎すべきだということにもなるのです。
ということになれば、米国が超緩和策を実施してもドル安円高がそれほど進むことはなく、その一方で、米国の景気回復に大きく貢献するような事態になることが望ましいということになるのですが‥では、今後そのような状態に米国がなる可能性があるかと言えば‥為替のことについては何とも言い難い面があるとしても、米国の景気が今回の超緩和策によって一気に上向くと予想をする人は殆どいないでしょう。
それはそうでしょう、米国の失業率は依然として8%台にあり、それが5〜6%台に低下するのに何年かかるか分からないというのが正直なところであるからです。
だとすれば、今回の米国の超緩和策によって、我が国が利益になることは殆ど考えらえないのでしょうか?
実は、こうして米国が超緩和策を打ち出したことに対して、異議を述べている国があるのをご存知でしょうか?
そうなのです、ブラジルと中国が超緩和策を批判しているのです。
彼らは何を怒っているのでしょうか? 彼らの不満というのは、そうやって米国が超緩和策を採用すれば、自国通貨の価値の上昇が起き、自分たちの輸出競争力が奪われてしまうと文句を言っているのです。でも、通貨価値の上昇が起きそうなのは、それら2か国だけではないのです。例えば、韓国のウォンだって、この米国の超緩和策の発表後、大きく価値を上げているのです。
つまり、アメリカが超緩和策を打ち出したことによって、再びリスク・オンにスイッチが入り、その結果、韓国を含む新興経済国の通貨に上昇圧力がかかっているのです。
従って、韓国との輸出競争上苦しい立場に追い込まれている我が国の輸出企業からすれば、少しばかりの恵みの雨になる可能性もあるのです。但し、リスク・オンのスイッチが入り過ぎると‥もうお分かりだと思うのですが、またしてもバブルが起こる可能性があるのです。
いずれにしても円高については、対ドルとの関係だけで考えるのではなく、特にウォンや人民元との関係で考えることも必要なのです。
以上
ギリシャのユーロ離脱の可能性
2012/09/27 (木) 13:45
ギリシャはユーロを離脱した方がギリシャ自身のためになる、というのが私の考え方でした。もちろん、私なんかが言ったところで真剣に聴く人は少ないと思うのですが、ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授が言うのであれば、少しは話が違うのです。(もっとも、金融政策に関する考え方は相当に違うのですが‥)
ただ、誰がそんなことを言おうと、欧州の関係者が皆、ギリシャのユーロ離脱はあり得ないと言い、そして、ギリシャ自身もユーロ圏に留まりたいと思えば、ギリシャのユーロ離脱などあり得ないのです。
でも、それは今までの話。
というもの、幾らギリシャや欧州の関係者がギリシャのユーロ離脱に反対しようとも、いつまでもそうすることができなくなってきているからです。つまり、もはやギリシャのユーロ離脱に反対することはsustainableではなくなりつつあるということです。もっと言えば、嫌々ながらギリシャがユーロを離脱させざるを得ないときが近づいている、と。
この9月、ECBの無制限の国債買い入れ策を好感して、つかの間の静けさを回復したかに見えたユーロ圏。しかし、そのユーロ圏が再びざわついているのです。
26日、スペインとギリシャで、デモ隊と警察の衝突が起きたと報じられています。
何故、この両国で再びデモが起きるのか?
スペインは、ECBに国債を買い支えてもらうことで苦境を脱出する筈ではなかったのか? そして、ギリシャについては、IMF、EU、そしてECBからなるトロイカと交渉が行われていたのではないのか?
先ずスペインについては、ECBがドイツの強い反対を押し切って、関係国の国債を無制限に購入する措置を決定したとはいうものの、肝心の当事者がECBに申請しないことにはそうした措置が発動されることはないため、まだまだ宙ぶらりんの状態になっているのです。
では、何故スペインが迅速に国債の買い支えを申請しないかと言えば、仮にそうするならば、その前提として厳しい緊縮策を受け入れざるを得ず、しかし、厳しい緊縮策に対しては国民の反発が予想され‥というかこうして現に国民がデモを繰り広げている訳ですから、なかなか決心がつかないのでしょう。
しかし、スペイン政府がそうやってぐずぐずしているために、またしてもスペイン国債の利回りが上昇をしているのです。
では、ギリシャはどうなっているのか?
