大型で非常に強い台風１６号は１６日、鹿児島県内の広い地域を風速２５メートル以上の暴風域に巻き込みながら北上した。県などによると、与論町や知名町などで住宅計１８棟が被害を受け、奄美地方を中心に最大４万７４００戸が停電した。台風が予報円の中心を進んだ場合、県内は１７日夜のはじめごろまでに風速１５メートル以上の強風域を抜ける見込み。
　鹿児島地方気象台によると、１６日に観測された最大風速は与論町４２．１メートル、天城町３１．１メートルなどで両町では観測史上最大となった。１７日に予想される最大風速は奄美地方以外の県内２５メートル（同３５メートル）、同地方２０メートル（最大瞬間風速３０メートル）。
　１６日午後５時までの県のまとめによると、暴風で屋根が飛ばされるなどした住宅被害は奄美地方の５町で全壊４棟、半壊９棟、一部損壊５棟。知名町では倉庫が全壊する被害もあった。奄美市と与論町、宇検村は強風や土砂災害に備え、避難勧告を発令した。
　九州電力鹿児島支社によると、伊仙町、和泊町など奄美地方を中心に停電。午後１０時現在、南さつま市など県本土を含む３万９１００戸で続いている。
　１７日も交通の乱れが続く。海の便は鹿児島と沖縄を結ぶフェリーや、種子屋久高速船の始発船などが欠航。空の便は日本エアコミューターの鹿児島−伊丹など午前中の１１便の欠航が決まっている。
　台風１６号は１６日午後１０時、枕崎市の西約２４０キロを北に時速３５キロで進んでいる。中心気圧は９３５ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は４５メートルで、最大瞬間風速は６５メートル。