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日銀:物価1%達成を半年以上先送り、追加緩和も−30日会合
(8段落目の「大和証券SMBC」を「大和証券」に訂正します)
10月17日(ブルームバーグ):日本銀行は消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前年比上昇率が「2014年度以降、遠からず1%に達する可能性が高い」との見通しを少なくとも半年先送りする方向で検討している。関係者への取材で明らかになった。同年度見通し(委員の中心値)も1%には達しない見込みで、こうした見通しを公表する30日の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの見方が強まっている。
白川方明総裁は追加緩和に踏み切った前月19日の会見で、これまで「12年度前半」としてきた景気回復の時期が「半年程度後ずれする」と言明。今月5日の会見では物価についても下方修正したと述べたが、時期や水準については明言していなかった。景気回復に復する時期については、半年以上になる可能性を指摘する声も日銀内では出ている。
日銀は30日の会合で14年度までの見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する。関係者によると、7月時点でプラス0.2%だった12年度のコアCPI 前年比の見通し(中心値)はゼロ%前後に、プラス0.7%だった13年度はプラス0.5%前後に下方修正される見込みで、初めて示す14年度は0%台後半となる公算が大きい。
9月18、19日の会合の議事要旨によると、委員は「先行きの景気はいずれ緩やかな回復経路に復していくとみられるが、その時期は、4月の展望リポートで示した回復時期よりもかなり後ずれする可能性が高い」との見方で一致した。
10兆円の長期国債買い増し
日銀は2月14日の会合で、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで」、強力に金融緩和を推進していくと表明。資産買い入れ等基金で10兆円の長期国債買い入れ増額を決定した。さらに、前回展望リポートを公表した4月27日の会合でさらに10兆円の長期国債買い入れを増額。その際、コアCPI前年比は13年度までの見通し期間の後半にかけて0%台後半となり、その後、「1%に遠からず達する可能性が高い」と表明した。
バークレイズ証券の森田長太郎チーフストラテジストは、30日の会合で「14年度のコアCPI見通しが1%近辺に届かないということを日銀自身が展望リポートで認めた上で、追加緩和に踏み込む可能性が高い」とみる。JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストも同会合で10兆円の長期国債買い入れ増額を予想している。
日銀は前月19日の会合で景気の情勢判断を「持ち直しの動きが一服している」と下方修正。今月5日の会合でも「横ばい圏内の動き」として2カ月連続で引き下げた。1日発表された日銀の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感が昨年12月調査以来の悪化となったほか、8月の鉱工業生産指数は前月比で2カ月連続で低下した。
日中関係悪化も重荷に
尖閣諸島をめぐる日中の対立が解消に向かう兆しが見えない中、9日発表された景気ウォッチャー調査では、観光業だけでなく製造業や物流など幅広く悪影響を懸念する声が上がり、企業動向関連DIが大幅に低下した。大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは「日銀は長引く円高などに加え、日中関係の緊張が企業マインドを一段と悪化させることを通じて、実体経済に悪影響を及ぼすことを強く意識するに至る可能性がある」としている。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「10月末の金融政策決定会合では、長期国債の購入だけでなく、12年12月で新規購入が終了する予定の社債や指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)などリスク資産についても、購入増額が決定される可能性が高い」とみている。
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2012/10/17 14:50 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MC0IJ66KLVRY01.html
IMFが示す「財政再建急がずに」の真意
2012年 10月 16日 13:25
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中川 泉
東京で開催された1週間に及ぶIMF・世界銀行総会の議論を聞いていて感じたのは、IMF(国際通貨基金)の財政再建に対する態度が、今回軟化した具体的背景は何だったのかという点だ。
今回IMFが繰り出した、財政と成長の両立を図るには「世界経済悪化が進みそうな現在、ひとまず財政再建は後回しにしよう」というメッセージは、誰にとっても受け入れやすいものだ。ただ、これまでの厳しいIMFの態度がここ数カ月で随分変わったとの印象を受けた。そこには個別の国ごとに異なる様々な事情や配慮も滲んでいるように感じる。
何といっても最大の問題国であるギリシャについては、エゴとも聞こえる悲鳴を黙らせないと、ユーロ崩壊危機を再び連想させ、世界経済の不確実性を高めてしまう危険性があり、何とか対処する必要があった。そのためにはドイツで検討されている減税など財政再建の手を緩めることでユーロ圏の需要を作り出してやらねばなならない。IMFの真意としては財政再建の手を緩めていいのはギリシャではなく、ドイツなのだ。
そしてもう一つの懸念材料となっている米国の「財政の崖」については、政治的なこう着状態から、12月末が近づきつつあるのに回避策を何も決められない米国政治に対して対処を迫る、といった事情がある。米国にとって公的債務の削減は喫緊の課題ではあるが、「財政の崖」つまり、減税終了と歳出の自動カットが同時に実施されると米GDPの4%ともいわれる下押し圧力が生じる。これを回避できないデメリットの方がはるかに大きな不安を招く。
さらに印象的だったのは、IMFは「財政再建」がもたらす弊害を、ミクロの目でもとらえている点だ。
シャフィクIMF副専務理事は今のように財政再建を進めている時には、そのしわ寄せが低所得層の生活を直撃することを憂慮した。「財政再建は、常に格差拡大の時期と重なる」と述べた上で、「社会給付のあり方を改善して、所得配分を見直す必要があるが、多くの国で正しい選択がされていない」と各国政府の財政再建の在り様を批判している。
確かに、財政再建の影響を最も大きく受けているのが低所得層であり、ギリシャでは水道や電気などインフラが止まり本当に悲鳴を上げている人々がいる一方で、資産家は海外に脱出し優雅な休暇を過ごしているのも事実。ギリシャ国内での所得配分の見直しにより対処すべき問題だろう。
フランスでは若年層を中心に失業率の上昇が止まらない一方で、サルコジ前大統領は増税を避け、税の安い隣国に自宅を購入して移り住むという噂もある。政治家自ら痛みから逃避するのかという批判につながりかねない。欧州でストライキが頻発するようになったのも、ブルーカラーの生活にしわ寄せがきている証拠だ。
日本でも、しわ寄せは最も声の小さい人々を直撃する。財政難と不正受給を盾に、最後の救いの手となる「生活保護」まで審査厳格化されれば本当に救いが必要な人々はどうなるのか。復興予算までもがばら撒かれている実態が明らかになっているように、ほかにもっと歳出削減できる分野はいくらでもあるはずだ。
財政再建というのは、常に再建を実施する政府に都合の良い方法が採用されるため、格差が拡大するという宿命を帯びているともいえそうだ。もっとも、今回の会議全体を通じて発信されたのは単に財政再建を先延ばしにする提言だけで、その間に所得配分の見直しや経済立て直しの有効な処方箋に関する発信は極めて少なかったため、全体として「後ろ向き」の印象が残る。
ともすると、財政再建にまじめに取り組む意志の薄弱な政治家にとっては、それみたことかということになりかねない。日本も例外ではないだろう。景気対策と称して、復興増税や消費増税の使途が分からなくなるような使い方はしてほしくない。
報道を追っていた海外の知人からも「今回の総会では何も決まらず、各参加者が言いっ放しで終わったようだね」との感想をもらったが、そう言われても仕方のない内容に終わってしまったのは残念だった。
(16日 東京 ロイター)
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http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPTYE89F02Y20121016
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