http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/646.html
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消費税問題をめぐる論議で摩訶不思議なのは、消費税が“間接税”であるとか、消費税は消費者が最終的に負担するものと信じているひとがけっこう多いことだ。
「原発安全神話」と同じで、政府自身が平気でそういう詐欺まがいのウソを吐き続けているからしかたがないと言えばそれまでだが...
テレビ中継が行われていた当初の衆議院「社会保障と税の一体改革特別委員会」でも、反消費税増税の急先鋒であるはずの共産党の塩川代議士までが「消費税は消費者が最終的に負担するものですよね」という内容の質疑を行っていたので愕然とした。
消費税を負担するのは、付加価値を稼いでいる事業者自身であり、消費者でもなければ、販売先の事業者でもない。その意味で、消費税は、間接税ではなく、法人税と同じ直接税なのである。
消費税にかかわるこの原理原則がないがしろにされていることも、消費税をめぐる論議が、迷走し迷路にはまっている一因だと思っている。
このデフレ不況のなかでの消費税増税ということで、転嫁ができるかどうか問題になり、その対策が議論されたりもしているが、仮に消費税の転嫁できるように政府が動くとしたら、行使してはならない事柄に権力を行使する“権力の濫用”に当たる。
消費税は消費者が最終的に負担するものという説明は、政府を含むそうであって欲しい人たちの言い分(ウソ)でしかなく、消費税制度とはまったく無関係なのである。
政府が「消費税は最終的に消費者が負担するもの」と国民を“誘導”してもかまわないというのなら、政府が「法人税も消費者が最終的に負担するもの」と言ってもかまわないことになってしまう。
消費税は消費者が最終的に負担するものとか、仕入れ段階で消費税を負担しなければならないと主張する人には、「消費税法」のどこにそのような規定があるのか問いたい。
消費税法のコアの部分を引用する。
(引用元は、http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S63/S63HO108.html)
エッセンシャルな条文は簡単なたった3つだから、是非ともお読みいただきたい。
「第一条 この法律は、消費税について、課税の対象、納税義務者、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。
2 保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する。
<第四条の3以降は省略>
第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある。
2 外国貨物を保税地域から引き取る者は、課税貨物につき、この法律により、消費税を納める義務がある。 」
消費税の負担は誰がするのかという問題は、第四条の「国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する」と第五条の「事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある」という内容で、すっきり明確にされている。
※ 第四条のその後に続く「2 保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する」という意味は、輸入にも消費税かかかり、輸入業者がそれを負担しなければならないということである。
資産の譲渡という堅苦しい表現は、第二条の八に、「資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)」と規定されている。
消費税法でいう「資産の譲渡等」をわかりやすい表現に言い換えると、商品やサービスを提供して対価を得ることである。
ということから、消費税が課されるのは、商品やサービスを販売している事業者ということになる。
消費税は「譲渡」(販売)する行為に課されるものであって、買う行為(譲り受け・消費)や仕入に課されるものでないのである。
そして、第三十条に「仕入れに係る消費税額の控除」の規定があるので、消費税はたんなる売上(譲渡)にかかる税ではなく、付加価値に課される税であることがわかる。
(第九条に、商品やサービスを販売しても、消費税の納税義務を免除される小規模売上事業者に関する規定がある)
消費者が消費税を負担するとか、仕入れ事業者が消費税のツケ回しを受け入れるとかいったことは、消費税法のどこにも書かれていない。
消費者にとって、原価がいくらでマージンはいくらなのかが購入判断で無関係なのと同じで、消費税が含まれているのかどうかもまったく関係のない話なのである。
販売事業者も、消費税負担分は仕入原価や諸経費と同じコストであり、+利益が手に入るのなら売り、コスト割れするような売価なら、よほどのことがないかぎり売らないという話である。
