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「円安」が長続きしない理由
2012年 10月 25日 17:48 JST
佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長
[東京 25日 ロイター] 今週、ドル/円は7月6日以来、約3ヶ月半ぶりの80円台を回復した。上昇トレンドを始めた10月11日以降2%程度上げているが、実効レートで見れば、ドルは横這いである一方、円は2%超下落している。今回のドル/円上昇は、「ドル高」ではなく「円安」であることが分かる。
この「円安」主導の動きの背景には、日本の貿易収支の悪化懸念、対外直接投資に伴う円売り期待、そして来週火曜日の日銀金融政策決定会合における追加緩和期待などがあると考えられる。
しかし、筆者は、今回のドル/円の上昇は今年2月から3月半ばほど大きなものとはならず、比較的短期間で反落するのではないかと見ている。以下、その理由を順を追って説明したい。
<追加緩和は織り込み済み>
まず、今年2月から3月半ばの相場をおさらいしておく。
ドル/円は同期間中に84円台まで約10%急上昇したが、この時も実はほぼ同じ理由で円安主導の動きとなった。2月8日に2011年の日本の貿易収支(国際収支ベース)が48年ぶりの赤字となったことが改めて確認され、翌週2月14日には日銀が資産買入等基金を55兆円から65兆円に拡大すると予想外の発表をした。
こうした要因を背景に、ドル/円は2月1日の76.03円(年初来最安値)から3月15日の84.18円(年初来最高値)まで10%程度上昇した。この1カ月半の動きも「円の独歩安」となっており、円はこの期間中2番目に弱かったニュージーランド・ドルに対してさえ8%も下落している。
もっとも、ドル/円は3月半ばに84円まで上昇した後、6月初めまでの2ヶ月半で77円台に反落した。この時の動きも完全に円主導となっており、実効レートで見ると円は2月から3月半ばまでの下落をほとんど帳消しにするほど回復した。日本の貿易収支は3月、4月、5月と赤字が拡大を続け、さらに日銀は4月27日にも資産買入等基金の5兆円拡大を発表したが、それでも円の反発は続いたのである。日銀の緩和期待と貿易収支の悪化懸念は、2月から3月半ばの円安の背景として説明できるが、3月半ばから5月末にかけての円高の要因にはならない。
次に、米国に目を向けると、この時期の円の上下動を両方とも説明できそうな要因がある。それは米長期金利の動向だ。
2月から5月までのドル/円の上下動は、日米の2年国債利回り差の動きに概ね沿ったものとなっている。この間の金利の動きを見てみると、2月の日銀による追加緩和発表を受けて日本国債利回りは3ベーシスポイント(bp)ほど低下したが、2月から3月半ばにかけての日米金利差拡大は主に米国債利回りの上昇に拠るところが大きい。
米2年国債利回りがこの時期に大きく上昇したのは、2月3日と3月9日に発表された米雇用統計が予想を上回ったことが大きく影響しており、この間に米2年国債利回りは18bpも上昇した。その後4月6日に発表された米雇用統計が予想を大きく下回ると、金利は大きく反落し、日米金利差は急速に縮小し、ドル/円も反落したのである。
長期的に見ると、円は米長期金利と緩やかな逆相関関係がある(こうした相関はオプション市場における取引が影響していると考えられている)。実際、円は2月から3月半ばにかけては米長期金利上昇に沿って下落し、3月半ばから5月末にかけては米長期金利低下に沿って上昇している。
では、こうした過去の流れを念頭に置いた上で、今後のドル/円の行方を占ってみよう。
まず重要なことは、来週の日銀の追加緩和はすでに相当程度織り込まれているということである。2月の緩和はサプライズだったが、来週の追加緩和はすでに期待が十分高まり、それを見越した円売りも相当程度出ていると考えられる。名目金利がゼロの状況下で、日銀がいくらバランスシートを拡大しても、それが期待インフレ率の上昇に繋がらなければ、為替相場に対する実質的な影響はほとんどない。
たとえば、2010年10月以降の2年間の動きを見ると、日銀の総資産額の対GDP比は25.3%から32.1%へと6.8%ポイント拡大したが、同期間の米連邦準備理事会(FRB)の総資産額の対GDP比は15.9%から18.6%へと2.7%ポイントしか拡大していない。
