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(回答先: 米国の「財政の崖」〜欧州の二の舞は避けられるか〜 投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 11 日 23:54:35)
◇colum1 山崎和邦
『株価上昇を阻む日銀の金融政策』
?5日の金融政策決定会合で日銀は、想定していた2014年に物価1%上昇には届かないとして、デフレ脱却の進行が遅れていると認めた。そこで、30日に開催する同会議で、もう一段の金融緩和に踏み切る可能性が浮上した。
?「包括緩和政策」(ゼロ金利と資産買い入れを組み合わせた政策)の開始から2年を経たが、脱デフレの兆しは見えず、円高抑止の兆しは見えない。9月19日の前回会合で景気判断を下方修正して、資産買い取り枠を70兆円から80兆円への追加緩和を決めたが効果は無いだろう。株式市場はそれを先見して、19日当日も冷ややかに日銀会議を見送った。
?今回、前原経済財政相が閣僚として出席した。9年半ぶりだそうだ。前原氏は物価目標(デフレ脱却・円安誘導)を早く実現するように日銀に強力な金融緩和を求める考えを示した。何事にも軽率を以て鳴る前原にしてはマトモであったとしよう。白川総裁はこれを一応認めたが、前原氏の「政府と日銀が政策協定を結ぶべきだ」という持論には、その必要性を疑問視した。要するに白川氏は反対したのだ。ここに日銀のデフレ・ファイターとしての限界があり、それが物価の安定と同時に、雇用の拡大を使命とする米FRBとの違いである。
?日銀に「貨幣価値の安定」以外に使命を与えれば、米がおこなってきたように札束を大増刷して、インフレを招き株価を高めて消費を刺激し以てデフレ脱却の動向を作出できる。
?筆者は諸賢ご賢察の通り、今の日銀に対しては歴史的な最悪総裁だった三重野・速水に比べれば一定の評価をしてきたつもりだが、2月14日のデフレ・ファイターとしてのスタンスの明示以来、その実行力は疑問視している。これは白川総裁の能力によるというよりも、制度上の問題だと思っている。つまり日銀には、FRBのような使命が課されていないことと、政府との連携が決まっていないことである。政府と連携した総裁は、後にバブルや予想以上のインフレが起きると被告席に引き出されて非難されるという歴史があったから、幻のハイパーインフレを恐れるというようなバカな考えが出てくる(例えば速見元総裁)。
?今の日本には、輪転機をフル回転して札束を大増刷し、よしんば金融政策の大失敗があっても、ハイパーインフレなど絶対に起こりっこない。
? 山崎 和邦
慶應義塾大学経済学部卒。野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年に及び野村証券時代の投資家の資金を運用から自己資金で金融資産までこなす。
◇colum4 東岳証券『金融市場におけるゲーム その2』
?第1段階では、殆どの人がゲーム理論を勉強した後、戦略組み合わせの利得行列を作り、数学方法で最適な戦略を選ぶ。金融市場に入ったばかりの人も同じように、多様なテクニカル指標や数式定理に打ち込み、それらを自分の取引に応用する。この段階の人々は、思考のモードがワンウェイである。彼らは、世界の規律が正面と半面の2つしかないと思い込んでいる。この段階で選択された最適な戦略は、取引モデルが非常に限られており、結果が極端になる、あるいはより高い段階にいる相手に引っ張られ、利益を得ることが困難である。
?第2段階の人は第1段階より良い。彼らは人の立場で考えることができる。このとき、彼らが使用するのは戦略の組み合わせであるほか、相手の行動によって戦略を変える。例えば、金融市場では、テクニカル分析の理論を本などで勉強しても、テクニカル分析が活用できないと単なる無用の物にすぎない。
?大型ヘッジファンドが常にテクニカル分析にある盲点を利用して個人投資家を引っ張り、トレンドが尽くすところ、特定のリスクセンチメントを作って個人投資家をフォローさせる。大型ヘッジファンドがゲーム理論に対する理解は?なくとも第2段階に位置していると言える。
?この段階にて、ヘッジファンドが意図的に自分の最初の戦略を相手に知らせ、自分の最初の戦略に対して対策を選択することに導き、今後の戦略中でトリックを変えて、相手の情報優位を?勢に転じさせる。一言で言うと、第2段階では、人に自分の次のステップを知らせる必要がある。たまに、次の次のステップを人に推測させることもある。ただし、本当の意図を他人に洞察させない。
