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カーニー総裁、英国へようこそ イングランド銀行次期総裁が担う大変な責務
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/667.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 28 日 01:09:16: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 英中銀総裁後任人事:識者はこうみる インドの財政赤字削減目標未達も、国債格下げリスク高まる 投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 27 日 15:17:56)

JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
カーニー総裁、英国へようこそ
イングランド銀行次期総裁が担う大変な責務
2012年11月28日(Wed) Financial Times
(2012年11月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 マーク・カーニー氏をイングランド銀行総裁に任命する人事は、まさに歴史的な出来事だ。中央銀行総裁という国の最も重要な公職にカーニー氏のような外国人を起用することは異例であり、称賛すべきことである。

 たとえカナダ人が英国にとってそれほど遠い存在ではないとしても、そして妻がイングランド人で自らも英国と縁のあるカーニー氏は大半のカナダ人より英国に近い存在であるとしても、だ。

歓迎すべき歴史的人事


318年の歴史を誇るイングランド銀行(写真)で、外国人が総裁に就くのは初めて〔AFPBB News〕

 とはいえ、この人事はサプライズであると同時にギャンブルでもある。サプライズであるのは、カナダ銀行(中央銀行)総裁として多方面から尊敬されているカーニー氏が――筆者が知る限りでは――自ら応募したわけではないからだ。

 またギャンブルであるのは、政治的にならざるを得ない職に外国人が就任するからだ。しかも、現在の英国は難しい経済・金融環境に置かれており、このポストは平時以上に政治的になっている。

 ジョージ・オズボーン財務相は、傑出した人物を選んだことだけでなく、彼を口説き落としたことでも称賛に値しよう。カーニー氏が経済、金融および中央銀行業務で幅広く知識と経験を積んだ優秀な人材であることは間違いない。頭も切れるし押しも強い。

 米JPモルガン・チェースのこわもてな経営者、ジェイミー・ダイモン氏との激しい口論で一歩も譲らなかったことはよく知られるところだ。

 カーニー氏は米ハーバード大学と英オクスフォード大学で経済学の学士号と修士号、博士号を取得。ゴールドマン・サックスに13年間勤務した経験を持つ。2008年からカナダ銀行総裁の座にあり、2011年からは、同じくゴールドマンの出身で欧州中央銀行(ECB)総裁に就任したマリオ・ドラギ氏の後任として金融安定化理事会(FSB)議長も務めている。

 カナダ銀行総裁在任中のカナダ経済が比較的好調なことで特に評価を得ている。よくあることだが、この好ましい結果がどの程度カーニー氏の手腕によるのかは定かでない。

 それにもかかわらず、カーニー氏はこの新しい職で3つの難しい課題に立ち向かう。

 第1の課題は政治的なものだ。イングランド銀行の運営という仕事は本質的にテクノクラート*1のものだという見方は大間違いだ。純粋な不換紙幣(国家が作り出すマネーのこと)を使用している経済においては、中央銀行が自らの裁量で下す決断が所得分配、金融の健全性、経済のパフォーマンス、さらには財政の支払い能力にまで多大な影響を及ぼすからだ。

手際のいい解決策など存在しない

 テクノクラートによる手際のいい解決策など存在しない。このことは今日、すなわちインフレの安定化は経済安定化の十分条件だという誤った考え方を完全に粉砕した金融危機を経た現在では、さらに明白になっている。

 イングランド銀行の決断は非常に政治的なものだ。それ自体が本質的に政治的なのだ。総裁が財政政策についてコメントしたり、金融システムに介入したりすることを求められるのであれば、なおのことである。

 こうした困難な決断を下す際には、外部から招かれた総裁であることがある程度有利に作用するだろう。カーニー氏の独立性は、内部昇格した総裁のそれよりも高くなるだろう。だが、そのカーニー氏は果たして周囲から正統な総裁として認めてもらえるのだろうか?

 第2の課題は組織に関するものだ。カーニー氏はこれから流動的な世界を引き継ぐことになる。イングランド銀行自体が流動的であるうえに、今では英国、欧州、さらには世界全体の規制構造や金融システムも流動的だ。

 新しい制度の下でイングランド銀行は金融政策、金融システム安定政策、そして銀行監督について総合的な責任を負う。怖じ気づいてしまいそうなほど広範囲な責任であるうえに、イングランド銀行内部で意思決定を統一しなければならない難しさもある。政府との政策調整を進めながらその政策を国民に説明するという重い義務も迅速に果たさなければならない。

 筆者が思うに、大きな問題は、イングランド銀行内での政策調整が難しいことだ。金融の安定性と金融政策は切り離して取り組めるものだという見方は正しくない。今のような時代では特にそうだ。

*1=高度に専門的な業務に携わる官僚

 金融システムの安定性に関する政策(金融機関の自己資本比率の下限引き上げや貸し出しの抑制など)は金融政策に強力かつ直接的な影響をもたらすし、その逆もまた真である。

 ところが金融監督体制改革の計画によれば、すべての委員会に顔を出すのはごく少数の常任委員だけだ。これでは、この少数の常任委員が政策決定のプロセスに多大な影響力を持つことになってしまい、1つの委員会にしか出席しない外部の委員は非常に不利な状況に置かれることになる。このやり方は誤りだ。

 さらに、金融危機におけるイングランド銀行の行動を検証した調査では、深刻な欠点が明らかになっている。危機前の行動を調べれば、さらに重要な欠点が見つかるかもしれない。

 カーニー氏は経験豊富なアウトサイダーであり、必要とされる新任の改革推進者として比較的活動しやすい立場にある。実際、カーニー氏には改革を推進してもらわねばならない。ただ、その際には、イングランド銀行が現在よりも中央集権的にならないようにしつつ、しかも、それによって新たな事態に迅速に対応する能力が低下することがないよう注意を払う必要もある。

海図なき航海

 第3の、そして最大の課題は知力にかかわるものだ。カーニー氏の祖国カナダとは異なり、英国経済は非常に厳しい状況に陥っている。異例の金融緩和を行っているにもかかわらず景気は低迷したままで、連立政権による財政政策は何かと物議を醸している。

 将来の経済成長の源泉がどこにあるかもはっきりせず、経済のバランス回復という大変な難題も控えている。イングランド銀行は次期総裁の任期中に、政府の協力を得ながら、平時に近い状態に戻る航路を見いださねばならない。経済がいつまでも低迷したり高インフレが続いたりする状態も避けなければならない。

 しかし、経済学者や金融政策決定者にしてみれば、これはまだ海図のない水域を進むも同然だ。したがってカーニー氏に課せられる最大の使命は、イングランド銀行と英国経済を、耐えがたさが最も小さな目的地に導くことなのだ。成功を祈る。

By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36644  

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コメント
 
01. 2012年11月28日 11:14:04 : IOzibbQO0w

カーニー氏は優秀だが、英国のように魑魅魍魎がひしめく金融政治の世界で、どこまで調整能力を発揮して、成果を出せるかは、非常に興味深い

日本よりはマシだとは思うが

金融経済が理解できないマスゴミに潰される結末になる可能性も高そうだ


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