消費税導入時から04年までは、外税方式といって、本体価格と消費税を別々に表示する“義務”があった。しかし、そういう表示があるとしても、消費者が諸費税を負担するわけではない。
外税方式の意味は、「こんなものをお見せしても意味があるわけではありませんが、これまでよりも価格が上がった要因が消費税のためということをご承知いただくための措置なのです。仕入れが下がっているものもあるのですべてに消費税を上乗せする必要はないのですが、お上の思し召しですし、儲けのチャンスですからよろしく」というだけのものである。
なぜなら、お客が「消費税分はまけてや!そやないと買わん」といい、お店もそれでも十分に利益があるから売ってもいいと思ったら、「まけた値段×5/105」が消費税額で、「負けた値段−消費税額=本体価格」になるだけの話だからである。
経費も仕入れとして扱われ、それにかかわる消費税の控除も絡んでくる消費税の内実に照らせば、個々の取引で消費税がいくらなのかと問うこと自体おかしな話なのである。
04年に内税方式に変わったことで、価格の表示に関する条文は、「第六十三条の二」に変更された。
消費税の内実を消費税法で知りたい方は、以下の五つの条文を読まれることをおすすめする。
●第七条:輸出免税の規定
●第二十八条:課税ベースの規定
●第二十九条 :税率
●第三十条:仕入れにかかわる消費税額の控除
●第三十一条:輸出戻し税につながる規定
ついでにと言えば独歩さんに失礼になるが、「消費税増税法案だけを急ぎ成立させようとする大政党の動きに“待った”ではなく称賛を贈る主要メディアの倒錯ぶり」のコメント欄で、消費税について独歩さんとやり取りしている内容があるので、その投稿をすでに読み終えた方や消費税の内実に関心をお持ちの方の参考になればということで転載させていただきたい。
08. 独歩 2012年6月18日 16:14:17 : OcXlFVq.c5uyc : ihoKj4svUQ
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/566.html#c8
全文は引用元でご確認いただくとして、引用もある程度含んでいるので、私の回答部分のなからいくつか転載させていただく。
15. あっしら 2012年6月19日 04:17:22 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
独歩さん、さらなるレスポンス、ありがとうございます。
【引用】
「>>税制を通じて、グローバル企業(輸出免税&設備投資)や成長企業(設備投資大)そして銀行などの金融業(金融取引非課税)に“利益”を与えることで
利益ではなく、不利益が少ないという感じではないでしょうか。
特に、非課税業者である金融業は、仕入れに対する還付が受けられないというデメリットが存在します。
最終マージンのみを単純計算で考えると、消費税のメリット順(というかデメリットの少ない順)では、
免税業者 > 転嫁が容易な企業 > 非課税業者 > 転嫁不可業者
といった感じになります。」
【回答】
消費税の税率アップがグローバル企業に“利益”を与えるかどうかという問題ですが、これは、残っているシリーズ最終投稿Fであれこれ説明するつもりです。どういう切り口で説明すると理解してもらえるのか呻吟しています(笑)。
結論的に言えば、「消費税還付金」が増える高い税率のほうが、グローバル企業のように消費税還付金を受け取る企業は“利益”が大きくなります。
自らがマージン計算であれこれ説明しているので奇妙な弁明になりますが、マージン計算の内容は本質的な話ではありません。
なぜなら、統制経済国家や社会主義国家ではない日本は、企業の原価構成や売上に占める利益そして生産性の変動などについて国家機構が関与するわけではないからです。
消費税についても、販売価格に転嫁されたのか、仕入れで転嫁を受け入れたのかといったことさえ、徴税当局にとっては無関係です。
このようなことは、免税店がタックスフリーであってもベネフィットフリーではないことを考えればわかると思います。税金は免税店も購入者も負担しませんが、免税店が税金相当分のいくばくかを利益のために上乗せしても、“罪”ではありませんし、そうしても市中価格や競合免税店より安ければ売れるはずです。
輸出も、免税ですが、「輸出戻し税」でチャラになるはずの仕入れにかかわる消費税も原価の一部と考え、それにマージンを上乗せした価格で輸出しても、なんら“罪”ではありません。一般的に、対売上利益率が60%であっても、ほめられることはあっても“罪”にはなりません。
非統制経済社会においては、基本的に、他の企業(供給主体)との競争以外に、企業が得る利益について制限や統制はありません。(医薬品や電力・ガスなど統制されたものはあります)
消費税の“損得”問題は、稼いだ付加価値に課税されるかどうかの一点で考える必要があります。
稼いだ付加価値に消費税が課されないだけでも、課される企業に比べると、“利益”を得ていると言えます。