?第3段階が最も高い段階である。この段階では、人が他人の立場で考えるだけでなく、心理学や情報・消息で相手の洗練程度を確定し、それに応じた混合戦略の組み合わせを作成することもできる。一番大事なのは、推測できない不確実性を自分の戦略の組み合わせに包容することである。包容できない不確実性があっても、臨機応変に危機からチャンスを探せる。この段階に到達するため、十分なIQとEQに加え、良いメンタリティも不可欠である。
?状況が危急・困難になればなるほど、冷静に素早く慎重に思考することが必要とされる。取引中、この段階にいる投資家は、伝統的なテクニカル分析とファンダメンタルズ分析で他人の思惟を判断した上で、自分の戦略を策定するのみでなく、優れたメンタリティと厳格な取引規律を保つことがもっと重要であろう。この段階に登った投資家は取引中での実質利益を得られる。
?投資家は自分のゲーム思惟を向上させるとき、単にゲーム理論を勉強するだけで不十分であり、人間の本性、心理学、政治学や経済学を勉強する必要があるほか、歴史、軍事や政治データに常に関心を集めることも重要である。これで自分の思惟システムを立て、テストと改善を継続しなければならない。
?これが、最終的な成功を収める唯一の方法である。
【MMF元本割れの事例】
?記憶に新しいところでは、2008年のリーマンブラザーズ証券が破綻した際に米国のMMFでも元本割れが生じました。米国でもMMFは、低金利でも安全なコマーシャルペーパー(CP)に投資をしています。CPとは企業が日々の運転資金を調達するために発行するものですが、リーマンブラザーズが破綻したことで同社のCPの価値は、元本1ドルに対して20セントというところまで急落してしまいました。それによって、著名なMMFファンド「リザーブプライマリーファンド」が、14年来で初めて元本割れを起こすという事態が発生しました。同MMFは取り付け騒ぎを防ぐために7日間にわたり解約を停止する措置が取られました。
?それでは今回、一部大手証券会社において、「ユーロ建てMMFの買付が停止され償還」という事態になったのはなぜでしょうか?キーワードは『マイナス金利』です。(次号に続く)
http://www.mag2.com/o/kinyukeizai/2012/1012.html
ギリシャ財政健全化目標でIMFが柔軟姿勢、ドイツは反発
2012年 10月 12日 19:21
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来週のドル/円は78円中心のレンジ継続、ユーロは下値限定的か
EUにノーベル平和賞、欧州大陸の一体化に長期的役割
アングル:インドルピー22日間の反騰劇、市場心理萎縮で失速
来週の日本株はダウンサイドリスク警戒、米企業業績や中国指標にらみ
[東京 12日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会で東京を訪れているラガルドIMF専務理事は12日、ギリシャの財政赤字削減目標について、経済情勢などを踏まえると、目標達成に一定の猶予が必要との認識を示した。だがドイツのショイブレ財務相は、ギリシャに猶予を与えてよいかどうか判断するのは時期尚早と指摘した。
IMFは、ギリシャなど財政問題を抱えた欧州の国の財政健全化努力をめぐり、過度に急激な赤字削減を強いれば、経済に打撃を与えるため逆効果と、態度を軟化させた。厳しい条件付与に反対していた人々や一部新興国はこれを歓迎。
ブラジルのマンテガ財務相は「われわれはかねてより、ひたすら過酷な財政政策は逆効果で反発を招きやすいと主張してきた」と述べた。
ラガルドIMF専務理事は討論会で「成長力の乏しさ、市場の圧力、これまでの努力を考えれば、もう少しの時間が必要だ」と述べた。
しかし、討論会に出席したドイツのショイブレ財務相は、赤字削減の約束を覆せば信頼に傷がつくと反論。
IMF、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)で構成する「トロイカ」がギリシャ調査の報告書をまとめる前にラガルド専務理事が猶予に言及したことを批判し「トロイカの報告書が出るまで憶測は禁物」と述べた。
