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互いを愛せない夫婦の裏にある心理、21のケーススタディ 『夫婦という病:夫を愛せない妻たち』
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 8 月 15 日 23:17:49: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 



2016年8月15日 flier
互いを愛せない夫婦の裏にある心理、21のケーススタディ
『夫婦という病:夫を愛せない妻たち』

要約者レビュー
『夫婦という病:夫を愛せない妻たち』
岡田尊司著
河出書房新社 269p 1,400円
 夫婦とは、血のつながりのない他人同士でありながら、最も近い関係である。日々の生活をともにする中で、いいことも悪いことも共有し、血縁の家族と同様またはそれ以上に互いの心の深部まで入り込んでいく。結婚前に互いのことを充分に理解し、結婚後もずっと愛し合うことができるなら、誰も悩みはしないだろうが、現実はそううまくはいかない。結婚前に相手の長所だと思っていた部分も、何かのきっかけで許しがたい短所に見えることも珍しくないだろう。
 本書は、夫婦関係におけるさまざまな悩み、すれ違い、関係性の変化などを21のケーススタディとして描き、その事象の裏にある心理を、精神科医の立場から丁寧に分析した一冊である。ケーススタディで描かれている夫婦像には多くのバリエーションがあるが、誰にでもどこかあてはまる部分や、共感を覚える部分があるのではないだろうか。
 夫婦の関係性を紐解くうえでのキーワードとして、「愛着スタイル」や「自己愛」などが挙げられる。つまり、幼少期の家庭環境や親との関係性が、夫婦の問題に色濃く影響を及ぼしているのだ。見方を変えると、夫婦という関係性を通して、人間の心、生き方、コミュニケーションの本質が浮き彫りになっていくともいえるだろう。
 幼いころからの親子関係が、今の自分の愛情のあり方を左右していることを知れば、それは子育てにも活きてくる。結婚している人、結婚を考えている人のみならず、自分を見つめたいと思うすべての人に大事な問いを投げかける一冊だ。 (竹内 彩子)
著者情報
岡田 尊司(おかだ たかし)
 1960年、香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退、京都大学医学部卒、同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事するとともに、京都医療少年院、京都府立洛南病院などに勤務。山形大学客員教授を経て、現在、岡田クリニック院長(大阪府枚方市)、大阪心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害治療の最前線に立ち、臨床医として現代人の心の問題に向き合い続けている。著書に『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『アスペルガー症候群』(幻冬舎新書)、『愛着障害』(光文社新書)、『マインド・コントロール』(文藝春秋)、『母という病』(ポプラ新書)、『人間アレルギー』(新潮社)他多数。
評点(5点満点)

