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(回答先: 尖閣「国有化」後の中国の対日論調(2) (21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ) 投稿者 gataro 日時 2012 年 9 月 18 日 17:55:39)
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2012/474.html
尖閣「国有化」後の中国の対日観(3)
*9月15日付の中国のメディアは、引き続き多くの日本及び日中関係にかかわる記事を掲載しています。特に注目されるものを二つ紹介します(9月16日記)。
<9月14日に開催された釣魚島問題座談会>
9月15日付の新華社電及び京華時報は、前日(9月14日)に、中国国際法学会と北京大学国際法研究所が合同で行った釣魚島問題座談会が開かれことを報道しました。この二つの記事の中では、京華時報が伝えた中国政策科学研究会国家安全政策委員会副秘書長の彭光謙少将の発言がもっとも要注目だ思います。彭光謙については、前にもこのコラムで発言を紹介した人物です。彼は次のように述べています。
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「中日の釣魚島問題におけるレッド・ラインは同島に対する武力支配であり、日本の自衛隊が釣魚島に進入したら、それは取りも直さず越してはならない一線を越えたということであり、中国も相応の対応措置を取るだろう。中国人民解放軍は早々と一切の準備を行っており、いつでも使命を遂行できる。日本経済は構造が脆弱であり、戦略的空間は狭く、資源は極度に欠乏しているので、軍事面では、戦術はまあまあだが、戦略上は中国の相手にはなり得ない。明年はカイロ宣言70周年であり、カイロ宣言及びポツダム宣言の厳粛さと有効性とを明らかにし、国連安全保障理事会がふさわしいときに関係する特別の会議を召集し、改めて日本の戦後の遺留問題を審議するように呼びかけるべきだ。」
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彼の発言での重要なポイントは二つあります。一つは、自衛隊が尖閣に出動するということが中国側にとってのレッド・ラインであり、中国側は軍事対抗措置に踏み切ることを明言したことです。自民党総裁選の討論会では、石破氏も安倍氏も自衛隊出動に向けた無責任を極める発言を行っていますが、こういう中国側の警告を真剣に考えないと、本当に事態は取り返しのつかないことになることを、私たちは本気で考えることが迫られていると思います。。
もう一つは、カイロ宣言70周年を記念する国際会議を提案したのも彭光謙だったのですが、その特別会議として、今回はより具体的に安全保障理事会の特別会議を提起していることです。カイロ宣言が発表されたのが1943年12月1日ですから、今後の中国外交の出方を注目していく必要があるでしょう。
<9月15日付環球時報掲載の王海運「日本の侵略の罪行を清算することは東アジア安定の根本である」>
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「…事態の発展から見るに、領土問題についてのみで日本に対して申し入れをし、抗議しても、日本が理性を回復し、挑戦をやめることを促すことはできない。…侵略の歴史について名誉を回復することが日本と隣国との間の島の争いを導く根本的な要素である。したがって、日本の第二次大戦における侵略の罪行を清算することのみが、日本と隣国との紛争を解決し、東北アジアを安定させる「根本を治す策」である。これは、平和的な手段で問題を解決するもっとも実行性のある方法だ。
中ロ韓は、手をつないで行動する可能性があるし、東南アジア諸国の共鳴を得ることも望むことができる。中国の戦略的協力のパートナーであるロシアは、日本に対して名誉を回復することに対して早くから敏感に意識しており、中ロが2010年に結んだ「第二次世界大戦終結65周年共同声明」は、「第二次大戦の歴史を改ざんし、ナチ及び軍国主義分子と彼らの仲間を美化し、解放者を抹殺することを断固として譴責する」とした。日ロ間で南千島群島の紛争が発生した原因もまた、日本が戦勝国による対日処罰の措置を承認しないことにある。韓国は、日本に奴隷の扱いを受けた時間がもっとも長く、日本の侵害を被った度合いももっとも重い。日本が独島及び慰安婦の問題において示した韓国に対する蔑視は、韓国人民の強烈な反発に出会った。日本の植民の歴史と侵略の罪行を清算することは、韓国人民の普遍的な願望である。東南アジア各国も、かつて日本の野蛮な侵略を受けており、歴史的な恨みは極めて強烈だ。したがって、対日清算及び第二次大戦の勝利の成果を擁護するという問題において、中ロ韓の協力を基礎とした、多くの国家が参与する広範な統一戦線(を結成すること)は、国際社会の広範な共鳴と支持を得ることを期待できる。
