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ECBの果断、日銀の熟慮 ECBの新国債購入プログラムは張り子の虎か
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/632.html
投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 18 日 01:37:51: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: QE3発表後の米経済の現実 投機家だけが儲かり インフレと長期金利上昇で実体経済はマイナス  投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 17 日 15:25:02)

ECBの果断、日銀の熟慮
2012年9月18日(火)  松村 伸二


欧州中央銀行(ECB)が新たな国債購入策に踏み切った。重債務国には厳しい財政規律を求め、市場の不安を和らげた。中央銀行として果敢なECB。対する日銀の影の薄さが気にかかる。
 ドラギ・マジック――。今回の政策判断を主導してきたマリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が新手の政策を相次いで打ち出すさまはこう称される。
 昨年11月の総裁就任直後からの利下げ、期間3年の資金供給オペ、そして今回は新しい国債買い取り策だ。対象国債は残存期間を1〜3年に限定。市場に供給された資金は金融調節で吸収し、資金需給への影響を中和する「不胎化」を順守する。どれも従来の金融政策からの逸脱を警戒する論調に配慮した。

 このECBの決断を市場はひとまず評価。国債購入をいったん停止した3月以降、最近まで上昇基調が続いていたスペインやイタリアなど南欧諸国の国債利回りは低下に転じた。
 もっとも、ECBに国債を買い取ってもらいたい国は先に欧州安定メカニズム(ESM)に要請する必要がある。厳格な財政再建を求められるため、景気は一段と悪化しかねない。クレディ・アグリコル証券の植田聡・債券営業部長は「ヘッジファンドが5〜10年に及ぶ欧州恐慌シナリオを想定し、債券買いの投機を進めている」と指摘する。
 ドラギ総裁が、中央銀行だけでは財政危機を打開することができないことを欧州連合(EU)や各国政府に強く主張した点を評価する声は多い。従来型の金融政策に執着するドイツを封じ込めただけではない。これまでの証券市場プログラム(SMP)に代わる今回の政策の名称は「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」。「マネタリー」という言葉で紛れもなく金融政策であることも強調する。汗をかいた分、「勝負はドラギ総裁の“技あり”」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)と市場は受け止めた。
日銀の「後手」対応を警戒
 自ら可能な手を果敢に打ち続けるECBに対し、日銀に対する市場関係者の視線は厳しさを増している。
 日銀が市場に意外感をもたらした事例は、事実上のインフレ目標を導入した2月14日の「バレンタイン緩和」までさかのぼる。1ドル=78円前後だった円相場はその1カ月後に84円台まで下げ幅を拡大した。だが、現在の水準は当時の緩和直前とほぼ同じ。神通力は長続きしなかった。
 確かに、スペインやイタリアなど一国の財政が危ぶまれる異常な状況下で、当事国の国債を買い切る形で救済せざるを得ない欧州と日本とでは置かれた状況は全く違う。
 それでも与野党から円高阻止策として外債購入を求める声が上がるなど、日銀にも“変貌”を望む声は強まるばかりだ。白川方明総裁は「日銀法上の制約で、独自の判断で行うのは難しい」とかわすのみ。熟慮に熟慮を重ねるうちに対応が後手に回る事態を市場は懸念する。
 事実上のインフレ目標があるため、日銀が10月末の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を待つ必要性も市場は当然、認識済みだ。しかし、欧米中銀の後手に回る印象がさらに強まれば、円高・デフレを自ら招く恐れもある。株価と円相場が微妙な安定を保っている今こそ、日銀は対話力の挽回が求められている。

松村 伸二(まつむら・しんじ)
日経ビジネス記者。



時事深層
“ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120913/236767/?ST=print


 