ギリシャについては、これまでの債務削減だけではギリシャが今後財政再建を果たすことが見込まれず、さらなる債務削減(債務再編)が必要だとIMFが主張しているというのです。
まあ確かに、今の欧州の経済状況からすれば、ギリシャが税収を確保し財政再建を軌道に乗せるのは至難のこととだと思われるのです。IMFが言うように、再度債務削減の内容を見直す必要があるかもしれません。しかし、仮にそうだとしても、一旦話がまとまった筈であるのにまたしても債権者側に大きな負担を求めるというならば、債務者側にもさらなる負担が求められることになるでしょう。つまり今まででさえ余りにも厳しい緊縮策であったのに‥そして、そのためにまだまだ実行されていないことも多いのに、その上に更なる緊縮策を呑むなんて到底考えられないのです。
因みに、IMFの更なる債務削減案に対して、EUは今のところ反対をしているようなのです。
それはそうでしょう。ギリシャを支援するためにギリシャの国債を購入して上げた欧州各国とECBが、その債権を放棄しなければいけないとしたら、全然話が違い、主権者である国民に対しても説明がつかないからです。
一方、IMFのギリシャに対する債権はどうなるのかと言えば、ギリシャの債務削減の対象には含まれないのだ、と。
それはそうでしょう。最後の砦のIMFの融資が、債務削減の対象になるのであれば、IMFが最初から無償でお金をギリシャにプレゼントするのと同じことであり、そうなると結局、IMFに多額の資金を拠出或いは融資している日本などの負担になってしまうのです。
だから、IMFはどうしてもギリシャに対する債権を放棄することはできない。
かといって、ギリシャの更なる債務削減が認められないとすれば、後は誰かがギリシャに更なる融資を行わなければギリシャは破綻するしかなくなる訳ですが‥今更ギリシャにお金を出していいなんていう国はないのです。
では、ギリシャはどうすべきなのか?
もし、彼らがどんな緊縮策でも受け入れる覚悟ができ、そして、如何なることがあっても今後デモなどを起こすことがないというのであれば、それならそれで支援が継続して、遠い将来ギリシャが再生することも考えられないではないのです。
しかし、ギリシャの国民は、今でさえもう我慢の限界を超していると感じているからこそデモを行っているのに、更なる犠牲にどうやったら耐えることができるのでしょう?
そしてまた、ギリシャに対して支援をしている国々や関係機関が、ギリシャの債務削減をこれ以上求められても、もはやこれまで以上の協力ができないとなれば、結局、ギリシャは財政破綻をしてユーロ圏に留まるのか、或いは、破綻をしてユーロ圏を去るしかなくなるのです。
もちろん、財政破綻をしたからといって、必ずユーロ圏を去らないといけないとは言えないのですが、しかし、財政破綻をして完全に借金をチャラにしてもらった暁には、むしろユーロを一旦離脱して、そしてドラクマに復帰した方が、通貨安の恩恵を享受できるので経済と財政の再建は遥かに
早く実現できると思うのです。
もちろん、その選択はギリシャ自身と欧州の関係者の気持ちにかかっている訳ですので、私がとやかく言うことではないことなのですが‥
以上
中国をボロクソ非難する大統領候補(16:21)
ギリシャのユーロ離脱の可能性(09/27)
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http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/09/28/017186.php
タカ派で知られる安倍自民新総裁、外交では現実主義者
2012年 9月 28日 7:58 JST
記事
【東京】安倍晋三元首相が政治舞台の最前列に舞い戻ったことで中国や韓国からの反発が強まると見られるが、タカ派のナショナリストの政治姿勢とは裏腹に、安倍氏は外交に関しては現実的に計算高く進めてきた。
画像を拡大する
AFP/Getty Images
安倍晋三元首相(26日)
安倍氏の総裁再登板が26日に決まった自民党は、最近の世論調査で与党民主党を上回る支持を獲得している。そのため、次回総選挙で自民党が勝利した場合に、安倍氏が中韓との関係改善を図るために1970年代に反共産主義のリーダー的存在とみられていたニクソン米大統領が突然中国を訪問した「ニクソン訪中」のような外交を再現する意向があるかが注目されている。
安倍氏は首相に就任した2006年、小泉純一郎元首相が政権を握っていた5年間に冷え切った中韓との関係修復を目指して就任後初の外国訪問先にこれらの国を選び、反対派を驚かせた。