IMFのトーンが変化した背景には、今週IMFが発表した報告書で、積極的な財政立て直し措置による経済への打撃が予想以上に深刻なことが判明したことがある。さらに、欧州問題にIMFが真剣だということをアピールしたい、というフランス出身のラガルド専務理事の意向もある。
ラガルド専務理事は「勘違いしてはならない。成長がなければ、世界経済の将来は危うい」と述べ「歴史から得られる教訓は、公的債務の削減は成長なしでは信じられないほど困難ということだ。逆に、高水準の債務は成長をより困難にする」と指摘した。
ノーベル賞受賞者の経済学者、ポール・クルーグマン氏は、最新のIMF世界経済見通しに盛り込まれた分析は、かなり悲観的としたうえで、有力な意見に対抗して自らの分析の誤りを認める「勇気を称賛する」とブログで語った。
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89B06O20121012
日本の政治的停滞、日本の債務見通しにとって懸念材料=ムーディーズ
2012年 10月 12日 14:57
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米副大統領候補討論会、外交政策中心に激しい応酬
IMFが繰り返す「財政再建急がずに」、潜む甘さと危うさ
[東京 12日 ロイター] 米格付け機関ムーディーズ・インベスターズ・サービスのシニア・バイスプレジデント、トーマス・バーン氏は12日、日本政府・与党と野党の赤字国債法案などをめぐる対立を理由に、日本の政治的停滞は債務見通しにとって懸念材料と指摘した。
日銀の国債買い入れは格付け見通しにとってプラスとの見解を示した。
ムーディーズは日本の格付けを上から4番目の「Aa3」、格付け見通しを「安定的」としている。
バーン氏は「日本政府への信頼感は弱い」と述べた。ただ、当面は日本国債の利回りは低水準にとどまる見込みで、経常収支も黒字が続くと思われるため、日本の政治家は依然として債務を削減する時間的余裕があると述べた。
日本政府は、赤字国債が発行できない状態になっている。赤字国債法案が11月末までに成立しないと財源が枯渇する可能性がある。
バーン氏は、動向を注視していくが、日本の公的債務および「安定的」という格付け見通しを支援する要因がいくつかあると指摘し、国内投資家による日本国債回帰の動き、対外投資を挙げた。
対外投資は、日本が世界に対して純債権者であることを意味し、日本の経常収支は向こう5年間黒字を維持する見通しを示した。
米・英・欧中銀と同じく、日銀も国債買い入れなど景気下支え策を講じている。バーン氏は、日銀の行動力を過小評価していたと述べ、日銀の資産買い入れは格付け見通しにとってプラスと指摘した。ただ、現在の経済的問題への究極的解決策ではなく、政府の対策が求められると指摘した。
*内容を追加して再送します。
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アジア経済に多くの下振れリスク、一段の金融緩和も=IMF報告
2012年 10月 12日 15:26
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米副大統領候補討論会、外交政策中心に激しい応酬
[東京 12日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は12日、アジア太平洋地域の経済見通しを改定し、域内景気には多くの下振れリスクがあるとしながらも、対応策として追加的な金融緩和を実施する余地があるとの報告をまとめた。
IMFが先に発表した世界経済見通しによると、2013年のアジア太平洋地域の実質成長率見通しはプラス5.9%と、前回4月時点から0.7%ポイント下方修正。欧米など先進国経済が軒並み減速するあおりを受け、特に欧州向け輸出の急速な減少が域内全体に響く。実際、12年前半の成長率は年率換算でプラス5.5%と、08年の金融危機以降で最低水準を記録したとしている。12年通年の見通しはプラス5.4%。
ただ、IMFは域内国の金融政策について「世界的な景気下降局面があった場合、大半のアジア太平洋地域経済は、名目金利を引き下げる十分な政策余地をなお残している」とも指摘。域内の成長率は世界平均を上回り、世界経済の成長をけん引する構図に変わりはないと分析した。