さらに、消費税還付を受ける輸出企業は、稼いだ付加価値に課税されず消費税をまったく納付していないにもかかわらず、「消費税還付金」(輸出戻し税)といういわれのないおカネを国庫から手に入れています。
これを“利益”と言わずして、何を“利益”と言うのでしょうか。まさに、濡れ手に粟の儲けです。
「消費税還付金」(輸出戻し税)については、消費税を上乗せできない輸出に対して、仕入れで負担した(転嫁された)消費税を戻しているだけといった説明がよく行われます。
しかし、消費税は、売上税だとこじつけられないことはありませんが、消費税法の規定やそれに書かれている課税ロジックから、内実は付加価値税であり、仕入税とは絶対に言えない税制です。おまけに言えば、統制経済ではないのですから、輸出価格に消費税相当分を上乗せしたとしても、誰もとがめるひとはいません。それで輸出できればですが...。
仕入れで他の企業に支払ったものを国家に納税したとみなすことでしか成り立たない「消費税還付金」(輸出戻し税)は、国家自らが行う“詐欺”なのです。
仕入れで他の企業に支払ったものが、支払った企業から国庫に入っているかどうかさえわかりません。(新日鉄も消費税還付企業ですから、トヨタが新日鉄から鋼板を仕入れたときに支払ったと思われている消費税が国家に入ることはありません)
「非課税業者である金融業は、仕入れに対する還付が受けられないというデメリットが存在します」というご指摘は、少しだけ同意します。
少しだけというのは、福祉関係事業者や賃貸住宅事業者に比べてれば、そのデメリットはずっと小さいからです。
金融事業者は、手数料などを除く収益のほとんどを、消費税が課されない利子や債券売却益などで得ています。コンピュータなど情報処理関連は、消費税がきちんと転嫁されている手数料収入で贖っているはずです。手数料など課税売上比率分は、設備投資や派遣労働者費用から消費税を控除することもできます。
金融事業者のメリットは、利払い者(借入れ者)は利払いに消費税を上乗せした分を負担するのにかかわらず、従業員の給与や配当に充当される受け取り利子に消費税が課されないことです。
利子を払う企業は、法人税に関しては費用になりますが、消費税については支払う利子も課税対象です。消費税率が高くなればなるほど、“実質金利”が高くなるわけです。
詳細は、今後の投稿を参照していただければ幸いです。
13..については、一眠りして、午後にでも投稿したいと考えています。
17. あっしら 2012年6月19日 13:38:59 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
独歩さん、こんにちは。
コメント欄13.の内容について回答します。
【引用1】
「もし仮に消費税増税がグローバル企業にメリットを与えるのなら、消費税増税を海外(最近ではイギリスのエコノミスト)から、しきりに圧力じみたものが発せられることに違和感を感じます。」
【回答1】
グローバル企業にメリットを与えるからこそ、英国のエコノミストも含め国際金融機関や経済紙誌も日本に消費税の引き上げを求めています。
彼らにとって、企業の国籍(本拠地)は無関係です。
ここ20年ほどで急速に浸透したグローバリズムの“真髄”は、企業活動や投資が国籍や主権国家に制限されないようにすることです。
グローバリズムそのものは、近代資本制社会が成立する基礎ですから、とうの昔から脈々と流れ続けています。
重商主義、帝国主義、先進国間戦争、パックスアメリカーナのどれも出現形態が異なるグローバリズムです。
さらに言えば、産業資本主義や金融資本主義も、グローバリズムの歴史的形態です。
グローバル企業にメリットを与えることは、日本にメリットを与えることでも、日本国民にメリットを与えることでもありません。あくまでも、株主の所有物である株式会社にメリットを与えることです。
国際金融家は、常に儲けを生み出す投資(融資)先を求めています。
産業資本主義として成熟した(終わった)先進国は、投資(融資)先としては限定的です。それゆえ、国債などの金融収益や世界的に事業展開するグローバル企業への投資に集約されています。
そして、産業資本主義的な投資(融資)は、産業的な成長が著しい新興国に向けられています。
付加価値税(消費税)及びその税率アップは、グローバル企業以外の供給主体や国民に国家維持の負担をシフトしていくものですから、グローバル企業の利益から収益を上げようという彼らにとって大いに歓迎できる政策です。
社会保障を含む国策遂行財源を、「貧乏人の相互扶助」にシフトしていくのが付加価値税(消費税)の税率アップの大きな目的です。
さらに、お金でお金を稼ぐ彼らは、お金の“価値保存性”を求めます。
日本は供給活動能力が高いのでそうなっていませんが、放漫な財政支出は、一般論として、インフレを亢進させます。
国際金融家に限らず金融資産家は、ベースとして、デフレを歓迎します。
デフレであれば、放っておいても、保有金融資産の価値が増大する一方、享楽を含む消費活動に支払わなければならないお金は少なくて済むからです。