小泉元首相による靖国神社への参拝は、多くのアジア近隣諸国から戦時軍国主義の象徴と見られており、中国や韓国から強い反発を受けるとともに、中国では大規模な反日運動を引き起こす要因となった。靖国神社には戦犯を含む戦死者が祭られている。
小泉政権下で日本の平和憲法の改正を目指し、タカ派として知られた安倍氏自身も、首相に就任する前は靖国神社を参拝していた。
上智大学の中野晃一教授は、安倍氏が小泉氏の後任として首相に就任した時点で同氏はすでに「タカ派として知られていた」が、「安倍氏の下で中国と韓国との関係を立て直す方向に向かい、同氏も靖国参拝を控えた」と説明した。
安倍氏は自民党総裁就任後の会見で自身の6年前の訪中に言及し、「日中関係は極めて重要」と強調した。また、「国益がぶつかっても、お互いがお互いを必要としているという認識を戦略的に考えながら、事態をコントロールしていこうという考え方に変わりはない」と述べ、「互いに切っても切れない関係」であるとの見方を示した。
しかし、安倍氏は安全保障についてはタカ派かつ保守的で、戦時中の日本軍の行為に対して異論の多い見方をしていることで知られる。最近では、首相在任中に靖国神社を参拝しなかったことに遺憾の意を表明している。
また、中国との間で領土問題に発展している尖閣諸島(中国名:釣魚島)については安全対策の強化を提案しており、26日の会見でも尖閣諸島を死守する意志を強調した。
政策シンクタンク、PHP総研の金子将史主席研究員は、安倍氏が首相になった場合、タカ派色の強い安全保障政策を取り下げれば支持低下のリスクが生じるため、最近の外交的緊張に対応するにあたって厳しい状況に直面する可能性があると指摘した。
記者: Alexander Martin
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http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_520407?mod=WSJWhatsNews
三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」 トップ | 次の記事 »
第173回 中国経済と日本(1/3)
2012/09/25 (火) 13:53
8月16日、尖閣諸島魚釣島に、香港の保釣行動委員会らの活動家14名を乗せた抗議船「啓豊2号」が接近。七名が上陸した。香港の活動家とは言っているものの、中国共産党の意を受けて動いているのは言うまでもない。上陸した七名は魚釣島で待ち構えていた警察官、海上保安官に逮捕された。さらに、船に残っていた活動家も逮捕されたわけだが、例により弱腰の民主党政権は彼らを起訴せず、翌17日には早々と送還してしまう。
さらに日本政府の尖閣諸島国有化を受け、中国は共産党政府が人民を煽り、官製の反日デモにより我が国に圧力をかけようとした。結果的に、反日デモのはずが「反日暴動」に発展してしまい、多数の日系資本の店舗が壊され、略奪を受け、北京の日本大使館にまで暴徒が乗り込む騒ぎになった。中国人民のあまりの民度の低さに世界中が愕然となり、共産党政府は大慌てでデモの規制に乗り出した。結果、反日デモはピタリと収まった(元々が官製デモである以上、当然だが)わけだが、現在も日系企業の中国人従業員が職場放棄や賃上げを要求する動きが相次いでいる。反日デモに呼応した「便乗要求」というわけだが、中国でビジネスをする日系企業は、この手の騒ぎが同地において「日常茶飯事」であることをいい加減に理解しなければならない。
日経新聞などの無責任な煽りを受け、安易に中国進出をした日本企業の中には、同地からの資本引き上げを考え始めるところが増えてくるだろう。何しろ、中国は度重なる人件費アップにより、もはや「安価な人件費の国」ではないのだ。挙句の果てに、反日暴動で店舗や工場が焼き討ちを食らうわけだから、一体何のために中国でビジネスを展開しているのか、疑問に思う企業が増えてきて当然だ。
注意しなければならないのは、中国はすでに外資の大々的な逃避を予見し、それを防止するために複数の法律を施行しているという点だ。筆者が最も懸念しているのは、やはり中国民事訴訟法第231条である。本法律は、中国において「民事上の問題(要はカネの問題)」を抱えている外国人に対し、法的に出国を差し止めることができるという凄まじい内容なのである。刑事事件の容疑者ならともかく、民事訴訟を抱えている外国人を出国させないなど、明らかに国際法違反だ。
本231条の文面は以下の通りである。
『中国民事訴訟法231条
被執行人は法律文書に定めた義務を履行しない場合、人民法院は出国制限をし、或いは関係部門に通達をして出国制限を協力要請をすることができる。
-司法解釈規定