ECBの新国債購入プログラムは張り子の虎か
2012年9月18日(火)  池田 琢磨


欧州中央銀行(ECB)から、新しい国債買い取りプログラム(OMT)が発表された。しかし、欧州連合(EU)は、スペイン政府に対して支援要請をなるべく遅らせようとすると見られ、実際にこのプログラムが発動されるのは、しばらく先のことになりそうだ。ECBという“吠えも動きもしない虎”に、市場はいつまで怯え続けるのか。
 注目されていた欧州中央銀行(ECB)による新たな国債買い取りプログラム(OMT:Outright Monetary Transactions)が発表された。このOMTが金融市場に与える効果を考える上で、まず、参考になるのが従来の国債買い取りプログラム(SMP:Securities Markets Programme)だ。
ECB、従来の国債買い取りプログラムより一歩踏み込む
 SMPは、実施直後には周辺国の国債利回りが50〜150ベーシスポイント低下するなどの効果が見られたものの、その効果はせいぜい1カ月程度しか持続しなかった。これは以下の4つの側面からECBの関与が弱かったためと見られる。
(1)ECB内から国債買い取り策に反論が出た
(2)実施に当たって期限、規模、目標が明示されなかった
(3)ECBが保有する国債対して、返済順位の優先性が(結果的に)付与された
(4)欧州金融安定基金(EFSF)による国債買い取りが伴わなかったために、買い取りが1カ月程度で休止された
 一方、OMTについては、(1)に関しては依然としてドイツ連邦銀行が反対しているものの、(2)については事前に買い入れ額の上限を設定せず、(3)についても一般投資家と同等の扱いを受け入れると表明するなど、SMPと比較して、より強いECBの関与が打ち出された。
短期国債を対象にして金融機関の破綻リスクを軽減
 また、短期国債に買い入れの焦点を当てたことで、金融機関や政府の破綻リスクを下げ、金融市場を安定化させる効果も期待できる。
 過去1〜2カ月間に見られたイタリアやスペイン国債のイールドカーブ(長短金利差を示す曲線)のベアフラット化(短期金利の上昇に伴い長短金利差が縮小すること)は、金融機関にとって資金調達コストの上昇を意味し、長短金利差を活用した収益機会の喪失という重大な悪影響も及ぼしていた。さらに、金融機関の破綻リスクの増大を通じて金融市場を緊張させていた。
 ところが、7月26日にマリオ・ドラギECB総裁が、「必要なことは何でもする」と発言して以降、政策期待を織り込む形でイールドカーブはブルスティープ化(短期金利の低下に伴い長短金利差が拡大すること)している。これによって、金融機関の破綻リスクやカウンターパーティーリスクの低減を通じて金融市場の緊張を和らげる効果が期待できる。
 従って、実際にOMTが発動されれば、大きな効果があるものと判断される。ただし、これはあくまでも「実際に発動されれば」の話である。
現段階ではどの国も実施対象ではない
 なぜ、この点を強調するのかというと、このプログラムはすぐには発動されることがなさそうだからだ。そして、そこから透けて見えるのは、OMTはスペインのようなユーロ圏の周辺国、ドイツのような中心国、さらにはECBの間で、実際には使わないで済めばそれぞれに好都合という構図だ。
 まず、スペインには支援要請を先送りする強いインセンティブがある。今回のOMTは、将来、EUに支援要請をした国が適用対象になる。具体的には、EFSFや欧州安定メカニズム(ESM)が求める緊縮策などのマクロ経済調整プログラムの適用を受けている国か、あるいは予防的プログラムのうち事後条件がつく条件強化信用枠(ECCL:Enhanced Conditioned Credit Line)の適用を受ける国が対象となり得る。すなわち、厳格な条件(MoU)付きの場合に限って適用可能ということだ。そしてもう1つ、現在、支援プログラムを受けている国も、市場での債権発行を再開した際にOMTの対象になり得る。
 つまり、現状ではいずれの国もOMTの対象にはならず、たとえばスペイン政府が予防的プログラム適用を申請し、かつ厳格な事後条件がつくECCLが適用される場合にのみ、OMTが適用可能になることを意味する。
ドイツ、スペイン、ECBは「先送り」で利害一致
 実際、9月10日のインタビューでは、スペインのマリアノ・ラホイ首相は、「支援が必要なのか否か、慎重に検討する」と繰り返した。そもそも、スペイン政府がEFSFへの支援要請を渋っている理由は、厳格な条件を付された場合にさらなる緊縮や構造改革が必要となり、経済的苦境、さらには政治的困難が増すことを恐れているためだ。
 スペイン政府からすれば、市場からの圧力が高まって追い詰められない限り、適用申請を見送りたいところである。また、OMT発表によって金利が低下したため、支援要請の必要性は薄れている。
 実は、このことは支援国側、特に来年秋に総選挙を控えるドイツ政府にとっても好都合だ。なぜなら、EFSF/ESMへの支援プログラムの申請や発動(ECBによるOMT発動の必要条件)が先送りされれば、支援拡大に対する国内世論の反発を抑えられるメリットが生じると見られるからだ。
 さらに、ECBからすれば、スペイン政府によるEFSF/ESMへの支援要請が先送りされる結果、OMT自体の発動も先送りされ、信認や流動性コントロールがかく乱されないですむ。つまり、三者の立場からすればこのまま市場が落ち着いて、OMTと、その前提となっているEFSF/ESMの支援プログラムが実際に発動されないならば、好都合というわけだ。
景気後退や、ギリシャ問題再燃でECBの“本気度”が試される展開も
 しかし、実際に発動されないバックストップだけで、市中金利の抑制効果は持続すると見るのは無理がある。確かに、イールドカーブのスティープ化によって、金融機関や政府の破綻リスクが低下するのは事実だ。ところが、競争力に劣る周辺国は、外需主導の景気拡大が期待できないうえに、支援条件に財政緊縮策が据えられることで景気が後退し、債務返済能力が悪化する悪循環に陥っている。
 このことに再び焦点が当たるのは時間の問題だ。あるいは、ギリシャに対する2次支援条件の見直しや、ポルトガルに対する2次支援の可能性など、外部の波乱要因をきっかけに市場がECBの“本気度”を試す展開も想定される。つまり、実際には使わないように設計したつもりでも、いずれはOMTを発動せざるを得ない状況になるだろう。

