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国家破産への心構えと起こりうる4つのリスク 米国は「日本化」? 欧州危機は偉人たちのビジョンのせい
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/786.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 03 日 00:56:29: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 超インフレ・円暴落で日本は沈没する  加工用米高騰で苦悶する食品業界 「医療保険」や「特約」の実情は分の悪いばくち 投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 03 日 00:52:12)

2012年10月2日 橘玲
国家破産への心構えと起こりうる4つのリスク(第2部:第3回)

3回に分けてお届けする第2部。今回は第3回、日本が財政破綻すると起こる4つのリスクシナリオについて述べよう。

 前回、日本国の財政が破綻すると、経済的には4つのことが起こると述べた。それは、(1)金利の上昇、(2)円安、(3)インフレ、(4)預金封鎖だ。今回はそれぞれ4つについてみていく。

RISK1 金利上昇
国債価格の下落で金利が上昇すると
企業倒産や住宅ローン破産が急増へ!

 財政破綻は、国債の暴落による金利の上昇をきっかけに始まる。これは財政破綻の定義で、それ以外の経済的な事象(円安やインフレ)が起きても、金利が大きく上がらなければ、景気の回復につながるだろうから財政は破綻しない。だが国債価格が大きく下落(金利が上昇)すると、国債を大量に抱える金融機関が時価評価で債務超過になってしまう。これがヨーロッパでいま起きている事態で、ユーロ危機が深刻化したのは、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシア、スペイン)の国債が軒並み下落したため大手銀行の資産が劣化し、それが投資家の不安を呼んで国債が売られる悪循環に陥ったからだ。

 それでは、仮に日本国債が暴落すればなにが起きるだろうか。日本の銀行や保険会社は大量の国債を保有していて、国債暴落で巨額の評価損を被ることは避けられない。資産のほとんどを国債で運用しているゆうちょ銀行やかんぽ生命はもとより、それ以外の金融機関のなかにも、救済のために実質国有化されるところが出てくるだろう。

 金利の上昇によって変動金利でマイホームを購入した人は返済ができなくなり、自己破産と不動産の競売が急増するだろう(これはバブル崩壊後の90年代半ばに実際に起きた)。短期の借入で資金繰りをしている企業も同じで、財政破綻と企業倒産、住宅ローン破産は一つの原因(金利上昇)から発生する同一の現象だ。大規模な金融危機は株価と地価の下落をもたらし、企業の倒産によって失業率は大きく上昇する。日本の社会は失業率が上がると自殺者が増える構造になっているので、欧米並みに失業率が10%台になれば年間自殺者数は5万人を越えてしまうかもしれない。

 こうした暗鬱な予想は、けっして荒唐無稽なものではない。97年のアジア金融危機や98年のロシア危機、01年のアルゼンチン通貨危機から08年の世界金融危機まで、これまで幾度となく同じ光景が繰り返されてきた。ひとたび金融危機が起きてしまえば、その後の展開は一直線なのだ。

RISK2 円安
短期的に円高から超円安にシフトし
円の価値が10分の1になる可能性も!

 財政破綻で超円安を予想する人が多いが、実際になにが起きるかはそのときになってみないとわからない。日本の対外純資産は民間だけで180兆円以上あり、国内金利が上昇すれば海外資産を売却して円に戻す動きが広がるだろう。金利の上昇で海外投資家が日本国債に投資し、それが円高につながるかもしれない。ただし、為替レートは長期的にはインフレ率と金利差を調整するように動くから、高金利の通貨はいずれは安くなる。この“市場原理”が働いて、日本経済の高金利(インフレ)が定着すれば為替レートは円安に向かうはずだ。為替の水準は、金利の上昇とインフレがどこまで進むかによる。ハイパーインフレのような極端な事態を想定すれば、1ドル=500円や1000円になってもおかしくはない。歴史上、通貨の価値が10分の1や100分の1になることは珍しくないのだ。


RISK3 インフレ
国民を犠牲にして国家が借金を
清算する急激な物価上昇が起きる!