量的緩和や中央銀行のバランスシート規模が、名目金利ゼロの状態でも為替相場に影響を与えるのであれば、過去2年間のドル/円相場は円安方向に振れていなければならないことになるが、実際にはむしろ若干円高となっている。つまり、日銀による国債購入は為替相場に実質的な影響を与えていないと考えられる。したがって、思惑によって売られ下落した円は、利益確定のために買い戻され上昇することになるのだ。
また、今回は2月から3月とは異なり、米2年国債利回りがこれ以上大きく上昇するとは予想し難い。当時とは違い、最近の米雇用統計は概ね予想通りの結果となっている。市場関係者の大半も、FRBが声明で述べているように、例外的に低い政策金利が2015年半ばまで続くと予想している。よって、米2年国債利回りの一段の上昇による円安も期待できない。
<ドル/円は年末までに再び77円台も>
貿易赤字基調だけに着目して円安が進むと読み解くことにも疑問を持っている。貿易収支の赤字化は確かに円にとってネガティブだが、この負の部分は所得収支の黒字、海外投資家による本邦債券の購入に伴う円買いによって相殺されてしまっていると考えられる。国際収支ベースで見ると、今年1月から8月までの貿易赤字は3.4兆円であるが、所得収支の黒字は10.1兆円、海外投資家による日本の債券投資は6.1兆円に上っている。
また、対外直接投資に絡むフローについても、以前ほど円売りのフローを伴わなくなっていると考えている。現在は、円だけではなく、ドルやユーロ、ポンドの金利もかなり低くなっている。わざわざ為替リスクをとって投資をするより、外貨を借り入れて投資を行う方が合理的である。
こうした諸要因を勘案すると、結局、ドル/円の上昇は短期的なものに終わり、来週の日銀政策決定会合前後には反落に転じる可能性が高い。
筆者は、FRBが量的緩和を実施している間はいわゆる「リスクオン」の環境が続き、円とドルの双方が弱くなることからクロス円は円安方向に上昇すると予想している。ユーロ/円のターゲットは引続き105円である。もっとも、ドルは円よりも弱くなるため、ドル/円はドル安・円高方向に下落すると見ている。ドル/円は年末までに再び77円台に戻ると予想している。
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。
アジア通貨動向(25日)=堅調、当局は介入のもよう 5:30pm
UPDATE1: シドニー外為・債券市場=NZドルが大幅高、豪ドルも追随 4:38pm
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE89O05C20121025?sp=true
日銀が海外情報発信に腐心、対話下手返上へ−30日の英文声明に注目も
10月25日(ブルームバーグ):日本銀行は英語での情報発信を増やしている。欧州債務危機や世界経済減速の長期化で、日本経済が再び景気後退のリスクにさらされる中、金融政策運営に対する海外投資家の理解を深めるのが狙い。日銀が30日開く金融政策決定会合で追加緩和が行われるとの観測も強まっており、その際、英語でどのような情報発信が行われるかについても注目が高まっている。
日銀は今週、都内で海外メディアに対して初めて英語でのブリーフィング(記者説明)を行った。5月には欧州統括役だった川添敬氏を企画局の国際関係・企画調査等担当の審議役に任命。昨年12月には英語でのツィッターを開始し、これまでに2000人以上のフォロアーを獲得している。
欧州債務危機に端を発した海外投資家のリスク回避姿勢の高まりにより、円相場は過去3年間で対ドルで約17%上昇。世界経済の減速の影響により、景気持ち直しの動きが一服したことを受けて、日銀は9月19日の金融政策決定会合で約5カ月ぶりの金融緩和に踏み切ったが、30日会合で2カ月連続の追加緩和が行われるとの見方が強まっている。
日銀の小早川周司企画役(国際関係・海外広報事務)はブルームバーグ・ニュースの取材に対し、「われわれの政策を正しく理解していただくためには、われわれ日本銀行からの働き掛けも必要だ」と言明。「非伝統的な政策が増え、金融政策の枠組みや全体像が分かりにくくなっている中で、これまで以上に日本銀行の取り組みについて丁寧にかみ砕いて海外の方々に説明をする必要性を感じている」と話す。
精力的な説明