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中国労働者「奪われる尊厳」
アップルも製造を委託するフォックスコンの工場で起きた労災事故は、中国の労働者が置かれた過酷な環境を浮き彫りにする。
記事の全文 | 特集ページ
ソフトバンク米社買収、3行協調融資へ
スマホ首位サムスン、市場シェア拡大
コラム:追い風なくルピー再下落も
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89B03V20121012
ギリシャの財政赤字削減問題「もう少し時間が必要」=IMF専務理事
2012年 10月 12日 14:34 JST
[東京 12日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会のため東京を訪れているラガルドIMF専務理事は12日、ギリシャの財政赤字削減問題について、「成長力の乏しさ、市場の圧力、これまでの努力を考えれば、もう少しの時間が必要だ」と述べた。
財政再建策については「われわれはいつも同じことを言っている。つまり、調整は必要だが、すべての国が同じペースで進むわけではないということだ。それは国ごとに異なり、他の政策パッケージの一部にもなる。しかし、現在先進国の肩にのしかかっている債務負担が長期的に持続可能でないことは疑いの余地がない」と語った。
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IMFが繰り返す「財政再建急がずに」、潜む甘さと危うさ
2012年 10月 12日 13:03
[東京 12日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は東京での一連の年次総会行事で、経済を下支えするため、急激な財政再建を避けるよう呼びかけを強めている。一部の識者は、中長期視点での改革を目指して成長と財政再建の両立を訴えるIMF理論を評価する一方で、やすきに流れやすい財政ガバナンスを踏まえれば、認識の甘さを含んでいると指摘する。
財政再建の遅れに拍車をかけ、低成長から脱却できない危うさもはらむ。特に日本の視点からは、財政出動を繰り返してここまで債務が積みあがった事情を鑑みれば、財政再建への取り組みの重要性を強調する意見が強い。
<流動性の罠で金融政策効かず、財政削減影響が増幅>
「財政削減は漸進主義で」──IMFは今回の一連の行事で繰り返しこう提言した。世界的な経済学者でもあるブランシャール経済顧問は、財政構造改革をマラソンに例え、出足はゆっくりと経済情勢に合わせて見直しも必要だと説明。9日発表されたIMF財政報告でも「経済成長がIMFの見通しを大きく下回るようであれば、機動的に動ける国は13年の財政調整のペースを落とすべき」だと言及した。
背景には、各国の利下げ競争に拍車がかかり、金融政策の効果が一段と期待しにくくなったこともある。「先進国では流動性の罠に陥っている国があり、金融政策にはあまり期待できない。このため、財政削減の負の乗数効果は通常より大きくなっている」(ブランシャール氏)という事情がある。IMFの試算では、一定の財政再建が成長率を押し下げる度合いは最近になって、従来よりも大きくなっている。
<日本の財政削減、短期的にも厳しく見る必要>
財政削減は漸進主義で、との考え方の枠組みには、日本も組み入れられているようだ。
もちろん中期的な視点では、一層の改革が求められている。「財政報告」では10%への消費増税だけでは不十分であり、債務残高を減少方向に転換するには、今後10年間にGDPの5%にあたる追加的な財政調整が必要だと指摘、一段の措置が必要との認識が示された。
一方で短期的な視点からは「日本は非常な低金利であるために財政再建を急いで進める必要はそれほどない。中期的な対応は必要だが、消費増税法成立という重要な最初のステップが踏まれた」との見解が示された。世界最大の公的債務残高を抱え、かつ財政再建への政治家の意志が薄弱なこの国へのメッセージにしては厳しさに欠け、肩透かしを食ったとの印象も広がっている。
アジア開発銀行研究所の河合正弘所長は「IMFが10%への消費増税が簡単に実現するとの前提に立っているなら認識が甘いかもしれない」と手厳しい。「政治家は来年の景気次第で増税を先延ばしする可能性がある」ためだ。