 20年もデフレが続いて、私たちはモノの値段が上がることをうまく想像できなくなってしまったが、財政破綻は最終的にはインフレに行き着く。これはきわめて単純な理屈で、インフレというのは国家にとって税金の一種であり、歴史上、巨額の財政赤字はほとんどが「インフレ税」によって清算されてきた。インフレで借金の実質価値を減らすことができなければ、どこまでも財政赤字は拡大し続けるから、結局インフレになるほかはない。

 国債というのは、固定金利による借金だ。あなたの月収が20万円で、期間10年で1000万円のローンを年利3%で借りているとしよう。このとき日本を1000%超のハイパーインフレが襲えば、生活はなにひとつ楽にならなくても、名目の月収は200万円になる。金利も大幅に上がって、普通預金でも20%以上の利息がつくかもしれない。しかしそれでも、固定金利の年利3%という条件は変わらない。1000万円のローンの実質負担は10分の1以下になり、借金はたちまち返済できてしまうだろう。インフレというのは、国家にとってこれと同じ効果があるのだ。

 しかしこれは、国債の保有者である国民にとってはとんでもない事態だ。物価が10倍になれば、1000万円の貯金の実質価値は10分の1になってしまう。銀行が破綻すれば、1000万円超の預金はペイオフで一部しか返ってこない。保険会社の破綻では、保険金の減額や保険料の大幅な値上げが社会問題になった。最大の被害者は年金だけで生活している人たちで、“マクロ経済スライド”ではインフレ率を考慮して受給額を増額することになっているが、急速な物価の上昇には対応できないから、家賃を払えずホームレスになる高齢者が激増するかもしれない。ハイパーインフレとは、国民を犠牲にして国家が借金を清算することなのだ。

RISK4 預金封鎖
国民の1400兆円の金融資産を差し押さえ
財政赤字と相殺するという最悪の事態も!

 財政破綻が現実化すると、インフレでしか国家は借金を清算できない。しかし、もしなにかの政治的理由でインフレが起こせなかったとしたらどうなるだろう。その場合は、1400兆円の国民の金融資産を差し押さえ、1000兆円の借金と相殺することで、財政赤字を消すことができる。これが「預金封鎖」や「新円切替」と呼ばれる究極の財政措置だ。

 国家は通貨を発行し、軍隊や警察などの「暴力」を独占しているから理論的にはなんでもできる。だが日本はまがりなりにも民主政国家で、預金封鎖は憲法に定められた財産権の侵害にあたるのは明らかだから、この“焦土作戦”の実行可能性は低そうだ。政権にとっては、自らが悪者になるよりも、インフレの責任を「グローバリズム」や「市場原理主義」に押しつけながら、国民が気づかないうちに借金の負担を減らすほうがはるかに好ましい。しかし預金封鎖は終戦直後の混乱期に実施されたこともあり、マクシミン戦略では、「最悪の事態」の一つとして考慮する必要があるだろう。

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http://diamond.jp/articles/-/25612


2012年10月2日[橘玲の日々刻々]
学校はいじめを前提に成立している
 文部科学省がいじめ対策として、全国の中学校にスクールカウンセラーを配置すると発表しました。しかしこれで、いじめ問題は解決するのでしょうか。

「子供の『命』を守るために」との副題がついた文科省の「取組方針」には、「いじめは決して許されないことである」とあります。しかしいじめの根絶を目指すのは、子どもに人間であることをやめろというのと同じです。

 ヒトは社会的な動物ですから、チンパンジーなどと同様に、ごく自然に集団をつくり、敵対する集団と競い合いながら仲間意識を高めていくよう生得的にプログラミングされています。クラスではリーダーを中心に5〜10人の複数の集団が生まれますが、同じタイプの集団が並存することはありません。クラス内では集団同士の抗争が禁じられているからで、まず男子と女子に分かれたうえで、ガリ勉、おたく、不良など、異なるタイプの集団が微妙なバランスで棲み分けることになります。