小早川氏は6月以来、カナダや米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、フランスなど各国の在日商工会議所などで、日銀の包括的な金融緩和策や成長基盤強化の支援策などについて英語で説明して回っている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行のグローバル・マーケット・リサーチの責任者、ティモシー・リデル氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)は市場との対話の技術を高めており、欧州中央銀行(ECB)も以前よりもオープンになっている」と指摘。「海外の市場参加者はおそらく、日銀の意図についてより深く理解することで、得るものがあるだろう」と語る。
日銀が公表した資金循環統計によると、6月末の海外投資家の日本国債保有残高は81.6兆円と前年比べ20%増加した。富士通総研の主席研究員で日銀の客員研究員を務めたこともあるマルティン・シュルツ氏は「欧州債務危機により資本が日本に流入しており、金融政策に対する説明がもっと必要な状況になっている」と指摘。日銀が海外への情報発信を増やしていることは「非常に良いことだ」と語る。
目途と「goal」
日銀は2月14日の会合で、従来の「物価安定の理解」に替えて「物価安定の目途(めど)」を導入。「理解」が「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、中心は1%程度」だったのに対し、同じ2%以下のプラスの領域ながら、「当面は1%をめど」として、それが見通せるまで「強力に金融緩和を推進していく」と表明した。
この会合で、政策委員は「物価安定の目途」の英語表現について「The price stability goal in the medium to long term」とすることがふさわしいとの認識で一致した。JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「日銀の政策委員が英語訳について言及することは珍しい」と指摘する。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは24日のリポートで「goalという表現は、FRBが採用したインフレ「目標(goal)」と同じだが、日本の市場関係者の間にも、めどやgoalでは分かりにくいという声がある」と指摘。30日に想定される政策対応の1つとして「めどの英訳をgoalからtargetに変更することによって、海外投資家の影響力が大きい為替市場にサプライズ的なメッセージを発信できないか、といったアイディアが浮かび上がる」と指摘する。
SMBC日興証券の岩下真理・債券ストラテジストは30日の会合での追加緩和を予想した上で、「いかに海外勢にアピールできるかが重要だ」と指摘。「日銀の緩和姿勢が問われるという意味では、FRBとECBと比較されることもあり、新たな文言では海外勢を意識した英訳部分が重要な鍵を握ることになろう」としている。
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2012/10/25 12:43 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCE4ET6JTSEN01.html
コラム:オバマ米大統領の続投でドル安は本当か=高島修氏
2012年 10月 25日 14:16
為替フォーラム
コラム:「円安」が長続きしない理由=佐々木融氏
焦点:米企業で物言う幹部が増加、仲良しクラブ脱却
米FRB、成長下支え継続:識者はこうみる
焦点:ドルは「財政の崖」で下落せず、規律評価で経済悪化なら資金避難先に
高島修 シティバンク銀行 チーフFXストラテジスト
[東京 25日 ロイター] 2週間後に迫った米大統領選挙は思った以上の接戦になりそうだ。民主党のオバマ大統領と共和党のロムニー候補の経済政策上の対立軸なども随分明確になってきた。
現在のところ、為替市場は「オバマ大統領の続投でドル安」「ロムニー候補の勝利でドル高」というモノクロ的な理解をしているようだが、果たしてそれで良いのだろうか。
オバマ大統領続投でドル安と解釈される一つの理由が、「財政の崖」である。オバマ大統領は共和党のブッシュ大統領が導入した減税策の継続には否定的。減税打ち切りに伴う実質増税と歳出自動削減の実施で「財政の崖」は大きくなる。景気に下押し圧力が加わり、バーナンキ議長率いる米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第4弾(QE4)など、さらなる金融緩和策を断行し、ドル相場は下落する。雇用対策を兼ねて製造業の復活を掲げているオバマ政権は、そうした政策によって生じるドル安を事実上は歓迎するはずだ、というストーリーである。