*評点基準について
本書の要点
・夫婦間の悩みの解決策を考える際、お互いの育ってきた環境や親とのかかわりによって形成された「愛着スタイル」や「自己愛」の理解が重要となる。
・愛着スタイルは、「安定型」と「不安定型」に大別され、後者は「不安型」と「回避型」に分類できる。
・特定のパートナーに縛られたくないと考える夫婦の場合、母子を中心とした母系家族を築き、夫婦関係が流動的であっても子どもへの影響を最小限にするというかかわり方も、ストレスの少ない家族の新しい形となる。
要約本文
【必読ポイント!】
■すれ違う妻と夫
◇パートナーとの関係をどう考えるか
 心の不調や、子どもとの関係に悩んでいる人の中にも、悩みを掘り下げていくと、夫婦関係の問題が根本にあるという場合が多い。離婚率が上昇している現代、パートナーとの関係に何かしら悩みを持っている人は非常に多いといえる。夫婦のすれ違いを解消するためのカギは、「愛着スタイル」や「自己愛」「怒りのタイプ」など、人それぞれの特性にある。自分と相手がどんなタイプなのかという視点で、相手との関係性を見つめ直せば、解決の糸口が見えてくるだろう。
◇不安定な愛着スタイル、「回避型」と「不安型」
 人と人とが結びつきを持つときには、オキシトシンというホルモンが働いていることがわかっている。オキシトシンには、親密さを深めたり、相手の気持ちへの共感を高めたり、不安やストレスを軽減したりする働きがある。人間だけでなくほかの哺乳類にも備わっており、「愛着」を形成する生物学的なしくみだといえる。
 幼い時から安定的に愛情を受けて世話をされていた場合には、愛着のしくみは安定する。逆に、幼い時に受けた愛情や世話が不十分であったり、傷つけられた経験が度重なったりすると、愛着のスタイルが不安定になる。そして、前者を愛着スタイルの「安定型」、後者を「不安定型」と大別できる。愛着スタイルが「不安定型」のまま大人になると、パートナーとの関係や子育てにおいて、思いやりがもてない、厳しすぎる、不安やストレスを抱えるなどの困難を抱えやすい。
 また、「不安定型」の中にも2タイプあり、人と親密な愛情を築くのが苦手な「回避型」と、逆に過剰な結びつきを求めるが裏切られたり見捨てられたりすることに強い不安を抱く「不安型」に分けられる。とりわけ「不安型」は、幼少期において、気まぐれにかわいがられたり突き放されたりと、むらのある愛情の注がれ方をしている場合が多い。
「回避型」と「不安型」の反応はあらゆる面で正反対なので、それぞれのタイプの人が夫婦になり、何かのきっかけですれ違いが生まれると、溝がどんどん深くなってしまう。たとえば、子育てのことで悩んでいる「不安型」の妻が、自分の気持ちに共感を寄せてほしい一心で夫に悩みを相談したとする。すると、「回避型」である夫は、人と情緒的なつながりをもつことが苦手であるため、妻の話を受け流してしまう。それどころか、「回避型」は自分の苦しさについては表に出さないために、ストレスをため込みがちだ。このように、愛着スタイルのズレが、互いに不満を募らせる原因となってしまう。そうならないためには、互いの愛着スタイルの違いに対する理解が不可欠なのである。
◇未熟な「自己愛」がもたらすもの
 愛着スタイルのほかにも、夫婦関係のほころびを繕うカギとして「自己愛」というキーワードがある。「自己愛」とは、成熟を遂げることで自信を育み、他者を敬う気持ちや志を実現する力の源泉にもなる、自分を大切にするために必要な能力だと考えられている。ところが、自己愛が未熟だと、自己顕示欲や万能感が生まれるケースや、他者を理想化して自己を投影するケースが生じる。
 ある夫婦の事例を取り上げてみよう。過剰な自己顕示欲をもった夫に対し、結婚した当初は、頼りがいがあると妻は崇拝の念を抱いていた。一方、人より優位に立つことでしか自信を保てない夫は、妻に崇拝されることで自己愛を満たしていた。こうして二人は強く惹き合っていたのである。しかし、そんな結びつきも、妻が現実に気づき始めるとバランスを崩していく。夫の欠点に気づいた妻は反抗し始めた。夫は攻撃的になることで妻をおさえこもうとするが、うまくはいかない。二人が元の関係に戻ることはないだろう。これはそれぞれが囚われていた関係から解放され、本来の自分を取り戻すための必要なステップだと考えるべきである。
◇さまざまな怒りのタイプ
 怒りという感情は、非常に激しいエネルギーであるため、その対処の仕方が夫婦の関係を左右するほど重要なものとなる。そもそも、怒りは生物が生き残るために必要な感情であった。同時に人間は、理性によって怒りをコントロールすることにより、効果的なコミュニケーションの手段のひとつとして怒りを利用してきたのだ。
 相手との関係性を深める建設的な怒りを「機能的怒り」といい、逆に、ただ感情を爆発させ、相手との関係を破壊する怒りを「非機能的怒り」という。愛着スタイルが安定型の人は、機能的怒りを持つことが多いのに対し、愛着スタイルが不安定型の人は、非機能的怒りを抱くことが多い。
 また、非機能的怒りにも、いくつかのタイプがある。具体的には、自分の優越性を否定されたときに湧き上がる自己愛的怒り、本当は優しくしてほしいのに逆に相手を攻撃してしまうという両価的怒り、傷つけられたときに感じた怒りを過度に我慢した結果、必要以上に傷つけられた過去にとらわれてしまう怒り、そして、不本意な生き方を強いられるなど、自己を偽ることから生まれる怒りなどがある。
 自分やパートナーが怒りにとらわれているときは、どのタイプの怒りを感じているのかに合わせて課題を乗り越えていくことが必要だ。
■修復の可能性を考える
◇スキンシップが、自己愛の傷を癒す