---------------------------------------------------------------------------------------------
【引用2】
「ただ、もし日銀による金融政策などにより、日本が破綻しないとするのなら、何も消費税増税をして補完する必要もないはずで、分かり易く法人税の最高税率の減税だけをし続ければよい話です。さらに他の国のグローバル企業も誘致することができるのであれば、それは消費税増税よりはるかにグローバル企業優遇政策になるはずです。」
【コメント2】
消費税の“利益”について認識が共有されていないので難しい説明になりますが、法人税の減税は、最終的な利益を減らさない(増やす)意味では大きなメリットがあるとしても、利益の源泉である供給活動自体でメリットがあるわけではありません。
国内専業の企業は、仕入にかかわる消費税を“負担”した上に、自身の消費税を負担します。
消費税還付を受けるグローバル企業は、自身の消費税はまったく負担しない上に、仕入にかかわる消費税を“負担”したということで一定部分の還付を受けます。だからといって、輸出価格や輸出から得る利益に国家から制限を受けているわけではありません。
法人税減税と消費税増税とでは、グローバル企業への利益の与え方が異なるのです。
「法人税率−付加価値税(消費税)税率」の値が小さいほど、グルーバル企業は有利な企業経営ができます。(といっても、あくまで形式的静態的な条件での話で、私が消費税増税に反対しているのも、日本の経済状況ではそれがグローバル企業にも有利にならないからです)
「法人税率−付加価値税(消費税)税率」の究極は、法人税率ゼロの状況です。
それまでの法人税が付加価値税で補填される状況になることです。
地方法人税もなくなれば、グローバル企業は税負担を1円もすることなく、「消費税還付金」という“利益”だけ受け取ることができるようになります。
(この部分を考えていただければ、グローバル企業にとっての消費税増税の“利益”が見えてくるのではと思っています)
「さらに他の国のグローバル企業も誘致することができるのであれば、それは消費税増税よりはるかにグローバル企業優遇政策」ということですが、外国籍のグローバル企業も、一大消費国である日本に自由に進出できます。
しかし、古くから進出している半導体メーカーなどを除けば、カルフール(仏系スーパ−)など新規進出企業はことごとくと言っていいほど失敗し撤退しています。西友を買収した世界一のディスカウントストア:ウォルマートの実質子会社(ワイオミングホールディング ジーエムビーエイチ所有)となった西友さえ、低迷を続けています。
日本の消費者の嗜好や購買行動を捉え切れていないことも大きな要因ですが、高い地代、高い賃金で生産性を上げるのは至難の業だからです。日本の小売業は、低生産性の権化のように非難されていますが、カルフールや西友そしていくつかのドラッグ・ストアの無様な経営と比べるとよくやっていると思っています。
日本の企業は競争力が高いので(この長期不況で変な意味でますます強くなっています)、特殊な製品を製造しているところは別として、外国から進出してきても太刀打ちできません。
デフレ基調で縮小している国内市場は、進出してきた企業にも重くのしかかる悲劇です。
---------------------------------------------------------------------------------------------
【引用3】
「しかし、消費税増税を押しすすめるのは、グローバル企業優遇という側面よりも、何かがあるように思えてなりません。
それは、グローバル企業を優遇したり、財政再建をしたりするものではなく、何かから批判を逸らすための撒き餌のようなものにも思えるのです。
それが、何かがまだわかりません。それともただ単純に、何らかの外圧により、日本の能力とは別に日本が破綻処理をさせられる時の、これ以上成す術無しだったと思わせる理由付け(財務省の弁明)のために消費税を上げているだけだったりもしますが。」
【コメント3】
阿修羅や書籍・TVなどのサポートはありますが、基本的に一人でいろいろ考えているので抜け落ちた視点もあると思っています。
今後もいろいろご助言いただければと思っています。
18. あっしら 2012年6月19日 15:55:11 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
独歩さん、続けて16. について回答します。
独歩さんの記述順序とは異なり、新しい切り口になるかもと期待して、利子の問題を先に説明します。
【引用1】
「>>金融事業者のメリットは、利払い者(借入れ者)は利払いに消費税を上乗せした分を負担するのにかかわらず、従業員の給与や配当に充当される受け取り利子に消費税が課されないことです。
利払いに消費税を上乗せするというのは、よく意味がわかりません。利払い分は非課税と認識しているため、何かカラクリがあるのであれば教えて頂きたいです。」