一方、ロムニー候補が勝利する場合は、ブッシュ減税は延長されやすくなり、「財政の崖」はオバマ大統領続投のケースに比べれば小さくなる。景気への悪影響も限られ、追加緩和観測は後退。しかも、ロムニー候補は2014年1月に任期が切れるバーナンキ議長を再任しないと公言しているから、FRB議長は辞任の可能性も含め1年以内に交代する公算が高い。その場合、現行の緩和路線を痛烈に批判している人物(たとえば、ブッシュ政権下で大統領経済諮問委員会委員長を務めたハバード・コロンビア大教授など)が後を継ぐ可能性がある。その結果、金融政策は引締め色を増しドル相場は底堅さを回復。副大統領候補のライアン下院議員はドル高政策を訴えており、オバマ政権とは対照的に、ロムニー政権ではそうして生じるドル高は歓迎されるはずだ、といったストーリーである。
ここで気がつくことは、ドル高かドル安かを占うに当たって、FRBの金融政策が焦点となっている点だ。
「FRBの金融緩和でドル安、金融引締めでドル高」というのは非常に分かりやすいロジックだが、筆者は単純化しすぎていると考えている。
確かに、過去におけるFRBの利上げはドル高として結実したことが多く、利下げはドル安を招いたことが多い。だが、08年末に政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利はゼロ金利となり、その後、現在までFRBが勤しんでいるのは量的緩和など非伝統的金融政策である。その金融経済に及ぼす効果が不透明であることは、FRBをはじめとした各国の中央銀行が認めているところだ。
実際、為替市場でも、FRBがバランスシートを急拡大させ始めた09年以降、米ドルの通貨インデックスは下げ渋り、むしろ02年以降の長期ドル安相場に終焉の兆しさえ強まってきた。過去を振り返っても、01年から06年にかけて、日銀が量的緩和策を導入、拡充した際には、円安どころか円高が進行した。当時、FRBの果敢な利下げがドル安圧力を生み、日銀の量的緩和はそれに対抗できなかったからだ。目下、金利政策という手段を持たないFRBの金融緩和の可能性に過度に依存して、大統領選挙後のドル相場の行方を占うのは危険である。
<財政収支との相関から占うドル相場>
一方でより実証的に、長期間にわたってドル相場との相関を確認できるのが、米国の財政状況だ。為替相場が変動相場制に移行して以降、レーガン政権下でインフレ撲滅のため「強いドル政策」がとられ、景気不振から財政赤字が拡大した80年代前半を除けば、米財政赤字(経済規模比)と米ドル通貨インデックスは粗方の方向性を一致させてきた。
経常赤字国である米国はその赤字のファイナンスを海外に依存している。通常、対米証券投資の8割強は債券投資によって占められ、その中心は市場規模の大きな米国債への投資である。こうした収支構造下、米国景気が悪化し、財政赤字が膨らむ時には、米国債の発行量は増え、しかもFRBの金融緩和で債券利回りは低下(債券価格は上昇)する。需給が悪化し、かつ割高化した低利回りの資産で海外の投資家は米国の経常赤字をファイナンスさせられるため、為替市場ではドル安が進みやすくなる。
反面、米経済が回復し始めると、財政赤字の縮小に伴って米国債の供給は減少。その時、FRBの金融引締めで、米国債利回りは上昇(債券価格は下落)している。需給が改善し、かつ割安化した高利回りの資産で米経常赤字はファイナンスされる。その結果、為替市場ではドル高が進みやすくなると考えられる。
<むしろドル高を示唆するオバマ氏続投>
このように純粋に、財政収支とドル相場の関係に着目するならば、米財政収支を半強制的に改善させる「財政の崖」が必ずしもドル安要因とは言えないことが理解できる。というより、むしろ「財政の崖」が大きければ大きいほど、「ドル高を示唆している」と捉えるのが基本的な理解であるべきだろう。
もちろん、来年、米国で想定されるのは税制変更に伴う財政収支の改善だけだ。過去とは異なり、米経済の回復に裏打ちされたFRBの金融引締めとそれに伴う米国債利回りの上昇が期待できる訳ではない。また、米経済が安定的な回復基調を辿り、税収が自然増とならなければ、財政収支の改善は持続的なものとはならない。「財政の崖」によるドル高効果は表面的な財政収支の改善の割には限定的で、一時的なものに留まるだろう。