出国制限される者の具体的範囲としては、被執行人が法人或いはその他の組織であった場合、法定代表人、主要な責任者のみならず、財務担当者等債務の履行に直接責任を負う者も含む。』
読めば一目瞭然だが、本231条は極めて「拡大解釈」がしやすい条文になっている。何しろ「法律文書に定めた義務を履行しない」が条件で、「主要な責任者」を出国停止にできてしまうわけだ。「法律文書に定めた義務」とは、どの程度の範囲を意味しているのか。主要な責任者とは、果たして何を意味するのか。分かるのは本法律を「恣意的に活用する」中国人民や共産官僚のみである。
民事訴訟法第231条が施行された結果、中国に進出した企業で働く人々が、過去に日本人だけでも百人近くが出国停止になっている。台湾人に至っては、日本人とは桁が違う人々が一時的に中国から出られない状況に至ったのである。
本法律がある限り、何らかの民事上の問題や「言いがかり」的な損害賠償請求を受けている企業の「主要な責任者」は、中国からの出国を差し止められる可能性があるのだ。何しろ、「主要な責任者」であるわけだから、別に代表取締役などでなくても構わない。
ちなみに、同231条で不当に出国を差し止められた場合、損害賠償請求などに唯々諾々と従えば、瞬く間に当局から開放してもらえる。すなわち、日本へ脱出することが可能になる。要するに、一種の国家的誘拐ビジネスのようなものなのだ。
さて、尖閣諸島をめぐり日本との対立を深めつつある中国は、予想通り「経済」と「報道」をツール(道具)に、我が国に脅しをかけ始めた。相手国(この場合は日本)の経済が、
「自国に依存している。自国と争うと、国民が飢える」
というウソの印象を植え付け、外交交渉を有利に展開させようとするのは、中国のような独裁国が得意としている手法だ。
『2012年9月17日 サーチナ「「日本はもう10年を失うことになる」−中国が経済制裁を示唆」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0917&f=national_0917_015.shtml
日本政府による尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化を受けて、人民日報は「中国はいつ日本に対して経済カードを切るのか?」と題する論説を発表した。新華社を始め、中国の主要メディアが転載して報じている。その中で、日本のいわゆる"失われた10年"を引き合いに出して、「日本はまたもう一つの10年を失い、20年後退する準備を進めているというのか」などとしている。
この論説では、「日本経済は中国の経済手段に対して免疫力に欠けている」「日本経済が倒れずに持ちこたえられたのはかなりの程度、対中貿易と対中投資の大幅成長によるもの」などと指摘している。
「中国側も、経済手段が諸刃の剣であることは理解している。グローバル化の時代、特に日中間の双方の経済・貿易関係はすでに、互いになくてはならない状態になっている」とし、「中国は経済制裁の発動を国際紛争解決に用いることには反対するが、領土主権に関わるもので、日本側が挑発を続けるならば、中国側は迎え撃たなければならない」とした。』
中国経済と日本(2/3)
2012/09/26 (水) 13:00
笑止千万とはこのことだ。
現在の日本経済が低成長に甘んじているのは、別に人民日報に指摘されるまでもなく、確かな事実である。とはいえ、日本の低成長の理由は、単純に政府の政策的失敗でデフレから脱却できないために過ぎないわけだ。
【図173−1 2011年 日本のGDPと対中輸出入・貿易収支(単位:十億ドル】
出典:JETRO、IMF
図の通り、対中貿易黒字(香港含む)の規模など、GDPの0.33%でしかない。すなわち、日中間の貿易が途絶すると、日本のGDPは0.33%減る。「で?」という話なのだ。日本は対中貿易とは無関係に、正しいデフレ対策さえ実施すれば、普通に成長路線に戻れる。日本の「失われた10年」は完全に内政問題であり、政府が正しいデフレ対策を実施しさえすれば、中国がどう動こうが終わる。
などと書くと、すぐさま「貿易ではそれほど依存していないのかも知れないが、日本は中国に巨額の投資をしている。中国共産党が日本資産を凍結すると、日本経済は壊滅する」などと主張してくる人がいるわけだ。残念ながら、日本の対中直接投資の残高は834億ドル(11年末、以下同)で、全体の8.6%を占めるに過ぎない。対GDP比で言えば1.42%だ。そもそも、中国共産党が日本の資産接収などした日には、外資に依存している中国経済は終わる。
