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貧乏老後を招く「怖〜い勘違い」 年金危機! 老後の不安はどう解消する?
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/359.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 02 日 12:48:04: cT5Wxjlo3Xe3.
 

第2回 
貧乏老後を招く「怖〜い勘違い」
2012年11月2日(金)  日経マネー編集部 、 有山 典子

 現役時代は年収減、定年後は年金減に見舞われる我らサラリーマン。老後にお金のことで悩まないためには、40代からの準備と知識が欠かせない。発売中の日経マネームック『金持ち老後VS貧乏老後』は、サラリーマンでも1億円貯めた家の秘密、あなたの退職金・企業年金を知る方法、資産を守りながら殖やす40歳からの運用術などを紹介している。その取材で分かった「金持ち老後のための最新常識」。連載第二回は、貧乏老後を招く「怖〜い勘違い」。フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史さんに聞いた。

リタイアメント準備セミナーで、5年半にわたってのべ1万人以上にお話をされてきた。そこで実感されたことが「ほとんどの男性は、自分のことを知らない」ことだそうですね。私は、身長と体重、血圧、ガンマ―GTPまで、きっちり把握していますよ。
野尻 哲史さん
1959年生まれ。一橋大学卒。国内外の証券会社調査部を経て2007年より現職。「サラリーマン1万人調査」「退職者8000人アンケート」など、老後とお金に関して継続的な調査を実施。資産運用に関する啓もう活動を続ける。著書に『老後難民』(講談社+α新書)など。

野尻:いえ、自分のお金のことを知らないという意味です(苦笑)。例えばこれは分かりますか? 我が家に今いくら資産があるのか? 自分が死んだ後、妻にどれだけお金が残る設計になっているのか? 退職後に意外にかかる費用は何か? 将来の制度変更で老後マネーにとって打撃なのは、年金制度よりも実は……。

ま、待ってください。ちょっと計算が…

野尻:では貧乏老後を招く「怖〜い勘違い」と新常識をひとつずつ整理していきましょう。まず第一に「退職後は必要な生活費は大きく減る」という勘違い。実は、高齢になっても支出はあまり減らないのです。

 フィデリティ退職・投資教育研究所がサラリーマン1万人に行ったアンケート調査では約半数の人が「定年退職後の生活費は退職前の半分より下」と答えています。僕はこの見通しがあまりに甘いと、大変気がかりです。
退職後の収入は、退職直前の68%

甘いかな。そんなもんじゃないですか。会社勤めがなくなって洋服代がかからなくなるし、交際費も減りますよね。

野尻:総務省の「家計調査」(2010年)によれば、年収約900万円以上の家庭の消費支出は月に約45万円です。これだけ暮らしにお金をかけていた家が、急に半分以下でやっていけるのでしょうか。

妻に相談してみないと…(汗)。

野尻:参考までに、私たちの研究所で家計調査を基に分析したところ、「定年退職後の収入は退職直前の月収の68%」となりました。確かに高齢になると外出の回数も減り、生活費は以前ほど必要なくなります。

 でも、その一方で医療や介護の費用が増えていくのです。年齢が上がるとともに通常の生活費が減っても、医療・介護費用が増えるので、トータルで見ると生活費は思ったほど減らないと考えた方がいいでしょう。

日経マネー編集部の取材では、介護費用の目安は月3万〜5万円。介護期間の目安は5年間だそうです、もちろん、人によってもっと長くなることもありえますからね。

野尻:医療費は60歳以降、きれいな右肩上がりのカーブを描いて増えて行きます(下グラフ参照)。
男性91歳、女性95歳

 さらに、「自分は何歳まで生きるのか」という点についても勘違いがあるように思います。

男は79歳、女性は86歳。女に生まれればよかったな。

野尻:それは「平均寿命」ですね。誰もが思い浮かべるこの数字は、若くして亡くなる人も含めた平均値。定年まで元気に生きてきた人はもっと長生きするのです。では60歳まで生きた人のその後の「生存率」を計算してみましょう。

 ざっくり言って、2人に1人は男性83歳、女性89歳まで、5人に1人は男性91歳、女性95歳まで長生きします。(下図参照)