ただし、02年以降の長期ドル安局面を振り返ってみると、01年と03年に行われたブッシュ減税とそれに伴う米国の財政収支悪化が、長期化した米ドル安の一大要因であったことは間違いないだろう。そのブッシュ減税を巻き戻す「財政の崖」は、09年頃から続く米ドルの長期底入れの支援要因になってくるのではないか。
短期的には、FRBの金融緩和観測に着目し、「オバマ大統領続投でドル安」「ロムニー候補勝利でドル高」との反応を為替市場は見せよう。だが、ロムニー候補の場合、「財政の崖」の規模の小ささに加え、減税志向の財政政策が中期的には米財政収支の改善を遅らせ、結果的にドル安方向に作用する懸念がある。反面、オバマ政権の下で、景気回復に伴って、緩やかながらも着実な自然税収増が期待できるのなら、相対的には「ドル高を示唆している」との解釈が妥当だろう。
*高島修氏は、シティバンク銀行のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年にシティバンク銀行へ移籍。
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http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE89O02420121025?sp=true
【コラム】米国が日本を見習うべきこと、それは借金の仕方
10月24日(ブルームバーグ):米国民は近く、金を借りる相手を中国から日本に戻すかもしれない。
日本は長い間、米国に対する最大の貸し手だった。2008年9月に中国が日本に代わって外国勢として最大の米国債保有国になった。ワシントンでは、野心満々の共産主義大国よりは友好的な民主国家の方が債権者としてまだましだと考える大勢の人々が懸念を抱いた。その一人である共和党大統領候補のミット・ロムニー氏は、米国が中国に借りをつくり過ぎていると主張している。
ただ、「中国から金を借りない」というロムニー氏の公約は近く、意味を失うかもしれない。日本の米国債保有高は現在1兆1200億ドル(約89兆円)、中国は1兆1500億ドルだが、日本の購入は着実に増えている一方で、中国の保有高は2011年半ば以来10%余り減少 しているからだ。
しかし、誰が米国債を保有しているかは実は問題ではない。本当の問題は米国のような経済大国が借り入れの半分以上を海外に頼っていていいのかということだ。米国債を国内で保有してくれる投資家ベースを開拓するべきではないか。つまり、もっと日本のようになるべきではないか。
東京に本社を置くロジャーズ・インベストメント・アドバイザーズのエド・ロジャーズ最高経営責任者(CEO)は、「人々は反射的に日本をたたく。あらゆるケースについて、まねしてはならないものの例として日本を挙げる」が、「ちょっと待てと言いたい。債務のこと一つをとってもそうだ」と言う。
日本式
国債を国内でのみ保有するという考えは自由市場の原理主義者からは怒られそうだし、実現も簡単ではないだろう。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が言うように、金融のグローバル化の流れを反転させるのは「何十億という人々にフェイスブックを使うなと言うようなもの」だからだ。とは言え、米国にとって日本式借金の仕方に利点があるかどうかは検討に値する。
エコノミストのリチャード・ダンカン氏は今年出版した著書「TheNew Depression(仮訳:新たな恐慌)」で、成長を取り戻し、競争力を高めてエネルギーの対外依存をなくすため、フランクリン・D・ルーズベルト元米大統領のようなニュー・ディール政策を提言した。そのために企業のバランスシート上に眠っている民間部門の膨大な現金を利用する。米企業が自分たちの未来の利益のために投資していると考えれば、米国債を買うことを嫌がりはしないだろう。
「Japanization(日本化)」ほどエコノミストの心に恐怖を呼び起こす言葉はない。長期低迷、デフレ、さらに国際的地位低下への恐怖は、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長やドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁ら世界の中銀当局者を大量流動性供給へと駆り立てている。日本がたどった失われた10年のシナリオを避けるためだ。