もっともこの点はブランシャール氏も、欧米の政治家と並んで日本の政治家についても、財務削減の実行力に懸念があることに言及している。
河合所長は短期的な財政削減にも厳しい提言が必要だとみている。「復興予算がばらまきになり、現状は財政拡大中だ。基礎的財政収支改善目標の達成も遅れている」と指摘。「いったん膨らんだ財政規模はそう簡単に急に削減できるものでない。IMFがわざわざ言わずとも、そのペースは常に遅れがちになっている現実を踏まえてのメッセージが欲しかった」としている。
<枠組み重視のIMF理論、政治家の実行力が課題>
中尾武彦財務官も、成長と財政再建の両立に軸足を移しているIMFの考え方に対しパネル討論で日本の視点から警告を発した。「成長は確かに重要だが、日本はバブル崩壊後、財政支出をかなりいろいろ試し続けてきた結果、今の状況を招いてしまった」と述べ、必ずしも成長重視で財政再建の手を緩める考え方に賛同しなかった。
IMFは数多くの債務危機について知見を集めてきた組織ではあるが、「どうしても机上の空論になりがち」(日本の政策当局者)ともみられている。
シャフィク副専務理事は、市場の信認確保のために各国は中期的な目標と財政監視のための独立機構を設置することが有効だと提言した。これに対し中尾財務官は「ルールを作っても運用するのは政治家。ガバナンスやリーダーシップが重要」と指摘。河合所長も「ルールは最低限の条件に過ぎず、市場の信認を得るために肝心なのは実行力」だとみる。
政治家は常に成長に軸足を置きたがるのが現実。IMFもその点を念頭に財政報告では「財政再建を急がずにとは言っても中期的な財政再建は怠るべからず」と但し書きを付けた。
(ロイターニュース 中川泉;編集 石田仁志)
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ギリシャの経済転換を支援、財政改革継続が最善策=ユーログループ 2012年6月18日
ユーロ圏、一段と財政統合進めるべき=IMF専務理事 2012年6月5日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89B02E20121012?sp=true
大き過ぎてつぶせない保険、重要な国内銀行の規制承認-FSB
10月11日(ブルームバーグ):20カ国・地域(G20)の中央銀行や監督当局で構成する金融安定化理事会(FSB)は、「大き過ぎてつぶせない」金融機関のうち、破綻すれば一国の経済を混乱させかねない銀行と、国際金融システムにとって重要な保険会社に対する規制強化を支持することで一致した。
FSBは11日に都内で開いた会合後、システム全体にとって重要な金融機関の監督を強化し、その有効性の向上に積極的に取り組むと表明。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)や他の指標金利を巻き込むスキャンダルの再発防止策についても、国際的協調が必要との認識を示した。
バーゼル銀行監督委員会は11日、FSBの承認を得て、一国の金融システムにとって重要な銀行に資本の上積みを求める規制の内容を公表。上積みの適切な水準の決定は、各国の監督当局に委ねられる。また、グローバルに事業展開する銀行の傘下にある金融機関が国内市場にとって重要である場合、その国の監督当局が上積み資本規制を適用することを可能にすべきだとしている。
原題:FSB Extends Too-Big-to-Fail to National Banks, Insurers(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ブリュッセル Jim Brunsden jbrunsden@bloomberg.net;ロンドン Gonzalo Vina gvina@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Anthony Aarons aaarons@bloomberg.net
更新日時: 2012/10/12 13:52 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MBRIE76S972Q01.html
中国労働者「奪われる尊厳」
アングル:フォックスコン労災事故が照らす中国労働環境の闇