長生きはうれしいけど、お金が…。

野尻:漠然と「老後生活は定年後20年ぐらい」と思っていたかもしれません。でも確率的にはもっと長い老後を見込んで、資金計画を立てるべきなのです。もう一つ、厳しい話をしなくてはなりません。

 (上の図)は、両親も本人も平均的な年齢で子供を産んだケースです。教育費が最もかかる時期と老後資金を貯める時期、介護費用が必要になる時期が少しずつずれています。これなら、何とかやっていけそうですね。しかし、この図を思い浮かべていると、大きな勘違いをいうケースがあるのです。

 (下の図)は本人たちが上より7年遅れて子供を産んだケースです。教育費、老後資金、介護費用が必要になる時期がほとんど重なってしまうのです。この三重苦を、私は「ジレンマ」をもじって「トリレンマ」と呼んでいます。
夫婦二人の老後生活は意外に長く続く

なるほど、夫が40歳で第一子は厳しいね…って我が家のケースじゃないですか!

野尻:高学歴で高収入の家庭には、出産が遅くなるケースも多いようです。教育費を負担しながら老後資金をいつ貯めればいいかか、十分な計画が必要です。では、そんな老後計画について、夫婦でどれだけ話し合っているのでしょうか。

 女性だけに聞いたアンケートの結果では、「誰とも話さない」人が38%。「夫と話すことがある」人も38%しかいません。なお、「夫やパートナーの介護をするつもりはありますか?」との質問では、27%の人が「分からない」と答えました。少し不安になられる男性もいるのではないでしょうか。

かなり不安な気持ちになってきました…

野尻:夫婦二人だけの老後生活は長く続きます。現役時代から、我が家のお金の現実を知ること、それを夫婦で共有することができれば、家計の無駄を省くための具体的な行動がとれ、金持ち老後の準備にもつながります。

 次回、金持ち老後の新常識第三回では、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんに講師役をバトンタッチして、高年収なのに貯まらない家の家計見直し法を紹介していきます。
著者プロフィール

有山 典子(ありやま・みちこ)

マネージャーナリスト・ファイナンシャルプランナー。野村総合研究所勤務後、編集者に転身。マネー雑誌編集長を経て2007年よりフリーで活動中。


このコラムについて
金持ち老後の新常識

老後に必要な資金は1億円。このうち年金や退職金を除くと、3000万円は自助努力で形成する必要があるといわれる。豊かな老後を送るためにどのように資産形成をすればいいのか。その方法を『金持ち老後vs貧乏老後』として日経マネー編集部は2012年11月4日に出版、本コラムはそのポイントを紹介する。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20121031/238832/?ST=print

【第4回】 2012年11月2日 西川敦子 [フリーライター]
世代間格差大国・日本で若者の財布が狙われている!
消費税20%、年金保険料25%を抜き取られる未来

日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。

国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――出生や死亡の見込みが中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦直後の人口とほぼ同じ規模だ。

どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?

――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。

明治大学政治経済学部 教授
加藤久和先生の話
お年寄りは若者より1億2000万円以上も得!?
米国の3倍以上もある日本の「世代間格差」
かとう・ひさかず
1958年東京都生まれ。1981年慶応義塾大学経済学部卒業。1988年筑波大学政策科学研究科修士課程修了。博士(中央大学)。(財)電力中央研究所主任研究員、国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部第一室長などを経て、2006年より明治大学政治経済学部教授。専門は人口経済学、社会保障論、計量経済学。主な著書に『世代間格差――人口減少社会を問いなおす』(筑摩新書)、『財政学講義――政府部門の経済分析』(文眞堂)、『人口経済学入門』(日本評論社、日本人口学会賞受賞)など多数。

――国に払う「社会保障費(しゃかいほしょうひ)」と、年金、医療、介護などを通して自分が受け取る利益の差を見てみると、上の世代ほど有利。日経新聞の調べによると、お年寄り世代は20歳未満の「将来世代」に比べ、1億2000万円以上も得。

――就職を希望する大学生(2012年3月卒業)で、就職先が決まっている人の割合「就職内定率」は、2012年4月現在、93.6%(文部科学省『平成23年度大学等卒業者の就職状況調査』)。昨年よりも改善したとはいえ、多くの大学生が就職に困っている。一方、企業では65歳以上の人びとを対象に、定年後も引き続き働き続けることのできる「雇用延長(こようえんちょう)」を行っている。