政治的支離滅裂
日本化の際立った特徴の1つが、首相と財務相の頻繁な交代だ。このため日本の金融システム全体の問題に対する対処が進まない。
この政治的な支離滅裂に、円安に依存した輸出主導経済という問題が加わる。代表的な日本企業は円安へ依存が余りにも大きいため、この追い風がなくなったときの惨状は極めてひどい。シャープとソニーとパナソニックは昨年、合わせて200億ドル以上の損失を出した。円高で海外の売り上げが打撃を受けたことが一因だ。何十年もの間、これらの優良企業は日本の繁栄のために中心的な役割を担ってきた。米国にとってのデトロイトの自動車産業と同じだ。しかし今やこれらの企業の苦境が日本の産業空洞化を加速させている。
しかし、欧米諸国の多くが日本になれたら、日本のようなやり方ができたら、どんなに幸運かという点にはほとんど目が向けられていない。確かに、20年にわたる低成長とデフレは何兆ドルもの富を消失させたし、多くの銀行を支払い不能のゾンビ銀行にした。日経平均株価 は最高を記録した1989年の4分の1だ。
信じられない落ち着き
しかし、その間日本は一度も崩壊の危機のようなものに直面したことはない。犯罪が急増することもなく、ホームレスの数が爆発的に増えることもない。米国のリセッション(景気後退)ほど大量に雇用が失われることもなかった。パートタイムの雇用が増えたり、女性の就労機会が減ったり、新卒者が厳しい就職戦線に直面したりという調整はあったにしてもだ。
さらに、昨年の大震災後の信じられないほどの落ち着きも忘れてはならない。米国で2005年のハリケーン「カトリーナ」の後に起こったような暴動も略奪も起こらなかった。米アップルなどへのサプライチェーンの乱れも短期間で解決された。原子力発電所が全て稼働を停止したにもかかわらず、停電は頻繁かつ大規模には起きなかった。こうしたことのできる国が一体幾つあるだろうか。
日本を1つにまとめている「接着剤」は、国内勢による国債の保有だ。国債発行残高の90%以上を国内勢が保有しているからこそ、世界最大の公的債務を抱えながら10年債利回りがわずか0.78%で済んでいる。このため、格付け会社にジャンク級に突き落とされることもない。日本が次のギリシャになると思っている空売り筋が利益を上げることは決してない。
自己完結型システム
この自己完結型のシステムが、日本にいざとなった場合の逃げ道を与えている。デフォルト(債務不履行)の縁に追い詰められたら、国民と国内企業から債務減免を受ければよいのだ。もちろん、そんなことは日本政府にとって考えられない話だが、これが他の国にはないオプションであることは明白だ。
中国から金を借り過ぎるのは米国のためにならないというロムニー氏は正しい。しかし日本から借りるもの同じだ。米国は恐らく、国内で借りることを考えることになるだろう。債務は決して、一国の最大の輸出品であるべきではない。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック 氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Let’s Put America’s Bankers Out of Business Now: WilliamPesek(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東証 Willie Pesek wpesek@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Greiff jgreiff@bloomberg.net
更新日時: 2012/10/24 14:41 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCCQ2N6KLVS501.html
「貧富の住み分け」から占う米大統領選
2012年 10月 25日 14:48
コラム:「円安」が長続きしない理由=佐々木融氏
コラム:オバマ米大統領の続投でドル安は本当か=高島修氏
コラム:アマゾンの「ジャム」よりアップルの「果実」
コラム:米大統領選、外交政策は浮世離れの論戦
By James K. Galbraith and J. Travis Hale