2012年 10月 12日 12:13 J
[香港 11日 ロイター] 米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)の「iPhone(アイフォーン)」などの生産を請け負う世界最大の電子機器受託製造(EMS)企業、台湾の鴻海精密工業(2317.TW: 株価, 企業情報, レポート)。その傘下にある富士康科技集団(フォックスコン・テクロノジー・グループ)で昨年起きた労災事故は、中国における労働者の権利に新たな暗い影を落としている。
フォックスコンの中国・深セン工場で働いていたチャン・ティンチェンさん(26)は昨年、外壁の照明器具を修理していた際に感電し、約4メートルの高さから地面に落下。5回にわたる外科手術を受け、脳の約半分を切除したチャンさんは、うまく話すことも歩くこともできず、今も病院で医師らに見守られながら生活している。
チャンさんの医療費を負担しているフォックスコンだが、今年7月以降、チャンさんの家族にメールを送り、退院を迫っているという。チャンさんが病院を出なければ医療費の負担を打ちきるという内容だが、同社は中国国内の労働法に基づいた措置だと説明する。
フォックスコンはメールを送ったことを認めた上で、中国の法律では、労災事故の被害者は障害認定を受ける必要があると話す。チャンさんの場合、同社に初めて採用された恵州で障害認定の手続きを踏まなければならないが、恵州は、チャンさんが入院している深センからは約70キロ離れている。
フォックスコンは、チャンさんが恵州で障害認定を受ければ、その後深センに戻れるよう取り計らうとしている。ただ、チャンさんの父親(50)は、息子の状態を考えれば移動は現実的ではないと語っており、医師も脳内出血の恐れがあるとしている。
フォックスコンの中国工場をめぐっては、従業員の投身自殺が相次いだほか、工場で爆発が発生するなど、労働環境が劣悪だと批判が上がっていた。チャンさんのケースは、こうしたフォックスコンの労務管理問題に新たな懸念を投げかけている。
中国の労災事故で重傷を負った人たちのための社会保障制度は、不完全で時として不安定である───。労働問題の活動家らは、チャンさんの置かれている状況が、このことを改めて浮き彫りにしていると憤る。
チャンさんの父親は、フォックスコンから毎日メールが送られてくると話し、「私たちの苦労は想像できないだろう。息子にかかる費用を工面するために私がどれだけ苦労していることか」と嘆いた。
<奪われる尊厳>
職場での事故で負傷した場合、従業員は保険に加入していれば、医療の専門家によって障害の程度に応じた認定を受けた後、それに見合った補償を受け取ることができる。通常、そうした手続きは治療が完了してから行われ、法律上は「障害認定を受けるまで最大2年は治療を受けることができる」と定められている。チャンさんは昨年10月から入院しており、まだ1年しか経っていないが、父親によればフォックスコンは一時、家族への支払いを停止したという。
一方、フォックスコン側は支払いは予定通りに行ったとし、遅延や停止はなかったと否定している。
病院の医師はコメントを差し控えているが、チャンさんの父親によると、体に管がつながれている状態での移動はできないなどと病院側から説明を受けたという。
活動家らによれば、中国国内には労災事故で一生障害を背負ったり、慢性的な病気を抱えて生活する人が数千人いる。事故に遭った被害者やその家族は、医療費や補償をめぐる闘いを強いられる制度に翻弄されているという。
「彼らは尊厳を奪われている」。こう強調するのは、香港を拠点に活動する中国女性労働者ネットワークのChoi Suet-wahさん。「中国の深刻な労災事故の多くでは、被害者が当然受け取れる補償を手にするだけで、企業から多大な苦痛がもたらされることがある」と語る。
それでもソーシャルワーカーからは、チャンさんのケースは恵まれている方だという声も聞こえる。フォックスコンが少なくともこれまでチャンさんの医療費や家族の生活費を負担してきたからだ。法律では全ての企業が従業員に保険をかけることを義務付けているにもかかわらず、推計では中国の労働者の4割以上が無保険状態だという。こうした人たちが労災事故の被害者になれば、援助なしの生活を余儀なくされることになる。
<自治体で変わる補償内容>
フォックスコンは労災事故の保険には加入しているとし、チャンさんの障害が最終的に認定されれば、保険会社が補償を支払うことになると話す。