――国と地方が抱えている借金「政府債務額(せいふさいむがく)」は今や1000兆円を超えようとしている。国民1人当たりが背負う借金の額は、2歳の赤ちゃんの場合、すでに約750万円。ちなみに現在66歳の人が0歳児の頃は、1人14万8000円だった。

 最近のお年寄りは恵まれているけど、若者は大変だ……などと言いたて、いたずらにお互いの溝を深めるのはけっしていいことじゃない。でも、これらからわかるように、日本はお年寄りと若者の“恵まれ度”の違い「世代間格差」がとても大きな国だ。

 アメリカの経済学者、アゥアバアックとコトリフは、世界17ヵ国を対象に社会保障、公共事業、教育などについて、人々が負担する額と得られる恩恵の差を調べた。世代ごとの違いを見てみると、もっともアンバランスだったのは日本。不均衡率(世代間のアンバランスさの割合)は169.3%で、アメリカ(51.1%)の3倍以上にも及んでいた。

 このままほうっておけば、将来、格差はますます大きくなるだろう。というのも、世代間格差を生んでいる犯人は、人口構造の変化だからだ――。というわけで、今回は君たちの将来にも大きな関わりがある「世代間格差」の話をすることにしよう。
2050年には「肩車社会」が到来
消費税20%、年金保険料25%の日も近い?

 日本の社会保障は、お年寄りが受ける福祉の負担を現役世代が担う仕組みだ。「世代間の助け合いシステム」って呼ばれているよ。

 昔は若者の数が多かったから、それでもちゃんとやっていけた。1948年には、12.5人の現役世代が1人のお年寄りを支える「胴上げ型」の社会だったんだ。ところが2010年には、2.8人で1人のお年寄りを支える「騎馬戦型」社会に。さらに今後、若者の人口が減っていけば、2050年頃にはなんと1人で1人を支える「肩車社会」が到来すると言われている。

 1人の若者が1人のお年寄りを支え続ける社会――想像できるかな。負担が重すぎて、疲れ切ってしまう支え手も出てくるかもしれない。病気になったり、失業したりすれば、背負っているお年寄りもろとも倒れてしまう。

 そこで今年8月、成立したのが「社会保障と税の一体改革法案」だ。これにより、消費税が、現在の5%から2014年4月に8%、2015年10月には10%に引き上げられることになった。世代と関係なく消費税を集めることで、社会保障の元手となるお金を確保しよう、というのが目的のひとつだ。ただ、改革が決まったのは消費税のほうだけで、社会保障制度の改革については議論が棚上げされてしまったけれどね。

 このまま昔ながらの社会保障システムを続ければ、消費税は10%どころではすまなくなるだろう。君たちが大人になる2030年頃には、“20%超”まで引き上げられるのではないか、という見方もあるんだよ。

 というのも、国は2004年の年金改正で、「現役世代の収入の最低でも50%を年金として給付すること」をお年寄りに約束しているからだ。この水準を維持するため、厚生年金保険料は毎年引き上げられており、2017年9月から月収の18.3%に固定されることになっている。

 雇用主が半分負担するとはいえ、18.3%といえばけっして小さな数字じゃないよね。それでも、“18.3%に据え置けば大丈夫”という政府の読みは、甘いとしか言いようがない。

 なぜって、この保険料率は、あくまで現在よりも高い経済成長率や物価上昇率、利回りが将来も続くという前提で計算したものだから。そのどれか1つでも予想を大きく外れれば、将来の年金の計画は外れてしまうだろう。

 高齢者が受け取る年金の給付水準を、40%程度に引き下げない限り、保険料率はますます上がっていくことになる。おそらく2030年頃には、“25%”に到達しているかもしれない。加えて消費税の重荷がのしかかれば、若者の財布はひとたまりもないはずだ。
広がる「貯蓄ゼロ世帯」
世代間格差が経済成長を阻む

 すでに増えつつあるのが、若い世代における「貯金ゼロ世帯」だ。

 今年の4月、金融広報中央委員会が発表した2011年の「家計の金融動向に関する世論調査」を見ると、30代の2人以上の世帯で「貯蓄がない」と答えた世帯はなんと31.7%。過去最悪の割合だ。しかも、前年の24.3%から7.4%も増えている。