 不安定な愛着スタイルや未熟な自己愛は、パートナーとの関係を脆弱なものにしかねないが、対処方法がないわけではない。
 夫のモラル・ハラスメントで悩んでいたある女性のケースを紹介する。もともと、その女性の夫は母親からの愛情をあまり感じられずに育ったために、妻に理想の母親像を求め、自分を特別扱いしてもらいたいという気持ちが強かった。しかし、子どもが産まれると、妻の愛情や関心は子どもに向くようになり、夫は育児で手いっぱいの妻をこき下ろすようになった。
 カウンセリングの結果、夫の求める愛情を満たすことが夫婦関係の安定につながることが判明した。そこで妻は、しばらくの間、できる限り夫の要求に応え、その存在を受け止めるように努めた。すると夫も精神的に安定し、夫婦仲もよくなったのである。
 また、別の夫婦のケースでは、夫の仕事が忙しく夫婦の時間をあまりもてなくなったことで妻が不安定になり、うつ状態となってしまった。しかし、夫婦間のスキンシップを意識的に増やしたことで、妻の精神状態もみるみるよくなったという。この例のように、スキンシップをとると、オキシトシンが活性化され、夫婦の絆を強めることにつながるのだ。
◇相手の怒りの真意を見極める
 先述した「非機能的怒り」の中でも、両価的怒りは、相手に求めることと相手を攻撃することが同居するタイプの怒りである。すなわち、愛情や関心がほしいゆえの怒りであるため、対応次第では、まだ修復の余地はある。重要なのは、パートナーの怒りがどんな種類のものであるのか、自分にとってパートナーがどんな存在なのかを、よく見極めることだ。もし相手のことを大切なパートナーだと思うなら、意地や勝ち負けにこだわらず、こちらが少し優しい気持ちになり、折れてみるとよい。怒りを解くのは怒りではなく優しさなのだ。
■パートナーとの関係を見つめ直す
◇それぞれの「家族」の形
 パートナーと惹かれ合って結婚したとしても、その選択が必ずしも正しかったとは限らない。結婚後にすれ違いが大きくなり、修復不可能な溝ができてしまうこともあるだろう。現在では離婚はもはや決して珍しいことではない。離婚というと、失うものが大きく、ネガティブなイメージになりがちだが、逆に手に入るものもある。
 離婚したある夫婦は、離婚したことで自分に合った新しいライフスタイルを手にし、心が満たされるようになったという。お互い不遇な家庭環境で育った、不安型愛着スタイルの妻と回避性愛着スタイルの夫は、もともと価値観が大きく異なっていた。妻はファザー・コンプレックスをもち、男性からの優しさを強く求めるが、ある程度経つと相手への興味が薄れ、一人のパートナーとの関係に縛られるのを嫌がるタイプだった。一方、夫は自分のことが一番で、相手の気持ちに関心がもてない自己愛パーソナリティの持ち主で、家事や育児で自分が後回しにされると妻を罵ったり、暴力的になったりした。
 あるとき妻は、夫の度重なる暴力的な言動に嫌気がさし、離婚を提案した。夫がそれを受け入れるには長い時間がかかったが、話し合いを重ねた結果、離婚を、お互いがよりよい人生を歩むための前向きな選択だととらえるようになった。もともと社会で活躍することに生きがいを感じていた妻は、離婚後、実母の育児協力を得て仕事に復帰し、生き生きと働くようになった。再婚はしなかったが、自分に合ったスタイルで自由に恋愛も楽しんだ。また、夫も金銭的援助をしながら子どもとの面会を楽しみに過ごし、子どもの親として良好な関係を築いた。
 この場合、第一に優先されたのは「母子の絆」であり、妻の実母を含む女性が中心となって子育てを担い、家庭を作ったことになる。これまでは、男性中心に父系家族を築き、一度結婚したら、よほどでない限り添い遂げるという通念があった。しかし、母子を中心とした母系家族を築くことによって、夫婦関係が流動的であっても子どもへの影響は最小限にとどめられる。父は一緒に暮らしていなくても、経済的な援助や適度な面会により、子どもとの接点を保つことができる。特定のパートナーに縛られたくないと考える男女にとって、こうしたスタイルは、ストレスの少ない、新たな家族の形であるといえるだろう。
◇熟年期の夫婦関係
 夫婦の関係性は年月とともに大きく変わっていく。子育てを終えてから「老齢期」を迎えるまでの「熟年期」は、人によっては30年以上に及ぶ。そのため、この期間をパートナーとどう過ごすかは重要なテーマである。
 子どもや家族のための生き方から、自分や自分の使命のための生き方へと変わっていくこの時期を、実り多いものにするためには、パートナーと「精神的な共有」ができるかどうかがポイントになる。それは「共感や思いやりといった気持ちの共有」、「趣味や楽しみを一緒に分かち合う関心の共有」、「人生において何を大事にするかという価値観の共有」である。子どもという存在が介在しない分、自分とパートナーとの結びつきにはごまかしがきかない。熟年期にこそ、本当の意味での愛情が試されるだろう。
一読のすすめ
 要約では、ケーススタディの中から夫婦の問題を解決する処方箋にフォーカスした。そのほか、依存性パーソナリティ、境界性パーソナリティ、アスペルガーとカサンドラ症候群、産後クライシスなど、さまざまなテーマが取り上げられている。また、多彩なケーススタディによってスムーズに内容の理解を深めることができる。幸福な生き方を考えるうえでのヒントが散りばめられた本書を、ぜひ一読していただきたい。
(記事提供:10分で読める要約サービス flier)

http://diamond.jp/articles/-/98072 
 

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