 集団が成立するためには、「仲間」と「敵」を区別する境界が必要です。この境界は、誰かを仲間に入れたり、仲間はずれにしたりすることで絶えず確認されます。こうした境界確認行動によって子どもたちは「共同体」をつくっていくのですが、このゲームがいまは「いじめ」と呼ばれるのです。

 いじめ(=集団づくり)はヒトとしての本能ですから、原理的に根絶できません。子どもを強制的に一カ所に集めて教育する近代の学校制度は、最初からいじめを前提にしているのです。

 子どもには、「俺たち」と「奴ら(自分たち以外)」を分ける本能があります。クラスが男と女でグループ化するのは異なる性を「自分たち以外」に分類するからですが、じつはそれ以上に明確な境界線があります。それが、「子ども」と「大人」です。

 どのような子どもでも、大人を「敵」もしくは「他人」と感じています。仲間の秘密を教師にチクることはもっとも不道徳な行為で、この規範を侵すと子ども集団全体から排除されてしまいます。教師であれば誰でも身に染みて感じているでしょうが、仲間同士のトラブルを生徒に「相談」させることはきわめて困難なのです。

 スクールカウンセラーが機能しているように見えるのは、不登校のような家庭問題を扱っているからです。大人が自分たちの集団に介入してこなければ、ほかの生徒は興味を持ちません。だがいじめは子ども集団の秘密そのものですから、いじめられている生徒が自分から相談に来ることはないし、無理に相談に乗ったとしてもその生徒をより追いつめることにしかならないでしょう。

 効果的な“いじめ対策”があるとしたら、いじめを前提としたうえで、仲間はずれにされた生徒が別の集団に移っていけるよう、学校という閉鎖空間を流動化させることです。そのうえで、暴行や恐喝のような犯罪行為には、犯人を学校から排除(退学)させる仕組みが必要です。しかしこうした「改革」は、現在の公教育の枠組みを根底から覆すので、文科省にできるわけがありません。

 文科省によれば、「いじめ対策関連事業」の概算要求案は前年度より27億円多い約73億円になっています。このようにして、税金は無意味に使われていくのです。

『週刊プレイボーイ』2012年9月24日発売号に掲載

(執筆・作家 橘玲)

<Profile>
橘 玲(たちばな あきら)
作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。最新刊『(日本人)かっこにっぽんじん』(幻冬舎)が発売中。ザイオンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』

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[橘玲の日々刻々] 学校はいじめを前提に成立している[2012.10.02]
[橘玲の日々刻々] 日本を救う政治家を選ぶ方法[2012.09.25]
[橘玲の日々刻々] 書評『終身旅行者 PT』[2012.09.24]
[橘玲の日々刻々] 私たちのエゴが原発を止める[2012.09.18]
[橘玲の日々刻々] 書評『「弱者」はなぜ救われないのか』[2012.09.12]
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http://diamond.jp/articles/-/25771

【第245回】 2012年10月3日 加藤 出 [東短リサーチ取締役]
安倍晋三総裁の選出に読む
今後の日銀と金融政策動向
 安倍晋三氏が自民党総裁に選ばれた。次の臨時国会中にもし解散となれば自民党政権が復活し、同氏が総理大臣となる可能性は高い。安倍氏は9月15日の日本テレビの番組で「世界では金融政策が重要な政策の柱になっている。日本も政府と日銀が政策協調をして思い切った金融緩和を行っていくべきだ」と述べ、日銀法改正に関しても「場合によっては考えていくべきだ」との認識を示していた(ブルームバーグ)。

 安倍政権が成立したときに、実際に日銀法改正が行われるかというとまだまだ流動的と思われる。経済の基本法の一つである日銀法を改正することは政治的に大きなエネルギーを必要とする。また、政府債務がこれだけ巨額に積み上がっている国で、法改正により正面から中央銀行の独立性を低下させることは、かなりのギャンブルになり得る。