 さらに「国民経済計算」(SNA)という公的な統計で家計貯蓄率を見ると、1980年に17%あった2010年にはたった2.5%。日本人の貯蓄が限りなくゼロとなる日がまもなく到来するに違いない。

 もともと日本人は貯蓄好きというイメージがあった。とくに若い世代ほど貯金に精を出し、貯めたお金で老後の生活をまかなうのが一般的だったはず。でも今や、「とても貯蓄にお金を回すゆとりはない」という若者が増えているみたいだ。

 それも無理ないよね。父親が若かった時代とは違い、働き続けていれば順調に給料が上がっていくわけではない。しかも、そこから社会保険料や税金をどんどん引かれてしまうんだから。パート・アルバイトや、契約社員といった非正規社員の若者ならなおさらだ。

 でも、若者を中心にこのまま貯蓄率が下がっていけば、日本全体の経済力はさらに失われてしまうことになる。なぜなら、人々が銀行に預金をしなければ、銀行は資金を作れず、企業が新しい設備を作るのに必要なお金を貸すこともできなくなってしまうから。

 問題は貯蓄が減っていることだけではない。社会保険料や税金が高くなれば、その分、若者は買い物もできなくなってしまう。そうなれば、国内の景気はますます悪化するだろう。

 実際、前にも出てきたアゥアバアックとコトリフらの研究をもとに、「世代間格差が大きくなればなるほど、経済成長率が低下する」と指摘する学者もいる。同時に、経済成長率が下がり、人々の収入が減れば、若者にとってはますますお年寄りを支えるのが苦しくなるわけだ。そう考えると、「世代間格差と経済成長率」は「卵とニワトリ」の関係――つまり、どちらかが悪化するともう一方も悪化する、根深い関係といえるね。
「世代間の助け合いシステム」で進む
“負のスパイラル”

 いずれにしても、このまま世代間格差が広がれば、若者の暮らしはますます苦しくなってしまう。そうなれば、結婚したり、子どもを作ったりすることもあきらめる人が増えるだろう。

 その結果、ますます少子高齢化が進み、お年寄りを少人数で支えなければいけなくなる。そして世代間格差が一層広がる……という負のスパイラル(物事がどんどん悪くなること)に陥ってしまう。

 このスパイラルから脱出するには、いったいどうすればいいんだろう?

「世代間の助け合い」もいいけれど、今、「世代間の分かち合い」こそ必要とされているのではないか、と私は思う。

 たしかに、お年寄りにしてみれば若い時から大変な苦労をしてこの社会を作ってきた、という自負があるのかもしれない。自分たちも親世代を支えてきたのだから、今度は自分たちが支えられる番だ、という思いもあるだろう。でも、そのために若者に負担をかけすぎてしまい、社会がこわれてしまったら元も子もない。若者側も、人生の先輩をないがしろにし、見捨てるのは本意ではないはず。だからこそ、対立したり、依存したりするのではなく、お互いに痛みを分かち合うべきなんじゃないかな。

 たとえば、お年寄りの中にも、裕福な人、元気に働いている人は大勢いるよね。そんな人たちも含めて一律に年金を給付し、医療費の負担を軽くするのはどうなんだろう?力のある人にはちゃんと負担してもらい、本当に必要としている人にこそ必要な支援を届けるべきじゃないだろうか。

 具体的には、老後の基礎的な生活を保障する「基礎年金」を、消費税としてみんなに払ってもらう。年齢の区別なく集められるから、世代間格差を広げずにすむはずだ。また、一定の収入のあるお年寄りについては、年金の給付額をカットしたり、若い世代と同じように、医療費の自己負担割合を3割に増やしたり――といった負担をお願いすることも考えられる。

 同じことは生活保護についても言えるよ。今、生活保護を受給している人の50%以上は60歳以上の高齢者層だ。そして、その財源となる税金の多くは、おもに現役で働いている人たちが支払っている。裕福なお年寄りにもより多く税金を支払ってもらうようにすれば、若者の負担感も減るはずだよね。

「お年寄りだから支える」「若者だから頑張って負担してもらう」といった、おおざっぱな制度ではなく、よりきめ細かく、効率的な制度を作ること。そして、年金や医療の問題だけでなく、若者の働き方にも目を向け、世代間格差をなくしていく努力が必要だ。