ラッセル・セージ財団が最近発表したリポートによると、米国社会では過去40年にわたり、所得による住み分けが急速に進んでいる。中間所得層居住区に住む世帯の割合は、1970年当時は約65%だったが、現在は44%にまで減少。残りの約6割の世帯は、明らかな富裕層地域もしくは貧困層地域に住んでおり、特に富裕層は同程度の所得の隣人たちに囲まれて暮らす傾向が強いという。
これらの指摘は、われわれが2005年から別のデータを使って立ててきた推測とも一致する。貧富の住み分けによる空間的な二極化は、米国社会のまぎれもない事実となっている。
このことに政治的な意味合いはあるだろうか。私たちはあると考える。実際、所得による居住地の住み分けが進むことで恩恵を受ける政党はある。奇妙に聞こえるかもしれないが、それは民主党だ。
コロンビア大学の政治学者アンドリュー・ゲルマン氏は、米大統領選挙でみられる明白な矛盾をこう指摘する。「富裕層は共和党に投票する傾向があるが、裕福な州では民主党が強い傾向にある」。
こうしたことが起きるのは、所得と投票の関係が州によって異なるからかもしれない。裕福だが民主党色の強いコネティカット州では、裕福ではなく共和党色の強いミシシッピ州に比べ、所得と投票の関係はかなり弱いと言える。
しかし、ミシシッピ州の富裕層が民主党寄りになることはめったにないのに、なぜコネティカット州の富裕層は民主党寄りになるのだろうか。
所得格差は、コネティカット州よりミシシッピ州の方が大きい。一方で、所得による居住地の住み分けはコネティカット州の方が顕著だ。ミシシッピ州では、富裕層と貧困層は同じ町の同じ学区で互いに隣り合わせで生活しているが、コネティカット州ではそうではない。
このことが意味するのは、コネティカット州の少なくとも地方政治の場では、富裕層と貧困層が政治的に直接対立することは少ないということだ。彼らは同じ町に住んでいないため、そこでは社会階級(または人種)に根差した衝突は議題に上りにくい。それが貧困層を共和党寄りにすることはないにしても、富裕層が民主党寄りになる一因にはなるだろう。
もしこの説明が正しいとすれば、大統領選挙においては、居住区によって貧富が分断された州では民主党が強くなり、分断されていない州では共和党が有利になるはずだ。
仮説が正しいかどうか、2000年と2008年の結果を見てみよう。
2000年の大統領選では、貧富による住み分けが最も顕著だった10州は、順番にニューヨーク州、コネティカット州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ワシントン州、メリーランド州、イリノイ州、バージニア州、ミシガン州だった。このうち共和党のブッシュ候補が勝てたのはバージニア州だけで、民主党が圧勝した。
一方、貧富による住み分けが少なかった州は、サウスダコタ州、ノースダコタ州、モンタナ州、ウェストバージニア州、バーモント州、アイオワ州、ケンタッキー州、ミシシッピ州、アーカンソー州、ワイオミング州。民主党のゴア候補が勝てたのはバーモント州とアイオワ州のみだった。
2008年は州の内訳こそ若干変わったが、結果は同じだった。所得による住み分けが顕著な10州のすべてで民主党が勝ち、住み分けが少なかった州で共和党が落としたのはバーモント州とアイオワ州だけだった。
では、今年11月の選挙がどんか結果になるか占ってみよう。
2010年時点で、貧富による住み分けが目立たなかった州は、サウスダコタ州、ノースダコタ州、モンタナ州、ウェストバージニア州、ケンタッキー州、アイオワ州、バーモント州、ミシシッピ州、ネブラスカ州、アーカンソー州、オクラホマ州、ワイオミング州、ルイジアナ州、アイダホ州、メーン州、アラバマ州、アラスカ州。
世論調査を基にすると、バーモント州とメーン州、恐らくアイオワ州もオバマ陣営が取りそうだが、残りはほぼ間違いなくロムニー陣営が勝つだろう。
一方、貧富による住み分けが顕著だったのは、ニューヨーク州、コネティカット州、マサチューセッツ州、カリフォルニア州、ニュージャージー州、メリーランド州、ワシントン州、バージニア州、ペンシルベニア州、イリノイ州、フロリダ州、ハワイ州、アリゾナ州、ミネソタ州、デラウェア州。
この中にロムニー陣営が勝てそうな州はあるだろうか。フロリダ州は激戦になるだろう。バージニア州は一部世論調査では接戦となっている。アリゾナ州は過去2回は共和党が取っているが、今回は難しそうだ。
貧富の住み分けと選挙結果が示す関係は、ただの偶然なのだろうか。それは否定できない。われわれは別の統計モデルを試していないし、両者の関係には、根底に別の理由があるのかもしれない。しかし、何がしかの巡り合わせがそこにはあると信じている。