 それによってハイパーインフレが起きる確率は当面低いが、日銀法改正は海外のヘッジファンドが日本国債に売りを仕掛けたくなる契機になる。急激な長期金利上昇は、銀行の保有国債に損失を発生させ、金融システムを不安定化させる恐れがある。安倍氏がそのリスクを冷静に見極めることができるならば、日銀法改正よりも、来年4月8日に任期終了を迎える白川方明総裁の後任に、金融緩和策に前向きな人物を選ぶほうがリスクは小さいと考えるだろう。

 ただ、ここから先の追加金融緩和策は、現実にはあまり大きな効果は期待できそうにない。「日銀もFRBのように“劇場型金融政策”を行って、市場心理を明るくすべきだ」との声はよく聞かれる。だがFRBが9月13日に決めたMBS(住宅ローン担保証券)の買い取り策(いわゆるQE3)は、直後は米株式市場で勘違いのような喝采が起きたが、時間がたつにつれ歓喜は薄れている。

 9月18〜26日に12の地区連銀総裁が“QE3”に関するコメントを発した。なんと半分の6人が、その効果に冷ややか、あるいはかなり否定的な見解を述べていた。先週号で紹介した元BIS(国際決済銀行)幹部のホワイト氏も言うように、超緩和政策は“ただ飯”ではなく、後でツケを払わされる可能性がある。

 もっとも、日銀は政権ともめて次の総裁に超緩和派の人物を送り込まれたくはないだろう。4月に日銀が提示した「インフレ率は遠からず1%に達する」という見通しへの自信が崩れたことが9月19日の追加緩和策の背景にあったが、これから春にかけても、長期・短期の国債買い入れの増額姿勢をある程度見せ続けると予想される。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)
http://diamond.jp/articles/print/25743

【第77回】 2012年10月3日 熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
もう米国は「日本化」しているのか
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
 今、日本経済が景気後退に陥るリスクが高まっている。多くのエコノミストが、日本の生産動向が急角度で落ちていきそうな様子を見て、その蓋然性が決して小さくないと考えている。

 景気シナリオを考えるときの焦点は、何といっても米国経済である。目先、米国経済は、年末にかけてクリスマス商戦、年始からの「財政の崖」をうまく乗り切れるかどうかにかかっている。

 それに対してFRBは、9月13日にQE3を決定して、株式市場を刺激する構えを採った。株価が上昇すれば、クリスマス商戦を盛り上げることができる。また、その余勢を駆って「財政の崖」を乗り越えることも期待される。

 しかし、財政の崖は、一足飛びに越えるには大きすぎる段差である。議会予算局(CBO)によれば、各種減税停止、歳出削減がそのまま行なわれば▲5,600億ドル(▲44兆円)の押し下げになる。名目GDP対比で▲3.6%に相当する。減税延長や歳出削減の延期が期待されるが、それでも全ての段差をなくすことはできないと考えられる。

 日本経済にとって今後の景気情勢は、欧州・中国の要因に加えて、頼みの綱の米国経済が牽引力を失わずにいられるかどうかにかかっている。

財政政策を巡る「日本化」

 次に、米国経済の陥っている状況を、財政政策との関係で鳥瞰してみたい。
「財政の崖」の議論を聞いた人の中には、「景気対策を打ち、潤沢に歳出・減税を増やせば、景気への脅威などは問題ないではないか」と考える人も多い。

 この素朴な疑問が実行できない理由については、議論の経緯を振り返って説明せねばならない。現職のオバマ大統領は、大型の財政刺激を中心に据えたケインズ政策を引っ下げて2009年1月に就任した。

 就任直後に米国再生・再投資法を成立させる。10年間で7827億ドルの大規模対策だ。さらに、2010年12月には、減税・失業保険再授権・雇用創出法を成立させる。こちらは、前回の対策を上回る10年で8578億ドルの規模である。

 しかし、オバマ大統領は、2010年11月の中間選挙で負けて、下院の多数派を共和党に握られたことで、ケインズ政策の転換を迫られる。2011年7月には、債務上限が引き上げられず、共和党との対立が激化する。