スペインは最終的には支援を要請する
 では、スペインはいつ支援を要請するのだろうか。カギとなるのは、まずは、格付け機関がスペイン国債のさらなる格下げを見送るかどうか。そして、短期国債を中心とした金利低下と、それに伴う金融機関の破綻リスクの低下がスペイン経済の回復を助けて、政府の債務返済能力を改善できるどうかだ。
 格付けについては格付け機関の判断に委ねるとして、ここでは、政府の債務返済能力についてのみ、単純な事実を指摘しておきたい。
 OMT発表を受けて、スペイン10年国債利回りは6.0%まで低下した。だからと言って、安心できない。なぜなら、1年前は5.2%、2年前は4.1%と今よりも低い水準だったにもかかわらず、結局は今日の苦境を抱えるに至っているからだ。スペインで致命的に欠けていたのは、そしてOMT発表後も欠けているのは、債務返済能力を改善するための成長戦略だ。つまり、最終的には、スペインは支援を要請せざるを得なくなる可能性が高い。
ECBがOMTで国債購入を継続できるのは3カ月程度か
 最後に、スペイン政府が支援を要請し、OMTが発動された際に何が起きるかを考察しておく。
 OMTの買い取り規模は、「事前に上限を設けない」無制限と解釈されている。しかし、その買い取り対象は残存期間1〜3年の国債とされており、事実上の制限がある。
 スペイン国債を例にとると、2012年月9月時点では残存期間1〜3年の債券残高はおよそ2000億ユーロであり、イングランド銀行(英中央銀行)などが行った国債買い取りなどの事例を見れば、実際に市中から買い取れるのはその半分にも満たないと考えられる。さらに、OMT発動の前提条件であるスペイン政府によるEFSF/ESMへの支援要請が遅れれば、償還が進むことで買い取り対象残高はさらに減りかねない。
 以上を考慮すると、OMTが発動された場合、買い取りを継続できるのは買い取り対象が無くなるまでの3カ月程度と見積もられる。1カ月しか効果が持続しなかったSMPよりは危機対応のツールとしては威力はあるとはいえ、結局はOMPも3カ月しか時間を稼げないかもしれない。
 前述の景気後退に伴う周辺国の債務返済能力の悪化が顕在化するにつれて、欧州は再び困難に直面することとなりそうだ。
OMTの対象となり得るスペイン国債の残高


池田 琢磨(いけだ・たくま)
ノムラ・インターナショナル シニアエコノミスト
1990年東京工業大学工学修士課程修了、96年東京大学経済学修士課程修了。野村総合研究所、郵政研究所、野村総合研究所アメリカ、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルを経て、2007年より現職。Institutional Investor Magazine誌の2010年欧州経済調査部門で2位にランク された。



Money Globe ― from London
環境、会計など様々な分野で影響力を誇示する欧州の経済情勢を、現地の専門家がマクロ、為替、金融政策、M&A(合併・買収)など様々な観点から分析する。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20120913/236771/?ST=print
 

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