しかし中国では、どの自治体で障害認定を受けるかで補償内容も変わってくる。チャンさんの家族によれば、フォックスコンが深センではなく恵州で障害認定を受けるよう求めてくるのはこのためだという。深センより恵州のほうが賃金や補償の水準が大幅に低いのだと活動家らは指摘する。
なぜチャンさんは深センで障害認定を受けられないのか。フォックスコンからの答えは、チャンさんが就業契約を交わしたのが恵州であり、法律ではそこで認定を受けるよう定められているからとのことだった。また認定の結果、さらに治療が必要だとされた場合には、会社としてチャンさんを再び深センに帰す用意があるとも回答した。
フォックスコンからは毎月1万1000元(約14万1000円)が支払われるが、チャンさん一家には薬代などで20万元の借金がある。
深センの病院に入院しているチャンさんは、ベッドの手すりにつかまりながら、おぼつかない足取りで歩いている。父親の隣に腰を下ろしたチャンさんの顔には笑みが浮かんでいるが、父親はこわばった表情のままだ。
「息子は私のことを『母さん』、母親のことを『父さん』と呼ぶんだ。息子は教えられた言葉をまねているだけなんだ」。父親の手には、チャンさんの頭がい骨の一部が入った容器が握られていた。
(原文執筆:Tan Ee Lyn記者、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明)
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シンガポール:金融緩和見送り−当面のインフレ高止まり警戒
10月12日(ブルームバーグ):シンガポール経済は7−9月(第3四半期)にマイナス成長となったものの、シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行に相当)はインフレが当面高止まりするとみて、予想外に金融緩和を見送った。
同国通産省が12日発表した7−9月の国内総生産(GDP)は年率換算で前期比1.5%減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト16人の予想中央値では、同1.6%減が見込まれていた。4−6月(第2四半期)は同0.2%増(改定値)だった。為替レートを使ってインフレ抑制を図る通貨庁は、緩やかで段階的なシンガポール・ドル上昇を維持する方針を示した。
みずほコーポレート銀行のエコノミスト、ビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は「通貨庁は根強いインフレを抱える一方で、外部からの未知の下振れリスクに対応するという政策上の苦境に陥っている」と指摘。「通貨庁はハト派的なシグナルを送るには時期尚早と判断した。成長率は今後もマイナス圏にとどまり、浮き沈みの激しい展開が続くだろう」との見方を示した。
ブルームバーグ・ニュースが金融機関を対象にまとめた調査では、半数以上が通貨庁は経済成長を支援するため、シンガポール・ドルの上昇ペースを鈍化させると予測。調査対象となった23社中17社が、同庁は取引バンド(許容変動幅)の傾斜を緩やかにして通貨高を抑制すると見込んでいた。5社は変更なしの予想で、1社は傾斜をゼロにシフトするとみていた。
7−9月GDPは前年同期比では1.3%増加。ブルームバーグ・ニュースの予想中央値は1.1%増だった。4−6月は2.3%増に改定された。
原題:Singapore Refrains From Monetary Easing as Economy Shrinks(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東証 Shamim Adam sadam2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Stephanie Phang sphang@bloomberg.net
更新日時: 2012/10/12 11:41 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MBR77A6KLVSR01.html
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