 共和党はケインズ政策には慎重で、歳出削減を主張する。2011年8月には、財政管理法が成立し、今度は10年間で▲2.1兆ドルの削減を決められる。その流れが続いて、今もオバマ大統領は、「財政の崖」のリスクを目前にしても、十分な対応ができずにいる。

 やや長い経緯を記したが、この図式は、ケインズ政策を推進して、短期間で景気回復が得られないと、今度は財政赤字の不健全さが政治的に許容できなくなり、方針転換を図らなくてはならなくなるという内容だ。

 今後、「財政の崖」の段差を均すようなことができたとして、再度ケインズ政策に舵を切ることはできないだろう。たとえオバマ大統領が再選を果たしても難しい。議会の改選で民主党が下院を取り戻せないとすれば、なおさらである。

 米国の状況を見るにつけ、バブル崩壊後の日本を思い出す。財政対策を打ち続けても、民需の勢いは戻らずに、やがて政府債務の累増によって財政出動の余地を失っていく。金融政策が利下げのカードを切り尽くしたことも、FRBが日銀に似てきたポイントだ。財政・金融政策が手詰まりに近づく様子は、米国経済の「日本化」と言える。

米国で聞こえる高齢化の足音

 バブル崩壊後、20年以上にわたって低成長に苦しんでいる日本には、もう1つの教訓がある。バブル崩壊からの脱却ができない間に、人口の高齢化、そして人口減少の局面がやってきて、景気低迷が構造化してしまうという状況である。

 日本と米国の人口増加率を比べてみると、米国は大不況を経験した1930年代以来の低い伸び率になっている(図表1参照)。さらに、米国では、第二次世界大戦後から18年後までの期間に生まれたベビーブーマーが高齢化していく影響が、労働参加率を引き下げたり、雇用創出力を低下させる影響を及ぼしていく可能性がある。

 日本と全く同じような、人口高齢化による成長鈍化のシナリオを辿るかどうかはわからないが、米国でも人口問題の制約が経済成長に対して、何らかの下押しの影響を及ぼすであろう。


 筆者が言いたいことは、日本で起こったような財政・金融政策の機能不全が、米国でも起こりつつあるということへの警鐘である。欧州でも財政問題が長期化して、今後は経済成長の足かせになる公算が高い。

 こうした苦境から脱する確実な処方箋は、いまだに見出されていない。筆者は、少なくともバブル崩壊後に需給ギャップを穴埋めするような、無制限の財政拡張を試みれば、その後に巨大な政府債務を残して、二重遭難に陥るだけだ。

 むしろ優先すべきは、民間企業の活動を活性化することだ。人口が高齢化して、財政負担が高まるほど、民間企業は様々な負担増を求められ、労働規制を課すような働きかけが行なわれる。そうした制約を可能な限り除くことが、企業が雇用創出をする力を高めることになる。

 論壇では、財政・金融政策の限界が論じられているが、強化すべきは、政策の作用が波及する民間企業の自力である。それが、経済政策の効力を高めることにつながる。

 なお、こうした企業の活性化に関しては、米国には一日の長があると見ている。
http://diamond.jp/articles/print/25727


JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
欧州危機は偉人たちのビジョンのせいにしよう
2012年10月03日(Wed) Financial Times
(2012年10月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 「これは、どうしてもやらねばならぬことなのです。もし皆さんが、馬にまたがる自分の像をいつか造ってもらいたいと望むのであれば」

 欧州の将来について大胆な決断を下すよう仲間たちに促した時、ヴァレリー・ジスカール・デスタン氏は恐らく冗談でそう言ったのだろう。しかし、元フランス大統領のこの言葉は、現在の通貨ユーロを巡る大混乱を引き起こした心理を解き明かしてくれている。