【回答1】
利払いは基本的にマージンから行われるもので、消費税はそのマージンに課される税だからです。
さらに言えば、借金地獄にはまらないかぎり、元本の返済も、マージンから行われるものです。
消費税処理前のマージンが100億円で、利払いが2千万円だとします。
消費税(付加価値税)がなければ、100億円−0.2億円=99.8億円が利払い後のマージンです。
しかし、消費税が課されると、利払い分だけのマージンを取り出しても、2千万円×5%=100万円の消費税負担が生じることになり、利払い後のマージンは100億円−0.2億円−0.01億円=99.79億円になります。
法人税所得計算では、利払いを費用として控除できますが、消費税計算ではそれが認められていないからです。
消費税制度があるかぎり、実質の利払いは、利払い金額×税率分増えるわけです。
違った言い方をすれば、「利払い+利払い×税率」を賄うだけの最終マージンが確保できなければ、利払いを継続することができません。
さらに、元本返済のほうが利払いよりも大きいはずですから、1億円の返済なら、消費税率5%でも1億円×5%=5百万円という負担が増加します。
この例で利払いと元本を合わせると1億2千万円です。
ということは、14年・15年にかけて消費税が5%アップすると、他の要素は同じだとして、稼ぐマージンが13年までよりも6千万円も増えないと、債務の履行を続けられないことになります。
利払い及び元本返済の負担増加は、消費税税率がアップすればするほど大きくなるのです。
この論理が、消費税導入後の89年から90年にかけてバブルが崩壊した一因(主因ではない)でもあり、消費税率が2%アップした97年秋(3月決算企業の消費税中間納付後)に“金融危機”が起きた要因(主因)なのです。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【引用2】
「もし還付金(輸出戻し税)で儲けが出ているとするのなら、それは払う払わないに関わらず仕入れ先の下請け企業が消費税分を転嫁しない場合に限られるはずです。ただそれは実質的な値下げ(コスト削減)の話です。 」
【回答2】
マージン計算を例示した張本人としては恐縮ですが、そこから少し離れて考えてみてください。
まず、説明(虚構・お話)としては成り立ちますが、実際は、仕入価格にも販売価格にも、消費税なるものは存在しないとお考えください。
あるのは、仕入に支払ったお金、販売で受け取ったお金だけなのです。
それを消費税の徴収(計算)にあたって、「売上にかかわる消費税−仕入にかかわる消費税」というような腑分けをして課税しているだけなのです。
売上で1円も消費税を転嫁してないとしても、売上額×5/105の消費税を受け取っているとみなされます。仕入で消費税の転嫁を受け入れていないとしても、仕入額×5/105の消費税を支払っているとみなしてくれます。
現実の話としては、消費税の税率がアップした後、生産性も原材料費も変わらない条件で仕入れ先が消費税を転嫁してくれば、輸出を含む販売できちんと消費税を転嫁しないかぎり、グローバル企業でも利益は増加しません。
ですから、グローバル企業が消費税増税で利益を得る支えは、仕入コスト削減力と販売価格への転嫁力にあります。
輸入物価の変動や生産性の上昇は考慮から外しますが、14年・15年の消費税増税で、企業物価指数と消費者物価指数が増税に見合うだけアップ(3%と2%)し、さらに、名目GDPもそれに見合うだけ増加しなければ、消費税の税率はどこかに大きなしわ寄せがあったということになります。
インフレ基調の欧州諸国などなら、付加価値税で生じた(政府財政出の増加が支え)“インフレの果実”をどのような供給主体が得るという分配の歪み問題になりますが、デフレ基調の日本では、それも分配の歪み問題ですが、さらに深刻なことに、どのような供給主体が消費税の負担をかぶらないで済むかという問題になります。
いずれにしろ、最悪でも、「消費税還付」を受け取るグローバル企業は、増加する消費税負担から免れるということです。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【引用3】
「また、人件費について、非課税であり還付金が無いということで派遣会社に変更するというのは、結局はその派遣会社が、派遣料金に消費税を転嫁してくるということですから、一見還付金による旨みがありそうで、実質的なものは言って来い状態になるものと思われます。」
【回答3】
人件費には、厚生年金保険料と健康保険料の企業負担分が含まれています。そして、厚生年金保険料が顕著ですが、料率がじりじりと引き上げられています。厚生年金保険料率16%の半分は8%ですから、現状の消費税5%を超え、ほぼ10%の消費税に見合う状況です。
一般的に、同じ仕事をしていても、社員よりも派遣労働者のほうが賃金は安くなります。
ですから、同じ人件費額、例えば消費税込み100億円で派遣労働者を買うことは難しい話ではありません。(派遣労働者は自前で国民年金・国民健康保険に加入しますから、社会保険料の負担分の差が大きい)