そして仮にこれが正しいとすれば、米国社会で貧富の住み分けが進んで行くと、興味深い副次的効果も出てくるかもしれない。将来、社会がますます不平等になる一方、住み分けによって階級間の対立が緩和すれば、共和党は大統領選挙でもう勝てなくなるかもしれない。
(22日 ロイター)
*執筆者ジェームズ・K・ガルブレイスは、テキサス大学オースティン校政治学部教授。最近の著作にには「Inequality and Instability: A Study of the World Economy Just Before the Great Crisis(原題)」などがある。父親は経済学者のジョン・ガルブレイス。もう1人の執筆者J・トラビス・ヘールは、テキサス大学オースティン校で公共政策の博士号を持つ。
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第3四半期の英GDP速報値は前期比+1.0%、景気後退から脱却
2012年 10月 25日 19:29
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[ロンドン 25日 ロイター] 英国立統計局が25日発表したデータによると、第3・四半期の実質国内総生産(GDP)伸び率速報値は前期比がプラス1.0%と、前期比伸び率としては2007年第3・四半期以来5年ぶりの高水準を記録。第2・四半期の前期比伸び率はマイナス0.4%だったが、英経済は7─9月期にリセッション(景気後退)からの脱却を果たした。
前年比では変わらず(0.0%)だった。
3四半期連続のマイナス成長から脱したが、ロンドンオリンピックや、第2・四半期に祝日が多かったことの反動による押し上げ効果が大きい。統計局によるとオリンピック効果は四半期成長の5分の1を占めるという。
エコノミストは、これらの効果を除いた場合の英経済成長は依然として弱いとみている。
スコシア銀のエコノミスト、アラン・クラーク氏は、6月の祝日増の影響でGDPは推計0.5%ポイント押し上げられたとし、オリンピックのチケット販売もあって「非常に良い数字になった」と指摘。「通年平均ではマイナス成長にならない可能性がある。おそらく横ばいで、金融政策面では追加量的緩和を棚上げする可能性が高まることになる」と述べた。
統計局によると、今年これまでの成長率は0.3%。
国内経済の4分の3以上を占めるサービス部門は第3・四半期に1.3%拡大、2007年第3・四半期以来の強い伸びとなった。前四半期はマイナス0.1%だった。
鉱工業は1.1%成長で、2010年第2・四半期以来の強い伸び。GDPの7%を占める建設部門はマイナス2.5%だった。
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ロンドン外為:ユーロ上昇−ギリシャ向け追加融資の報道
10月25日(ブルームバーグ):ロンドン時間25日朝の外国為替市場でユーロは上昇。ギリシャが第2次救済を補完するための追加の融資、最大200億ユーロを得る見込みだとの独紙ハンデルスブラットの報道が好感された。日本銀行が来週、金融緩和を拡大するとの観測で円は安い。
ロンドン時間午前8時50分現在、ユーロは対ドルで0.3%高の1ユーロ=1.3008ドル。対ユーロで円は0.7%下げて1ユーロ=104円26銭。
円は対ドルで0.4%安の1ドル=80円16銭。一時は6月25日以来の円安水準となる80円19銭を付けた。
原題:Yen Weakens to Four-Month Low on Bets BOJ Will ExpandStimulus(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 Monami Yui myui1@bloomberg.net;エディンバラ Lukanyo Mnyanda lmnyanda@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Dobson pdobson2@bloomberg.net
更新日時: 2012/10/25 17:13 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCFTWZ6KLVS001.html
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