欧州統合で歴史に名を残そうとした人々

 欧州連合(EU)は今、前の世代の「偉大なヨーロッパ人」の過剰な自信がもたらした帰結への対応に追われている。通貨ユーロを生み出した人たち――ドイツのヘルムート・コール元首相や、ジャック・ドロール元欧州委員会委員長など――は、ジスカール・デスタン氏と同様に歴史に名を残したいと思っていた。

 しかし、単一通貨をその中核に据えた、統合された欧州を遺産にしたいという彼らの夢は、今では悪夢に変わってしまっている。

 経済・政治危機の真っ最中に昔の政治家を批判するのは的外れだと思われるかもしれないし、真っ当なやり方でないとさえ思われるかもしれない。しかし、ユーロ危機の解決に当たって、「誰に責任があるのか」という問いに答えることは今後重要になる。

 危機による憎悪の念の大半を最終的に負うことになる国やグループは、利益を失い、自分たちの世界観に傷をつけられて後退することになるだろう。大ざっぱに言えば、危機の張本人になり得るグループは3つある。ドイツ人、南欧の人々、そして「アングロサクソン人」である。

南欧で高まるドイツ批判

 南欧ではドイツに対する怒りの声が広まっている。最近、鮮明な例が見られたのがイタリアで、イル・ジョルナーレ紙がドイツ「第4帝国」を声高に非難する記事を1面に掲載した。しかし、ドイツに対する激しい批判は南欧に限った話ではない。

 尊敬を集めている英国の経済評論家アナトール・カレツキー氏は6月に書いたコラムで次のように述べている。「ドイツが欧州最大の脅威になっても驚くべきではない。結局のところ、そういう状況は1914年以降で2度起きている」

 ドイツを非難する論理はこうだ。欧州最強の経済大国であるドイツは、共通通貨の導入に伴って発生する相互義務の引き受けを拒んでいる。ユーロのシステムは今やドイツにかなり有利な仕組みになっているが、この国は債務の相互化と内需拡大によってユーロ圏の不均衡を是正するどころか、ほかの欧州諸国に緊縮財政を押しつける一方で自らは今も利益をむさぼっている――。

ドイツで根強い南欧批判

 意外なことではないが、この主張に賛同する向きはドイツにはほとんどない。フィンランドやオランダなど欧州北部のほかの債権国でも同様だ。これらの国々は、自分たちは痛みを伴う改革を推進して「宿題を済ませた」と考えている。救済基金にも数千億ユーロもの資金を拠出している。

 今回の危機は堕落した浪費家の南欧諸国が招いたものであり、連中の狙いは今でも勤勉な北部の隣人たちのカネでのんびり暮らすことだ、との見方が欧州北部では支配的だ。

 オランダの自由党を率いるヘルト・ウィルダース氏は、オランダの首相は「卑屈なことに、イタリアとスペインのマフィアの前でひざまずいている」とこき下ろした。欧州北部の政治家の大半は、さすがにここまで扇動的な物言いはしないだろう。しかし、南欧に対する不信感と憤りの気持ちは多くの人々が抱いている。

 英国や米国の評論家たちは、自分たちはあまり関係がないからこんな罵詈雑言の応酬には巻き込まれないと考えているかもしれない。だが、それは間違いだ。

アングロサクソンによる陰謀論も

 欧州では、この危機の真犯人は英国や米国で実践されているような金融資本主義だとの見方も根強い。ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長は今年6月の20カ国・地域(G20)首脳会議で、腹立たしげにこう発言した。「危機は欧州で生じたのではない・・・この危機は北米で生じたのであり、我々の金融セクターの大部分は正統的でないやり方に汚染された」

 欧州の多くの評論家は、ゴールドマン・サックスが危機以前の数年間、ギリシャが債務額を小さく見せる手助けをしたことをしきりに話題にした。この手の議論はすぐに陰謀論に転じる。

 EU内には、フィナンシャル・タイムズ紙が、単一通貨ユーロの破壊を目論む「アングロサクソン」の陰謀に加担していると本気で考えているように思える高官が数人いる(読者が疑問に思っているといけないので、念のために言っておくと、それは事実ではない)。