ところで「財の輸出÷名目GDP」で計算した輸出依存度(2011年)は、日本が14%であるのに対し、中国は26%だ。輸出依存度が日本のほぼ二倍に達するほど「外需依存」の中国が、我が国に対し「経済カードを切る」「経済制裁を実施する」など、笑うしかない。相対的に「外需依存」が強いのは中国経済であって、日本経済ではない。
さらに書けば、中国の輸出に占める外資の割合はおよそ50%で、しかも「日本から」巨額の資本財を購入することを続けている。日本の資本財なしでは、中国は韓国同様に、生産も輸出も不可能になってしまう。日本に依存しているのは中国の方であり、逆ではないのだ。
新聞やテレビなどに登場する「自称」識者たちは、口を開けば、
「日本の対中輸出は輸出総額の約20%だ。だから、日本経済は中国に依存している」
などと喧しい声で叫んでくるわけだが、そもそも日本の国民経済全体(GDP)に輸出が占める割合は14%でしかないことを、彼らは決して口にしないのだ。知っていて説明しないならば、外国に有利な言論を続ける悪質な確信犯で、知らないというのであれば「無知」ということで、言論活動を継続するには能力、知識不足という話になる。果たして、どちらが正解なのか、筆者には分からない。
中国経済と日本(3/3)
2012/09/27 (木) 13:50
それはともかく、中国に対しては、何しろ尖閣諸島を実効支配しているのは日本なのである。日本は国有化した尖閣諸島に淡々と施設を作っていき、公務員を常駐させる等で「自国領土」を管理していけばいいだけの話だ。それに中国が反発し(100%するだろうが)、「経済制裁を実施する」と言ってきたならば、「どうぞ」と返せばいい。
2010年9月の尖閣諸島沖中国漁船衝突事件の際には、中国は日本への対抗措置としてレアアースの対日輸出を差し止めるという措置に出た(明らかにWTO違反だ)。それに対し、日本はレアアースの輸入先を変更することで対応した。何しろ、レアアースを産出しているのは、別に中国のみではないのだ。さらに様々な技術開発により、現在の日本企業は「レアアースを必要としない」構造を作りつつある。それに対し、日本側が対抗措置として資本財の対中輸出を止めたとき、果たして中国側は対応できるのだろうか。レアガスをはじめ、日本の資本財には代替がきかないものが少なくない。「日本がだめなら、他国から」というわけにはいかないのだ。中国側は果たして、この現実を正しく理解しているのだろうか。
結局のところ、日本にとっての対中問題とは「中国経済への依存」云々ではなく、単なる国内問題なのだ。尖閣問題が深刻化し、中国の反日暴動が激化すると、例により一部のメディアが「日中両国は対話解決に全力を上げよ(毎日新聞」、「日中関係の大局を見渡したとき、両国が衝突することにどれだけの意味あるのか。頭を冷やして考えるべき(朝日新聞)」などと、あたかも日本側にも非があるような記事を乱発している。朝日新聞に至っては、そのものずばり「一連の騒動のきっかけは、中国への挑発的な言動を繰り返す石原慎太郎東京都知事による購入計画だ」と書いているわけだから、呆れるしかない。過去に毎日や朝日に代表される新聞が書き散らした「冷静に、冷静に」「中国も悪いが、日本も悪い」といった論調が、今回の事態を招いたことに対する反省がまるでないわけだ。
対中関係が悪化しているのは、過去の日本の政治家が新聞やテレビなどの論調に引きずられ、安全保障の確立を疎かにしていたためなのだ。そういう意味では確かに「中国も悪いが、日本も悪い」のである。但し、これまで毅然とした対応をしてこなかった過去の日本が悪いという話であり、朝日新聞の主張とは論点が異なる。
それはともかく、安全保障確立の原則は、以下の三つを同時に実行することになる。
(1)自国領土を守る軍事力を持つこと
(2)国民の間に「自国領土は自分たちが守る」というコンセンサスを醸成すること
(3)上記の(1)及び(2)を「相手国」に伝えること
上記(1)から(3)までが達成されていれば、戦争は起きない。逆に、上記のどれかを疎かにしてしまうと、戦争の時期が迫ってくるのである。
日本の場合、上記の(1)は辛うじて実現している。とはいえ、過去の日本は(2)及び(3)を達成しておらず、結果的に我が国は戦争への道を歩んでいるわけだ。
間もなく、日本国民は「総選挙」という政権選択の機会を与えられる。次なる総選挙において、いかなる政権を誕生させるのか。我々の選択次第で、日本国の安全保障が確立されるか、中国との関係を「正常化」することができるか否かが決定することになる。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2012/09/25/017142.php
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