具体的なやり方は次のとおりである。
それぞれの被害国政府は連携して力を組織し、日本の侵略の罪行を系統的に整理し、この問題に関する白書を公表し、大型の国際フォーラム、報告会、展覧会を行い、専門の映画及びテレビ作品を制作し、専門のネットを開設し、強力な世論攻勢をかける。その目的は、国際社会特に日本の民衆をして日本の侵略者の凶悪な本質を認識させ、日本政府及び天皇に対してドイツのように真摯に謝罪することを迫ることにある。
我々は大々的にカイロ宣言、ヤルタ協定及びポツダム宣言を学び直し、対日処罰条項の執行に関して専門の国際会議を招集し、三大国際文献の各項目で定めたことが確実に実行されるようにする。日本は、被害国に対して真摯な反省及び謝罪を行い、靖国神社の如き戦争戦犯を美化する靖国神社の如き施設及び標識を廃止し、隣国を侵犯占領した領土を完全にすべて返還し、必要な戦争賠償を行い、無条件で平和憲法を遵守しなければならない。
中国は、日ロ及び日韓間の島の争いという問題において旗幟鮮明にロシア及び韓国の正義の立場を支持し、ロシア及び韓国が係争島嶼に対して用いている名称を採用し、韓国が天皇の謝罪を要求していることに対して激励するべきだ。東南アジア各国の共鳴を引き起こし、その同情を促し、対日清算に参与させ、それらによって中国と東南アジア諸国との関係を深め、南海(南シナ海)問題のヒートダウンを促す。同時にアメリカの官民に対する工作を展開し、日本が太平洋戦争を発動し、アメリカが同盟国と肩を並べて作戦した記憶を思い起こさせ、アメリカ政府をして、トラ(という日本)を飼って災いを残すことにより、日本に水の中に引っ張り込まれる危険があることを認識するように促す。そうすることで、日本を支え、中国を押さえるという誤った考え方を引っ込めさせる。
以上の清算を通じて日本の民衆特に若い世代の徹底的な覚醒を助け、日本の健康な力が大いに増強され、日本国内の政治的なありようが徹底的に改められるように促す。日本の侵略の歴史の共同研究に日本の学界が参加するように導き入れ、健康的な思想を持つ日本の学者及び客観的立場を持つ日本のメディアが積極的な役割を発揮することを支持する。
要するに、徹底的に日本を孤立させるべきであり、もはや無条件で中日友好を語ることはやめ、その制度や方法を根本から変えさせる。中日友好は原則のない友好ではあり得ず、ましてや日本の右翼勢力との友好ではないのであって、日本が心を入れ替えて再出発する基礎の上での友好であり、日本の健康な力との友好、平和国家になる日本との友好を建設する。」
(筆者:中国中ロ関係史研究会副会長兼少将)
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王海運の文章は、中国の今後の対日アプローチについてかなり具体的に述べています。ここでも二つのポイントがあると思います。
一つは、中ロ韓を中心にして東南アジア諸国をも巻き込んだ国際的な対日包囲網を形成することによって、アメリカによって歪められた戦後の対日処理について、カイロ宣言、ヤルタ協定及びポツダム宣言に基づいた見直しを迫っていくという方向性を明確に打ち出していることです。上記の彭光謙と比べると、肩書からいって、王海運がどの程度公的見解を反映しているかについては判断できません。個人的意見に留まっている可能性もあると思います。しかし、方向性としては、カイロ宣言70周年の2013年には日本が厳しい状況におかれる可能性が強まっていることは間違いないでしょう。「固有の領土」論だけにしがみついているのでは、中国の外交攻勢にとても太刀打ちできないのではないでしょう。
今一つは、中国の対日友好政策がかなりドラスティックに見直されつつあるのではないか、ということです。これまでの中国は、中国に対して「友好」を言うものであれば、分け隔てなく接するというスタイルできたわけですが、「日本の健康な力との友好」ということで、今後は選別化が進む可能性が生まれているということです。9月26日からの訪中を予定していた野中広務氏を団長とする超党派国会議員団に対して中国側が見送りを言ってきたという報道がありましたが、これもこのような選別化の動きと関係があるかもしれません。これは恐らく氷山の一角であり、日本の対日政策が全面的に見直されているということでしょう。
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- 尖閣「国有化」後の中国の対日論調(4) (21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ) gataro 2012/9/18 18:59:16
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