 欧州統合支持派の多くは、よそにスケープゴートを探すことでユーロ圏内の意見の相違を拭い去りたい気になる。つまり、「アングロサクソン」の金融市場だ。

 こうした言葉の応酬には、単なる学術的な関心にとどまらない意味がある。議論を形作ることで、危機の先行きを方向付けることにもなるからだ。

 アングロサクソン流の資本主義に責任があるという議論は既に、欧州の金融規制強化に向けた動きにつながったし、ユーロ圏と英国の関係にも小さな危機をもたらした。アングロサクソンを叩く動きが強まれば、英国がEU自体からの脱退に近づく結果になりかねない。

 一方、もし南欧諸国の人々が総じてドイツが真の問題の元凶だと考えるのなら、彼らは欧州内でドイツを孤立させようとするかもしれない。そして、ドイツ人が引き続き南欧でのインチキが問題だと考えるのであれば、彼らはなおさら緊縮を要求するだろう。

「偉大なヨーロッパ人」の思い上がりのツケ

 そこで、考えられる妥協案が1つある。欧州の人々は互いを攻撃し合うのではなく、過去の「偉大なヨーロッパ人」を責めるべきだ。コール氏やドロール氏といった人物は、ほかの文脈においては本当に「偉大」だった。コール氏はドイツの統合を推し進めた。ドロール氏は欧州単一市場を築いた。

 しかし、ことユーロに関して言えば、彼らはこれほど多様な経済国にとって単一通貨がうまく機能するのか疑問視した人々の反対論を無視して、自分たちの壮大なビジョンを追求した。今の欧州は、彼らの思い上がりが招いた結果に耐えているのだ。

By Gideon Rachman


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36230


ユーロ圏:8月生産者インフレ率2.7%に上昇−エネルギー高で

  10月2日(ブルームバーグ):
ユーロ圏では8月の生産者インフレ率がエコノミスト予想を上回る伸びとなった。景気低迷が深刻化する中、エネルギーコストの高騰が影響した。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が2日発表した8月のユーロ圏生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.7%上昇。伸び率は7月の1.6%(改定)を上回った。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト13人の調査中央値では2.6%上昇が見込まれていた。前月比では0.9%上昇。7月は同0.3%上昇だった。
原油相場は過去3カ月で約10.4%上昇し、域内の緊縮財政や失業者増加で既に影響を受けている消費者需要をさらに抑える恐れがある。ユーロ圏では9月に景況感が落ち込んだほか、サービス業と製造業の生産活動も縮小し、コスト上昇分の転嫁が企業にとって困難な状況となっている。
発表によると、エネルギーコストは前年同月比7.9%上昇。上昇率は前月の4.5%を上回り、3月以来の最高となった。中間財は0.3%、投資財は0.9%それぞれ上昇した。
原題:Euro-Region Producer-Price Inflation Accelerates on EnergyCost(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:チューリッヒ Simone Meier smeier@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net
更新日時: 2012/10/02 18:27 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MB9CLL6S972G01.html

金融機関、預金取り扱い部門と高リスク部門の分離必要=EU調査委
2012年 10月 2日 21:28 JST
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焦点:IFRSの強制適用、日本の判断は2013年以降に持ち越しへ
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オリンパス出資、財務に悪影響を与えない=ソニー社長
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[ブリュッセル 2日 ロイター] 欧州連合(EU)に金融機関に関する提言を行う委員会は2日、預金取り扱い機関と自己勘定取引などリスクを伴う投資銀行部門を分離させるべき、との考えを示した。

委員会は報告書で「銀行グループの中で、リスクを伴う金融活動を行う部門の預金取り扱い部門からの分離を法的に義務付けることが必要との結論に至った」とし、そうしたリスクを伴う活動には、証券やデリバティブ(金融派生商品)の自己勘定取引や証券やデリバティブ市場とのつながりが強い他の取引などがある、と指摘した。

