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・「成長」から「成熟」への転換
日本が再び鎖国の局面に入る、あるいは入るべきだ、などというと驚く人たちが少なくないだろう。もちろん、江戸時代的鎖国が訪れる可能性を論じているのではない。グローバリゼーション一辺倒から離れて、日本という国をしっかりと見つめ直す時だという意味での鎖国である。
・崩れた米金融システム
実は、日本は歴史上「開国」の時期と「鎖国」の時期を交互に経験してきた。第1の鎖国の時期は遣唐使廃止から平治の乱までの平安時代(9世紀末から12世紀)、第2の時期は元寇以降、日明貿易再開まで(13世紀〜14世紀半ば)、そして江戸時代の鎖国。また、日露戦争から第二次世界大戦までも、ある種の鎖国の時期だったといえるのだろう。
鎖国の時代は、開国の時代に取り入れた外来文化を「日本化」し、「和漢折衷」「和洋折衷」の日本独自の文化を作り出していった時代である。平安時代、江戸時代などはその典型だったといえるだろう。日露戦争から第二次世界大戦に至る時代も、ロシアという大国に勝利した日本が、明治維新後の「欧化」から、新たな「日本化」を目指した時代ともいえるだろう。残念なことに、この日本化は第二次世界大戦の敗北という結果に終わってしまったが…。
第二次世界大戦からごく最近までは、アメリカ化の時代、つまり開国の時代だったということができる。自動車、スーパーマーケット、ハリウッド映画などが導入され、日本に定着していった時期であった。そして、アメリカ化の時代はグローバリゼーションの時代に重なっていく。アメリカだけではなく、中国やインドなどの新興市場国に進出し、業務をグローバル化することが多くの企業にとって主要な戦略の一つになっていったのである。
グローバル化は金融によって先導された側面が強かったようである。製造業と違って、モノの移動を伴わないので、グローバル化がより迅速かつ広範にできたからである。しかし、金融に先導されたグローバリゼーションはリーマン・ショックと呼ばれたアメリカの金融システムの崩壊によって“終わりの始まり”を迎えることになる。
1990年代半ばからアメリカの金融資産は、グローバリゼーションを背景に100兆ドルも増加したのであるが、結局、それが金融バブルを生み、バブルはアメリカの住宅価格が下降に転ずると破裂し、アメリカの金融システムは崩れていってしまったのである。この間、住宅価格もダウ平均株価も3倍以上に上昇したが、結局、バブルの一局面に過ぎなかったのである。また、市場化が急速に進む中で格差が拡大し、ウォール街での格差反対の「99対1」のデモを生むことになってしまったのである。
・「日本化」の時代に
こうした中で各国とも悪化した財政を立て直し、国内経済に専心し自国経済の再建を図らざるを得なくなってきたのである。金融緩和を続ける中で何とか財政を再建することが、多くの国で最大の課題になってきた。つまり、内向きの経済の立て直し、金融緩和、為替の切り下げを各国とも選択せざるを得なくなったのである。
日本もまた、グローバリゼーションからの転換の時期に入ってきた。格差の拡大をどう食い止めるか、世界経済が縮小する中で日本の良さをどう維持していくか。日本の比較優位は一体何なのかを認識し、それを生かすことが必要になってきた。
つまり、「鎖国化」、あるいは「日本化」の時代に入ったのである。おそらく目指すべきは、平安時代、江戸時代のような「成熟経済」であり、「成熟社会」だろう。開国から鎖国へ、成長から成熟への転換が日本の課題になってきたのである。
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- Re: 西洋が覇権をとれた6つの真因―文明は複雑系 臨界に至れば急崩壊 墨染 2012/10/29 10:09:05
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