 生まれた時期による「損得」だけに目を奪われていては、世代間格差の問題を解決することはできない。見つめるべきなのは、その原因となっているこの国のあらゆる制度、古くなって使い物にならなくなったシステムだ。僕ら大人は、「人口減少」「少子高齢化」という“都合の悪い現実”から目をそらさず、新しい仕組みを作り直していくべきだと思う。

http://diamond.jp/articles/print/27274


 

年金危機! 老後の不安はどう解消する?
2011年10月25日
いかにして老後のお金を備えればよいのか
 「年金がもらえるのは68歳からになるかもしれない」――厚生労働省が示した年金支給開始年齢の引き上げ案の波紋が広がっています。年金支給開始年齢を68歳からにするといった案が出ているのです。このコラムの読者の多くは20代〜40代ということで、私達の年金にも大きな影響を与えるトピックスです。

 この連載では女性にとっての働き方とお金について考えてきました。今回は年金の不安があるなか、いかにして老後のお金を備えればよいのか考えていきたいと思います。

 「会社を退職するのは60歳なのに、年金がもらえるのは65歳。その間はどうすればよいのですか?」―以前から、この質問をたくさん受けることがありました。仮に年金がもらえるのが68歳からになると、その空白期間は実に8年間。年金がもらえるようになるまで働き続ける、あるいは収入の空白期間を埋める貯金が必要になります。

 「制度もころころ変わるし、老後は一体いくらあれば安心なの?」―そんな声が聞こえてきそうです。そこで、この年金危機の時代を行く抜く3つの方法を、改めて整理したいと思います。

年金危機の時代を行く抜く3つの方法

 1つ目は、この連載でもテーマにしている「働く力」をつけるということです。会社を退職してから年金がもらえるまでのブランク期間にも働くことができれば生活は楽になります。これからは70歳まではバイトでも稼ぐという覚悟も必要なのではないかと思います。

 しかし、同じ会社がずっと雇い続けてくれるとは限りません。最近は会社の寿命が個人の就労期間よりも短くなりつつあります。できれば、ほかの会社でも通用するようなスキルを身につけておきたいです。あるいは会社以外で副収入があると収入の分散ができますね。

 2つ目は、低コストでも生活できるようにしておくということです。1カ月の生活コストが家賃も含めて15万円という人と、30万円という人とでは老後に備えなければならないお金が2倍も変わります。

 例えば、60歳から70歳までの生活費を現役時代に貯蓄するとします。生活コストが月15万円の人の20年分の生活費は1800万円、月30万円の人の場合は2倍の3600万円ということになります。

 試しに、1カ月15万円などの低コストの暮らしをしてみてください。この金額でも十分生活ができるという感覚を持っておけば必要以上に心配しなくてすむようになります。

マイホーム、マイカーには安易に手を出さない

 また、資産価値が下がる可能性のあるものには安易に手を出さないことが大切です。例えば、マイホーム、マイカー、貯蓄型の保険などです。これらを総額にして計算するととても大きな金額となり、お金のない私達世代にとっては失敗の許されない大きな支出になります。

 30歳で年収300万円という人は60歳までに9000万円を稼ぐことができますが、住宅に3000万円、クルマに2000万円(維持費も含め30年分)、保険に1000万円などと使っていると老後のお金はなくなってしまいます。今後、資産価値が危ういというような巨額なお買い物は慎重に考えるようにしましょう。

 3つ目は貯蓄です。お給料をもらったら真っ先に手取りの25%程度を将来の貯蓄にまわすのです。60歳までにいくら貯めておけばよいかは老後の生活費や年金の事情によって変わりますが、目安として1500万〜2000万円を目標にしましょう。30歳から毎月5万円を貯めれば1800万円になりますね。

 以上の3つがこの不透明な時代を生き抜く大切なポイントになります。現在20代〜40代の人が年金を受給する頃には支給開始年齢が70歳になり、金額も少なくなっているということもありえる話です。そういった時にも、稼ぎ力がある、収支のバランスがとれる、生きていくのに必要最低限の貯蓄があれば安心です。

 「十分な時間」というとても大きな武器を生かして、スキルアップや貯蓄などの資産形成を今から始めるようにしましょう。
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20111024/114621/?P=3

 

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