さらに報告書は、不動産関連貸し付けのリスクを取り上げ、そうした取引のために資本準備金の積み増しが必要との認識を示した。

この専門家グループは欧州委員会によって設立され、欧州中央銀行(ECB)理事会のメンバーであるリーカネン・フィンランド中銀総裁がトップを務める。今回の提案に法的拘束力はないものの、EU当局者に新規制導入を促すことになる可能性がある。


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バルニエ欧州委員、年内の欧州銀行監督一元化を提案 2012年7月11日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE89100320121002

焦点:IFRSの強制適用、日本の判断は2013年以降に持ち越しへ
2012年 10月 2日 19:16 JST
[東京 2日 ロイター] 企業会計審議会(金融庁長官の諮問機関)で議論している国際会計基準(IFRS)の上場企業への強制適用の是非をめぐる判断が、2013年以降に持ち越される可能性が高まっている。金融庁は2012年をめどに判断を示す方針だったが、審議会では推進派と慎重派で意見が割れ、議論がまとまらないためだ。

世界の会計基準は、欧州主導のIFRSと米国会計基準の2つが柱となっている。米国が自国の会計基準をIFRSに近づける作業を進めてきたため、09年に会計審がまとめた中間報告では、国際会計基準の上場企業への強制適用について12年をめどに判断するとの考えが盛り込まれた。強制適用なら早ければ15年3月期から実施されると見て、準備を進める企業も出ていた。住友商事(8053.T: 株価, ニュース, レポート)は2011年3月期、JT(2914.T: 株価, ニュース, レポート)は12年3月期からすでに任意適用を始めている。

その後、米国などが慎重路線に転じたことから昨年、当時の自見庄三郎金融相がIFRS導入のあり方を見直す方針を突然、打ち出し、日本での議論も流れが変わった。

企業経営や経済に与える影響が大きい会計基準の策定をめぐっては、関与を深めようと各国が動いている。日本は、IFRSを策定する国際会計基準審議会(IASB)のアジア・オセアニアにおけるサテライトオフィスの東京への誘致に成功した。それだけに推進派は、国内での議論が停滞するとアジア周辺国の台頭を招きかねないと懸念する。

一方、米国の動向が最大の関心事だとする経済界などの慎重派は、日本の判断においては米国の動向を見極めることが最重要だとの立場を譲らず、意見は交錯している。

自見元金融相の意向を受けて会計審は見直しの議論を開始。今年7月、中間的論点整理をまとめたが「委員の意見になおかなりの隔たりがある」とし、審議を継続する考えを示していた。

2日開催の会計審でも、意見の集約は見られなかった。現時点でIFRSの扱いをめぐる次回の会計審の年内開催は予定されておらず、強制適用の判断が来年以降に持ち越される可能性が高い。中塚一宏金融担当相は1日の会見で「いつ結論を出すというのは、今の段階で予断を持って申し上げるのは難しい」と述べていた。

今年7月に米証券取引委員会(SEC)がまとめたレポートでは、今後の見通しについての言及がなく、米国が実質的に判断を先送りしたとの認識が広がっている。米国では今後、大統領選を控えており、米国での適用の判断に向けた動きがあるのは13年央以降になるとの見方が出ている。日本の対応もそれに引きずられそうだ。

(ロイターニュース 平田紀之  編集 宮崎大)

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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89105B20121002


 

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コメント
 
01. 2012年10月04日 09:38:05 : BQjza9gnto
インフレに向かうなら良い傾向だ!

デフレが続き飽き飽きしている。

ついでに、経済界の方向音痴の連中は粗大ゴミとして排出したい。

経団連とか経済同友会とか分けの判らない集団は即時廃棄しなければならない!

グローバル企業体の経営者が政治に係わる事はルール違反も甚だしい!

消費増税賛成し利益を得ながら中国では自己保身に走る企業は扶養家族ではなく、不要家族にすぎない!

日本国に籍を置きながら政治に口を挟める用件が伴っていないではないか?

私の考え方が間違っているのか?


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