同じ100億円の人件費でも、このような条件であれば、直接採用と派遣労働者の“仕入”で、企業収益に大きな差が出ます。税込・税抜で変わってきますが、所得計算ではともに費用として扱われるので同じなのに、消費税にかかわる部分は大きく違ってくるからです。
直接採用は、マージン(付加価値)から人件費を支払うので、実質的に、100億円+100億円×5%=105億円の経費となります。
派遣労働者は、仕入ですから、100億円を支払っても、消費税課税ベースから100億円×5/105=4.76億円の控除ができます。
派遣労働者分を除く、「売上にかかわる消費税−仕入にかかわる消費税」が150億円とします。
直接採用の場合は、150億円×5%=7.5億円の消費税を納付することになります。
一方、派遣労働者の場合は、150億円からさらに4.76億円差し引くことができますので、145.24億円×5%=7.26億円の消費税納付で済みます。
税負担の観点ではなく、稼いだマージンのなかで残った金額を考えたほうがいいかもしれません。人件費はいずれの場合も経費ですから、それも差し引いた残りとします。
稼いだ150億円のマージンから消費税負担分と人件費を差し引いた残りは、直接採用のとき150億円−7.5億円−100億円=42.5億円で、派遣労働者のとき150億円−7.26億円−100億円=42.74億円となります。
独歩さんもご指摘のように、消費税税率がアップすれば、派遣会社も消費税の負担増加を求めてきます。しかし、これまでの賃金低下基調と労働需給の現状を考えれば、消費税負担増加のある部分は、派遣労働者の賃金切り下げというかたちで始末されるはずです。
そうなれば、消費税率アップは、派遣労働者を仕入れているほうが得になります。
もっとも社会主義的な国と思っているドイツでさえ、この10有余年の賃金と物価の推移は、物価の上昇が上回るものになっており、名目は増えていますが、実質の賃金は切り下げになっています。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【引用4】
「>>消費税の“損得”問題は、稼いだ付加価値に課税されるかどうかの一点で考える必要があります。
>>稼いだ付加価値に消費税が課されないだけでも、課される企業に比べると、“利益”を得ていると言えます。
今回の消費税の“損得”問題は、消費税をかけた後の企業間の優劣の話ではなく、消費税をかけた状態と、かける前の状態とを比較して、それが個々の企業収益にとってどう“損得”になっているかという問題ではなかったでしょうか。」
【回答4】
マージン計算は、諸費税の内実を様々な角度から見せるための一つとして提示しましたが、動態的な要素を加えて説明しなければならないので、これまでの静態的説明では風十分だったと反省しています。
能力不足でなかなか納得を得られる説明ができないため、いろいろ試行錯誤をしていることをご理解ください。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【引用5】
「「消費税還付金」(輸出戻し税)については、消費税を国庫に納付しているしていないに関わらず、企業にとって、実質的なトータル収益がトントンの状態であれば、“利益”になっているとは考えられません。」
【回答5】
「消費税を国庫に納付しているしていないに関わらず」、受け取る消費税還付金が、「“利益”になっているとは考えられません」というのはなぜでしょう?
「消費税還付金」(輸出戻し税)が“利益”ではないというのなら、仕入で負担したはずの消費税を還付してもらえない賃貸住宅事業者は、とんでもない損失を被っていることになりますから、国家に賠償請求を訴えるべきではありませんか?
それはともかく、電力など統制供給事業は別として、企業がどのような仕入を行い、どのようなマージンを乗っけて商売しているかは国家のあずかり知らぬところです。
消費税の転嫁を受けているのか、消費税の転嫁を果たしているのかも国家はあずかり知らぬことなのです。
それなのに、国庫に納めているわけでもない消費税だけは、まるで納めたかのようにみなして還付しているのです。
そして、免税だからといって、販売(輸出)で利益を多く上げられるような価格を付けられないわけではありません。
(今では夢のまた夢ですが、円安景気で沸いた02年から08年前半まではそのような状況です)
虚構の“仕入にかかわる消費税”という概念を利用して、グローバル企業に利益を引き渡しているのです。
利益は自分のもの、負担はひとや国家に押し付けるというのが、「消費税還付」制度なのです。
消費税法をよく読めば、「消費税還付金」(輸出戻し税)がまったく謂われのない利益供与であることがわかるはずです。
念のため、消費税法を読めば、消費者が消費税を負担する義務もまったくないこともわかります。
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